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第21話 本心
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河内さんのマンションに着いた。
今までで一番足取りが重かった。
今日、これからのことをハッキリさせないといけない。
お互いそう思ってるからだ。
マンションの中に入り、河内さんの部屋のインターホンを鳴らした。
ドアが開くと、険しい顔の河内さんが立っていた。
私たちはその後リビングに立ち尽くしていた。
私は沈黙に耐えられなくなった。
「河内さん、お金で解決するのを、やめましょう」
河内さんはずっと窓の外を見ている。
「じゃあ……払い終わるまで俺は耐えなきゃいけないのか?」
その瞳が私を捉えた。
「好きな女が他の男と馴れ合ってるのを、見守るのか?」
胸が痛んだ。
「……私は自分で返したいんです。あなたのお金じゃなく、私の足で。今はまだ出戻りの身なので、ある程度したら仕事を変えます」
「もういい加減にしろよ」
河内さんの怒りが伝わった。
爪が食い込むほど手を握りしめている。
「……金はいらない。お前の心が欲しい」
息が止まった。
そんな言葉が出てくるとは思っていなかった。
自信がなかったのは、河内さんの方だったんだ。
不安だったんだ。私がどこかに行くのが。
「河内さん。借金は自分で稼いだお金で返します。それでも、あなたへの想いは変わりません」
「……信じていいのか」
「信じてください!何度でも言います。好きです。あなたが不器用に私を守ろうとするところも」
次の瞬間、きつく抱きしめられた。
「優美……俺は、お前に嫌われるのが怖い。金しか差し出せない男だと、思われるのが」
河内さんは微かに震えていた。
「お金だけじゃないです。ちゃんと会社でも私を守ってくれたじゃないですか」
私はそっと優しく河内さんにキスをした。
それに応えるかのように河内さんも深く返してくれた。
重ねるたび、彼の震えが少しずつ静まっていくのがわかる。
河内さんの手が私の頬を包み、もう一度キスをした。
今度は深く、長く。
「優美……」
名前を呼ぶ声が震えている。
私も震えていた。
河内さんの腕が強くなった。
「そばにいてくれ」
真っ直ぐで切実な想いが込められた瞳。
「はい……」
答えた瞬間、躊躇は消えた。
彼の温もりが私を包む――
今まで怖かった全てが、愛おしさに変わっていく。
二人の鼓動と熱が重なり合って、私たちは本当の意味で一つになった。
河内さんの腕の中で、初めて本当の安心を感じた。
「……やっと安心できた気がする」
河内さんの声が穏やかだった。
「私もです」
意地を張り合って、なかなか素直になれなかった。
「ずっと逃げていました。傷つくのが怖くて。……でもそれが河内さんを傷つけていたんですね」
二人の手が優しく絡まる。
「もう逃げるな」
「はい……」
暫く静かな時間が流れた。
河内さんが私の髪を撫でながら、ぽつりと言った。
「でも……お前があそこにいる間は心配だ」
「ラウンジのことですか?」
「ああ。やっぱり専属にしたい」
私は少し笑ってしまった。
「結局そこに戻るんですね」
「客として正当に指名してるんだが?」
河内さんは割と本気だ。
「まあ……河内さんがそれで安心できるなら」
もうこの人の不安も理解できる。
「そうだ、茶道続けようと思うんです」
「急にどうした?」
「あの時すごく恥をかいて……基本くらいはできるようになりたくて」
河内さんは嬉しそうに微笑んだ。
「花嫁修業にはいいかもな」
その言葉に、私の顔が一気に熱くなった。
「は、花嫁って……」
恥ずかしくて顔を覆ってしまった。
「そろそろ帰らないと……」
「終電もうないだろ」
その日は泊まることにした。
* * *
──翌朝
私たちは時間をずらして出勤した。
いつも通りに仕事をしていると、突然河内さんに呼ばれた。
私が副社長室に行くと、河内さんがデスクで深刻な表情をしていた。
