転生悪役令嬢とヤンデレ魔術師のゆるっとやり直し生活(希望)〜今世は大聖女ですが気楽に生きてみせますわ!〜

碧野葉菜

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10.アリストの覚悟

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「あの……アリスト、なぜわたくしを魔術学校に誘ってくださったんですの?」

 これぐらいは聞いてもいいだろう、そう考えたナターシャはアリストに問いかけた。
 するとアリストは相変わらず前を見たまま答える。

「あ、会わせたい、ひ、人がいるんだ」
「えっ、そ、それってもしや、ご両親とか……!?」
「う、ううん」

 ナターシャの期待混じりの質問を、あっさりと否定するアリスト。
 ナターシャは拍子抜けしながら、思わず食いついてしまった自分が恥ずかしくなった。
 しかし、家族以外でわざわざ会わせたい相手というのは……?

「ぼ、ボクの恩師……の、む、息子さん」

 ナターシャはアメジストの瞳を丸くして、二、三度静かに瞬きした。

「アリストの恩師とは……つまり、アリストに魔術を教えてくださった指導者、ということですか?」
「そ、そうだね、ぼ、ボクが、魔術を好きになる、き、きっかけになった人だったんだ」

 ナターシャはアリストの台詞を脳内でリピートする。
 きっかけになった人『だった』んだと――確かにアリストはそう言った。
 だとしたら、その『恩師』本人はもうこの世にいないのかしれない。だから息子の方に会わせる……と考えれば納得がいく。
 アリストが魔術を始めるきっかけになった人の子供なんて、下手な肉親よりも、よほど重要な相手ではないか。
 
「なるほどですわ、そんな大切な方のご子息にお会いできるだなんて、光栄ですわね」
「そ、そう?」
「もちろんですわよ」

 ナターシャは以前から、アリストがなぜ魔術の道に入ったのか気になっていたので、それを知るきっかけになるかもしれないと喜んだ。
 単純に、好きな相手のことなら、なんでも知りたいというのもあるが。
 
「その方が魔術学校にいらっしゃるんですのね?」
「う、うん」

 魔術学校にいるということは、在学中の魔術学生だろうか。だとしたらもしや、パトリックのような癖強の……
 うっかりパトリックのことを想像してしまったナターシャは、自分が作り出したパトリックに「なんなんですか」と睨みつけられることになった。
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