婚約破棄？好きな人が出来たから別れてくれ？わかりました。私は貴方が好きだから別れます。

話

私はマリア。
ハルト伯爵と婚約している子爵令嬢だ。
今日の仕事を終え、食事をしていると、突然ハルト様が、

「マリア、すまない、君との婚約を破棄させてもらえないだろうか？」

婚約者のハルト様が頭を下げて私に言った。

「え？何故ですか？私はこの家の仕事はきちんとこなせるように努力してきましたし、………何がいけなかったのですか？」

すると、ハルト様は、

「いや、君の仕事振りには舌を巻くほど素晴らしいのはわかっているのだが……好きな人が出来てしまったのだ！そして、お腹には……。」

「はぁ？好きな人……そして子供も？！あの……それは？」

「ああ、ソフィア男爵令嬢だ。」

その瞬間、私の中で色々な考えが目まぐるしく駆け巡った………。

「そう……わかったわ。貴方が幸せなのが私の幸せだから、婚約破棄を受け入れます……でも…。」

少し言葉をつめると、

「ああ、慰謝料はキチンと払うよ。」

「そう、あまり無理しないでね。あ！私がこの家にいたら邪魔になるよね。直ぐに荷造りして出ていくから安心して。」

そう言うと私は直ぐに屋敷を後にする。

「マリア、本当にすまない。」

「良いのよ、貴方の幸せが私の幸せなんだから。それよりも、ソフィアさんを幸せにしてあげてね。」

「ん、ああ……、しかし、マリア？どうして……」

「だ・か・ら、貴方が幸せなのが私の幸せだからよ。じゃあ！」

そう言うと私はそそくさと屋敷をあとにした。

実はソフィアは学生時代に面識があったのだ。
彼女は男漁りをし過ぎて、同じ学年の女子全てから嫌われていた。
ぶりっ子であったことも、性格が最悪な事も全て知っている。
そんな彼女と結婚したら………まぁ、ハルト様が好きになったと言うんだから幸せになれるでしょ？

それから二年も経たずにハルト様はソフィアと離婚した。

なんだか最近わたしの実家に復縁を迫りに来たそうだけど、私はキース侯爵様と来月婚約式なのよね♪
ハルト様、どうぞお幸せな人生を♪

サ・ヨ・ナ・ラ♪