【完結】意地っ張りで口の悪い受けと、拗らせて執着する攻めの日常

ハリエニシダ・レン

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付き合う前

感情2 (東雲サイド)

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その感情を自覚してからは、あまり藤堂に近づき過ぎないようにしていた。

うっかりタガが外れて襲ってしまうんじゃないかと、そんな気がして自分が信用できなかったから。

でもそうすると今度は、そんな俺を心配して藤堂の方から距離を詰めてくることが多くなった。

「なんかあったか?」

って。
顔を近づけて真っ直ぐ目を見て言うから。
そんな近くに来られたら、藤堂の匂いはするし今その目には俺しか映っていないと思ったらもう抱き寄せて無理やりにでもキスしたいっていう感情が胸の中で暴れ回った。
そっぽを向いて誤魔化したけど、視界の端で肩を落とす藤堂を抱きしめたい衝動を抑えるのが本当に大変だった。

こんなに激しい感情なんて知らなかった。

今まで、女を抱いたことがないわけじゃない。けれど、いつも相手がその気で俺の体に触れてきて、断るのも面倒だし自慰とそう変わらないからと付き合っただけだった。
最後まで大して興奮もせず、ただ生理反応を処理する、そんな感覚だった。

でも藤堂に対して感じているのは。
抑えきれるか不安になる程の欲望。
それを叩きつけて、藤堂の顔が歪むところを見たい。
どんな声をあげるのだろう。
聞きたい。
声が枯れるまで藤堂を泣かせたい。

藤堂に欲情していることを自覚したその日から、自分で処理する時は、藤堂の痴態を想像するようになった。
後ろめたさなんて途中からなくなった。

藤堂を想像しながら自分のモノに触れるのは、今までの自慰行為やセックスとは比べものにならないくらい気持ちよかった。
俺の頭の中の藤堂は、日ごとに俺の欲望で汚れて乱れていった。


現実の藤堂に触れたい。


その思いは、日増しに強くなっていった。


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