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観劇と行く末
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ヘンリエッタ様のための人形は無事に完成した。納品の際、取りに来たヘンリエッタ様は、それはそれはうっとりとした顔で見ていた。
「素敵……」
「ありがとうございます」
声は高めで、女性が男装してしゃべっていると言ってもなんの遜色もない。しかしなあ……。私は老婆心でボソリと言う。
「どうか、人形とだけお話しなさらないでくださいね。心配なさっている方もおられますから」
「……は、い」
ヘンリエッタ様は人形の腕にしがみつきながら、立ち去っていった。しがみついたときにきちんと腰に手を添えてエスコートしていく人形。
大丈夫かな、ヘンリエッタ様とコーニーリアス様。私は気を揉みながらも見送っていった。
一方、コーニーリアス様も私のつくった人形風衣装を着て、うきうきとしていた。
外見が中性的なせいで、オーソドックスな男性人形よりもサイズは小さめながらも、それが返って男装劇団の女優に近い凜々しさを与えていて、コーニーリアス様のどこかあどけない雰囲気を引き締めてくれているようだった。
「ありがとうございます……」
「採寸の末につくりましたけれど、こちらで大丈夫ですか?」
「はい、問題ありません……今度、彼女と観劇に行くんです」
「あら?」
私は思わず目をパチパチさせた。まだヘンリエッタ様の男性恐怖症は、人形を引き渡したばかりで、すぐ対処できるとは思っていなかったけれど。
コーニーリアス様ははにかんで頷いた。
「彼女が男装劇団の観劇が好きなので、どうにか彼女の理想を見てみたくて……誘いました……今まではちっともお茶会などもできなかったのですが……」
「それはそれは……おめでとうございます。どうかお話を聞いてあげてくださいませ」
「はい。本当にありがとうございます」
そう言いながら、うきうきとコーニーリアス様は去って行った。
うーん。私は元気な背中を見送りながら、心配になる。コーニーリアス様、ご存じなのかしら。ヘンリエッタ様が人形をお買い求めになった話。彼女も男性恐怖症を治したいと言っていたのだから、悪い方向には転がらないとは思うけど、しかし。
そうは思っても、私も顧客情報をそうペラペラとしゃべる訳にもいかないしなあ。ふたりが上手くいきますようにと、そう祈ること以外はいち人形師にはできないのです。ごめんなさい。
****
それはさておき、観劇の服である。
前日、私は店を閉めると自室に篭もって手持ちの服を確認していた。
私は基本的に仕事着には黒いワンピースしか着ていない。出かけるときはその上に黒ローブだけれど、観劇の際にはドレスコードがあるから、よそ行きの服の上に黒ローブは駄目だろう。でもなあ……。
私は鏡を見て、目立つ赤い髪に溜息をついた。
魔女だって一発でわかる赤い髪は、王都でこそちょっと物珍しいもので済むけれど、郊外では石を投げられやすいんだ。魔女はただ普通に魔法を使って生活しているだけでも、一時期は悪いことをものすごくしたせいで嫌われ、赤い髪を見たら石を投げてもいいなんて不文律ができてしまっている。
シリルさんが何度褒めてくれても、心に突き刺さっているトラウマはちょっとやそっとじゃ消え去ることはない。
おまけに髪は硬く、ひとつの三つ編みにふん縛らないと、古くなった箒のようにあっちこっちにぶわりと広がってとっちらかってしまう。
ドレスのことを考えるためにも、髪をどうにかしないとと、私は本を見ながらシャンプーとリンスをつくりはじめた。とにかく固くてすぐ広がる髪を、夜会巻きにでもしてしまわなったら、帽子あるなし関わらず、邪魔でしょうがないだろう。
ローズマリー、カモミール、メリッサ、重曹、真珠の粉。それらをお湯で溶いて濾してシャンプーにする。
そしてリンスとしてベルガモットを搾って使う。
髪が少しだけ柔らかくなったのを見計らい、よく乾かしてから、髪を結びはじめた。爆発していた髪を、なんとか夜会巻きで封印してまとめ上げてから、服を探しはじめた。
「うーん……」
基本的に私、黒いワンピースしか持ってないんだよなあ。観劇だって、シリルさんがチケットを用意してくれなかったら行けなかった訳だし。だとしたら、つくる……?
