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第7話 ガラク村
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日も傾き始めた頃、やっとルカが速度をゆっくり落とし始めた。和哉はギュッと瞑っていた目を開き、ギルランスの肩越しに前を覗くと遠くに小さな村が見えることに気が付いた。
「あ、あれが……言ってた村……ですか……?」
疲労困憊の和哉が息も絶え絶えに聞くと、同じく前を向いたままギルランスは答えた。
「そうだ」
「よ、良かったぁ~」
安堵のあまり思いっきりギルランスの背中に全体重をかけて寄りかかってしまったが、今の和哉には気にする余裕もなかった。
「おい、重いんだよ」
前から響いてくる不機嫌そうな声に和哉はハッとして体を起こした。
(ヤバい、また怒られる……!)
「す、すみません!!」
慌てて謝りつつギルランスから離れようとするが体に力が入らず、うまくいかなかった。そんな様子を察したのか、今度は呆れたような声が聞こえてきた。
「まぁ、いい……それより急ぐぞ、日が暮れちまうからな」
(――ってあれ? 怒ってない……?)
てっきりまた怒鳴られると思っていた和哉だったが、予想外のギルランスの態度に戸惑いを隠せなかった。
「あ! はい!」
返事と共に、改めて目の前の大きな背中にしがみ付く――ふと、和哉は自分の鼓動が速くなっていることに気付くが、それはきっとルカの早駆けのせいだろうと思い、深く考えるのをやめた。
そのまましばらく走り、ようやく村に辿り着いた頃にはすっかり日が傾いていた。オレンジ色の陽光があたりを包み、村全体が明るく輝いているように見えた。
ガラク村は周囲を木の柵で囲ってあるだけの小さな集落だった。木造の平屋建ての建物がポツリポツリと立ち並んでおり、そこに住んでいる人々がのんびりと過ごしている様子が窺える。
「着いたぞ」
そう言って涼しい顔で馬から下りるギルランスとは対照的に、足腰ガクガクの和哉は彼の助けを受けつつなんとか下馬すると、そのままその場にへにゃへにゃとへたり込んでしまった。そんな和哉を尻目にギルランスはルカへと労いの言葉をかける。
「ルカ、お疲れさん、よく頑張ったな」
未だ和哉には見せたことのない優し気な表情のギルランスが愛馬の首を優しく撫でると、ルカは嬉しそうに鼻を鳴らした。そんなギルランスの足元で、和哉がゼェハァ言いながら呼吸を整えていると、ギルランスが呆れた様子で見下ろしてきた。
「お前なぁ、こんくらいでヘバんなよ」
「そ、そんなこと言われても……」
(くそ~、ルカにはあんなに優し気なのに……!)
内心悔しがる和哉であったが、まだ息が整わず恨めし気にギルランスを見上げることしかできなかった。すると、和哉の目の前に「ほれ」とギルランスの大きな手が差し出され、思わずその手を掴むと力強く引っ張り上げられ立たされた。
「あ、ありがとう……ございます」
「チッ、世話の焼けるヤツだな」
舌打ちしながら言う言葉とは裏腹に、声色に優しさが感じられることに和哉は気付いていた。
(やっぱ、なんだかんだ言っても優しいんだよなぁ……)
そんなことを考えつつ小さく微笑んでいる和哉の視線に気付く様子もないギルランスは、フンと鼻を鳴らし背を向けると、「行くぞ」と言ってルカを引きつつスタスタと歩き出した。
「あ! ちょ、待って下さい!」
「遅ぇんだよ、日が暮れるぞ」
言いながらさっさと行ってしまうギルランスの後を、和哉は慌てて追った。ヘロヘロになりながらもなんとかギルランスに追い付いて横に並んで歩いていると、彼は少し歩調を緩めて和哉の歩くペースに合わせてくれたようだった。
そのことに気付いた和哉は、彼のさりげない気遣いに嬉しくなってくる。チラリと横を見ると、相変わらず不機嫌そうな表情だが、怒っているわけではないらしい事がなんとなく分かった。
(もしかして、この表情はこの人のデフォルトなのかな……?)
そんなふうに考えて、思わず和哉はクスリと笑ってしまう。
「何がおかしい?」
どうやら顔に出てしまったらしい。怪訝そうな顔でギルランスが和哉を見る。
「――いえ、なんでもないです」
「……? そうか?」
不思議そうに首を傾げる仕草が妙に可愛らしく思えてきて、和哉はさらに頬が緩んでしまうが……口元を必死に引き締め、なんとか真顔を取り繕いながら村の中を進んでいった。
村のメインストリートを奥へ少し進んだところに、他の家よりも明らかに大きな建物があった。看板には『宿屋』と書かれている――どうやらここが目的地のようだ。厩にルカを預け、いざ宿に入ろうとした時、和哉は重大なことに気付いた。
「あ!……しまった」
(お金がないんだった……!!)
