【何カ所か18禁]女神の伴侶戦記

かんじがしろ

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91草サスケ

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 鹿島は今日も朝からジャバラバケツの前で、
蛇口替わりをさせられている。

 トーマスとポールは自前のタオルを首に巻き、
ジャバラバケツの水を使い、
タオルを濡らして顔や首周りを拭いていると、
双子の修道女が鹿島達のしぐさを見ていたようで、
ジャバラバケツの前に来て、自前で水魔法を唱えたが、
二人には出来なかったのか、
鹿島にジャバラバケツの水を取り替えてと要求しだした。

 二人は鹿島を蛇口替わりにして、
トーマスとポールと同じように顔と首を洗い出した。

 子供達が川に向かって歩き出すのを見た双子の修道女どちらかが、
「ここにきれいな水があるよ!」
と、子供達にさけんだ。

 鹿島は仕方ないので、ふて腐れた様にジャバラバケツの横に座り込み、
一人一人が変わるたびにジャバラバケツに手を添えて、
中に右手で水を噴射した。

 左手に握った赤い魔石を見つめながら、
「お前は便利だが、誰にでも使えるようにならないの。」
と、無機物である赤い魔石に話しかけると、
赤い輝きが気持ち強弱したように思えた。

「あれ、今反応した?無機化合物は有機化合物に変化すると、
何処かで聞いた覚えがあるぞ?」

鹿島は、赤い輝きが気持ち強弱したように思えた事が、
赤い魔石は有機物に変体出来るのかと思えてしまった。

 でも直ぐに、科学分野は自分には無理だと思い、
これ以上は理解できないだろうと、
勘違いであったと思い直して忘れることにした様子である。

 クマに似た二角獣は、昨日の夕食においては、
ただの一部分だけが削り取られているだけで、
まだ殆どが残っている状態であり、
朝食後残った肉を十キロぐらいに小分けしてから、
塩をたっぷりと塗り込み焦がした後に荷車に乗せた。

 日出国の街道と違い、火の国の道は広いが、
かなりの悪路で穴ぼこだらけである。
所々、はまり込んだら抜け出せないだろうと、
思われる大きな窪みもある。

 空がどんよりした頃、
街道脇に木こりか猟人らしき獣皮服を着込んだ姿をした男が、
鹿島たちの荷車を注視した目で倒木に腰掛けている。

 その目は修羅場を潜り抜けた強い眼光である。

「あの男はただの平民ではないですね。」
とトーマスは囁いた。

「剣豪風でもなくて、獣に近いな。用心しよう。」
と鹿島達は威圧を与えないように、パトラの年齢に話題を変えた。

「パトラさんの寿命はホントに百年以上ですか?」
「らしい。」
「生きるのにあきませんかね~。」
「俺達と一緒で、毎日が充実した生活ならば、時間は関係ないだろう。」
「時間て、不思議ですね。好きなことしていると短いし、
目的遂行や先に楽しみがある時は長い。」
「毎日が充実していると短いが、
銀河連合軍のことを思い出すと明日が遠い。」
「思い出すんですか?私は忘れました。」
 
 そんな意味のない会話をしながら、獣皮姿をした男の手を見ると、
人差し指と薬指を器用に絡ませていた。

「あ、トーマス止まって!彼は援軍だ。」
 
と言って、鹿島は荷車の運行操作席隣から降りて、
獣皮姿をした小柄な男に近づき、
通行手形を差し出した。

「守り人様ですか?お待ちしていました。私はサスケといいます。
国境まで案内します。」
「草ですか?」
と誰何すると、サスケはうなずいて荷物を荷台に放り込み、
トーマスの運行操作席右隣に乗り込んできた。

 サスケと名乗った男は、
エンドリー城壁街門衛士で草ハチベーの配下らしく、
鹿島がハチベーと別れた後で、
副指南ジューベーからの連絡が来たらしく、
鹿島達の護衛と案内を指令されたらしい。
 
 雨がポツンと落ちてくると、
「矢張り、山のお告げはいつも正しい。一年ぶりにやっと降りますね。
私は蓑(みの)を付けますので、エミューを止めて下さい。」
 と言って、
荷台に放り投げた荷物袋から、
イネ科の植物を編んで垂らした外套(がいとう)らしき物を取り出して身に着けた。

 蓑(みの)とは、雨具のようである。
「山のお告げ?」
「木々の天辺当たりの若葉が、淡く光りだすのです。」

 理解不能であるが、サスケの説明であるので納得して、
鹿島はトーマスと鹿島用に防水マントを取り出したが、
予備が一つ残っていたので、それを持ってサスケに渡したが、
「蓑が慣れていますので、動きやすいのです。」
と断られたが、鍔(つば)の長い帽子だけは受け取ってくれた。

 雨は本格的に振り出してきた。
道の所々に水溜りが出来てしまったようで、
トーマスは水溜りを避けるためにエミューを操るが、
エミューはお構いなしに、
車輪を水溜りから避けることなく進んで行くので、
到頭(とうとう)車輪が水溜りの中にはまり込んでしまった。

 鹿島の後ろ側車輪が落ちたので、
はまり込んだ瞬間に荷台の方から子供達の叫び声が起き、
前手すりがないので鹿島も操作席から落ちそうになり、
後ろの背もたれを掴んだが、
トーマスとサスケの体重を支え切れないと思った。

 背もたれを掴んだまま何とか頭からではなく、
足から落ちることができたので、
鹿島は落ちそうになった二人をも支えきれた。

 雨は土砂降りに降っているので、
荷車から子供達を降ろす事は出来ない状態の中で、
荷車の重量はかなりの重さであろうが、
仕方なしに落ちた車輪を水溜りから持ち上げて、
出さざるを得ないのである。

