【何カ所か18禁]女神の伴侶戦記

かんじがしろ

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81 ヤンの勇士

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 コーA.Iからの再び五頭のダーホーが、
雑木林の境に現れたとの通信が入った。

 鹿島は、此れはヤンにとっては、
恋の成就にとってのダメ押しのチャンスと思い、

「ヤン。甲冑を付けて、五頭のダーホーを打ち取ってこい!」
「一人で、五頭ですか?」
「ダーホー五頭位、できるだろう!」
「頑張ります!」
 と言って、荷馬車へ駆け出して行った。

 ヤンが雑木林にダーホーが現れたので準備をする為と言って、
荷車の方へ向かうので巴姫も後を追った。

 ヤンの後ろから巴姫も駆け出して付いていく事で、
日出国人全員も何事かと思ったのか、巴姫の後に続いていく。

 鹿島達が川原から草原に着くと、
ヤンは既に甲冑姿となっており、巴姫の傍へと向かっている。

 巴姫は、荷車から降りてきたヤン殿は、
綺麗な煌びやかな甲冑をまとったその姿をも頼もしくて凛々しいと思い、
「私の王子様」
と巴姫はつぶやいてしまった。

「綺麗!極楽鳥の羽みたいな綺麗な色の甲冑。」
「魔物の鱗で出来た鱗甲冑です。」
「本当に魔物を倒した証拠ですね。」
「四頭の魔物を倒しました。これが魔物の波動尾刃剣です。」
と言って、ヤンは巴姫の前で尾刃剣を抜いて発動させた。

 ヤンは歩いて雑木林の方へ歩いて向かうので、
「ヤン。歩いていくのか?」
と、鹿島が声かけると、

「エミューのやつ、ダーホーが現れると直ぐに逃げやがるので、
歩いていきます。」
ヤンは遠くの雑木林に駆け出した。

 甲冑姿のヤンが遠くの雑木林に駆け出すと、ヤンの気配を感じたのか、
雑木林の影にいた五頭のダーホーもヤンに向かって行く。

 ヤンは先頭のダーホーの前足を切断すると、
次のダーホーの伸ばした首を落とすが、
ヤンを無視した一頭は草原仲程に向かってくる。

 雑木林から五頭のダーホーが現れてヤンに向かっていくので、
巴姫もヤンの助成に向かおうと思ったのか、
爆裂魔法を封じ込めた手榴弾を握りしめて五頭のダーホーに向かった。

 雑木林の端にいた群れからはぐれていた一頭のダーホーが、
巴姫に気づいたようで、巴姫の匂いを嗅ぐように向かっていた。

 鹿島達三人はいつの間にか駆け出している巴姫に、
はぐれたダーホーが向かう先に居るのに気が付いた。

 鹿島達三人はヤンの戦闘に注視していた為に、
巴姫に気づくのが遅れてしまったが、
気付いた事で反射的に巴姫を追いかけた。

 巴姫は自分に向かって来るダーホーに気づくと、
無謀にも手榴弾をセットしてダーホーに向かって投げた。

 手榴弾を追い越したダーホーは、
後ろでの爆裂に巻き込まれることなく、無傷のまま巴姫に向かってくる。

 巴姫が次の手榴弾をセットする為に立ち止まったおかげで、
鹿島達三人は追いついたが、
既に次の手榴弾は投げられているので、
鹿島とトーマスは巴姫の頭を押さえこむと、
巴姫の頭を強引に叩く様に押し込んで伏せさせた。

 巴姫は伏せさせられたが、既に投げられた手榴弾は、
又もや向かってきているダーホーの後ろで破裂した。

 ポールは投げられた手榴弾の破裂した破片を避けようと、
草むらの中に頭を抱えて腹ばいになったが、
直前に迫ったダーホーを半分立上りざまのまま、
ダーホーの片足をくぐる抜けると、体制整わないままだが、
尾刃剣を抜きざまにその足首を払いダーホーを倒した。