「――? どうした?」
急に足を止めた和哉をギルランスが怪訝そうな顔で見る。
「あの……僕……お金持ってないんですけど」
宿の扉を開けようとするギルランスの背中に和哉が声をひそめて話しかけると、ギルランスは当然のように答えた。
「気にすんな、俺が払う」
「いやいやいやいや!! それはダメでしょ!?」
「何がダメなんだよ、お前金ねぇんだろ?」
ギルランスが呆れたように言う。
(そりゃあ確かにそうだけど、いくら何でも奢ってもらうのはなぁ……)
さすがにそこまでしてもらうのは気が引ける和哉はなおも食い下がる。
「で、でも! やっぱり悪いですよ!」
「あーもう面倒くせぇな! 大人しく奢られときゃいいんだよ!」
心底面倒くさそうに言うとギルランスは和哉の腕を掴み、強引に宿の中へと入っていった。
「あ……ちょっ! ちょっと!」
半ば引き摺られるように建物の中に入るとカウンターがあり、この宿の女将だろうか、恰幅の良い中年女性が豪快な笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい! 旅の人かい? 一晩一部屋銀貨2枚だよ」
「あぁ、部屋は空いてるか?」
ギルランスの問いに女将はニッと口の端を上げて笑うと、カウンター下から鍵を取り出しチャラリと掲げて見せた。
「あるよ! 二人部屋でいいよね、三階の奥の部屋を使っておくれ」
(ん? 二人部屋? ――ってことは同じ部屋、だよな?)
さも当然のように部屋の案内をする女将の言葉に和哉は少し引っかかるものを感じたものの、まあ、男二人なら特に気にする事でもないのだろう、と思い直す。当のギルランスも隣で平然としている。
「あと、何か食える所はあるか?」
ギルランスが鍵を受け取りながら尋ねると、すぐに答えが返ってきた。
「それなら、ここの隣が酒場になってるからそこで食べればいいさね」
「分かった」
女将の言葉に頷き、さっさと歩き出すギルランスの後を和哉は慌てて追いかける。すると、そんな二人の背中に女将が声をかけてきた。
「ああ、そうそう! この宿、壁が薄いから声とか気を付けるんだよ~」
(……? 声??)
意味深な笑みを浮かべながら言われた言葉に、一瞬何のことか分からなかった和哉だったが、すぐにその意味を理解した瞬間、顔から火が出るかと思うほど熱くなった。
「――なっ!」
和哉が真っ赤な顔で口をパクパクさせていると、横からギルランスの声がした。
「なんのことだ? ……別に騒がしくするつもりはないぞ」
焦る和哉の様子には全く気付いていないギルランスは、女将の言葉に不思議そうな表情を浮かべていた。女将は一瞬きょとんとしたが、すぐさまニヤニヤした顔に戻る。
「まぁ、気を付けてやっておくれ、ってことだよ」
「……? ああ、分かった」
ギルランスはまだ納得いかないような顔をしていたものの、それ以上追及することもなく階段のほうへ歩いていったので和哉も慌てて追い掛ける。階段を上がりながら和哉はギルランスに気取られないようにそっと溜め息を吐いた。
(はぁ~びっくりした。女将さん、変なこと言わないで欲しいよなぁ……てか、僕のこと、女の子だと思ってるよな、多分。まあ、確かに袴姿なんて知らない人が見たらロングスカートに見えるのかも?いや、それにしてもさぁ……)
和哉はまだ熱の引かない顔でチラッと隣のギルランスを見やる。だが彼は全く気にしている様子はなかった。
(ギルランスさんって意外と鈍感なのかな? それとも、こういうことに慣れてるのか?……女性経験が豊富だから別になんとも思わないとか??う~ん、分からん)
そんなことを悶々と考えているうちにいつの間にか部屋の前に着いてしまっていたらしい。
「おい、何してんだ? 早く入れよ」
「え!? あ、はい。すみません!」
声をかけられて我に返った和哉は、そそくさと部屋に入ると扉を閉めた。
そこは簡素な造りのツインルームだった。ベッドが二つと、小さなテーブルと椅子が二脚置かれているだけのシンプルな部屋だ。奥の壁には観音開きの窓が三枚あり、そこから夕陽が射し込んでいる。部屋の奥にもう一つ扉があるので、恐らくトイレや浴室になっているのだろう。
