【何カ所か18禁]女神の伴侶戦記

かんじがしろ

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103傲慢と野望なる者

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 王宮城壁に立って居る男の背中には、
群雄割拠の豪族をまとめて鉄の国を起こし、鉄の国モーリ大王となり、元ムー帝国と互角に肩を並べた威厳は既に損なわれていた。

 鉄の国モーリ大王は今の状況を理解するために、
これまでの出来事を回想していた。

 日出国と火の国に鉄の国が、婚姻関係を結んで二十年は過ぎたが、
火日鉄同盟は堅固であったはずなのだが、
亜人協力国の策略によって脆くもほころびが出てきだした。

 火日鉄同盟は、
巨大化していくムー帝国に対応するために結ばれたのであったが、
ムー帝国が滅んだために火日鉄同盟の意味が薄れて、
火の国では亜人協力国との交易関係が強くなっていき、
更に日出国においても国力を付ける為に、
さらに進んだ密約をしてしまったようである。

 鉄の国は火日鉄同盟のおかげで塩の国を併合でき、
モーリ大王弟タカカゲを王として送り、属国の位置に置いた。

 更にバーミーズ国を準属国の位置に置き、
ムー帝国以外からの脅威をなくしたが、
ムー帝国と対等の関係を結ぶために、
塩の国タカカゲ王の娘と婚礼したコバヤカ丸を塩の国婿として隠れ人質として迎えた。

 だが。盤石の態勢を整えた矢先に、
亜人協力国なるものが突然に出現した。

 鉄の国モーリ大王の野望の戦略は、
ムー帝国の西にある深い樹海の裏側の国々である弱小国家群バーミーズ国を吸収して、
更にカントリ国を亡ぼし、ヘレニズ国とヒット国をも平定出来れば、
それら弱小国家でも、数がそろえば強力な軍に育て切れるはずであった。

 モーリ大王にすれば数さえそろえ切れたなら、
ムー帝国如きは倒すのはたやすいと思われた。

 それらの計画の立案はされて実行可能となったが、
騎士団長ヨーコー.サンシーの造反により、
ヒット国ガイア教会を中心とした反テテサ聖人としての組織が生まれて、七カ国不可侵条約が結ばれた。

 その七カ国にムー帝国も入ってしまい、
七カ国共同軍事行動に対抗できないモーリ大王の計画が挫折した。

 モーリ大王が更に挫折した理由は、
亜人協力国が神降臨街ガイア教会側に加担して、
トロンボ王国とゲルググ王軍共々、亜人国なるものに一気に吸収されてしまった。

 亜人国との戦闘にはムー帝国側に加担して、
ムー帝国の力を借りて再度計画立案し直し、
弱小国家群を吸収平定するつもりが、
大将軍トローチの天罰と思えるような死に様が起こり、
亜人国とムー帝国の戦闘は起こらないだろうと予測して、
今後の様子見の為に、モーリ大王軍はムー帝国領から引き上げたが、
予想だにしてなかった事件が次々と起こり、
亜人国への対応が後手後手となり、もはや軍事力の差は格段に開いた。

 特にムー帝国さえも亜人協力国になってしまったので、
対抗手段は最早閉ざされた。

 モーリ大王はそんな失望の中、
またとない朗報がバーミーズ国からきた。

 ガイア女神様からの怒りを買い、国中が樹海となってしまったので、難民化したカントリ国傭兵七万を引き取ってくれとの要請に、
歓喜してすぐに引き取りカントリ国傭兵七万に安物の武具を与えた。

