転生悪役令嬢とヤンデレ魔術師のゆるっとやり直し生活(希望)〜今世は大聖女ですが気楽に生きてみせますわ!〜

碧野葉菜

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9.若き国王

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「驚いたな、その辺に転がっている石ころが、磨けば光る宝石だったとは」

 じりじりと迫り来るジオバールに、一歩、また一歩と後退りするナターシャ。
 身分を重んじるジオバールが、追放者を女として見るなんてあり得ない。
 そう考えていたナターシャは、完全に不意を突かれた。
 ドレスアップして美貌を晒すことでなにか起こるのではないかと、危惧していたことが現実になってしまったのだ。

「ナターシャ、俺の女になれ」

 ジオバールの台詞に、ナターシャの遠い記憶が呼び起こされる。
 
『ナタリー、俺の女になれ』
『ジオフォード、何度口説かれようとあなたの気持ちに応えることはできませんわ』

 ――そう。前世でもこの男はわたくしを求めた。そしてわたくしが拒絶したことで……恨みを買ったんですわ……!
 ジオバールとの因縁を思い出したナターシャは、キュッと唇を噛みしめた。
 ナターシャがバリアーでも発動させれば、ジオバールなど簡単に跳ね除けることができるだろう。
 しかし、魔法を使えば、本来の力がバレてしまう。
 一体どうすればいいのかと、ナターシャは苦悩した。

「そうすれば陛下に口を利いてやる、追放は取り消し、聖女の資格を与えて王都に呼び戻してやろう。なぁに、簡単なことだ、テレスは俺には滅多に逆らえない、実質の権力者はこの俺なのだからな」

 ――いやいやいやっ、なーーに余計なこと考えてくれてやがるんですのーー!? ジョーーダンじゃありませんわよーー! せっかく追放先で楽しくやっているというのにーー!!
 ありがた迷惑殺烈のジオバールに、ナターシャは心の中で死ぬほど異議を申し立てる。
 
「へ、陛下のことを呼び捨てにするだなんて、無礼なのでは……」
「はっ、無礼なものか、いずれこの国は俺のものになるのだからな、そうなれば貴様を妃に迎えてやってもいいぞ」

 ――なに、今? なんて言いましたの? きさき、妃って言いました? わたくしがあなたの? きんもちわるーーー!!!
 ジオバールが国を乗っ取ろうとしていることよりも、自分を娶ろうとしていることが我慢ならないナターシャ。
 その間にもジオバールはじわじわと距離を詰めてきて、ついにナターシャは壁際に追い込まれてしまった。
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