「まぁ、こんなもんだろ」
そう言うとギルランスは荷物を下ろし、ふぅ、と溜め息を吐きながら窓際の椅子にドカッと腰を下ろした。やはり、人を後ろに乗せて馬を走らせるのは気疲れするのだろうか。ギルランスは心なしか疲れた顔をしているように見える。
(ああ見えて、きっと僕のことも気遣いながら走ってくれてたんだろうな。それなのに、僕ときたらただ喚いてしがみついてただけだもんな……)
「あの……今日はいろいろとありがとございました」
「いや……」
和哉の礼にギルランスは短く返事をし、窓の外に視線をやった。素っ気ない態度ではあったが不思議と嫌な感じはしなかった。
和哉はそのまま部屋の奥まで進むと窓を開けた。サアッと爽やかな風が吹き込んできて髪を揺らした。心地よい風を感じながら和哉は窓枠に肘をついて外の景色を眺める。さすがに三階だけあって眺めがいい。
窓の下に目をやると宿の二階の軒先が見え、その下には村のメインストリートを数人の村人たちが歩いているのが見える。道を挟んだ向かい側の通り沿いには色んな店が立ち並んでいて、その奥には家々の屋根が見え、さらにその先には高い山があり、その稜線に太陽が沈もうとしていた。左手の方向に目をやると、ルカを預けた厩舎があり、柱の間からはルカが飼葉を食んでいる姿が見えた。
(今日、頑張ってくれたルカにもちゃんとお礼を言わなきゃな……)
そんなことを考えながら暫く景色を眺めていた和哉は、ふと、ずっと気になっていたことをギルランスに聞いてみた。
「あの……ギルランスさんは一人で旅を?」
これがずっと引っかかっていて気になって仕方なかったのだ。和哉が知っている小説の中では、ギルランスにはラグロスという相棒がいた。そのラグロスが使っていたのが、今窓辺に立てかけてある聖弓だ。しかし今のところそれらしき人物は見当たらないし、なによりラグロスの名前もギルランスの口から聞いた覚えがなかった。
和哉の質問にギルランスはピクリと眉を顰め、ゆっくりと振り返る。
「……なんでそんなことを聞くんだ」
(え!? なんでそんな不機嫌そうなの?)
軽い気持ちで質問しただけなのに、急に機嫌が悪くなったギルランスに和哉は戸惑う。
「え、ええと……」
言い淀む和哉を見てますます険しい顔つきになるギルランスだったが、「俺は一人旅だ」と短く答えた。
(うわぁ、機嫌悪そうだなー。でも、やっぱり気になるし……)
「えっと……どうして?」
躊躇いながらも再度聞いてみるが、今度はさっきよりもさらにギルランスは不機嫌そうになる。
「……お前には関係ねぇ」
ボソリとそれだけ言うとギルランスはフイと横を向き、そのまま黙り込んでしまった。
(あちゃー、完全にヘソ曲げちゃったみたいだなぁ……そんなに聞かれたくないことだったのかなぁ)
「はは、ですよねぇ……」
(あー、もう! なんでこう、うまくいかないかなぁ!)
和哉はそれ以上突っ込んでギルランスの機嫌を損なうわけにもいかず、すごすごとベッドに腰を掛けた。
(まぁ、あんまりしつこく聞いても嫌だろうし……せっかく一緒に旅することになったんだから仲良くしたいんだけどなぁ)
「……」
「……」
(き、気まずい!)
沈黙が続き、気まずい空気の中、和哉は話題を変えようと試みる。
「あ、あの……そうだ! ギルランスさんの武器って?」
「――ん? あぁ、これだ」
ギルランスは和哉が話題を変えたことにホッとしたのか、表情を少し緩めて、壁に立てかけられている剣を手に取ると、鞘ごと掲げて見せてくれた。
「うわっ! カッコいいですね!!」
ギルランスが持っているそれは、白い鞘に収められた長さ80センチほどの反りのある片刃(かたば)剣(けん)で、鍔元に青と赤の宝石のようなものが嵌め込まれていて、ちょうど柄を挟むように石が背中合わせになるような形でついている。
「コイツは『双龍』っていう銘だ」
そう言ってギルランスは柄を握ると、シュッと音を立てながらスラリと剣を抜き放った。そして剣の柄を両手で掴むような仕草をしたかと思うと、次の瞬間、なんと、ひと振りだったはずの物が、一瞬で二振りの剣に分かれたのだ。
(うわっ、なんか手品みたいだ! どうなっているんだろ……?)