 カントリ国傭兵の指導者と名乗るものと会見した時に感じたのは、
彼らはガイア女神様への信仰が薄いのではと思える、
九つの徳を否定した発言をした。

 更に何かの加護持ちであるかのように仄めかし、
ガイア女神様を見下しているのではとも思えた。

 カントリ国傭兵の指導者の高慢な態度を無視して、
拠点を確保するために元ムー帝国内へ送り出した。

 元ムー帝国内を混乱させるために、カントリ国傭兵七万による、
各箇所でのゲリラ戦での戦いを後方支援するとも伝えた。

 難民カントリ国傭兵への兵糧を切れば、
彼等は七万の盗賊団とならざるを得ないだろう。

 元ムー帝国内は七万の盗賊団がゲリラ化すれば、
戦争どころではない混乱が起きるはずである。

 更にゲリラ戦が長引くならば、
モーリ大王はバーミーズ国とカントリ国を吸収できるであろうし、
亜人国からの鉄の国への攻撃は難しくなるはずである。

 しかしながら、そんなモーリ大王の思惑は外れ、
一夜でカントリ国傭兵七万は消えてしまった。

 バーミーズ国側のカントリ国傭兵三万も、
一夜で消えてしまったとの事である。

 カントリ国傭兵が消えた原因は、ガイア教会を侮辱した上に、
教会に火をつけた者たちに天罰が下った、との噂話が流れた。

 武具を手に入れたので、
樹海に入ってカントリ国を目指したとの噂も立った。

 魔物や魔獣が闊歩している呪いのカントリ樹海では、
誰も住む事が出来ない状態のカントリ国内には入れないので、
真相はいまだに不明である。

 亜人協力国との商取引の過程で、
鉄の国の貨幣不足の知らせを受けた。

 貨幣の替わりである塩の値段を釣り上げるために、
塩だけの輸出を禁じた。
貨幣代わりに輸入品全てにおいて塩での支払いを強要した。

 効果は抜群で塩の価格は倍になり、
貨幣の流出は止まり貨幣の逆流も始まって、国の収入は急激に回復し、鉄の国の貨幣不足もすぐに解消された。

 そんな朗報中受けたモーリ大王の下に、
日出国タダナガ公の息子ショーセツと名乗るものが現れて、
現皇王イエミツを廃してタダナガ公が皇王にとって代わる事への協力を申し込まれた。

 ショーセツと名乗る者の言い分は、
皇王イエミツのただ一人の後継ぎである姪の巴姫の婿が、
亜人協力国の守り人の一人だとの事であり、
さらに密約内容も知らされた。

 その内容すべてがモーリ大王にとっては不利であり、
亜人国の勢力はその密約により更に強くなるだろう。
モーリ大王は更に不利な状態がなお深きに落とされる状態となる。

 更にショーセツからは、火の国の内情も知らされた。

 火の国においては、亜人協力国から借りた白金貨二百貨幣の内、
一回目の返済額白金貨百七貨幣の支払いが迫ってきているが、
今年の税収入すべてを軍事費に回してしまい、返済不能との事である。

 担保は家臣六名と獅子丸大王の命であるらしい。
此れは、火の国と亜人国との戦争は確実であろう。

 亜人協力国と日出国との密約であれば、
日出国からの火の国への軍事支援は不可能である上に、
両面から攻め込まれるのは確実であり、タダナガ公が皇王となれば、
逆に軍事支援は可能であるので、火の国はタダナガ公を支援するらしい。

 獅子丸大王とコバヤカ丸は、共にバカ殿ではあるが身内でもある。

 タダナガ公を皇王にとって代わらせる事への協力は、
ショーセツなる者の言い分では、
火の国獅子丸大王の了解は既に頂いているとの事である。
 
事が成就したならば、タダナガ公はモーリ大王に忠誠を誓い、
風下に下がり日出国を準属国となるが、
ショーセツはモーリ大王の支配領地全てに置いて、
海外との商取引全ての権限を欲しいとのことである。
 
 馬鹿同士の中にタダナガ公までもが加わったようで、
お陰で一つの光明が現れた。
事が上手く為して成れば、火の国と日出国が無血で手に入るのである。

 モーリ大王は博打を打つ時であると思った。

 負けたとしても、これ以下の下はないのであるから。
勝てば将来的滅亡から救われるし、上手く為して成れば、
モーリ大王の威厳を亜人国へ示せる機会であった。

 二カ国を手に入れた暁には、
亜人国との外交においても風下に立たなくても良くなるだろう。

 モーリ大王はまさか亜人国が三国同時進行するとは、
思いもよらなかった。

 亜人国との戦いにおいて、結果は悪い知らせばかりである。

 日出国においても、反乱軍となってしまったタダナガ公は打ち取られ、日出国に攻め込んだ火の国軍は、行き方知れずらしい。

 元ムー帝国国境対応中の国境守備隊からは、まだ連絡が届かない。
おそらく交戦が遅れているだけだろうとモーリ大王は思っている。

 バーミーズ国から越境した亜人国兵を迎えている鉄の国軍は、
最強の強者どもで、
「亜人国相手に無様な戦いはするな!各自必ず一人は倒せ!一人も倒さずに帰還する事を許さない!」
とモーリ大王は、檄を飛ばした。

