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あふれる想い
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穏花は純白の世界で、真紅の薔薇が咲き乱れ、弾け、花弁のシャワーが舞い散るのを見た。
時間にしてほんの刹那――穏花は確かに美汪と二人ぼっちの宇宙を見た。
二人きりに……なってもかまわない、否、なりたいと願っていた。
普段つり上がった目尻が優しげにしなり、僅かな皺を刻んだ美汪の微笑みは、穏花自身にその想いを急速に自覚させた。
なぜ、今まで気づけなかったのだろうと思うほど、その恋心は穏花のすべてを占拠するほど歴然たる姿で君臨していた。
――私、美汪が、好きなんだ……。
圭太への気持ちは、あくまで友人の延長であった。
一緒にいると楽しい。ただそれだけの、恋に恋する経験であった。
だが美汪に対してはどうだろう?
思考を巡らせる隙もなく、気づいた時にはもう抜け出せないほど深みにはまっている。
恋とは頭でするものではなく、手遅れに落ちてしまうものなのだと、穏花は知った。
ようやく異空間から生還し我に返った穏花は、みるみるうちに全身の熱が高まるのを感じた。
今にもはちきれんばかりの想いが堰を切って溢れ出てしまいそうで、穏花は慌てて口を両手で押さえつけた。
たった今気持ちを自覚したところなのに、油断すると唇から「大好き」という台詞がこぼれてしまいそうだった。
時間にしてほんの刹那――穏花は確かに美汪と二人ぼっちの宇宙を見た。
二人きりに……なってもかまわない、否、なりたいと願っていた。
普段つり上がった目尻が優しげにしなり、僅かな皺を刻んだ美汪の微笑みは、穏花自身にその想いを急速に自覚させた。
なぜ、今まで気づけなかったのだろうと思うほど、その恋心は穏花のすべてを占拠するほど歴然たる姿で君臨していた。
――私、美汪が、好きなんだ……。
圭太への気持ちは、あくまで友人の延長であった。
一緒にいると楽しい。ただそれだけの、恋に恋する経験であった。
だが美汪に対してはどうだろう?
思考を巡らせる隙もなく、気づいた時にはもう抜け出せないほど深みにはまっている。
恋とは頭でするものではなく、手遅れに落ちてしまうものなのだと、穏花は知った。
ようやく異空間から生還し我に返った穏花は、みるみるうちに全身の熱が高まるのを感じた。
今にもはちきれんばかりの想いが堰を切って溢れ出てしまいそうで、穏花は慌てて口を両手で押さえつけた。
たった今気持ちを自覚したところなのに、油断すると唇から「大好き」という台詞がこぼれてしまいそうだった。
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