 ポールはその体制のまま、回転しながら草むらの中を転がっている。

 倒れたダーホーに向かったのは、トーマスであった。
倒れてはいるがまだ片足が残っているので、
ダーホーも何とか立ち上がろうとしている。
ダーホーの首横に、ゆっくりとした足取りでトーマスが向かうと、

「元帥、待って、待って!」
と四頭のダーホーを倒し終えたヤンが遠くから駆けよりながら、
大声でトーマスに叫んでいる。
 
 優しく抱き庇ったヤンと違い、背後から強い衝撃で押された上に、
無理矢理にうつ伏せにされた事で、
巴姫は怒りが込み上げるのを感じながら起き上がると、
すでに四頭のダーホーを倒し終えたヤンは、
何事か叫びながら自分の方へ向かっているのに気が付いた。
 
 ヤンは息を切らしたまま、自分の発動したままの尾刃剣を巴姫に渡すと、

「巴姫。ダーホーの首を落としてみたいですか?」
と巴姫の横に来て、倒れてもがいているダーホーを観ながら尋ねると、

「やってみたい!」

 巴姫は感極まった顔で頷き、発動したままの尾刃剣を受け取り、
何とか起き上がろうともがいているダーホーに近づいた。

 巴姫は喜んでヤン殿の赤い刃剣を受け取ると、
倒れてもがいているダーホーに向かった。

 巴姫は発動した尾刃剣を構えると、
ダーホーは倒れたままの体制で口を大きく開けて、
鋭い牙で巴姫に嚙みつこうと向かって来た。

 片足を切られて倒れたダーホーではあるが、
その口の牙は鋭く巴姫に向けられている。

 巴姫は本能的に気おくれした様子だが、
隣りに勇者とも思えるヤン殿がいるとの想いで、
恐怖は無くなり勇気百倍となった様子である。

 巴姫は向かってきた鋭い牙を持った顎(あご)諸共、
たたき切るように上段から切り下げて、頭蓋骨を二つに割ると、
構え返した刃であっさりとダーホーの首を狙い落とした。

 巴姫は首が胴体から離れたのを確認すると、
全身に鳥肌が立ちその後覆うように身震いするほどの快感が襲った。

 快感のまま、自分で見事に二つに切り分かれたダーホーの頭と首に驚き、
赤い刃剣を見つめると、
その切れ味を再び二つに切り分かれたダーホーの頭を確認した。
確認した後に再び快感が訪れて赤い輝に見入った。

「快感!」と、矢張りパトラと同じような顔で同じ感想を述べた。

 ヤンにしてみれば、突然三頭のダーホーに遭遇した巴姫が、
ダーホーに対して恐怖心を持ったままでのトラウマでもあれば、
それは自分の責任であると思えたのだろうから、
それを踏まえてのダーホーを、巴姫の手で絶息させたかったのだろう。

