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第8話 秘書
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一晩考えた末、私の答えは決まっていた。
翌朝、私は再び副社長室の扉を叩いた。
「はい」
「藤田です」
「入れ」
河内さんは昨日と同じようにデスクで書類に目を通していた。
「返事は?」
私は深呼吸をして、はっきりと言った。
「秘書のお話、お受けします」
河内さんの手が止まり、顔を上げた。わずかに安堵の色が見えた。
「わかった」
「あの、具体的にはどのような仕事をするんでしょうか……?」
「スケジュール管理、資料作成、来客対応……基本的な秘書業務だ。あとは適宜指示をする」
「河内さん、もしかして今まで秘書いなかったんですか?」
「ああ……今まで基本的に海外にいたから」
一人で全部やってきたのか……。
河内さんは凄い人なのかもしれない。
「とりあえず、今の部署での引き継ぎはどのくらいかかる?」
「一週間もあれば大丈夫だと思います」
「わかった。それまでに準備をしておく」
私のために、河内さんなりに一生懸命考えてくれているのが伝わってきた。
* * *
その日の午後、上司に呼び出された。
「藤田さん、来週から企画開発部に異動になったから」
「え?企画開発部ですか?」
「ああ。新規プロジェクトのサポート業務だって。上からの指示でね」
企画開発部なんて、聞いたこともない部署だった。
「どちらにある部署でしょうか……?」
「15階だよ。まあ、頑張ってくれ」
15階……副社長室がある階だ。
周りの同僚たちも首をかしげていた。
「企画開発部って、初めて聞くね」
「新設部署なのかな?」
田中さんは黙ったままだったけれど、何か察している様子だった。
私は急いで引き継ぎの準備を始めた。
* * *
一週間後、指定された15階の一室に向かった。
ドアには「企画開発部」とプレートがあったけれど、中に入ると資料室のような場所だった。
困惑していると、河内さんが現れた。
「おはよう。ここが君の新しい職場だ」
「ここ、企画開発部って……」
「表面的に作った。秘書ってなるとまた面倒になる」
なるほど、要するに副社長秘書だけど、表向きは別部署ということか。
河内さんの計らいに感謝した。
「ありがとうございます」
私は頭を下げた。
河内さんは予定表を私に渡した。
「まずこれが俺の今月の予定。仕事は少しずつ教える」
* * *
こうして、私の新しい生活が始まった。
名目上は「企画開発部」だけど、実質的には河内さんの専属秘書。
「藤田さん、新しい部署はどう?」
「何のプロジェクトなの?」
そんな質問をされるたび、河内さんが用意してくれた曖昧な答えでかわしていた。
河内さんとの距離は近くなったけれど、オフィスでは完全にビジネスライクな関係を保っていた。
「河内副社長、午後の会議の資料です」
「ありがとう。助かる」
でも時々、河内さんが私の様子を気にかけているのがわかった。
「昼食は食べた?」
「疲れてないか?」
そんな些細な気遣いに、胸が温かくなった。
この不器用だけど優しい人と、これからどんな日々を過ごすことになるのだろう……。
翌朝、私は再び副社長室の扉を叩いた。
「はい」
「藤田です」
「入れ」
河内さんは昨日と同じようにデスクで書類に目を通していた。
「返事は?」
私は深呼吸をして、はっきりと言った。
「秘書のお話、お受けします」
河内さんの手が止まり、顔を上げた。わずかに安堵の色が見えた。
「わかった」
「あの、具体的にはどのような仕事をするんでしょうか……?」
「スケジュール管理、資料作成、来客対応……基本的な秘書業務だ。あとは適宜指示をする」
「河内さん、もしかして今まで秘書いなかったんですか?」
「ああ……今まで基本的に海外にいたから」
一人で全部やってきたのか……。
河内さんは凄い人なのかもしれない。
「とりあえず、今の部署での引き継ぎはどのくらいかかる?」
「一週間もあれば大丈夫だと思います」
「わかった。それまでに準備をしておく」
私のために、河内さんなりに一生懸命考えてくれているのが伝わってきた。
* * *
その日の午後、上司に呼び出された。
「藤田さん、来週から企画開発部に異動になったから」
「え?企画開発部ですか?」
「ああ。新規プロジェクトのサポート業務だって。上からの指示でね」
企画開発部なんて、聞いたこともない部署だった。
「どちらにある部署でしょうか……?」
「15階だよ。まあ、頑張ってくれ」
15階……副社長室がある階だ。
周りの同僚たちも首をかしげていた。
「企画開発部って、初めて聞くね」
「新設部署なのかな?」
田中さんは黙ったままだったけれど、何か察している様子だった。
私は急いで引き継ぎの準備を始めた。
* * *
一週間後、指定された15階の一室に向かった。
ドアには「企画開発部」とプレートがあったけれど、中に入ると資料室のような場所だった。
困惑していると、河内さんが現れた。
「おはよう。ここが君の新しい職場だ」
「ここ、企画開発部って……」
「表面的に作った。秘書ってなるとまた面倒になる」
なるほど、要するに副社長秘書だけど、表向きは別部署ということか。
河内さんの計らいに感謝した。
「ありがとうございます」
私は頭を下げた。
河内さんは予定表を私に渡した。
「まずこれが俺の今月の予定。仕事は少しずつ教える」
* * *
こうして、私の新しい生活が始まった。
名目上は「企画開発部」だけど、実質的には河内さんの専属秘書。
「藤田さん、新しい部署はどう?」
「何のプロジェクトなの?」
そんな質問をされるたび、河内さんが用意してくれた曖昧な答えでかわしていた。
河内さんとの距離は近くなったけれど、オフィスでは完全にビジネスライクな関係を保っていた。
「河内副社長、午後の会議の資料です」
「ありがとう。助かる」
でも時々、河内さんが私の様子を気にかけているのがわかった。
「昼食は食べた?」
「疲れてないか?」
そんな些細な気遣いに、胸が温かくなった。
この不器用だけど優しい人と、これからどんな日々を過ごすことになるのだろう……。
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