赤い石のほうの刀身は金色、青い石のほうは銀色の刀身をしている。
「こっちが『赤龍』――で、こっちが『青龍』だ」
「わぁ!」
和哉は思わず感嘆の声を漏らす。
「綺麗ですねぇ!」
「……そうだな」
ギルランスは剣を大事そうに見つめて話し続けた。
「これは師匠から受け継いだ特別な力を持つ双剣だ。通常は普通の剣だが、炎と氷、俺の魔力に呼応して発動する」
「魔力……」
「ああ、だからこの剣は俺にしか扱えない」
ギルランスの話を聞きながら和哉は感動に震えていた。あの小説通りの剣だったからだ。彼が腰に携えているのを見た時からずっと気になっていて、機会があれば是非とも近くで見てみたいと思っていたのだが、まさか本人の解説付きで見せてもらえるとは夢にも思っていなかったので興奮が収まらない。その剣は本当に美しく、まるで炎を纏っているかのように揺らめく輝きを放つ美しい刀身に目を奪われた。
「すごいなぁ……憧れます」
ほぅ、と感嘆の溜息を吐きながら、和哉が素直に感想を述べると、ギルランスは照れているかのように視線を逸らす。
「……そうか?」
「はい!!」
「そうか……」
剣を鞘に収めつつぶっきらぼうに答えるギルランスだったが、その声色はどこか嬉しそうで、口の端が少しだけ上がっている。素直に称賛する和哉の言葉に満更でもない様子だ。そんな様子を見ていたらなんだか微笑ましく思えて、和哉は自然と笑みが零れる。
「ふふ……」
すると、和哉の笑いに気付いたのか、ギルランスは振り向き、訝し気な顔をみせる。
「なんだ? 何か文句でもあるのか?」
「いえ――あ、じゃあこっちの弓は?」
誤魔化すように話を逸らして窓際に立てかけてある弓を指差しながら聞くと、ギルランスは一瞬表情を険しくさせ、すぐにまたあの不愛想な顔に戻ってしまった。
「あれは……あれも師匠の形見なんだが……まぁ、そんなとこだ」
ギルランスの歯切れの悪い言い方に和哉は疑問を感じたものの、それ以上追及するのも憚られて、とりあえず頷いておくことにした。
「そうなんですか……大切な弓なんですね。僕なんかが触ったら怒られるのも当たり前か、あはは……」
乾いた笑いと共に自嘲気味に呟く。
「……」
ギルランスは黙ったまま、何か思うところがあるような顔で弓を見つめていた。そんな彼の様子に、なんとなく聞いてはいけない雰囲気を感じ取った和哉は、それ以上何も言えなくなってしまった。
(うぅ……思い切って聞いてみたけど、結局ラグロスのことも弓のこともなんにも分からなかったな)
内心ガッカリしながらも、これ以上余計な事は聞かないほうがいいと思い口を噤む。
(それにまた黙っちゃったし……せっかくちょっと仲良くなれたと思ったのになぁ)
「……」
「……」
再び気まずい雰囲気が漂ってきたその時だった。グウゥ~~~!と、またまた盛大に和哉の腹の虫が鳴いた。
「――!?」
(うおぉおぉぉ!! 僕のお腹よ! 頼むから空気を読んでくれぇぇえ!!!)
和哉は心の中で絶叫しながら頭を抱えた。恥ずかしさに、穴があったら入りたい気分だった。ギルランスは一瞬驚いたような顔で目を丸くしていたが、すぐにクッと喉を鳴らして笑い出した。
「クックッ……相変わらずよく鳴る腹だな」
呆れつつも笑いを堪えきれない様子だ。ますます恥ずかしくなる和哉は顔に熱が集まるのを感じた。
「うう……すみません」
なんだか情けなくなってしまい、蚊の鳴くような声で謝る。
「ククッ……お前といると調子が狂う」
そう言いながらまだクツクツと笑っているギルランスに和哉は少しムッとするが、同時に嬉しくもあった。
(やっと笑ってくれた……良かった。僕のお腹、グッジョブか!?)
