139 / 309
9.若き国王
9
「驚いたな、その辺に転がっている石ころが、磨けば光る宝石だったとは」
じりじりと迫り来るジオバールに、一歩、また一歩と後退りするナターシャ。
身分を重んじるジオバールが、追放者を女として見るなんてあり得ない。
そう考えていたナターシャは、完全に不意を突かれた。
ドレスアップして美貌を晒すことでなにか起こるのではないかと、危惧していたことが現実になってしまったのだ。
「ナターシャ、俺の女になれ」
ジオバールの台詞に、ナターシャの遠い記憶が呼び起こされる。
『ナタリー、俺の女になれ』
『ジオフォード、何度口説かれようとあなたの気持ちに応えることはできませんわ』
――そう。前世でもこの男はわたくしを求めた。そしてわたくしが拒絶したことで……恨みを買ったんですわ……!
ジオバールとの因縁を思い出したナターシャは、キュッと唇を噛みしめた。
ナターシャがバリアーでも発動させれば、ジオバールなど簡単に跳ね除けることができるだろう。
しかし、魔法を使えば、本来の力がバレてしまう。
一体どうすればいいのかと、ナターシャは苦悩した。
「そうすれば陛下に口を利いてやる、追放は取り消し、聖女の資格を与えて王都に呼び戻してやろう。なぁに、簡単なことだ、テレスは俺には滅多に逆らえない、実質の権力者はこの俺なのだからな」
――いやいやいやっ、なーーに余計なこと考えてくれてやがるんですのーー!? ジョーーダンじゃありませんわよーー! せっかく追放先で楽しくやっているというのにーー!!
ありがた迷惑殺烈のジオバールに、ナターシャは心の中で死ぬほど異議を申し立てる。
「へ、陛下のことを呼び捨てにするだなんて、無礼なのでは……」
「はっ、無礼なものか、いずれこの国は俺のものになるのだからな、そうなれば貴様を妃に迎えてやってもいいぞ」
――なに、今? なんて言いましたの? きさき、妃って言いました? わたくしがあなたの? きんもちわるーーー!!!
ジオバールが国を乗っ取ろうとしていることよりも、自分を娶ろうとしていることが我慢ならないナターシャ。
その間にもジオバールはじわじわと距離を詰めてきて、ついにナターシャは壁際に追い込まれてしまった。
じりじりと迫り来るジオバールに、一歩、また一歩と後退りするナターシャ。
身分を重んじるジオバールが、追放者を女として見るなんてあり得ない。
そう考えていたナターシャは、完全に不意を突かれた。
ドレスアップして美貌を晒すことでなにか起こるのではないかと、危惧していたことが現実になってしまったのだ。
「ナターシャ、俺の女になれ」
ジオバールの台詞に、ナターシャの遠い記憶が呼び起こされる。
『ナタリー、俺の女になれ』
『ジオフォード、何度口説かれようとあなたの気持ちに応えることはできませんわ』
――そう。前世でもこの男はわたくしを求めた。そしてわたくしが拒絶したことで……恨みを買ったんですわ……!
ジオバールとの因縁を思い出したナターシャは、キュッと唇を噛みしめた。
ナターシャがバリアーでも発動させれば、ジオバールなど簡単に跳ね除けることができるだろう。
しかし、魔法を使えば、本来の力がバレてしまう。
一体どうすればいいのかと、ナターシャは苦悩した。
「そうすれば陛下に口を利いてやる、追放は取り消し、聖女の資格を与えて王都に呼び戻してやろう。なぁに、簡単なことだ、テレスは俺には滅多に逆らえない、実質の権力者はこの俺なのだからな」
――いやいやいやっ、なーーに余計なこと考えてくれてやがるんですのーー!? ジョーーダンじゃありませんわよーー! せっかく追放先で楽しくやっているというのにーー!!
ありがた迷惑殺烈のジオバールに、ナターシャは心の中で死ぬほど異議を申し立てる。
「へ、陛下のことを呼び捨てにするだなんて、無礼なのでは……」
「はっ、無礼なものか、いずれこの国は俺のものになるのだからな、そうなれば貴様を妃に迎えてやってもいいぞ」
――なに、今? なんて言いましたの? きさき、妃って言いました? わたくしがあなたの? きんもちわるーーー!!!
ジオバールが国を乗っ取ろうとしていることよりも、自分を娶ろうとしていることが我慢ならないナターシャ。
その間にもジオバールはじわじわと距離を詰めてきて、ついにナターシャは壁際に追い込まれてしまった。
あなたにおすすめの小説
政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~
巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!?
////////////////////////////////////////////////////
悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。
しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。
琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇!
※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……?
※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。
※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。
隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。
あなたを見送るための
あかね
ファンタジー
私の最初の記憶は、彼の死を喜ぶものだった。私は、好きだった人物が死んだあとの世界に転生した。そして、思いがけず彼の墓守になることになり、化け物が現れると言う場所で生活を始める。推しがいない世界で祈るだけの生活は平穏だったけど、私の知らぬところで問題は発生していたのだった。
悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~
オレンジ方解石
ファンタジー
恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。
世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。
アウラは二年後に処刑されるキャラ。
桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~
スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。
しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。
「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」
泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。
数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。
「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」