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二章 やっと始まるラウトの旅
20.待ってるくらいなら、こっちから行ってやるわ
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====side???====
暗く広い洞窟のような空間に1人の女が寝ている。
そこに、どこかから足音が近づいて来る。
その音に女は目を開け、起き上がる。
そして、何もない暗闇を睨みつけた。
「いるのは分かってるわ。出てきなさい」
女は強く凛とした声で言う。
すると、その暗闇から人影が現れる。
そいつは漆黒の外套にピエロのような仮面をつけた怪しい人だった。
「気分はどうかな?美玲ちゃん」
口を開いたその声は中性的で、男か女かの判断はつかない。
『美玲』と呼ばれた女は、問いに答えない。
その代わりにピエロの仮面を貫くような眼差しで見つめた。
「元気そうだねー。それではここで、重大なお知らせがありまーす。美玲ちゃんは、生け贄第一号に選ばれましたー。おめでとうございまーす!!」
ピエロは女が言葉を返さないため、喋り続ける。
「美玲ちゃんは、この世界の終焉を救うために生け贄になってもらいまーす。美玲ちゃんの生きられる時間は、あと1年弱ってところかなー。どう?どう?嬉しい?」
ピエロの問いかけへと返答はない。
女はずっとピエロを睨みつけている。
「そう警戒しないで欲しいなー。まあいいや。でねでね、美玲ちゃんはあと少ししか生きられないから、特別に願いを叶えてあげまーす。どんな願いでもいいよー。あっでも、生け贄にしないでってのはダメだからねー」
そこで、女は初めてピエロの言葉に反応を示した。
「外に出たいわ。ここは異世界なのでしょう?死ぬまでここで待機なんて御免だもの」
「なるほど、なるほど、いいでしょう。でも1つ条件がありまーす」
「条件ですって?」
女は訝しげな顔になる。
「そう、それは地球で関わりのあった人物に接触しない事でーす」
「どう言う事かしら、もしかしてここに来ているのは私だけじゃないの?」
「ご名答ー。ここには美玲ちゃんのお知り合いがたくさん来てますよー。まあ、私が連れてきたんですが。その中には弟さんもいまーす」
「春輝が!?」
女は身を乗り出してピエロに問い詰める。
「こっちでは、ラウトって名乗ってるし、容姿も変わってるけど、弟さんも美玲ちゃんを追ってきてるよー」
「そんな・・・」
女は言葉が出ないと言う様子で、へたり込む。
「どうするー?それでも外に出ますかー?」
「・・・出たいわ・・・外に出たいわ!!」
女は意を決したとばかりに、大声で言った。
「そっか、分かったー。じゃあ外に出してあげるー。異世界の説明書も持ってってー。分からない事はだいたい全部そこに載ってるからー」
「ゲームでも始める気分だわ・・・」
メモ帳ほどの分厚と大きさの本を渡された女は呟く。
「開くと欲しい情報が分かるようになってるからー。自由に使ってー。それから、条件を破ったらその時点で、ここに強制的に戻されるから、気をつけてー。でも、死ぬ前に一度だけお別れを言うために会わせてあげるから、それまで我慢してねー。じゃあ、異世界ライフを満喫してねー」
「死ぬ前に絶対に会わせなさいよ」
ピエロが女の要求に「分かった」と頷くと同時に女は光に包まれ、そこから跡形もなく消えてしまった。
辺りの景色が辛うじて見える暗い森の中、女ーー美玲は立っていた。
「どこに飛ばされたのかしら・・・?」
その疑問に答えてくれる者はいない。
しかし、代わりにポケットがぼんやりと光っていた。
「これを使えってことなの?」
美玲はポケットから先ほどピエロから貰った、異世界の説明書などというハンドブックみたいな、一冊の薄い本を取り出して開きながら呟く。
《現在地 リートア帝国南部の森。
最寄りの居住区 北西に1キロ。》
説明書を開くと日本語の文章が現れた。
「本当に欲しい情報が分かるのね。これは助かるわ。じゃあ、北西に向かいましょう」
美玲はそう言うと南東に向けて歩き出した。
ーーブーッ!ブーッ!