さきほどまでのピリピリとした空気がいつの間にか霧散していたことに気付き、ホッと胸を撫で下ろす。ギルランスの笑顔に胸が温かくなるのを感じた和哉は、自然と口元が弛むのを感じた。
ギルランスはまだ微かに肩を震わせていたが、それを誤魔化すように提案してきた。
「ふっ……取り敢えず、飯でも食いに行くか」
(うん! やっぱり笑顔のほうがカッコいいな)
そんなことを思いつつ、和哉はギルランスに頷いた。
「そうですね! 行きましょう!!」
二人は部屋を出ると宿の隣にある酒場へと向かった。
「あ、あれが……言ってた村……ですか……?」
疲労困憊の和哉が息も絶え絶えに聞くと、同じく前を向いたままギルランスは答えた。
「そうだ」
「よ、良かったぁ~」
安堵のあまり思いっきりギルランスの背中に全体重をかけて寄りかかってしまったが、今の和哉には気にする余裕もなかった。
「おい、重いんだよ」
前から響いてくる不機嫌そうな声に和哉はハッとして体を起こした。
(ヤバい、また怒られる……!)
「す、すみません!!」
慌てて謝りつつギルランスから離れようとするが体に力が入らず、うまくいかなかった。そんな様子を察したのか、今度は呆れたような声が聞こえてきた。
「まぁ、いい……それより急ぐぞ、日が暮れちまうからな」
(――ってあれ? 怒ってない……?)
てっきりまた怒鳴られると思っていた和哉だったが、予想外のギルランスの態度に戸惑いを隠せなかった。
「あ! はい!」
返事と共に、改めて目の前の大きな背中にしがみ付く――ふと、和哉は自分の鼓動が速くなっていることに気付くが、それはきっとルカの早駆けのせいだろうと思い、深く考えるのをやめた。
そのまましばらく走り、ようやく村に辿り着いた頃にはすっかり日が傾いていた。オレンジ色の陽光があたりを包み、村全体が明るく輝いているように見えた。
ガラク村は周囲を木の柵で囲ってあるだけの小さな集落だった。木造の平屋建ての建物がポツリポツリと立ち並んでおり、そこに住んでいる人々がのんびりと過ごしている様子が窺える。
「着いたぞ」
そう言って涼しい顔で馬から下りるギルランスとは対照的に、足腰ガクガクの和哉は彼の助けを受けつつなんとか下馬すると、そのままその場にへにゃへにゃとへたり込んでしまった。そんな和哉を尻目にギルランスはルカへと労いの言葉をかける。
「ルカ、お疲れさん、よく頑張ったな」
未だ和哉には見せたことのない優し気な表情のギルランスが愛馬の首を優しく撫でると、ルカは嬉しそうに鼻を鳴らした。そんなギルランスの足元で、和哉がゼェハァ言いながら呼吸を整えていると、ギルランスが呆れた様子で見下ろしてきた。
「お前なぁ、こんくらいでヘバんなよ」
「そ、そんなこと言われても……」
(くそ~、ルカにはあんなに優し気なのに……!)
内心悔しがる和哉であったが、まだ息が整わず恨めし気にギルランスを見上げることしかできなかった。すると、和哉の目の前に「ほれ」とギルランスの大きな手が差し出され、思わずその手を掴むと力強く引っ張り上げられ立たされた。
「あ、ありがとう……ございます」
「チッ、世話の焼けるヤツだな」
舌打ちしながら言う言葉とは裏腹に、声色に優しさが感じられることに和哉は気付いていた。
(やっぱ、なんだかんだ言っても優しいんだよなぁ……)
そんなことを考えつつ小さく微笑んでいる和哉の視線に気付く様子もないギルランスは、フンと鼻を鳴らし背を向けると、「行くぞ」と言ってルカを引きつつスタスタと歩き出した。
「あ! ちょ、待って下さい!」
「遅ぇんだよ、日が暮れるぞ」
言いながらさっさと行ってしまうギルランスの後を、和哉は慌てて追った。ヘロヘロになりながらもなんとかギルランスに追い付いて横に並んで歩いていると、彼は少し歩調を緩めて和哉の歩くペースに合わせてくれたようだった。
そのことに気付いた和哉は、彼のさりげない気遣いに嬉しくなってくる。チラリと横を見ると、相変わらず不機嫌そうな表情だが、怒っているわけではないらしい事がなんとなく分かった。
(もしかして、この表情はこの人のデフォルトなのかな……?)
そんなふうに考えて、思わず和哉はクスリと笑ってしまう。
「何がおかしい?」
どうやら顔に出てしまったらしい。怪訝そうな顔でギルランスが和哉を見る。
「――いえ、なんでもないです」
「……? そうか?」
不思議そうに首を傾げる仕草が妙に可愛らしく思えてきて、和哉はさらに頬が緩んでしまうが……口元を必死に引き締め、なんとか真顔を取り繕いながら村の中を進んでいった。
村のメインストリートを奥へ少し進んだところに、他の家よりも明らかに大きな建物があった。看板には『宿屋』と書かれている――どうやらここが目的地のようだ。厩にルカを預け、いざ宿に入ろうとした時、和哉は重大なことに気付いた。
「あ!……しまった」
(お金がないんだった……!!)
