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36三湖の森の戦い
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トマトマ伯爵は、門番衛兵に届けられたヘレニズ公爵の手紙を読み終えると、
「連絡は、受け取った。あの忌々しい指導者を含めて二十人だけで、出っ張って来やがったようだが、なんと!これは、ガイア様の祝福だろう。相分かった!公爵様にすぐに向かうと伝えてくれ!」
とトマトマは、畏まっているミクタに声を掛けた。
宮殿中の窓を震わせる爆裂音が響いた。
親衛隊長のドトールは窓に向かって駆け出していくと、三湖の森方面から、土埃と煙が上がっていた。
親衛隊長のドトールは、直ぐにヘレニズ公爵への面会を求めた。
「魔物が出たと言われている三湖の森で、何が起きているのだ。」
「わかりませんが、すでに偵察隊を向かわせました。出陣の用意はすでに終えています。」
「出陣とは、また気が早いな。」
そして、ヘレニズ公爵は窓際に向かって、三湖の森の方を眺めながら、
「かなりの土埃のようだが、静かになったな。何者か同士が戦っていたようだが、相手が魔物では、無駄なことだろう。」
と、三湖の森街に与える魔物の恐怖が、これから起きるのだろうかと考え込んだ。
親衛隊の一人がドトールに駆け寄り、何事か報告すると共に手紙を渡した。
ヘレニズ公爵に親衛隊長のドトールは、トマトマ伯爵からの手紙を差し出した。
「手紙を持ってきた者は?」
「手紙を持ってきた者は、トマトマ伯爵のまだ幼き女親衛隊であったようで、手紙を門番衛兵に届けたならば、直ぐに帰れとの命を受けて多様で、すぐに帰った様子です。」
「趣味の悪い、幼き女親衛隊か?ヤキモチも病気だな。」
と、言いながらヘレニズ公爵は手紙を広げた。
「トマトマ伯爵は、千五百人の兵を集めたようで、すでにこちらに向かってきているようだ。トマトマ伯爵の間者からの報告では、三湖の森に現れた魔物を退治に、指導者を含めて二十人だけで、出っ張ってきたようだ。事実なら、千載一遇の機会だが?本当に亜人国のやつらは、魔物に挑んでいるのか?」
更に、別の親衛隊員が駆け込んできた。
「三湖の森の偵察をしてきました。何者かが、三湖の森の中で、魔物と戦っているようです。」
「公爵様!直ぐに出陣の命令を。」
「戦っている者たちは誰だ。」
「わかりませんが、何人かの猫亜人を見かけました。」
「軍隊の数は?」
「軍隊は見かけませんでしたが、森で戦っている人数は少数でした。数はわかりません。」
「ドトール。もう一度、確認のための偵察が必要なのではないか?」
「トマトマ伯爵様はすでに動いていますなら、再度の偵察隊が返ってきてからでは、後れを取ります!先ずは、出陣して某が偵察します。」
と、ドトールは叫んだ。
親衛隊長のドトールは、トマトマ伯爵との密約で、亜人国を支配したのちは、闇の樹海砦に駐屯するのは、自分を指名すると確約をもらっていて、二人の取り分をすでに決めていたようである。
「確かに、亜人国の兵がいないのなら、千載一遇の機会だ。」
「ではすぐに、出陣を準備します。」
と言って、ドトールは、駆け出すように退室した。
ヘレニズ公爵は、
「まだ、出陣命令は出してないのに、せわしない奴だ。仕方ないか。」
と言って、侍従長を呼んで甲冑を用意させた。
シリーとジャネックは三湖街の門から逃れる脱兎の如きのように、憤慨しながら伝令から帰って来た。
「ご苦労様でした。」
