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『大雨の夜に』(SIDE 雫)
しおりを挟む大雨の夜、耳をつんざくような雷鳴があたり一面に響き渡る。
次の瞬間、俺の視界は真っ暗になった。
「雫さん、大丈夫か?」
泰莉君の声に、心底安心している自分がいる。
「泰莉君、停電・・だよね?」
ヘッドに入って読書していた俺は、デスクに置いてあるスマホを手探りで探すも見つからず、電気がつくまで待とうと半ば諦めていた。
泰莉君はこの暗闇の中、俺を心配して2階から降りてきてくれたらしい。
「近くに雷落ちたんじゃね?」
スマホのライトに照らされた泰莉君は、頼もしくてかっこいい。
こんな状況なのに見惚れてしまう。
「わ、また雷・・・!」
雷鳴の大きさに思わず耳を塞いだ。
「なに、雫さん雷苦手?」
「苦手って言うか、、真っ暗だし音が大きくてちょっと怖いよね。」
「苦手なんじゃん。」
ふっと苦笑した彼の顔が、雷光に照らし出される。
「・・怖ぇんなら、一緒に寝る?」
彼が真顔で俺を見た。
パッパッと何度も光る白に照らせれ、残像のように浮かぶ彼の顔。
胸がドクン、と大きく跳ねる。
「・・・いいの?」
「前にも一緒に寝た仲だろ。隣で寝て良い?」
さすがに枕取りに行くのだりぃわ、とソファにあるクッションを手に取ると、スマホで足元を照らしながら彼は俺のベッドまでやってきた。
(泰莉君が・・・俺のベッドに・・・・)
彼の純粋な優しさに、不釣り合いな欲望を抱く自分を抑えられない。
雷が苦手なくせに、この雷鳴がずっと続けば良いのになんて願ってしまう。
「雫さん、手冷たくねぇ?」
布団の中、触れた俺の手の冷たさに驚いた彼は、確かめるように指先を絡めた。
(緊張してるせいなんだけど・・・・どうしよう、ドキドキする・・・っ)
「そうかな?湯冷めしちゃったのかな・・?」
泰莉君の声、肌、体温、におい・・・
好きという気持ちが溢れ出して、止まらなくなる。
ずっと、彼のことだけ見ていたい。
「雫さん・・あんた、本当に無防備だよな。」
彼の小さな声が、耳に届く。
雷鳴にかき消されて、彼が何と言ったのかまではわからなかった。
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