「――? どうした?」
急に足を止めた和哉をギルランスが怪訝そうな顔で見る。
「あの……僕……お金持ってないんですけど」
宿の扉を開けようとするギルランスの背中に和哉が声をひそめて話しかけると、ギルランスは当然のように答えた。
「気にすんな、俺が払う」
「いやいやいやいや!! それはダメでしょ!?」
「何がダメなんだよ、お前金ねぇんだろ?」
ギルランスが呆れたように言う。
(そりゃあ確かにそうだけど、いくら何でも奢ってもらうのはなぁ……)
さすがにそこまでしてもらうのは気が引ける和哉はなおも食い下がる。
「で、でも! やっぱり悪いですよ!」
「あーもう面倒くせぇな! 大人しく奢られときゃいいんだよ!」
心底面倒くさそうに言うとギルランスは和哉の腕を掴み、強引に宿の中へと入っていった。
「あ……ちょっ! ちょっと!」
半ば引き摺られるように建物の中に入るとカウンターがあり、この宿の女将だろうか、恰幅の良い中年女性が豪快な笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい! 旅の人かい? 一晩一部屋銀貨2枚だよ」
「あぁ、部屋は空いてるか?」
ギルランスの問いに女将はニッと口の端を上げて笑うと、カウンター下から鍵を取り出しチャラリと掲げて見せた。
「あるよ! 二人部屋でいいよね、三階の奥の部屋を使っておくれ」
(ん? 二人部屋? ――ってことは同じ部屋、だよな?)
さも当然のように部屋の案内をする女将の言葉に和哉は少し引っかかるものを感じたものの、まあ、男二人なら特に気にする事でもないのだろう、と思い直す。当のギルランスも隣で平然としている。
「あと、何か食える所はあるか?」
ギルランスが鍵を受け取りながら尋ねると、すぐに答えが返ってきた。
「それなら、ここの隣が酒場になってるからそこで食べればいいさね」
「分かった」
女将の言葉に頷き、さっさと歩き出すギルランスの後を和哉は慌てて追いかける。すると、そんな二人の背中に女将が声をかけてきた。
「ああ、そうそう! この宿、壁が薄いから声とか気を付けるんだよ~」
(……? 声??)
意味深な笑みを浮かべながら言われた言葉に、一瞬何のことか分からなかった和哉だったが、すぐにその意味を理解した瞬間、顔から火が出るかと思うほど熱くなった。
「――なっ!」
和哉が真っ赤な顔で口をパクパクさせていると、横からギルランスの声がした。
「なんのことだ? ……別に騒がしくするつもりはないぞ」
焦る和哉の様子には全く気付いていないギルランスは、女将の言葉に不思議そうな表情を浮かべていた。女将は一瞬きょとんとしたが、すぐさまニヤニヤした顔に戻る。
「まぁ、気を付けてやっておくれ、ってことだよ」
「……? ああ、分かった」
ギルランスはまだ納得いかないような顔をしていたものの、それ以上追及することもなく階段のほうへ歩いていったので和哉も慌てて追い掛ける。階段を上がりながら和哉はギルランスに気取られないようにそっと溜め息を吐いた。
(はぁ~びっくりした。女将さん、変なこと言わないで欲しいよなぁ……てか、僕のこと、女の子だと思ってるよな、多分。まあ、確かに袴姿なんて知らない人が見たらロングスカートに見えるのかも?いや、それにしてもさぁ……)
和哉はまだ熱の引かない顔でチラッと隣のギルランスを見やる。だが彼は全く気にしている様子はなかった。
(ギルランスさんって意外と鈍感なのかな? それとも、こういうことに慣れてるのか?……女性経験が豊富だから別になんとも思わないとか??う~ん、分からん)
そんなことを悶々と考えているうちにいつの間にか部屋の前に着いてしまっていたらしい。
「おい、何してんだ? 早く入れよ」
「え!? あ、はい。すみません!」
声をかけられて我に返った和哉は、そそくさと部屋に入ると扉を閉めた。
そこは簡素な造りのツインルームだった。ベッドが二つと、小さなテーブルと椅子が二脚置かれているだけのシンプルな部屋だ。奥の壁には観音開きの窓が三枚あり、そこから夕陽が射し込んでいる。部屋の奥にもう一つ扉があるので、恐らくトイレや浴室になっているのだろう。
