【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―

七転び八起き

文字の大きさ
47 / 48

第47話 決意表明

しおりを挟む
私はずっと気がかりだったことがあった。  

「河内さんのお父さんは今どこにいるのでしょうか」  

河内さんはウィスキーのグラスを傾けながら口を開いた。  

「子会社で社長をやってる」  

「子会社にいるんですね」  

「俺が追い出したからな」  

私が行方をくらませた三年で、河内さんは復讐の鬼となり社長に上りつめ、お父さんを排除した。  

「私たちが結婚することはご両親に言ってないんですよね?」  

「ああ、何も言ってない」  

「私、河内さんのお母さんのこと、まだ何も知らなくて……」  

河内さんは目を伏せた。  

「母は学生の時に病気で亡くなっている」  

「そうだったんですね……」  

河内さんの過去をあまり知らない。  
これからいろいろわかると思うけど、私とは全然違う人生だったんだろう。  
お母さんが亡くなった後を考えると胸が苦しくなった。  

「ちなみに、お父さんの働いてる会社はどちらでしょうか?」  

河内さんに睨まれた。  

「まさか……余計なこと考えてないよな?」  

「は、はい!ただ気になっただけです!」  

その後、渋々その会社のホームページを見せてくれた。  
ここから割と遠いけど……  
私はどうしても、また会いたかったんだ。  

私一人の足で。  

* * *  

私は、その日、会社が終わった後その会社に向かった。  
河内さんに秘密で。  
既にアポイントは取ってあった。  

会社に着いて、受付で説明すると、会議室に案内された。  
会議室で待っていると、しばらくしてドアがゆっくり開いた。  
そこにはあの日、あの会社の社長室にいた彼より、少し雰囲気が衰えた男性が入ってきた。  
彼は私を一瞬だけ見た。  

「久しぶりだね。また会えるとは思っていなかったよ」  

河内さんのお父さんは会議室の上座にゆっくり座った。  

「ここに来たってことは息子のことでか?」  

「はい」  

彼はため息をついた。  

「君がいなくなった後の三年間、あいつは人が変わったかのように仕事に打ち込んでいたよ」  

「そうだったんですね……」  

その三年間の河内さんのことを考えると、罪悪感で胸が痛む。  

「そして、とうとう私は立場を失った」  

河内さんのお父さんは少し俯いていた。  

「こんなことになるなら、あの時余計なことをしなければよかったと後悔しているよ」  

あの時、何も言われなかったら私はどうなっていたんだろう。  
そのまま河内さんと幸せになれていたのだろうか……。  

「君はまた息子と関わっているのか」  

「はい、私、彼と結婚しようと思ってます」  

あの日、この人と会った時も怖気づかず自分の気持ちを言った。  
今回は私からの挑戦状。  

「そうか」  

彼は特に何も感じていないようだった。  

「反対されないんですか……?」  

「もう会社はあいつのものだ。立場は私の方が弱い。何も言うことはない」  

上とか下とか……。
私は河内さんの家族としての彼と話したいんだ。  

「肩書は抜きにして、私はお伝えしたかったんです」  

彼はどこか遠くを見ていた。  

「今更反対もないだろう。それに……あいつをここまで追い詰めたのは私だからな」  

河内さんのお父さんは立ち上がった。  

「息子を幸せにしてやってくれ」  

それを告げて、彼は会議室から出て行った。  

その時、私の瞳から涙が一粒溢れた。  
嬉しいのに、切ない。  
複雑な心境だった。  
でも、ちゃんと伝えることができた。  

その後、私が会社のビルを出ると……  
やっぱり河内さんがいた。  

「やっぱり来ていたな……」  

「よくお分かりですね……」  

その後、車に引きずられるように乗せられた。  

「なんで一人で行った」  

河内さんは怒っている。  

「河内さんに言ったら絶対反対するじゃないですか!」  

「当たり前だ!あの後お前いなくなっただろ!?」  

運転が荒くなる。  

「でもこうしないと自分の中でちゃんと終われなかったんです!」  

あの逃避行の結末はこうしたかった。  
認められなくても、私の口で伝えたかった。  

「で……どうだったんだよ」  

「『息子を幸せにしてやってくれ』って言われました」  

河内さんは目を見開いた。  

「そんなこと言ったのか……」  

「はい、私も想定外の言葉に驚きました」  

河内さんはだんだん落ち着いてきた。  

「だから、私は河内さんを幸せにしないといけないんです……」  

新たな決意表明。  

「期待している」  

そう言った河内さんの表情はどこか穏やかだった。  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~

蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。 嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。 だから、仲の良い同期のままでいたい。 そう思っているのに。 今までと違う甘い視線で見つめられて、 “女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。 全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。 「勘違いじゃないから」 告白したい御曹司と 告白されたくない小ボケ女子 ラブバトル開始

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

【完結】僕ら二度目のはじめまして ~オフィスで再会した、心に残ったままの初恋~

葉影
恋愛
高校の頃、誰よりも大切だった人。 「さ、最近はあんまり好きじゃないから…!」――あの言葉が、最後になった。 小島久遠は、新たな職場で、元カレとまさかの再会を果たす。 若くしてプロジェクトチームを任される彼は、 かつて自分だけに愛を囁いてくれていたことが信じられないほど、 遠く、眩しい存在になっていた。 優しかったあの声は、もう久遠の名前を呼んでくれない。 もう一度“はじめまして”からやり直せたら――そんなこと、願ってはいけないのに。 それでも—— 8年越しのすれ違いは、再会から静かに動き出す。 これは、終わった恋を「もう一度はじめる」までの物語。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。 絶対に離婚届に判なんて押さないからな」 既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。 まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。 紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転! 純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。 離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。 それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。 このままでは紘希の弱点になる。 わかっているけれど……。 瑞木純華 みずきすみか 28 イベントデザイン部係長 姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点 おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち 後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない 恋に関しては夢見がち × 矢崎紘希 やざきひろき 28 営業部課長 一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長 サバサバした爽やかくん 実体は押しが強くて粘着質 秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?

フリーランスエンジニアの優しすぎる無償の愛

春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した茉莉は、雨の夜に思わず人生の終わりを願ってしまう。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。

32歳、恋愛未経験の私に彼氏ができました。お相手は次期社長で完璧王子なのに、なぜか可愛い。

さくしゃ
恋愛
32歳、恋愛未経験の私に彼氏ができました。お相手は次期社長で完璧王子なのに、なぜか可愛い。 「甘酒って甘くないんだ!」 ピュアで、 「さ、さお…ふしゅうう」 私の名前を呼ぼうとして呼べなくて。 だけど、 「し、しゅ…ふしゅうう」 それは私も同じで。 不器用な2人による優しい恋愛物語。 果たして私たちは 「さ…ふしゅぅぅ」 下の名前で呼び合えるのでしょうか?

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。 【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】 ☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆ ※ベリーズカフェでも掲載中 ※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

処理中です...