すると、すかさず説明書が赤く光りながら警告音を鳴らした。
そして、説明書は自動でページを開き、文章を出した。
《北西は逆だ、方向音痴》
「わ、分かってるわよ。説明書が方角を分かっているか試しただけだから!!」
と誰もいないにも関わらず、美玲は言い訳をした。
《嘘つけ》
説明書は音のない文章で冷ややかにツッコミを入れた。
ここから始まる本と美玲の旅。
その行く先々で起こる出来事は、ラウト達の旅にどんな影響を及ぼすのか・・・
その答えは神のみぞ知る。
暗く広い洞窟のような空間に1人の女が寝ている。
そこに、どこかから足音が近づいて来る。
その音に女は目を開け、起き上がる。
そして、何もない暗闇を睨みつけた。
「いるのは分かってるわ。出てきなさい」
女は強く凛とした声で言う。
すると、その暗闇から人影が現れる。
そいつは漆黒の外套にピエロのような仮面をつけた怪しい人だった。
「気分はどうかな?美玲ちゃん」
口を開いたその声は中性的で、男か女かの判断はつかない。
『美玲』と呼ばれた女は、問いに答えない。
その代わりにピエロの仮面を貫くような眼差しで見つめた。
「元気そうだねー。それではここで、重大なお知らせがありまーす。美玲ちゃんは、生け贄第一号に選ばれましたー。おめでとうございまーす!!」
ピエロは女が言葉を返さないため、喋り続ける。
「美玲ちゃんは、この世界の終焉を救うために生け贄になってもらいまーす。美玲ちゃんの生きられる時間は、あと1年弱ってところかなー。どう?どう?嬉しい?」
ピエロの問いかけへと返答はない。
女はずっとピエロを睨みつけている。
「そう警戒しないで欲しいなー。まあいいや。でねでね、美玲ちゃんはあと少ししか生きられないから、特別に願いを叶えてあげまーす。どんな願いでもいいよー。あっでも、生け贄にしないでってのはダメだからねー」
そこで、女は初めてピエロの言葉に反応を示した。
「外に出たいわ。ここは異世界なのでしょう?死ぬまでここで待機なんて御免だもの」
「なるほど、なるほど、いいでしょう。でも1つ条件がありまーす」
「条件ですって?」
女は訝しげな顔になる。
「そう、それは地球で関わりのあった人物に接触しない事でーす」
「どう言う事かしら、もしかしてここに来ているのは私だけじゃないの?」
「ご名答ー。ここには美玲ちゃんのお知り合いがたくさん来てますよー。まあ、私が連れてきたんですが。その中には弟さんもいまーす」
「春輝が!?」
女は身を乗り出してピエロに問い詰める。
「こっちでは、ラウトって名乗ってるし、容姿も変わってるけど、弟さんも美玲ちゃんを追ってきてるよー」
「そんな・・・」
女は言葉が出ないと言う様子で、へたり込む。
「どうするー?それでも外に出ますかー?」
「・・・出たいわ・・・外に出たいわ!!」
女は意を決したとばかりに、大声で言った。
「そっか、分かったー。じゃあ外に出してあげるー。異世界の説明書も持ってってー。分からない事はだいたい全部そこに載ってるからー」
「ゲームでも始める気分だわ・・・」
メモ帳ほどの分厚と大きさの本を渡された女は呟く。
「開くと欲しい情報が分かるようになってるからー。自由に使ってー。それから、条件を破ったらその時点で、ここに強制的に戻されるから、気をつけてー。でも、死ぬ前に一度だけお別れを言うために会わせてあげるから、それまで我慢してねー。じゃあ、異世界ライフを満喫してねー」
「死ぬ前に絶対に会わせなさいよ」
ピエロが女の要求に「分かった」と頷くと同時に女は光に包まれ、そこから跡形もなく消えてしまった。
辺りの景色が辛うじて見える暗い森の中、女ーー美玲は立っていた。
「どこに飛ばされたのかしら・・・?」
その疑問に答えてくれる者はいない。
しかし、代わりにポケットがぼんやりと光っていた。
「これを使えってことなの?」
美玲はポケットから先ほどピエロから貰った、異世界の説明書などというハンドブックみたいな、一冊の薄い本を取り出して開きながら呟く。
《現在地 リートア帝国南部の森。
最寄りの居住区 北西に1キロ。》
説明書を開くと日本語の文章が現れた。
「本当に欲しい情報が分かるのね。これは助かるわ。じゃあ、北西に向かいましょう」
美玲はそう言うと南東に向けて歩き出した。
ーーブーッ!ブーッ!
すると、すかさず説明書が赤く光りながら警告音を鳴らした。
そして、説明書は自動でページを開き、文章を出した。
《北西は逆だ、方向音痴》
「わ、分かってるわよ。説明書が方角を分かっているか試しただけだから!!」
と誰もいないにも関わらず、美玲は言い訳をした。
《嘘つけ》
説明書は音のない文章で冷ややかにツッコミを入れた。
ここから始まる本と美玲の旅。
その行く先々で起こる出来事は、ラウト達の旅にどんな影響を及ぼすのか・・・
その答えは神のみぞ知る。
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