「まぁ、こんなもんだろ」
そう言うとギルランスは荷物を下ろし、ふぅ、と溜め息を吐きながら窓際の椅子にドカッと腰を下ろした。やはり、人を後ろに乗せて馬を走らせるのは気疲れするのだろうか。ギルランスは心なしか疲れた顔をしているように見える。
(ああ見えて、きっと僕のことも気遣いながら走ってくれてたんだろうな。それなのに、僕ときたらただ喚いてしがみついてただけだもんな……)
「あの……今日はいろいろとありがとございました」
「いや……」
和哉の礼にギルランスは短く返事をし、窓の外に視線をやった。素っ気ない態度ではあったが不思議と嫌な感じはしなかった。
和哉はそのまま部屋の奥まで進むと窓を開けた。サアッと爽やかな風が吹き込んできて髪を揺らした。心地よい風を感じながら和哉は窓枠に肘をついて外の景色を眺める。さすがに三階だけあって眺めがいい。
窓の下に目をやると宿の二階の軒先が見え、その下には村のメインストリートを数人の村人たちが歩いているのが見える。道を挟んだ向かい側の通り沿いには色んな店が立ち並んでいて、その奥には家々の屋根が見え、さらにその先には高い山があり、その稜線に太陽が沈もうとしていた。左手の方向に目をやると、ルカを預けた厩舎があり、柱の間からはルカが飼葉を食んでいる姿が見えた。
(今日、頑張ってくれたルカにもちゃんとお礼を言わなきゃな……)
そんなことを考えながら暫く景色を眺めていた和哉は、ふと、ずっと気になっていたことをギルランスに聞いてみた。
「あの……ギルランスさんは一人で旅を?」
これがずっと引っかかっていて気になって仕方なかったのだ。和哉が知っている小説の中では、ギルランスにはラグロスという相棒がいた。そのラグロスが使っていたのが、今窓辺に立てかけてある聖弓だ。しかし今のところそれらしき人物は見当たらないし、なによりラグロスの名前もギルランスの口から聞いた覚えがなかった。
和哉の質問にギルランスはピクリと眉を顰め、ゆっくりと振り返る。
「……なんでそんなことを聞くんだ」
(え!? なんでそんな不機嫌そうなの?)
軽い気持ちで質問しただけなのに、急に機嫌が悪くなったギルランスに和哉は戸惑う。
「え、ええと……」
言い淀む和哉を見てますます険しい顔つきになるギルランスだったが、「俺は一人旅だ」と短く答えた。
(うわぁ、機嫌悪そうだなー。でも、やっぱり気になるし……)
「えっと……どうして?」
躊躇いながらも再度聞いてみるが、今度はさっきよりもさらにギルランスは不機嫌そうになる。
「……お前には関係ねぇ」
ボソリとそれだけ言うとギルランスはフイと横を向き、そのまま黙り込んでしまった。
(あちゃー、完全にヘソ曲げちゃったみたいだなぁ……そんなに聞かれたくないことだったのかなぁ)
「はは、ですよねぇ……」
(あー、もう! なんでこう、うまくいかないかなぁ!)
和哉はそれ以上突っ込んでギルランスの機嫌を損なうわけにもいかず、すごすごとベッドに腰を掛けた。
(まぁ、あんまりしつこく聞いても嫌だろうし……せっかく一緒に旅することになったんだから仲良くしたいんだけどなぁ)
「……」
「……」
(き、気まずい!)
沈黙が続き、気まずい空気の中、和哉は話題を変えようと試みる。
「あ、あの……そうだ! ギルランスさんの武器って?」
「――ん? あぁ、これだ」
ギルランスは和哉が話題を変えたことにホッとしたのか、表情を少し緩めて、壁に立てかけられている剣を手に取ると、鞘ごと掲げて見せてくれた。
「うわっ! カッコいいですね!!」
ギルランスが持っているそれは、白い鞘に収められた長さ80センチほどの反りのある片刃(かたば)剣(けん)で、鍔元に青と赤の宝石のようなものが嵌め込まれていて、ちょうど柄を挟むように石が背中合わせになるような形でついている。
「コイツは『双龍』っていう銘だ」
そう言ってギルランスは柄を握ると、シュッと音を立てながらスラリと剣を抜き放った。そして剣の柄を両手で掴むような仕草をしたかと思うと、次の瞬間、なんと、ひと振りだったはずの物が、一瞬で二振りの剣に分かれたのだ。
(うわっ、なんか手品みたいだ! どうなっているんだろ……?)