「……自分の服を?」
そりゃ自分のワンピースくらいだったら自分でつくるものの、自分に似合う色も服もわからないのに、手探りでドレスを縫うことは、さすがにできない。
メイド人形に嬉々として可愛らしいワンピースを縫うのとは勝手が違うのだ。だって、シリルさんと観劇に行くのに。
どうしよう……。そう思っていたところで。
「すみませーん。宅配便屋でーす」
「……はい?」
基本的に物は全部自分で買いに行ったり取りに行ったりしているから、宅配便屋さんを使うことはごく稀だ。
私はあわあわしながら受け取りに行き、目を剥いた。
差出人が、王都でも有数の貴族相手に商売をしている服飾店からだったのだ。
なに、私そんなところ、見たことはあっても、入ったことも、ましてや自分のものを買いに行ったことだってない。
「あ、あのう……こちらは、どうして……?」
「はい? 服飾店でのお買い上げ商品のお届けですけれど」
「はい?」
宛名をよくよく見たら、シリルさんの名前があったのに、私は「ひゃっ」と声を上げた。
あの人、わざわざ観劇の話をしたと思ったら、服まで。
ひとまず宅配便屋さんにサインをして帰ってもらいながら、自室まで服を震えながら持って帰った。出てきたドレスは、意外なことにスカーレット色のふわりと広がったスカートのドレスだった。
可愛らしい印象で、私はその形のワンピースを嬉々としてメイド人形たちに着せていたけれど、自分でそれを着ようと思い立ったことはない。
「……シリルさん、なんでこんな可愛いドレスを、私に……」
触ってみると、手触りが柔らかくて心地よく。ますますどうしてこんな素敵なものを私にくれたのと考えてしまう。
でも。少しだけ袖を通してみると、ドレスのサイズはしっくりときた。スカート丈も長過ぎることもなければ短過ぎることもない。おまけにドレスが派手な色をしているため、赤い髪が意外と目立たない。
あの人。私はシリルさんについて考えた。思っている以上に、洒落た人だったんだな。でも首元がスースーするために、本来ならばアクセサリーのひとつでも付けたいところだけれど。
なにかひとつくらいなかったかと探し出したら、店を独立するまでお世話になった人形師の師匠から、餞別でくれた翡翠のペンダントが出てきた。
翠色の石を胸元に飾れば、なんとか様になった。
これで、明日シリルさんと出かけられる。そう考えたら、泣きたくなるほど嬉しくなった。
****
翌日。私は久々にローブを被らず足取り軽く歩いていた。
赤いドレスのおかげで、周りも私の髪より先にドレスに視線が行くせいで目立たない。そう考えると、気軽に歩くことができた。
そうだ、いつもは恋人人形の裏地に使っている赤い布がたくさんある。今度あれで赤いワンピースを一着縫ってみよう。赤い服を着たら、もっと誤魔化しができるようになるかもしれない。
そう思いながら歩いていると。
シリルさんが立っていることに気が付いた。普段は白い騎士団服を着ているせいで、黒い燕尾服という観劇のドレスコードに添った格好は新鮮に思えた。人形のような仰々しい格好から正統派の姿まで、なんでも似合う人だなあと感心する。
「シリルさん」
私が声をかけると、シリルさんは驚いたように碧い瞳でこちらを凝視する。
「……エスター、か?」
「あ、はい。素敵なドレスありがとうございます。でもこれ……サイズぴったりでしたけど、よく私のサイズがわかりましたね?」
「記憶力には自信がある。店に通ってサイズを確認した」
「……どんな確認なんですかぁ。教えてくだされば、私自分でサイズ言いましたのに」
「……それは、気にしないものなのか?」
「さあ。私の場合、自分で縫いますから」
「そうか」
こうして私たちはのんびりと歩く。
王都中央部に劇場が密集しているのだから、それまでの間は私たちの時間だ。
「素敵……」
「ありがとうございます」