 勝てずとも鉄の国の威厳は残せるであろうとモーリ大王は目論見、
足元の都への亜人の進行を遅くさせるか、
諦めるさせるかもと期待があった。

 モーリ大王は日を置いて暫く後に、
すべての戦場で鉄の国軍は、壊滅したとの知らせが入った。

 報告者に壊滅とは大げさだとしかりつけたが、
戦場に立っていたすべての兵で生き残った者等は、重症の負傷者で有り、自力で歩ける者等いないとの事である。

 控え部隊からは徐々に、逃亡者が出始めているようでもあるらしい。
鉄の国軍が崩壊する前触れが、始まったようである。

 モーリ大王は決断した。
鉄の国頭領を引退した後に息子テルモトに家督を譲り、
テルモトは直ぐにも亜人協力国との休戦を結び、
その後に講和条約を推進すると約束することである。

 大義名分は、民の安全と兵の無罪を前面に出せば、
亜人協力国の国是に沿っているので可能であろう。

 鉄の国頭領モーリ王が病気の為に隠居して、
テルモト王が後を継いだと発表した。

 モーリはテルモト王をせかして、
都を目指している第一師団率いるマルティーン司令官に、
休戦の提案とその後に講和条約を推進すると、
約束する特使を送らせていた。

 亜人協力国のマルティーン司令官の動きは速かった。

 亜人協力国からの返事は、
直ちに休戦は承諾した。
テルモト王はムー州の国境街ニイタカに出向き、
亜人協力国全権大使ムー州キョクトウ知事との講和条約を話し合うこと。

 マルティーン司令官からの返事は簡素であるが、
内容は厳しいものであった。

 テルモト王はムー州の国境街ニイタカに出向く事に不安であると難色を示したが、
重たい通達であるが、飲まざるを得ないだろう。

 不安なのかテルモト王は、再度モーリの提案に拒否反応を示したが、

「国の為に死んで来い。」
と、モーリは冷たくテルモト王に一言だけ告げた。

 鉄の国頭領たるものは、
どの戦場に立つべきかを教えなければならない。
過酷な戦場に立ってこそ、頭領たる資格が試されるのである。

 後日帰って来たテルモト王は、キョクトウ君との会見中は、
ただ二人だけであったのに、
キョクトウ君に不満を述べたのち暗殺することもなく、
バカ殿に近い講和条約を結んできてしまった。

 モーリはつぶやいた、
「鉄の守りが子供、亜人が門外にエミューを繋ぐべき事、案の内にて候。」
近い将来鉄の国はなくなるであろう。

(注、引用)『山城が子供、たわけが門外に馬を繋ぐべき事、案の内にて候』斎藤道三。

 鹿島はタブレットパソコンの画面に見入り、
戦場の確認をしていると第一師団マルティーン司令官からメールが入った。

 メールの内容は、鉄の国新テルモト王より、
休戦の提案とその後講和条約を結びたいとの意向が届いたとの事で有り、元モーリ王は病気の為に隠居したらしい。

 鹿島はすぐに、マルティーン司令官に休戦を受け入れて、
講和条約に関しては、キョクトウ知事に一任っすることを伝えた。

 鹿島はキョクトウ知事に連絡を取り、鉄の国との休戦受け入れは、
マルティーン司令官に頼んだことを知らせて、
講和条約の条件と調印を全権一任すると頼んだ。

 モーリは全権大使元ムー帝国公爵キョクトウ君の名を聞いて、
散々てこずらされた噂ほどの人物なのかを確認したいと思った。

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