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二章 やっと始まるラウトの旅
14.冒険はすぐそこまで来ている
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「ふわぁ~おはよう」
「おう、おはよう。よく寝たぜ」
俺は目を覚ました暎斗に声をかけた。
結局、俺は昨夜も寝ることはできず、一晩中いろんなことをしていた。
そのため、俺は全く休めていないのだが、ダンジョン生活で鍛えられた疲労への耐性が働いて、そこまで辛くない。
それより、今日はルルの冒険者登録をしたら、何かクエストを受けてみようと思う。
まずは、簡単なやつをこなすつもりだが、途中で魔物を見つけて、みんなの戦い方を見てみたいな、とも考えている。
詳しいことは、冒険者としては先輩である穂花や暎斗の意見も聞きながら決めたい。
俺はそんなことを考えながら身支度をして、暎斗と共に宿の一階にある食堂に向かった。
「おはよう」
「おはようございます!」
食堂に入ると既に女の子組は席についていた。
この食堂では、サンドウィッチやサラダ、スープなどの軽い朝食を無料で食べれる。
メニューは日替わりで、味を選ぶことはできないが、どれも美味しいと穂花が言っていた。
俺はスープとパンを貰って食べたが、スープは野菜と肉の味がよく出ている、すごく美味しいスープだった。
パンは地球と比べると少しかたいが、スープにつけて食べると、これも美味しくなった。
俺たちは朝食を済ませた後、宿代を払ってギルドに向かった。
ルルの冒険者登録には、穂花について行ってもらって、俺と暎斗は掲示板からクエストを探した。
俺はFランクなので、暎斗や穂花ほど選べるものは多くないが、それでも採取クエストや討伐クエストだけでもかなりの数がある。
その中から、面白そうなクエストを2つ見つけて持っていった。
クエストは掲示板に貼られたクエストの依頼書を受付に持って行くことで、受注ができる。
「いいのあったか?」
先に選んで受付に来ていた暎斗からそう聞かれた。
「これだけど、面白そうじゃない?」
俺は持ってきた依頼書を見せながら言う。
それは『コカトリスの巣の調査』と『突撃鳥の無傷捕獲』の依頼書だ。
どちらも難易度ランクはFだ。
難易度ランクは、そのクエストの適正な冒険者ランクを示していて、それより低いランクの冒険者は受けることができない。
「また、誰もやりたがらなそうな奴だなぁ」
暎斗は顔を顰めて言う。
コカトリスは強いわけではないのだが、『石化』のスキルを持ち、警戒心が強く、人が近づくと石化を放って逃げるのだ。
そのため、冒険者が偶然、コカトリスに出会うと石化されて動けなくなり、その間に他の魔物に襲われたりするので、厄介者とされている。
ただ、居ると知っていれば、聖属性の魔法を使い、石化の効果を弾けるため、危険度は極めて低くなる。
突撃鳥も、何もしなければ人に害をなさない鳩くらいの小さな鳥だ。
しかし、大きな音を出したり、攻撃したりして、突撃鳥を驚かせると、急降下をして驚いた原因に向かって突撃する。
これが名前の由来だ。
嘴が固く、岩に突き刺さるほどの脅威となる。
また、群れで行動するため、その脅威は計り知れない。
冒険者の間では、《デスレイン》なんて名前で恐れられている。
ちなみに、この情報は鑑定の魔法で知った。
「こんな面白そうなクエストも、中々ないだろうに」
俺は微妙な反応をする暎斗を見てそう呟いた。
「・・・そう思えるのはお前だけだ」
暎斗は呆れたように言った。
そこに、登録を終えたルルと穂花が合流してきた。
「無事に登録できた?」
「はい!見てください、ギルドカードです!」
俺が聞くと、ルルは嬉しそうにギルドカードを見せつけてきた。
(なんか、明日あたり無くして落ち込む予感がする)
俺はルルの様子を見て、そんな考えがよぎったが、流石にそこまでドジではないだろう、と忘れることにする。
「そうだ。面白そうなクエストを見つけたから見てよ」
俺は持っている依頼書を穂花とルルにも見せる。
それを見て穂花は暎斗と同じような、微妙な表情になった。
一方で、ルルはコカトリスや突撃鳥を知らないらしく、「すごく、面白そうです!」と言って、喜んでいた。
ちなみに、暎斗と穂花は薬草の採取クエストを選んだみたいだった。
採取クエストなのだが、薬草の群生地が魔物のいる危険地帯なので、難易度ランクはCだ。
誤解がないようにいっておくが、難易度ランクがCでも、Cより上のランクの冒険者がこのクエストを受けることはルール違反ではない。
むしろ、冒険者ランクと同じ難易度ランクのクエストは、死ぬ可能性もあり得るという意味でもあるので、冒険者ランクより下の難易度クエストを受けることが、望ましいのだ。
さて、クエストの受注は完了したし、初クエストに出掛けよう!!