声は高めで、女性が男装してしゃべっていると言ってもなんの遜色もない。しかしなあ……。私は老婆心でボソリと言う。
「どうか、人形とだけお話しなさらないでくださいね。心配なさっている方もおられますから」
「……は、い」
ヘンリエッタ様は人形の腕にしがみつきながら、立ち去っていった。しがみついたときにきちんと腰に手を添えてエスコートしていく人形。
大丈夫かな、ヘンリエッタ様とコーニーリアス様。私は気を揉みながらも見送っていった。
一方、コーニーリアス様も私のつくった人形風衣装を着て、うきうきとしていた。
外見が中性的なせいで、オーソドックスな男性人形よりもサイズは小さめながらも、それが返って男装劇団の女優に近い凜々しさを与えていて、コーニーリアス様のどこかあどけない雰囲気を引き締めてくれているようだった。
「ありがとうございます……」
「採寸の末につくりましたけれど、こちらで大丈夫ですか?」
「はい、問題ありません……今度、彼女と観劇に行くんです」
「あら?」
私は思わず目をパチパチさせた。まだヘンリエッタ様の男性恐怖症は、人形を引き渡したばかりで、すぐ対処できるとは思っていなかったけれど。
コーニーリアス様ははにかんで頷いた。
「彼女が男装劇団の観劇が好きなので、どうにか彼女の理想を見てみたくて……誘いました……今まではちっともお茶会などもできなかったのですが……」
「それはそれは……おめでとうございます。どうかお話を聞いてあげてくださいませ」
「はい。本当にありがとうございます」
そう言いながら、うきうきとコーニーリアス様は去って行った。
うーん。私は元気な背中を見送りながら、心配になる。コーニーリアス様、ご存じなのかしら。ヘンリエッタ様が人形をお買い求めになった話。彼女も男性恐怖症を治したいと言っていたのだから、悪い方向には転がらないとは思うけど、しかし。
そうは思っても、私も顧客情報をそうペラペラとしゃべる訳にもいかないしなあ。ふたりが上手くいきますようにと、そう祈ること以外はいち人形師にはできないのです。ごめんなさい。
****
それはさておき、観劇の服である。
前日、私は店を閉めると自室に篭もって手持ちの服を確認していた。
私は基本的に仕事着には黒いワンピースしか着ていない。出かけるときはその上に黒ローブだけれど、観劇の際にはドレスコードがあるから、よそ行きの服の上に黒ローブは駄目だろう。でもなあ……。
私は鏡を見て、目立つ赤い髪に溜息をついた。
魔女だって一発でわかる赤い髪は、王都でこそちょっと物珍しいもので済むけれど、郊外では石を投げられやすいんだ。魔女はただ普通に魔法を使って生活しているだけでも、一時期は悪いことをものすごくしたせいで嫌われ、赤い髪を見たら石を投げてもいいなんて不文律ができてしまっている。
シリルさんが何度褒めてくれても、心に突き刺さっているトラウマはちょっとやそっとじゃ消え去ることはない。
おまけに髪は硬く、ひとつの三つ編みにふん縛らないと、古くなった箒のようにあっちこっちにぶわりと広がってとっちらかってしまう。
ドレスのことを考えるためにも、髪をどうにかしないとと、私は本を見ながらシャンプーとリンスをつくりはじめた。とにかく固くてすぐ広がる髪を、夜会巻きにでもしてしまわなったら、帽子あるなし関わらず、邪魔でしょうがないだろう。
ローズマリー、カモミール、メリッサ、重曹、真珠の粉。それらをお湯で溶いて濾してシャンプーにする。
そしてリンスとしてベルガモットを搾って使う。
髪が少しだけ柔らかくなったのを見計らい、よく乾かしてから、髪を結びはじめた。爆発していた髪を、なんとか夜会巻きで封印してまとめ上げてから、服を探しはじめた。
「うーん……」
基本的に私、黒いワンピースしか持ってないんだよなあ。観劇だって、シリルさんがチケットを用意してくれなかったら行けなかった訳だし。だとしたら、つくる……?
