20 / 48
闘和学園編
闘和学園5
しおりを挟む
「はい、登録完了です。お疲れ様でした」
顔写真はもちろんだが、指紋や唾液、血液検査、網膜スキャンのようなものまでされた。
成りすましや、催眠などを用いて立場を利用し悪用できないようにするための予防措置とのことだ。
「これがギルドカードになるので落としたりしないでくださいね。一応再発行は可能で、再発行処理が完了すれば古いカードは自動的にブラックアウトし使用できなくなりますが、再発行処理前に悪用された場合は、すべてあなた個人の責任になりますのでお気をつけください」
カードは免許証サイズで先程撮られた顔写真もついている。何かの資格免許のように見える。
このカードが今後どの程度役に立つのか、どのような活用方法があるのかはまだあまり把握してないが、重要度合い的にはクレジットカードみたいなもんだろ。まあ扱いには気をつけよう。
「今回の懸賞金はこの場で受け取りますか?」
「あ、そうですね、お願いします」
すると男の一人の手にはいつの間にか大きくて頑丈そうなカバンが握られていた。
こんな大きな荷物、ここに来たときには間違いなく持ってなかったはずだ。能力で透明にしたり、小さくしたり、何かしらの手段で隠していたのだろうか。
男が床に置いてカバンを開くと、そこには大量の札束がぎっしりと収納されていた。一枚の大きさは日本の紙幣とほぼ同じだ。模様自体は複雑だが表記的には金額だけが記載された比較的シンプルなデザインだ。
「どうぞ、きっちり4800万ザックありますので」
と、いきなり言われても、この大量の札束をどうしろと。カバンごとくれない……よなぁ。
仕方がないので札束だけカバンから取り出してとりあえず床に置く。日本円と違うからいまいち目の前に大量のお金があるという実感がわかない。オモチャのお金のようだ。そのうち慣れるだろうか。
「では私達はこれで失礼します」
軽くお辞儀をすると世界ギルドの3人は店から出ていった。数人いた他の泊まり客達も徐々に自分の部屋へと戻っていった。
「何か入れ物でも持ってきますか? 紙袋程度のものしかないとは思いますが」
「あ、そうですね、お願いします」
主人はカウンターの奥へと向かい、またすぐに戻ってきた。かなり大きな紙袋を持ってきてくれたため問題なくすべて入りそうだ。札束の重さで破けないかと思ったがそれも大丈夫だろう。
「さてさて、一階はこんな有様ですが、お部屋で寝るには問題ないと思います。今日はもう遅いのでお休みになってください」
宿屋の主人が深々と頭を下げた。それに合わせて隣りにいた娘さんも頭を下げる。
いや、やはりこの大金は俺が持ってても意味なさそうだよなぁ。それに俺とユリーナの力なら……いやまあ主にユリーナの力なら、この程度の金額すぐに稼げてしまうことだろう。それならすべき事は一つだな。
「あの、この懸賞金はすべて差し上げますので、借金の返済に当ててください」
そう言いながら紙袋を差し出すが、二人とも状況を理解できないのか固まったままであった。
「今の俺にはこんなにお金があっても使い道がないので」
二人とも受け取る素振りは見せず変わらず呆然とした表情をうかべていた。そりゃそうだよな。
「えっと……じゃあここに置いておくので、あとは好きにしてくれていいです」
それだけ言い俺は部屋へと戻ることにした。半ば強制的じゃないとこの親子は受け取ってくれないだろう。
いやー、我ながら良いことをした一日だったな。今日は気持ち良く眠れそうだ。
改めて布団へ入ろうとした時、とても小さくドアがノックされた音が聞こえた。
ご主人が受け取れないということでお金を返しに来たのだろうか。いい加減素直に受け取ってほしいものだと思いながらドアを開けると、そこにいたのは娘さんの方だった。
「あの……あそこまでされて受け取らないのも逆に失礼にあたると思うので……ありがたく頂戴します! ありがとうございました!」
先程以上に長く深々と頭を下げた。
「全然本当に気にしないで」
「特に何もお返しできるものがなくて……何かできないかと、お父さんと相談しました。えーと……ベッドに寝てください」
彼女は落ち着かない様子でそのまま室内に入り、客室の内鍵を閉めた。
「初めてなので上手くできるかわかりませんが……」
自信なさ気にモジモジとしている。
これって、もしかして……! ありがちなあの展開……!
