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翌木曜日
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BBSにはまた書き込みが殺到している。
≪聞いてたー!あいつなー!≫
≪あれはないよなー!あいつテレビに出てたぞ!≫
≪何?どの発言?≫
≪テレビではあの部分カットされてんだよな≫
≪何発言?≫
≪私もあの瞬間苦情書き込んだ!≫
≪何発言?!≫
≪誰か教えてくれよ!≫
≪「これ父親?全然似てねー(笑)」だよ!≫
≪サイテー!≫
≪あの場面でそれ?ありえねー(怒)≫
≪サイテー!≫
≪そのせいで番組中断とか!≫
≪サイテー!≫
スタジオ内の大型ディスプレイではまさにその場面。
カメラは離れる二人が収まるようにまた広角になっている。
それでもどんどん下がる健介がぼちぼち画面からはみ出しそうになっている。
もうラジオの声は聞こえない。ボリュームを絞った愛の夢の所々のピアノ音が響くだけ。
そして原田が止まり、健介も立ち止まった。
画面の中で全ての動きが止まった。音もない。
はらはらと落ちる雪だけが静止画ではないことを証明している。
段々合成画像にも見えてくる。
動かない風景に雪の映像を被せているような。
その中でやっと原田が動いた。
原田がゆっくりと地面に片膝をついた。
え?と咲良が驚いて声を漏らして岩城を見たので、岩城が説明した。
『はい。それでこの時、下がって行く子供を見ながら、お父さんが突然しゃがんだんです。道路に膝ついて、離れて行く子供に手をこう、差し延ばした』
岩城がその動作を咲良に向かってしてみせると、同じように画面の中の原田が健介に向かって腕を伸ばした。
スタジオ内全員、画面を凝視している。調整室の中のスタッフも仕切り板に貼りついて画面に注目している。
そして画面は、原田のアップになった。
『お父さんがこの時何か言ったんです。さすがに声までは聞こえなくて何言ったかはわかんないけど、その一言で子供が下がるのを止めたんです』
画面を見ていた朱鷺が、吹き出した。
全員一瞬注目したので、朱鷺が頭を下げて謝った。しかし笑ったまま。
『それで、二人で何か会話しながら、だんだん子供がしゃがんでいるお父さんのところに進むんです』
『どんな会話だったのかしら』
画面の原田の口を読んで吹き出した朱鷺が、健介に確認してさらに自分の感想を健介に伝えて、二人で声を殺して笑っている。
原田はそんな二人の態度に頭を抱えていて、君島は何を笑っているのか二人に手話で訊きだしている。
『わからないけど、聞こえなかったけど、きっと何か優しい言葉だったんだろうなって、なんかほら、父さんがお前を守るからとかそんな感じ?』
『そんな感じだった?』
『多分』
そして手話で会話を訊きだした君島が笑いながら、その内容を携帯に打ち込んで隣の咲良に見せた。
咲良はそれを見て吹き出し、笑いを噛み殺して、その最新情報を電波に乗せた。
『この時の会話が今判明しました。この緊迫した場面でお父さんがお子さんに掛けた第一声は、「パーカーは?」だったそうです!』
え―――っ?!
と岩城が仰け反って爆笑した。
≪聞いてたー!あいつなー!≫
≪あれはないよなー!あいつテレビに出てたぞ!≫
≪何?どの発言?≫
≪テレビではあの部分カットされてんだよな≫
≪何発言?≫
≪私もあの瞬間苦情書き込んだ!≫
≪何発言?!≫
≪誰か教えてくれよ!≫
≪「これ父親?全然似てねー(笑)」だよ!≫
≪サイテー!≫
≪あの場面でそれ?ありえねー(怒)≫
≪サイテー!≫
≪そのせいで番組中断とか!≫
≪サイテー!≫
スタジオ内の大型ディスプレイではまさにその場面。
カメラは離れる二人が収まるようにまた広角になっている。
それでもどんどん下がる健介がぼちぼち画面からはみ出しそうになっている。
もうラジオの声は聞こえない。ボリュームを絞った愛の夢の所々のピアノ音が響くだけ。
そして原田が止まり、健介も立ち止まった。
画面の中で全ての動きが止まった。音もない。
はらはらと落ちる雪だけが静止画ではないことを証明している。
段々合成画像にも見えてくる。
動かない風景に雪の映像を被せているような。
その中でやっと原田が動いた。
原田がゆっくりと地面に片膝をついた。
え?と咲良が驚いて声を漏らして岩城を見たので、岩城が説明した。
『はい。それでこの時、下がって行く子供を見ながら、お父さんが突然しゃがんだんです。道路に膝ついて、離れて行く子供に手をこう、差し延ばした』
岩城がその動作を咲良に向かってしてみせると、同じように画面の中の原田が健介に向かって腕を伸ばした。
スタジオ内全員、画面を凝視している。調整室の中のスタッフも仕切り板に貼りついて画面に注目している。
そして画面は、原田のアップになった。
『お父さんがこの時何か言ったんです。さすがに声までは聞こえなくて何言ったかはわかんないけど、その一言で子供が下がるのを止めたんです』
画面を見ていた朱鷺が、吹き出した。
全員一瞬注目したので、朱鷺が頭を下げて謝った。しかし笑ったまま。
『それで、二人で何か会話しながら、だんだん子供がしゃがんでいるお父さんのところに進むんです』
『どんな会話だったのかしら』
画面の原田の口を読んで吹き出した朱鷺が、健介に確認してさらに自分の感想を健介に伝えて、二人で声を殺して笑っている。
原田はそんな二人の態度に頭を抱えていて、君島は何を笑っているのか二人に手話で訊きだしている。
『わからないけど、聞こえなかったけど、きっと何か優しい言葉だったんだろうなって、なんかほら、父さんがお前を守るからとかそんな感じ?』
『そんな感じだった?』
『多分』
そして手話で会話を訊きだした君島が笑いながら、その内容を携帯に打ち込んで隣の咲良に見せた。
咲良はそれを見て吹き出し、笑いを噛み殺して、その最新情報を電波に乗せた。
『この時の会話が今判明しました。この緊迫した場面でお父さんがお子さんに掛けた第一声は、「パーカーは?」だったそうです!』
え―――っ?!
と岩城が仰け反って爆笑した。
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