「非礼な門番達であった。我らをトマトマの女親衛隊だと思い、卑猥な言葉をかけてきた。」
シリーとジャネックはかなりの怒り方である。
ジャネックは鹿島の耳元で、
「シリー様に、特別なやさしい言葉をお願いします。」
と、小声でささやいた。
「シリー、私の頼みでいやな思いをさせたが、今回の任務はシリーでなければ、うまくいかなかったのです。これから起こることはシリーの手柄です。」
「いやな思いをしたことは、閣下に貸しということで、よろしいですか?」
と、シリーは恥じらいながら小声でささやいた。
鹿島は、シリーに言った事は本心でそう思っての表現であり、
パンパ街の情報提供者から伝えられた、トマトマの女親衛隊の事から思いついた人選であったので、貸しを素直に認めた。
二つに分離された魔物が、クレーン車と重機動車輌に引かれて森から出てきた。
これからトラックに積み直すようである。
三湖街の城門が開き、百人ほどの傭兵に続いて、
徴用されたと思える粗末な木製鎧を着こんだ二百人ほどの棍棒兵団と、
銀灰色の甲冑を纏った三百人位の騎士団風がその後ろから現れた。
三湖の森近くで、六百予のヘレニズ兵は広めに展開した。
亜人協力国兵の戦闘員が少ないのを確認しての、鶴翼の陣のつもりだろう。
ヘレニズ軍の鶴翼陣中央を割るように、エミュー部隊が前面に現れた。
その中央辺りに黄金甲冑を纏うった小太りの男が現れると、部下に指示をしている。
指示されたと思しき男がエミューに乗り、周りを警戒しながら、偵察隊の報告以外の兵がいないことを確認すると、
魔物を解体と積み込み作業中の、猫亜人達に近寄り声掛けした。
「この魔物は、当方の領地に生息していた魔物だ。さっさと魔物を置いて立ち去れ。」
猫亜人は驚いたようにトラックやら、魔物の影に隠れた。
エミューに乗った男は、勝ち誇ったように、魔物の周りを徘徊して、
「責任者はどいつだ!」
と叫んだ。
「俺が亜人協力国の守り人カジマで、指導者である。」
と言って、エミューに乗った男に鹿島は小枝を片手に近づいた。
「ヘレニズ.サンビチョ公爵様に魔物を献上するならば、配下に加えてくださるとの下知である。」
「お前はヘレニズ.サンビチョ公爵ではなくて、ただの使い走りか?」
「ただの使い走りか?だと、俺は親衛隊長のドトールだ!口の利き方に気をつけろ!」
かなりプライドの高い男のようである。
「ヘレニズ.サンビチョ公爵とは、お前みたいな馬鹿をよこすとはかなりの臆病者のようだな。奪いたければ、自分で出向け!と伝えろ」
と言って、鹿島は小枝で、ドトールの乗ったエミューの顔をはたいた。
ドトールはエミューの暴走に耐えるように、必死になってエミューを制御しながら、
ヘレニズ軍エミュー部隊に突っ込んでいったが、
ドトールはエミューを制御するのは難しいらしくて、他のエミュー部隊を混乱させていた。
隊列整わぬまま、ヘレニズ.サンビチョ公爵とドトールは突進して来たが、
ほかのエミュー等は混乱したままなので、ばらばらで突撃しだした。
「合点承知」
とパトラの声掛けでそれを合図に、森の影から爆裂砲が門を破壊すると、
爆裂音と共に、森の中に隠れていた三十頭の騎馬隊が側面から現れた。
続いて鶴翼の陣で備えていた兵の前に爆裂閃光弾丸を三発お見舞いすると、
騎馬隊を避けるように、ヘレニズ.サンビチョ公爵とドトールを除いて、
すべての兵が城壁沿いに逃げ出していた。
射撃隊からは二発の銃声がしただけで、ヘレニズ.サンビチョ公爵とドトールの乗ったエミューはもんどりをうち、ヘレニズ.サンビチョ公爵とドトールは投げ出された。