と思ったが、忘れていたことがあった。
武器が欲しい。
ダンジョンで使っていた物は、ダンジョンのドロップアイテムで自作した傑作で、この世界で最高クラスの武器になってしまっていると、鑑定で分かってしまったので、人前に出すわけにはいかないのだ。
今はアイテムボックスの中に眠っている。
ということで、俺はギルドに併設されている武器屋に入った。
「いらっしゃい。お、昨日のお客さんじゃねぇか。自由に見てくれて構わないぞ」
出てきた店主に声をかけられた。
店主の言う通り、昨日もここに来ている。
そのため、目星はつけてある。
俺は昨日みた良さげな短剣を購入して、武器屋を出た。
「まいど。また来いよ!」
店主に見送られ、待ってもらっていた3人と一緒にギルドを出た。
よし、ようやく初クエストだ!!
俺は意気揚々と街を出ようとして・・・・
「街頭アンケートにご協力くださーい」
アンケーターに捕まった。
(はぁ、俺の冒険は中々始まらないなぁ)
俺は内心ため息を吐きながら、でもどこかで、すぐそこまで迫っている冒険に心を弾ませながら、インタビューに答えるのだった。
「おう、おはよう。よく寝たぜ」
俺は目を覚ました暎斗に声をかけた。
結局、俺は昨夜も寝ることはできず、一晩中いろんなことをしていた。
そのため、俺は全く休めていないのだが、ダンジョン生活で鍛えられた疲労への耐性が働いて、そこまで辛くない。
それより、今日はルルの冒険者登録をしたら、何かクエストを受けてみようと思う。
まずは、簡単なやつをこなすつもりだが、途中で魔物を見つけて、みんなの戦い方を見てみたいな、とも考えている。
詳しいことは、冒険者としては先輩である穂花や暎斗の意見も聞きながら決めたい。
俺はそんなことを考えながら身支度をして、暎斗と共に宿の一階にある食堂に向かった。
「おはよう」
「おはようございます!」
食堂に入ると既に女の子組は席についていた。
この食堂では、サンドウィッチやサラダ、スープなどの軽い朝食を無料で食べれる。
メニューは日替わりで、味を選ぶことはできないが、どれも美味しいと穂花が言っていた。
俺はスープとパンを貰って食べたが、スープは野菜と肉の味がよく出ている、すごく美味しいスープだった。
パンは地球と比べると少しかたいが、スープにつけて食べると、これも美味しくなった。
俺たちは朝食を済ませた後、宿代を払ってギルドに向かった。
ルルの冒険者登録には、穂花について行ってもらって、俺と暎斗は掲示板からクエストを探した。
俺はFランクなので、暎斗や穂花ほど選べるものは多くないが、それでも採取クエストや討伐クエストだけでもかなりの数がある。
その中から、面白そうなクエストを2つ見つけて持っていった。
クエストは掲示板に貼られたクエストの依頼書を受付に持って行くことで、受注ができる。
「いいのあったか?」
先に選んで受付に来ていた暎斗からそう聞かれた。
「これだけど、面白そうじゃない?」
俺は持ってきた依頼書を見せながら言う。
それは『コカトリスの巣の調査』と『突撃鳥の無傷捕獲』の依頼書だ。
どちらも難易度ランクはFだ。
難易度ランクは、そのクエストの適正な冒険者ランクを示していて、それより低いランクの冒険者は受けることができない。
「また、誰もやりたがらなそうな奴だなぁ」
暎斗は顔を顰めて言う。
コカトリスは強いわけではないのだが、『石化』のスキルを持ち、警戒心が強く、人が近づくと石化を放って逃げるのだ。