「……自分の服を?」
そりゃ自分のワンピースくらいだったら自分でつくるものの、自分に似合う色も服もわからないのに、手探りでドレスを縫うことは、さすがにできない。
メイド人形に嬉々として可愛らしいワンピースを縫うのとは勝手が違うのだ。だって、シリルさんと観劇に行くのに。
どうしよう……。そう思っていたところで。
「すみませーん。宅配便屋でーす」
「……はい?」
基本的に物は全部自分で買いに行ったり取りに行ったりしているから、宅配便屋さんを使うことはごく稀だ。
私はあわあわしながら受け取りに行き、目を剥いた。
差出人が、王都でも有数の貴族相手に商売をしている服飾店からだったのだ。
なに、私そんなところ、見たことはあっても、入ったことも、ましてや自分のものを買いに行ったことだってない。
「あ、あのう……こちらは、どうして……?」
「はい? 服飾店でのお買い上げ商品のお届けですけれど」
「はい?」
宛名をよくよく見たら、シリルさんの名前があったのに、私は「ひゃっ」と声を上げた。
あの人、わざわざ観劇の話をしたと思ったら、服まで。
ひとまず宅配便屋さんにサインをして帰ってもらいながら、自室まで服を震えながら持って帰った。出てきたドレスは、意外なことにスカーレット色のふわりと広がったスカートのドレスだった。
可愛らしい印象で、私はその形のワンピースを嬉々としてメイド人形たちに着せていたけれど、自分でそれを着ようと思い立ったことはない。
「……シリルさん、なんでこんな可愛いドレスを、私に……」
触ってみると、手触りが柔らかくて心地よく。ますますどうしてこんな素敵なものを私にくれたのと考えてしまう。
でも。少しだけ袖を通してみると、ドレスのサイズはしっくりときた。スカート丈も長過ぎることもなければ短過ぎることもない。おまけにドレスが派手な色をしているため、赤い髪が意外と目立たない。
あの人。私はシリルさんについて考えた。思っている以上に、洒落た人だったんだな。でも首元がスースーするために、本来ならばアクセサリーのひとつでも付けたいところだけれど。
なにかひとつくらいなかったかと探し出したら、店を独立するまでお世話になった人形師の師匠から、餞別でくれた翡翠のペンダントが出てきた。
翠色の石を胸元に飾れば、なんとか様になった。
これで、明日シリルさんと出かけられる。そう考えたら、泣きたくなるほど嬉しくなった。
****
翌日。私は久々にローブを被らず足取り軽く歩いていた。
赤いドレスのおかげで、周りも私の髪より先にドレスに視線が行くせいで目立たない。そう考えると、気軽に歩くことができた。
そうだ、いつもは恋人人形の裏地に使っている赤い布がたくさんある。今度あれで赤いワンピースを一着縫ってみよう。赤い服を着たら、もっと誤魔化しができるようになるかもしれない。
そう思いながら歩いていると。
シリルさんが立っていることに気が付いた。普段は白い騎士団服を着ているせいで、黒い燕尾服という観劇のドレスコードに添った格好は新鮮に思えた。人形のような仰々しい格好から正統派の姿まで、なんでも似合う人だなあと感心する。
「シリルさん」
私が声をかけると、シリルさんは驚いたように碧い瞳でこちらを凝視する。
「……エスター、か?」
「あ、はい。素敵なドレスありがとうございます。でもこれ……サイズぴったりでしたけど、よく私のサイズがわかりましたね?」
「記憶力には自信がある。店に通ってサイズを確認した」
「……どんな確認なんですかぁ。教えてくだされば、私自分でサイズ言いましたのに」
「……それは、気にしないものなのか?」
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