ドトールは、抜いた自分の剣でのどを貫いてしまったようで即死であった。
ヘレニズは脳震とうのようで、大の字に倒れている。
「何だ!戦闘はないのか?」
とパトラの呆れた顔と言葉である。
マーガレットも薙刀を振り回し、鹿島の後ろで気勢を上げている。
この二人は戦闘狂かと疑りたい心境であると同時に、悋気も隠し持っているのなら、鹿島は怖い二人だと思ったと同時に、重たい女たちだろうとも思った。
ヘレニズは気が付いたらしく、鹿島の前に連れてこられた。
「ヘレニズ、何故に魔物を横取りしたいと思ったのだ。」
「ここは俺の領地で、すべてが俺のものだ!」
「そんなのは屁理屈だ。城壁の外は全て他国と共有している事だろう。パンパ全て亜人協力国の領地だと、宣言したのは亜人協力国だ。」
「それこそ屁理屈だ。三湖の森はみんなが認めた俺の領地だ。」
「他人の獲物もお前のものなのか?」
「献上すれば、配下にすると伝えたはずだ。」
「では、お前の領地を亜人協力国に献上すれば、配下にしてやろう。」
「ふざけるな!俺はサンビチョ王国の公爵だぞ!」
「今はただの捕虜だ。領地を亜人協力国に献上すれば、身代金無しで解放しよう。」
ヘレニズは不利になると沈黙を決め込むようで、鹿島の目をそらして天を仰いでいる。
ハービーハンから無線が入った。
「トマトマは無傷で捕縛しましたが、女騎士団二十名はわれらに向かい挑んできたので、
全員肩を射抜き捕獲しました。
ただ、エミューから落ちた時に、打ちどころが悪い者もいるようです。救護班を依頼します。」
鹿島はトラックで救護班を向かわせて、ハービーハンからの状況説明を聞くと、
爆裂閃光弾一発でトマトマはいの一番に逃げ出してしまい、
トマトマ軍二百は彼の後を追わずに、蜘蛛の子を散らすように逃げ去ったとのことであったが、トマトマ軍の進軍からかなり遅れていた女騎士団は、
逃げてくるトマトマを庇う様に、エルフ族騎馬隊に向かってきたとのことである。
女騎士団の属している華族と正体は、不明のようである。
三湖の森の戦いは、駒卓上戦闘訓練よりも、あっけなく終わってしまった。
鹿島は、魔物との戦いや三湖の森の戦いで死傷者の少なさが、余りにも上手く行くことが出来た事で、何かの力が働いたのではと感じた。
しばらく後にコーA.Iの通信が入り、女騎士団の身元は、サンビチョ国王女イアラと解ったとのことである。
厄介ごとか、新たなる希望の芽なのかは、四人の運営委員会次第だろうと、鹿島は他人事のように聞いていた。
ハービーハンは、束縛されたトマトマの身柄を連れて現れた。
「久しぶりだな~トマトマ、何で俺たちに再び挑んできたのだ。」
「俺の穀物を勝手にばらまいただろう。」
「あれはお前が住民の為に必要だと言っただろう。だから俺が配給してやったのだ。恨まれる筋合いはない。」
「配給は、俺が行わねば意味が無い。」
「すまなかった。俺の早とちりだったのか。しかし、今回の争いはお前の方から仕掛けてきた。お前は捕虜だ。お前の領地を取り上げねば収まらない。」
「勝手にしてくれ。だけども、サンビチョ王国が黙っている訳がないぞ!」
「そこでだ、相談だがお前の領地を白金貨五十貨で買ってやろう。」
「たとえ売るとしても、白金貨五百貨だろう。」
「今のお前の領地は、白金貨五十貨の価値しかないだろう。」
「白金貨五百貨の価値はある。」
「お前を捕虜として、亜人協力国に招待しよう。ゆっくり考えて返答してくれ。」
白金貨五十貨は、星座連合の五億クレジットであるが、鉱山一つの価値もないけれども、
トマトマには充分すぎるだろう。