そのため、冒険者が偶然、コカトリスに出会うと石化されて動けなくなり、その間に他の魔物に襲われたりするので、厄介者とされている。
ただ、居ると知っていれば、聖属性の魔法を使い、石化の効果を弾けるため、危険度は極めて低くなる。
突撃鳥も、何もしなければ人に害をなさない鳩くらいの小さな鳥だ。
しかし、大きな音を出したり、攻撃したりして、突撃鳥を驚かせると、急降下をして驚いた原因に向かって突撃する。
これが名前の由来だ。
嘴が固く、岩に突き刺さるほどの脅威となる。
また、群れで行動するため、その脅威は計り知れない。
冒険者の間では、《デスレイン》なんて名前で恐れられている。
ちなみに、この情報は鑑定の魔法で知った。
「こんな面白そうなクエストも、中々ないだろうに」
俺は微妙な反応をする暎斗を見てそう呟いた。
「・・・そう思えるのはお前だけだ」
暎斗は呆れたように言った。
そこに、登録を終えたルルと穂花が合流してきた。
「無事に登録できた?」
「はい!見てください、ギルドカードです!」
俺が聞くと、ルルは嬉しそうにギルドカードを見せつけてきた。
(なんか、明日あたり無くして落ち込む予感がする)
俺はルルの様子を見て、そんな考えがよぎったが、流石にそこまでドジではないだろう、と忘れることにする。
「そうだ。面白そうなクエストを見つけたから見てよ」
俺は持っている依頼書を穂花とルルにも見せる。
それを見て穂花は暎斗と同じような、微妙な表情になった。
一方で、ルルはコカトリスや突撃鳥を知らないらしく、「すごく、面白そうです!」と言って、喜んでいた。
ちなみに、暎斗と穂花は薬草の採取クエストを選んだみたいだった。
採取クエストなのだが、薬草の群生地が魔物のいる危険地帯なので、難易度ランクはCだ。
誤解がないようにいっておくが、難易度ランクがCでも、Cより上のランクの冒険者がこのクエストを受けることはルール違反ではない。
むしろ、冒険者ランクと同じ難易度ランクのクエストは、死ぬ可能性もあり得るという意味でもあるので、冒険者ランクより下の難易度クエストを受けることが、望ましいのだ。
さて、クエストの受注は完了したし、初クエストに出掛けよう!!
と思ったが、忘れていたことがあった。
武器が欲しい。
ダンジョンで使っていた物は、ダンジョンのドロップアイテムで自作した傑作で、この世界で最高クラスの武器になってしまっていると、鑑定で分かってしまったので、人前に出すわけにはいかないのだ。
今はアイテムボックスの中に眠っている。
ということで、俺はギルドに併設されている武器屋に入った。
「いらっしゃい。お、昨日のお客さんじゃねぇか。自由に見てくれて構わないぞ」
出てきた店主に声をかけられた。
店主の言う通り、昨日もここに来ている。
そのため、目星はつけてある。
俺は昨日みた良さげな短剣を購入して、武器屋を出た。
「まいど。また来いよ!」
店主に見送られ、待ってもらっていた3人と一緒にギルドを出た。
よし、ようやく初クエストだ!!
俺は意気揚々と街を出ようとして・・・・
「街頭アンケートにご協力くださーい」
アンケーターに捕まった。
(はぁ、俺の冒険は中々始まらないなぁ)
俺は内心ため息を吐きながら、でもどこかで、すぐそこまで迫っている冒険に心を弾ませながら、インタビューに答えるのだった。
応援ありがとうございます!
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