河内さんのデスクの上には、私と河内さんがラウンジで会話をしている瞬間が映っている写真が置かれていた。
今までで一番足取りが重かった。
今日、これからのことをハッキリさせないといけない。
お互いそう思ってるからだ。
マンションの中に入り、河内さんの部屋のインターホンを鳴らした。
ドアが開くと、険しい顔の河内さんが立っていた。
私たちはその後リビングに立ち尽くしていた。
私は沈黙に耐えられなくなった。
「河内さん、お金で解決するのを、やめましょう」
河内さんはずっと窓の外を見ている。
「じゃあ……払い終わるまで俺は耐えなきゃいけないのか?」
その瞳が私を捉えた。
「好きな女が他の男と馴れ合ってるのを、見守るのか?」
胸が痛んだ。
「……私は自分で返したいんです。あなたのお金じゃなく、私の足で。今はまだ出戻りの身なので、ある程度したら仕事を変えます」
「もういい加減にしろよ」
河内さんの怒りが伝わった。
爪が食い込むほど手を握りしめている。
「……金はいらない。お前の心が欲しい」
息が止まった。
そんな言葉が出てくるとは思っていなかった。
自信がなかったのは、河内さんの方だったんだ。
不安だったんだ。私がどこかに行くのが。
「河内さん。借金は自分で稼いだお金で返します。それでも、あなたへの想いは変わりません」
「……信じていいのか」
「信じてください!何度でも言います。好きです。あなたが不器用に私を守ろうとするところも」
次の瞬間、きつく抱きしめられた。
「優美……俺は、お前に嫌われるのが怖い。金しか差し出せない男だと、思われるのが」
河内さんは微かに震えていた。
「お金だけじゃないです。ちゃんと会社でも私を守ってくれたじゃないですか」
私はそっと優しく河内さんにキスをした。
それに応えるかのように河内さんも深く返してくれた。
重ねるたび、彼の震えが少しずつ静まっていくのがわかる。
河内さんの手が私の頬を包み、もう一度キスをした。
今度は深く、長く。
「優美……」
名前を呼ぶ声が震えている。
私も震えていた。
河内さんの腕が強くなった。
「そばにいてくれ」
真っ直ぐで切実な想いが込められた瞳。
「はい……」
答えた瞬間、躊躇は消えた。
彼の温もりが私を包む――
今まで怖かった全てが、愛おしさに変わっていく。
二人の鼓動と熱が重なり合って、私たちは本当の意味で一つになった。
河内さんの腕の中で、初めて本当の安心を感じた。
「……やっと安心できた気がする」
河内さんの声が穏やかだった。
「私もです」
意地を張り合って、なかなか素直になれなかった。
「ずっと逃げていました。傷つくのが怖くて。……でもそれが河内さんを傷つけていたんですね」
二人の手が優しく絡まる。
「もう逃げるな」
「はい……」
暫く静かな時間が流れた。
河内さんが私の髪を撫でながら、ぽつりと言った。
「でも……お前があそこにいる間は心配だ」
「ラウンジのことですか?」
「ああ。やっぱり専属にしたい」
私は少し笑ってしまった。
「結局そこに戻るんですね」
「客として正当に指名してるんだが?」
河内さんは割と本気だ。
「まあ……河内さんがそれで安心できるなら」
もうこの人の不安も理解できる。
「そうだ、茶道続けようと思うんです」
「急にどうした?」
「あの時すごく恥をかいて……基本くらいはできるようになりたくて」
河内さんは嬉しそうに微笑んだ。
「花嫁修業にはいいかもな」
その言葉に、私の顔が一気に熱くなった。
「は、花嫁って……」
恥ずかしくて顔を覆ってしまった。
「そろそろ帰らないと……」
「終電もうないだろ」
その日は泊まることにした。
* * *
──翌朝
私たちは時間をずらして出勤した。
いつも通りに仕事をしていると、突然河内さんに呼ばれた。
私が副社長室に行くと、河内さんがデスクで深刻な表情をしていた。
河内さんのデスクの上には、私と河内さんがラウンジで会話をしている瞬間が映っている写真が置かれていた。
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