赤い石のほうの刀身は金色、青い石のほうは銀色の刀身をしている。
「こっちが『赤龍』――で、こっちが『青龍』だ」
「わぁ!」
和哉は思わず感嘆の声を漏らす。
「綺麗ですねぇ!」
「……そうだな」
ギルランスは剣を大事そうに見つめて話し続けた。
「これは師匠から受け継いだ特別な力を持つ双剣だ。通常は普通の剣だが、炎と氷、俺の魔力に呼応して発動する」
「魔力……」
「ああ、だからこの剣は俺にしか扱えない」
ギルランスの話を聞きながら和哉は感動に震えていた。あの小説通りの剣だったからだ。彼が腰に携えているのを見た時からずっと気になっていて、機会があれば是非とも近くで見てみたいと思っていたのだが、まさか本人の解説付きで見せてもらえるとは夢にも思っていなかったので興奮が収まらない。その剣は本当に美しく、まるで炎を纏っているかのように揺らめく輝きを放つ美しい刀身に目を奪われた。
「すごいなぁ……憧れます」
ほぅ、と感嘆の溜息を吐きながら、和哉が素直に感想を述べると、ギルランスは照れているかのように視線を逸らす。
「……そうか?」
「はい!!」
「そうか……」
剣を鞘に収めつつぶっきらぼうに答えるギルランスだったが、その声色はどこか嬉しそうで、口の端が少しだけ上がっている。素直に称賛する和哉の言葉に満更でもない様子だ。そんな様子を見ていたらなんだか微笑ましく思えて、和哉は自然と笑みが零れる。
「ふふ……」
すると、和哉の笑いに気付いたのか、ギルランスは振り向き、訝し気な顔をみせる。
「なんだ? 何か文句でもあるのか?」
「いえ――あ、じゃあこっちの弓は?」
誤魔化すように話を逸らして窓際に立てかけてある弓を指差しながら聞くと、ギルランスは一瞬表情を険しくさせ、すぐにまたあの不愛想な顔に戻ってしまった。
「あれは……あれも師匠の形見なんだが……まぁ、そんなとこだ」
ギルランスの歯切れの悪い言い方に和哉は疑問を感じたものの、それ以上追及するのも憚られて、とりあえず頷いておくことにした。
「そうなんですか……大切な弓なんですね。僕なんかが触ったら怒られるのも当たり前か、あはは……」
乾いた笑いと共に自嘲気味に呟く。
「……」
ギルランスは黙ったまま、何か思うところがあるような顔で弓を見つめていた。そんな彼の様子に、なんとなく聞いてはいけない雰囲気を感じ取った和哉は、それ以上何も言えなくなってしまった。
(うぅ……思い切って聞いてみたけど、結局ラグロスのことも弓のこともなんにも分からなかったな)
内心ガッカリしながらも、これ以上余計な事は聞かないほうがいいと思い口を噤む。
(それにまた黙っちゃったし……せっかくちょっと仲良くなれたと思ったのになぁ)
「……」
「……」
再び気まずい雰囲気が漂ってきたその時だった。グウゥ~~~!と、またまた盛大に和哉の腹の虫が鳴いた。
「――!?」
(うおぉおぉぉ!! 僕のお腹よ! 頼むから空気を読んでくれぇぇえ!!!)
和哉は心の中で絶叫しながら頭を抱えた。恥ずかしさに、穴があったら入りたい気分だった。ギルランスは一瞬驚いたような顔で目を丸くしていたが、すぐにクッと喉を鳴らして笑い出した。
「クックッ……相変わらずよく鳴る腹だな」
呆れつつも笑いを堪えきれない様子だ。ますます恥ずかしくなる和哉は顔に熱が集まるのを感じた。
「うう……すみません」
なんだか情けなくなってしまい、蚊の鳴くような声で謝る。
「ククッ……お前といると調子が狂う」
そう言いながらまだクツクツと笑っているギルランスに和哉は少しムッとするが、同時に嬉しくもあった。
(やっと笑ってくれた……良かった。僕のお腹、グッジョブか!?)
さきほどまでのピリピリとした空気がいつの間にか霧散していたことに気付き、ホッと胸を撫で下ろす。ギルランスの笑顔に胸が温かくなるのを感じた和哉は、自然と口元が弛むのを感じた。
ギルランスはまだ微かに肩を震わせていたが、それを誤魔化すように提案してきた。
「ふっ……取り敢えず、飯でも食いに行くか」
(うん! やっぱり笑顔のほうがカッコいいな)
そんなことを思いつつ、和哉はギルランスに頷いた。
「そうですね! 行きましょう!!」
二人は部屋を出ると宿の隣にある酒場へと向かった。
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