ハービーハンは既に捕縛していたヘレニズを、馬の後ろに引いて現れた。
更に、トマトマの綱を鹿島から受け取り、二人揃えてそのまま馬で引いていった。
マーガレットとパトラは、女騎士団を医療病室に案内するようなので、
鹿島はトーマスの運転で、シリーとジャネックやミクタを軽機動車に同乗させた。
「ミクタ殿。ヘレニズとトマトマの領地を治めてくれ。
基本は農奴と奴隷の開放で、地主の解体と教育の充実を整えてほしい。
それと余剰人員の樹海跡地への移住の面倒を見て欲しい。
あとは治安の安定もお願いします。」
「難しいが、必ずや成し遂げて見せます。」
「農奴と奴隷の開放、地主の解体、とは、どういう意味ですか?」
と、シリーが聞いてきた。
「地主の土地は、小作人と農奴達が耕作していて、作物は全て地主のもので、小作人や農奴、奴隷は食べるだけの人生です。小作人と農奴達の耕作地は小作人と農奴達の耕した土地です。売られた奴隷は、事情を確認して解放する。
罪人奴隷は罪の分だけの期間にします。」
とミクタは説明しだした。
「貴族の荘園も、農奴のものですか?」
「当然です。」
「貴族と地主の威厳と生活は、維持できません。」
「それは彼らの問題で、われらは関知しません。亜人協力国には貴族も地主も必要ないことです。」
シリーは釈然としないようで、ジャネックに同意をもとめるが、
ジャネックは首をかしげるだけで、同意を表さない様子である。
ミクタの説明は、亜人協力国の国是基本をテテサが理解し賛同して、
説法教育に取り入れてくれた成果によるものである。
「軍隊の事は、トーマスとよく相談し合ってください。」
ミクタはうまくやる男だろうと、鹿島はトーマスの顔を覗くと、トーマスも微笑んで頷いた。
ヘレニズとトマトマの捕縛は計画通り終わったが、後はどの様に領地を同意併合するかである。
「連絡は、受け取った。あの忌々しい指導者を含めて二十人だけで、出っ張って来やがったようだが、なんと!これは、ガイア様の祝福だろう。相分かった!公爵様にすぐに向かうと伝えてくれ!」
とトマトマは、畏まっているミクタに声を掛けた。
宮殿中の窓を震わせる爆裂音が響いた。
親衛隊長のドトールは窓に向かって駆け出していくと、三湖の森方面から、土埃と煙が上がっていた。
親衛隊長のドトールは、直ぐにヘレニズ公爵への面会を求めた。
「魔物が出たと言われている三湖の森で、何が起きているのだ。」
「わかりませんが、すでに偵察隊を向かわせました。出陣の用意はすでに終えています。」
「出陣とは、また気が早いな。」
そして、ヘレニズ公爵は窓際に向かって、三湖の森の方を眺めながら、
「かなりの土埃のようだが、静かになったな。何者か同士が戦っていたようだが、相手が魔物では、無駄なことだろう。」
と、三湖の森街に与える魔物の恐怖が、これから起きるのだろうかと考え込んだ。
親衛隊の一人がドトールに駆け寄り、何事か報告すると共に手紙を渡した。
ヘレニズ公爵に親衛隊長のドトールは、トマトマ伯爵からの手紙を差し出した。
「手紙を持ってきた者は?」
「手紙を持ってきた者は、トマトマ伯爵のまだ幼き女親衛隊であったようで、手紙を門番衛兵に届けたならば、直ぐに帰れとの命を受けて多様で、すぐに帰った様子です。」
「趣味の悪い、幼き女親衛隊か?ヤキモチも病気だな。」
と、言いながらヘレニズ公爵は手紙を広げた。
「トマトマ伯爵は、千五百人の兵を集めたようで、すでにこちらに向かってきているようだ。トマトマ伯爵の間者からの報告では、三湖の森に現れた魔物を退治に、指導者を含めて二十人だけで、出っ張ってきたようだ。事実なら、千載一遇の機会だが?本当に亜人国のやつらは、魔物に挑んでいるのか?」