お礼は体で、ってやつなのでは!?
顔写真はもちろんだが、指紋や唾液、血液検査、網膜スキャンのようなものまでされた。
成りすましや、催眠などを用いて立場を利用し悪用できないようにするための予防措置とのことだ。
「これがギルドカードになるので落としたりしないでくださいね。一応再発行は可能で、再発行処理が完了すれば古いカードは自動的にブラックアウトし使用できなくなりますが、再発行処理前に悪用された場合は、すべてあなた個人の責任になりますのでお気をつけください」
カードは免許証サイズで先程撮られた顔写真もついている。何かの資格免許のように見える。
このカードが今後どの程度役に立つのか、どのような活用方法があるのかはまだあまり把握してないが、重要度合い的にはクレジットカードみたいなもんだろ。まあ扱いには気をつけよう。
「今回の懸賞金はこの場で受け取りますか?」
「あ、そうですね、お願いします」
すると男の一人の手にはいつの間にか大きくて頑丈そうなカバンが握られていた。
こんな大きな荷物、ここに来たときには間違いなく持ってなかったはずだ。能力で透明にしたり、小さくしたり、何かしらの手段で隠していたのだろうか。
男が床に置いてカバンを開くと、そこには大量の札束がぎっしりと収納されていた。一枚の大きさは日本の紙幣とほぼ同じだ。模様自体は複雑だが表記的には金額だけが記載された比較的シンプルなデザインだ。
「どうぞ、きっちり4800万ザックありますので」
と、いきなり言われても、この大量の札束をどうしろと。カバンごとくれない……よなぁ。
仕方がないので札束だけカバンから取り出してとりあえず床に置く。日本円と違うからいまいち目の前に大量のお金があるという実感がわかない。オモチャのお金のようだ。そのうち慣れるだろうか。
「では私達はこれで失礼します」
軽くお辞儀をすると世界ギルドの3人は店から出ていった。数人いた他の泊まり客達も徐々に自分の部屋へと戻っていった。
「何か入れ物でも持ってきますか? 紙袋程度のものしかないとは思いますが」
「あ、そうですね、お願いします」
主人はカウンターの奥へと向かい、またすぐに戻ってきた。かなり大きな紙袋を持ってきてくれたため問題なくすべて入りそうだ。札束の重さで破けないかと思ったがそれも大丈夫だろう。
「さてさて、一階はこんな有様ですが、お部屋で寝るには問題ないと思います。今日はもう遅いのでお休みになってください」
宿屋の主人が深々と頭を下げた。それに合わせて隣りにいた娘さんも頭を下げる。
いや、やはりこの大金は俺が持ってても意味なさそうだよなぁ。それに俺とユリーナの力なら……いやまあ主にユリーナの力なら、この程度の金額すぐに稼げてしまうことだろう。それならすべき事は一つだな。
「あの、この懸賞金はすべて差し上げますので、借金の返済に当ててください」
そう言いながら紙袋を差し出すが、二人とも状況を理解できないのか固まったままであった。
「今の俺にはこんなにお金があっても使い道がないので」
二人とも受け取る素振りは見せず変わらず呆然とした表情をうかべていた。そりゃそうだよな。
「えっと……じゃあここに置いておくので、あとは好きにしてくれていいです」
それだけ言い俺は部屋へと戻ることにした。半ば強制的じゃないとこの親子は受け取ってくれないだろう。
いやー、我ながら良いことをした一日だったな。今日は気持ち良く眠れそうだ。
改めて布団へ入ろうとした時、とても小さくドアがノックされた音が聞こえた。
ご主人が受け取れないということでお金を返しに来たのだろうか。いい加減素直に受け取ってほしいものだと思いながらドアを開けると、そこにいたのは娘さんの方だった。
「あの……あそこまでされて受け取らないのも逆に失礼にあたると思うので……ありがたく頂戴します! ありがとうございました!」
先程以上に長く深々と頭を下げた。
「全然本当に気にしないで」
「特に何もお返しできるものがなくて……何かできないかと、お父さんと相談しました。えーと……ベッドに寝てください」
彼女は落ち着かない様子でそのまま室内に入り、客室の内鍵を閉めた。
「初めてなので上手くできるかわかりませんが……」
自信なさ気にモジモジとしている。
これって、もしかして……! ありがちなあの展開……!
お礼は体で、ってやつなのでは!?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
84
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる