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白昼の衝撃

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 肩にかかった犬斗くんの手を「呑気に自己紹介している場合か」と言い、軽く払い除ける秀馬さん。
 その後、メガネのブリッジを中指で押し上げ、私の傍らに立つ牛坐さんを見据えた。

「牛坐、君はどうして彼女がここに来たのか、わかっているんだな?」
「まあな、考えずとも易い。千鶴の想いが強いのは明らかだが、それだけではなにも起こらないだろう。互いの願いが相まって初めて力が発揮されるのだ」
「つまり……会いたいと思っているのは、彼女だけではない、と?」

 秀馬さんの問いに、牛坐さんは肯定の意を表する微笑とともに私に告げる。
 
「なんせ、ここは猫宮の気持ちでできているからな」

 その言葉が合図のように、どこからか足音が聞こえてくる。
 犬斗くんと秀馬さんがいるテーブル席の向こう側、閉店中でいつもの明かりがない薄闇から、パッと花咲くような光がやって来た。

「ちっ……ちづちゃんっ……!?」

 驚きの声を連れて、私のすぐ前に留まる煌めき。
 いつもの涼しげな音色が掻き消えるほど、必死に走ってきた彼は膝に手をやり呼吸を整えた。
 右耳だけを飾る小さな鈴が急ぎの余韻にカラカラ揺れる。
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