更に、別の親衛隊員が駆け込んできた。
「三湖の森の偵察をしてきました。何者かが、三湖の森の中で、魔物と戦っているようです。」
「公爵様!直ぐに出陣の命令を。」
「戦っている者たちは誰だ。」
「わかりませんが、何人かの猫亜人を見かけました。」
「軍隊の数は?」
「軍隊は見かけませんでしたが、森で戦っている人数は少数でした。数はわかりません。」
「ドトール。もう一度、確認のための偵察が必要なのではないか?」
「トマトマ伯爵様はすでに動いていますなら、再度の偵察隊が返ってきてからでは、後れを取ります!先ずは、出陣して某が偵察します。」
と、ドトールは叫んだ。
親衛隊長のドトールは、トマトマ伯爵との密約で、亜人国を支配したのちは、闇の樹海砦に駐屯するのは、自分を指名すると確約をもらっていて、二人の取り分をすでに決めていたようである。
「確かに、亜人国の兵がいないのなら、千載一遇の機会だ。」
「ではすぐに、出陣を準備します。」
と言って、ドトールは、駆け出すように退室した。
ヘレニズ公爵は、
「まだ、出陣命令は出してないのに、せわしない奴だ。仕方ないか。」
と言って、侍従長を呼んで甲冑を用意させた。
シリーとジャネックは三湖街の門から逃れる脱兎の如きのように、憤慨しながら伝令から帰って来た。
「ご苦労様でした。」
「非礼な門番達であった。我らをトマトマの女親衛隊だと思い、卑猥な言葉をかけてきた。」
シリーとジャネックはかなりの怒り方である。
ジャネックは鹿島の耳元で、
「シリー様に、特別なやさしい言葉をお願いします。」
と、小声でささやいた。
「シリー、私の頼みでいやな思いをさせたが、今回の任務はシリーでなければ、うまくいかなかったのです。これから起こることはシリーの手柄です。」
「いやな思いをしたことは、閣下に貸しということで、よろしいですか?」
と、シリーは恥じらいながら小声でささやいた。
鹿島は、シリーに言った事は本心でそう思っての表現であり、
パンパ街の情報提供者から伝えられた、トマトマの女親衛隊の事から思いついた人選であったので、貸しを素直に認めた。
二つに分離された魔物が、クレーン車と重機動車輌に引かれて森から出てきた。
これからトラックに積み直すようである。
三湖街の城門が開き、百人ほどの傭兵に続いて、
徴用されたと思える粗末な木製鎧を着こんだ二百人ほどの棍棒兵団と、
銀灰色の甲冑を纏った三百人位の騎士団風がその後ろから現れた。
三湖の森近くで、六百予のヘレニズ兵は広めに展開した。
亜人協力国兵の戦闘員が少ないのを確認しての、鶴翼の陣のつもりだろう。
ヘレニズ軍の鶴翼陣中央を割るように、エミュー部隊が前面に現れた。
その中央辺りに黄金甲冑を纏うった小太りの男が現れると、部下に指示をしている。
指示されたと思しき男がエミューに乗り、周りを警戒しながら、偵察隊の報告以外の兵がいないことを確認すると、
魔物を解体と積み込み作業中の、猫亜人達に近寄り声掛けした。
「この魔物は、当方の領地に生息していた魔物だ。さっさと魔物を置いて立ち去れ。」
猫亜人は驚いたようにトラックやら、魔物の影に隠れた。
エミューに乗った男は、勝ち誇ったように、魔物の周りを徘徊して、
「責任者はどいつだ!」
と叫んだ。
「俺が亜人協力国の守り人カジマで、指導者である。」
と言って、エミューに乗った男に鹿島は小枝を片手に近づいた。
「ヘレニズ.サンビチョ公爵様に魔物を献上するならば、配下に加えてくださるとの下知である。」
「お前はヘレニズ.サンビチョ公爵ではなくて、ただの使い走りか?」
「ただの使い走りか?だと、俺は親衛隊長のドトールだ!口の利き方に気をつけろ!」
かなりプライドの高い男のようである。
「ヘレニズ.サンビチョ公爵とは、お前みたいな馬鹿をよこすとはかなりの臆病者のようだな。奪いたければ、自分で出向け!と伝えろ」
と言って、鹿島は小枝で、ドトールの乗ったエミューの顔をはたいた。
ドトールはエミューの暴走に耐えるように、必死になってエミューを制御しながら、
ヘレニズ軍エミュー部隊に突っ込んでいったが、
ドトールはエミューを制御するのは難しいらしくて、他のエミュー部隊を混乱させていた。
隊列整わぬまま、ヘレニズ.サンビチョ公爵とドトールは突進して来たが、
ほかのエミュー等は混乱したままなので、ばらばらで突撃しだした。
「合点承知」
とパトラの声掛けでそれを合図に、森の影から爆裂砲が門を破壊すると、
爆裂音と共に、森の中に隠れていた三十頭の騎馬隊が側面から現れた。
続いて鶴翼の陣で備えていた兵の前に爆裂閃光弾丸を三発お見舞いすると、
騎馬隊を避けるように、ヘレニズ.サンビチョ公爵とドトールを除いて、
すべての兵が城壁沿いに逃げ出していた。
射撃隊からは二発の銃声がしただけで、ヘレニズ.サンビチョ公爵とドトールの乗ったエミューはもんどりをうち、ヘレニズ.サンビチョ公爵とドトールは投げ出された。
ドトールは、抜いた自分の剣でのどを貫いてしまったようで即死であった。
ヘレニズは脳震とうのようで、大の字に倒れている。
「何だ!戦闘はないのか?」
とパトラの呆れた顔と言葉である。
マーガレットも薙刀を振り回し、鹿島の後ろで気勢を上げている。
この二人は戦闘狂かと疑りたい心境であると同時に、悋気も隠し持っているのなら、鹿島は怖い二人だと思ったと同時に、重たい女たちだろうとも思った。
ヘレニズは気が付いたらしく、鹿島の前に連れてこられた。
「ヘレニズ、何故に魔物を横取りしたいと思ったのだ。」
「ここは俺の領地で、すべてが俺のものだ!」
「そんなのは屁理屈だ。城壁の外は全て他国と共有している事だろう。パンパ全て亜人協力国の領地だと、宣言したのは亜人協力国だ。」
「それこそ屁理屈だ。三湖の森はみんなが認めた俺の領地だ。」
「他人の獲物もお前のものなのか?」
「献上すれば、配下にすると伝えたはずだ。」
「では、お前の領地を亜人協力国に献上すれば、配下にしてやろう。」
「ふざけるな!俺はサンビチョ王国の公爵だぞ!」
「今はただの捕虜だ。領地を亜人協力国に献上すれば、身代金無しで解放しよう。」
ヘレニズは不利になると沈黙を決め込むようで、鹿島の目をそらして天を仰いでいる。
ハービーハンから無線が入った。
「トマトマは無傷で捕縛しましたが、女騎士団二十名はわれらに向かい挑んできたので、
全員肩を射抜き捕獲しました。
ただ、エミューから落ちた時に、打ちどころが悪い者もいるようです。救護班を依頼します。」
鹿島はトラックで救護班を向かわせて、ハービーハンからの状況説明を聞くと、
爆裂閃光弾一発でトマトマはいの一番に逃げ出してしまい、
トマトマ軍二百は彼の後を追わずに、蜘蛛の子を散らすように逃げ去ったとのことであったが、トマトマ軍の進軍からかなり遅れていた女騎士団は、
逃げてくるトマトマを庇う様に、エルフ族騎馬隊に向かってきたとのことである。
女騎士団の属している華族と正体は、不明のようである。
三湖の森の戦いは、駒卓上戦闘訓練よりも、あっけなく終わってしまった。