「私がエミューを操るので、二人で何とか持ち上げて下さい。」
と言って、サスケは運行操作席に座った。

 鹿島が車輪を掴むと、トーマスは手伝うことなく、
荷車の後ろを押そうとしている。

仕方がないので、鹿島が頑張るしかない。
鹿島の頑張りで、車輪は何とか水たまりから脱出出来た。

 サスケは自分でエミューを操作すると言いながら、
有無も言わせずに運行操作席を占領した。

 サスケは器用にエミューを操り、
水溜りを難なく避けながら進んで行く。

「エミューを操るのが上手ですね。」
「子供の頃からエミューとは、付き合っていますので、
慣れているだけです。
元帥様は、魔法の荷車を操るのは上手でしたが、
エミューはそうでもなかったですね。」

「私を依然見たと?」
「カナリア街の戦闘を観戦させて頂きました。
その時に、元帥様をお見掛けしました。
あの時の一方的と思える強さに、これは戦ではないと恐怖しました。
ヒット王国兵は敵に足元にさえ届かない、故に抵抗すらもできないので、
無手で戦ってただ惨殺される為だけに、その場にいると思ったでしょう。」

「どちらに与(くみ)していたのですか?」
「その時はカナリア街で、行商をしていました。」

「何とも?カナリア街に居たのは、矢張り情報収集の為ですか?」
「そうです。亜人協力国の出現と噂は、強力な印象でしたので、
神降臨街の戦いや、
元ムー帝国都と砦が丘街戦闘は仲間が観戦できたのですが、
カントリ国軍とミクタ知事軍の戦いには、
残念ながら仲間の段取りが間に合わなくて、
惜しいことに観戦できませんでしたが、その時の戦い方は調査済みです。
その戦いを分析したのですが、
カントリ国軍に対してミクタ知事軍の一方的と思える戦いにおいて、
亜人協力国の魔法武器に対しての敵対行為は、
百倍の兵の数でも勝てないと思いました。」

「情報収集は宗矩殿からの指示ですか?」
「私にはわかりません。」
「あ!すみません。間違った質問でした。忘れてください。」
「ハ、ハ、ハー。」
 と身体に似合わず、サスケ豪快な笑いをした。

「提督閣下殿の聞きたかったことは、直接我が殿に聞いてください。
応えてくれると思います。」
「応えてくれる?」
「ハチべー様の言い方では、殿もジューベー様も。
守り人達様にはかなり心酔しているとの様子なだそうで。」

 森の一角に小高い木々を蔓が覆う藪の中に、
ひと際横に枝を伸ばした大木があり、
その下でテントを天幕代わりにして、天幕の下で昼食をとることにした。

 鹿島とトーマスは、街道脇から大木までの木々と蔓を払い、
大木の枝に炎と弾けた火の粉が届かない位置で、
焚火するために更に広めに木々と蔓を払った。

 ポールは大木の下地面を、最弱にしたレーザー銃で更地に整えて、
サスケの手を借りて、大木の枝を利用しながら機能的な天幕を張った。

 濡れた太めの倒木を集め、
三つのやぐらを組んだ上に蓋(ふた)をした鍋を置き、
鹿島は精一杯の力を込めて、尾刃剣の先から火炎を出した。

 既にかなり湿っているのか、燃え上がり方は遅かったが、
全体に火が回ると三つのやぐらは激しく燃え上がった。

 鹿島が火の番をしている間に、天幕の下では食事場が出来ていて、
冷めた肉と石で積んだかまどを前では、
子供達は退屈しているようである。

 サスケは払った蔓の葉を集めると、エミューに与えている。

 鹿島は鍋の蓋が激しく動き出した様子を見て、
穴のある取っ手に尾刃剣を差し込み、
皆が待つ天幕の下に運んだ。

 ポールは双子の修道女の手を借りて、土にじかに置いた鍋の中に、
インスタント粉コーンスープ元を入れると、
更に携帯食料も入れながらひしゃくで混ぜている。

 やぐらは既に崩れていて、
煙が少なくなっている炭火に近くなった火の塊を、
トーマスも二本の生木で挟んでかまどの中に運んでいる。

 五箇のかまどに目一杯の火の塊を入れ込み、
その上に肉と鍋が置かれた。

 焼けた肉の部位を、黒く炭になっている部分をそぎ落としたのちに、
皿代わりの蔓の葉に乗せた肉と陶器に入れたスープを、
双子の修道女は子供から先に配りだしている。

 陶器を使える鹿島達三人の番になった頃には、
既にスープはなくなっていた。

 子供達は薄くに切った焼肉に飽きていたようで、
スープを何度かお代わりしたようである。

 子供達の食欲が出たことは、うれしいことだと思い、
今回の食事でスープは諦めた様子である。

 雨がかなり強く振りだしてきたので、
夕食用に肉を多めに焼いて蔓の葉で包みこんで荷車に積んだ。

 先に食事を終えた双子の修道女が、
鹿島に薄切りされた肉を持ってきて、

「この先の村に、ハルチャンの叔母さんが居るらしいのですが、
村の父母達の消息を聞きたいらしくて、寄りたいとの事なのですが、
寄り道は可能でしょうか?」

 ハルチャンとは、鹿島に尻を叩かれた娘である。

 鹿島は案内を勝手出たサスケに相談した。
「夜に紛れて、行きましょう。」
と、サスケは言ってくれた。

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