 日出国の面々は巴姫の行動に感嘆の声を挙げて、
「凄い剣だ!」
「いや、姫の腕だろう?」
「いいや、両方であろう。」

「しかしながら、ダーホーに向かえたのは流石に番長であるが、
難無く四頭のダーホーを打ち取るなど、
あの男の腕は神業だが、矢張り鬼神かな?魔人かな?」

 日出国の面々は、口々に巴姫をほめたたえている者たちや、
ヤンの腕に再び恐怖心を持った者たちもいるようである。

 確かに巴姫の剣術腕は上級者であるようだが、
ダーホーはここらではかなり厄介な魔獣であるようだ。

 首を落とされたダーホーは、まだ完全に息絶えていないのか痙攣中である。

 巴姫はそのダーホーに近づいて、
ダーホーの胸の辺りに尾刃剣を差し込み切り開くと、
腕を差し込み赤い魔石を取り出した。

「ヤン様、魔石でございます。」
 と、高揚した顔でヤンに差し出すと、

「ダーホーを打ち取ったのは巴姫です。魔石は姫様のものです。
残りの四頭も巴姫の為に倒しました。」
「わらわのものだと?」
「はい。」

「初めての魔獣討伐の記念と、
そして、ヤン様に出会った記念品として、この魔石は大事にします。」

 ヤンは少年達に向かって、
「向こうに倒れているダーホーは、魔石も肉も巴姫の物です。
皆で解体しろ!」

 少年達は草原の仲程で歓声を上げながら駆け出して、
首は既に落とされてはいるが、
まだ痙攣中であろう四頭のダーホーを解体しだした。

 少年達は五頭のダーホーを、川原のかまどで焼きながらかなり興奮状態で、

「豚似の肉は燻製加工に回して、今日の昼食と夜食はダーホーにしよう。」
「俺は初めてダーホーの肉を食べられそうだが、美味しいのか?」

「俺はダーホーの肉を一度だけ食べたが、
ダーホーは柔らかくて、口の中に入れるだけで融けてしまうんだ。
ダーホーと比べたら豚似の肉など筋だらけで、ベルトの革みたいなもんだ。」

 かなりこの辺りでは、ダーホーの肉は高級品のようである。

「だけどな、あのヤン一人でダーホー五頭に向かっていたが、
怖くなかったのだろうか?」
「ダーホー一頭に対しては、
剣士五人がかりでないと勝てないと聞いていたが、彼等は何者だろう?」

「番長は、あのヤンにメロメロだな。」
「あの鬼神みたいな男達を、
小町姉様にだけは近づけないよう気を付けよう。」
「まったくだ。」

「番長姫様がこれで小町姉様みたいに優しくなったら良いな~。」
「おい!静かに話さないと、番長に聞こえると剣術指南が待っているぞ。」
「くわばら、くわばら。」

 巴姫はかなりの言われようである。

 皆も焼き肉に舌鼓を打ちながら、
ダーホーに向かっていった気持ちを聞いてくるので、
心構えを説いて、勇気さえあれば打ち取れると巴姫は自慢した。

 巴姫はヤン殿の腕の中で幸せな気分であるのに、
配下の少年たちが次々とダーホーの焼いた肉を差し出してくるのには、
段々と、配下のやつらの無粋にウンザリな顔を向け出した。

 昼食には遅いが、ダーホーの焼き肉で腹を満たしながら、
鹿島は新井白石からの誰何にお答えざるを得ない状況になった。

「亜人協力国の守り人らは、
魔物を倒せるすべを知っているとは聞いていたが、
実際に一人で難無く四頭のダーホーを倒すのを確認できたので信じますが、ガイア様の加護をどの様にして頂けたのですか?」

 鹿島は隠す必要は無いので、赤く燃える髪の毛少女の話を順次説明した。

「ムー帝国は、亜人協力国に併合された後には、
政治体制が大きく変わられて、
万民皆は生活が楽になったとの噂話を聞いています。
そして、議会政治を目指しているとも聞いています。
将来亜人協力国はどのような国になるのでしょうか?」

「亜人協力国の国是は、個人の尊厳です。」
「また壮大な!」
「各国が個人の尊厳を国是とするならば、争いは無くなります。」

「確かに、争いはなくなるでしょうが、
個人の尊厳を理解する人は少ないでしょう。」
「全ての人に理解させます。それが私の使命です。」

「我が王もそれに近い考えであるが、
個人の尊厳を国是にとは、支配者には現実的でないでしょう?」
「ゆっくりと理解していただきます。」

 何かを考えるように、新井白石は鹿島の目をそらし、
ヤンにいちゃついている巴姫に目を向けた。

「次の代ならば、可能かもしれない、、、、?」
 とつぶやいて、元気なく立ち上がった。
 
 遅い昼食が終わると、焼き終えた豚似コヨーテは、
白石叔父らと共に来た従者等により、燻製加工場に運ばれていった。

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