鹿島は、魔物との戦いや三湖の森の戦いで死傷者の少なさが、余りにも上手く行くことが出来た事で、何かの力が働いたのではと感じた。
しばらく後にコーA.Iの通信が入り、女騎士団の身元は、サンビチョ国王女イアラと解ったとのことである。
厄介ごとか、新たなる希望の芽なのかは、四人の運営委員会次第だろうと、鹿島は他人事のように聞いていた。
ハービーハンは、束縛されたトマトマの身柄を連れて現れた。
「久しぶりだな~トマトマ、何で俺たちに再び挑んできたのだ。」
「俺の穀物を勝手にばらまいただろう。」
「あれはお前が住民の為に必要だと言っただろう。だから俺が配給してやったのだ。恨まれる筋合いはない。」
「配給は、俺が行わねば意味が無い。」
「すまなかった。俺の早とちりだったのか。しかし、今回の争いはお前の方から仕掛けてきた。お前は捕虜だ。お前の領地を取り上げねば収まらない。」
「勝手にしてくれ。だけども、サンビチョ王国が黙っている訳がないぞ!」
「そこでだ、相談だがお前の領地を白金貨五十貨で買ってやろう。」
「たとえ売るとしても、白金貨五百貨だろう。」
「今のお前の領地は、白金貨五十貨の価値しかないだろう。」
「白金貨五百貨の価値はある。」
「お前を捕虜として、亜人協力国に招待しよう。ゆっくり考えて返答してくれ。」
白金貨五十貨は、星座連合の五億クレジットであるが、鉱山一つの価値もないけれども、
トマトマには充分すぎるだろう。
ハービーハンは既に捕縛していたヘレニズを、馬の後ろに引いて現れた。
更に、トマトマの綱を鹿島から受け取り、二人揃えてそのまま馬で引いていった。
マーガレットとパトラは、女騎士団を医療病室に案内するようなので、
鹿島はトーマスの運転で、シリーとジャネックやミクタを軽機動車に同乗させた。
「ミクタ殿。ヘレニズとトマトマの領地を治めてくれ。
基本は農奴と奴隷の開放で、地主の解体と教育の充実を整えてほしい。
それと余剰人員の樹海跡地への移住の面倒を見て欲しい。
あとは治安の安定もお願いします。」
「難しいが、必ずや成し遂げて見せます。」
「農奴と奴隷の開放、地主の解体、とは、どういう意味ですか?」
と、シリーが聞いてきた。
「地主の土地は、小作人と農奴達が耕作していて、作物は全て地主のもので、小作人や農奴、奴隷は食べるだけの人生です。小作人と農奴達の耕作地は小作人と農奴達の耕した土地です。売られた奴隷は、事情を確認して解放する。
罪人奴隷は罪の分だけの期間にします。」
とミクタは説明しだした。
「貴族の荘園も、農奴のものですか?」
「当然です。」
「貴族と地主の威厳と生活は、維持できません。」
「それは彼らの問題で、われらは関知しません。亜人協力国には貴族も地主も必要ないことです。」
シリーは釈然としないようで、ジャネックに同意をもとめるが、
ジャネックは首をかしげるだけで、同意を表さない様子である。
ミクタの説明は、亜人協力国の国是基本をテテサが理解し賛同して、
説法教育に取り入れてくれた成果によるものである。
「軍隊の事は、トーマスとよく相談し合ってください。」
ミクタはうまくやる男だろうと、鹿島はトーマスの顔を覗くと、トーマスも微笑んで頷いた。
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隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
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