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5.ナターシャとアリストの力
13
「というわけなので、悪く思う必要はありませんよ。むしろ……団長直々に魔術をかけていただけるなんて私は……くふっ、ふ、ふぐふふふ」
肩を揺らしながら、なんとも不気味な笑い方をするパトリック。
特殊な性癖を持った彼からすれば、むしろアリストの魔術はご褒美でしかなかった。
ナターシャはそんなパトリックを無視して、アリストの方を見ている。
パトリックがドMなのは承知済みなので、特に目立った反応もしない、なかなかの順応力である。
アリストに改めてお礼を言わなければ……ナターシャがそう考えて足を進めようとした時だった。
部屋の中央、五芒星の紋が入った床のちょうど真後ろに位置する窓、開け放たれていたそこから、突如として飛び込んでくる影。
その気配を察知したアリストは、窓の方を向いて右手を顔の辺りまで上げた。
すると翼をはためかせた真っ白なフクロウが、アリストの手首に器用に乗った。
それを見た瞬間、ナターシャは目と口を丸く開き、はあぁぁぁぁと感嘆の息を吐き出した。
――ふぁ……ファーンタズィーーーック!!
美しい鳥が主人のために通達の役割を果たすなど、前世の紙芝居でくらいしか見たことがなかったナターシャは、興奮して瞳を輝かせた。
その鳥が伝達役を担っているとわかった理由は、黄色い嘴に白い封筒を咥えていたからだ。
まさに降り積もる新雪のように純白なスノークロウは、クリッとした黒い瞳にアリストを映しながら、嘴に咥えたそれを彼に差し出す。
「す、スノ……あ、ありがと」
そう言ってアリストが左手で封筒を受け取ると、『スノ』は彼の手首から肩に移動した。
魔力を秘めた魔獣の一種であるスノークロウは、定期的に王都へ行き、ティルバイト行きの書面を配達している、伝書鳩のような存在だった。
まるでファンタジー映画のような一場面を、しばしうっとりと眺めるナターシャだったが、それが続いたのは、アリストが手紙を見るまでだった。
白い封筒を開けたアリストは、中に入っていた手紙を広げて見るなり、カタカタと小刻みに震え出す。
そして内容を理解した瞬間、突然手紙をビリビリに破り始めると、細かくなった断片の塊を、バッと目の前に散らした。
巨匠が駄作を破壊するかの如く荒ぶるアリストに、ナターシャは驚き、そして心配になった。
「あっ、アリスト!? 一体なにが……!?」
「……おそらく、王宮からの招待状でしょう。もうそろそろソリスティリア王国、建国百周年記念ですので、それのお誘いかと」
「ああ、なるほど……」
パトリックはそう言うと、右手人差し指を立て、魔力を操り、アリストの周りに散った手紙の破片を拾い集める。
パトリックの指先から滲み出す紫色のゆらめきが、彼の動きに合わせて動き、クレーンのような役割を果たしているのだ。
やがてパトリックのすぐ正面の空間に集められた手紙の欠片たち。紫のオーラに包まれ宙に浮いたそれは、全部揃っているのだろうが、細かくちぎられているため、繋ぎ合わせるのが大変そうだ。
肩を揺らしながら、なんとも不気味な笑い方をするパトリック。
特殊な性癖を持った彼からすれば、むしろアリストの魔術はご褒美でしかなかった。
ナターシャはそんなパトリックを無視して、アリストの方を見ている。
パトリックがドMなのは承知済みなので、特に目立った反応もしない、なかなかの順応力である。
アリストに改めてお礼を言わなければ……ナターシャがそう考えて足を進めようとした時だった。
部屋の中央、五芒星の紋が入った床のちょうど真後ろに位置する窓、開け放たれていたそこから、突如として飛び込んでくる影。
その気配を察知したアリストは、窓の方を向いて右手を顔の辺りまで上げた。
すると翼をはためかせた真っ白なフクロウが、アリストの手首に器用に乗った。
それを見た瞬間、ナターシャは目と口を丸く開き、はあぁぁぁぁと感嘆の息を吐き出した。
――ふぁ……ファーンタズィーーーック!!
美しい鳥が主人のために通達の役割を果たすなど、前世の紙芝居でくらいしか見たことがなかったナターシャは、興奮して瞳を輝かせた。
その鳥が伝達役を担っているとわかった理由は、黄色い嘴に白い封筒を咥えていたからだ。
まさに降り積もる新雪のように純白なスノークロウは、クリッとした黒い瞳にアリストを映しながら、嘴に咥えたそれを彼に差し出す。
「す、スノ……あ、ありがと」
そう言ってアリストが左手で封筒を受け取ると、『スノ』は彼の手首から肩に移動した。
魔力を秘めた魔獣の一種であるスノークロウは、定期的に王都へ行き、ティルバイト行きの書面を配達している、伝書鳩のような存在だった。
まるでファンタジー映画のような一場面を、しばしうっとりと眺めるナターシャだったが、それが続いたのは、アリストが手紙を見るまでだった。
白い封筒を開けたアリストは、中に入っていた手紙を広げて見るなり、カタカタと小刻みに震え出す。
そして内容を理解した瞬間、突然手紙をビリビリに破り始めると、細かくなった断片の塊を、バッと目の前に散らした。
巨匠が駄作を破壊するかの如く荒ぶるアリストに、ナターシャは驚き、そして心配になった。
「あっ、アリスト!? 一体なにが……!?」
「……おそらく、王宮からの招待状でしょう。もうそろそろソリスティリア王国、建国百周年記念ですので、それのお誘いかと」
「ああ、なるほど……」
パトリックはそう言うと、右手人差し指を立て、魔力を操り、アリストの周りに散った手紙の破片を拾い集める。
パトリックの指先から滲み出す紫色のゆらめきが、彼の動きに合わせて動き、クレーンのような役割を果たしているのだ。
やがてパトリックのすぐ正面の空間に集められた手紙の欠片たち。紫のオーラに包まれ宙に浮いたそれは、全部揃っているのだろうが、細かくちぎられているため、繋ぎ合わせるのが大変そうだ。
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