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避暑地を尋ねる
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夏至が終わると、いよいよ日が照り、暑い日が続く。
洗濯物がよく乾くのはいいけれど、これだけ暑いと水をどれだけ飲んでも飲み足りない。幸いと言っては難だけれど、王都は夏休みの時期になったら、王立学園に通っているようなご令嬢たちは一斉に避暑地に行ってしまうため、恋人人形づくりの作業はなくなるのだ。
それだけでは私も生活は成り立たないもの、人手が一気にいなくなる時期には入れ替わりでメイド人形を受注するケースが増える。
私はその日もメイド人形を順番で顔をつくり、組み立て、メイド服を着せていた。その合間合間で、修理作業を行っている中。
「すみません郵便です」
「はあい」
届いた手紙を見たら、お久し振りのラモーナ様だった。
「あらまあ……なにかしら」
前に「遊びにいらして」と簡単に言われたものの、そう簡単に店を休んで出かける訳にもいかないしなあと思っていたけど。
とりあえずペーパーナイフで封を切ってから、中を覗いてみることにした。
『お久し振りです。お元気ですか?
私は旦那様と日々楽しく暮らしております。
突然ですが、今度避暑地にいらっしゃいませんか?
執事人形の起動がおかしいので見て欲しいのです。ついでに避暑地のごちそうをたくさん召し上がってくださいませ』
「まあ……」
そういえば。あまり郊外には行きたくないけれど、避暑地だったらあんまり人がいないしなあ。ラモーナ様も気を遣って依頼という形で私を呼んでくださったのだろうし。
私は手紙で『お邪魔します』と書いて送り返す。
そうと決まったら、さすがに魔女という格好で行く訳にもいかず、私は慌ててワンピースを縫いはじめた。
避暑地に向かう家庭教師風を意識したワンピースであり、水色のものにした。
髪も普段の剛毛を頑張ってシャンプーとリンスをして夜会巻きにし、麦わら帽子の中に入れた。どれだけ向こうにいるのかわからないから、着替えの服もたくさん入れて、鞄を閉じた。
そして納品用の人形を急いでつくり、残りの納品日は間に合いそうな旨を確認してから、一旦店をしばらく休む貼り紙を書きはじめた。
私が貼り紙を書いている中、どたどたと足音が響いてきた。
「エスター、来たぞ」
「いらっしゃいませー」
私の貼り紙を見て、シリルさんはパチリと目を瞬かせた。
「なんだ、どこかに行くのか?」
「ラモーナ様に招待されたんですよ。避暑地に行くんです」
「……郊外だが、大丈夫なのか。エスターの心境的に」
「人形が壊れたようですので、メンテナンスに行かないと。たしかに私だってちょっぴり怖いですけどね。でも」
私はにこやかに笑う。
この人はどうしてこんなに私に優しいのかはわからないけれど、この人のおかげで、少しだけ自分のことを好きになれた。
赤い髪。魔力が多過ぎてちっとも染髪料で染まってくれない禍々しい色。それを何度も「綺麗だ」「ダリアのようだ」と言ってくれたのは、この人くらいだった。
郊外だと、もうちょっとだけ厳しいけれど。でも。
「だから大丈夫ですよ」
「……そうか。すまない。俺もバカンスが取れたらよかったが」
王都所属の騎士団は、基本的に長期休暇は取れない。
「知ってますよ。お気になさらず」
こうして、私は蒸気機関車に乗って、しばらくの旅行へと向かうことになったのだ。
洗濯物がよく乾くのはいいけれど、これだけ暑いと水をどれだけ飲んでも飲み足りない。幸いと言っては難だけれど、王都は夏休みの時期になったら、王立学園に通っているようなご令嬢たちは一斉に避暑地に行ってしまうため、恋人人形づくりの作業はなくなるのだ。
それだけでは私も生活は成り立たないもの、人手が一気にいなくなる時期には入れ替わりでメイド人形を受注するケースが増える。
私はその日もメイド人形を順番で顔をつくり、組み立て、メイド服を着せていた。その合間合間で、修理作業を行っている中。
「すみません郵便です」
「はあい」
届いた手紙を見たら、お久し振りのラモーナ様だった。
「あらまあ……なにかしら」
前に「遊びにいらして」と簡単に言われたものの、そう簡単に店を休んで出かける訳にもいかないしなあと思っていたけど。
とりあえずペーパーナイフで封を切ってから、中を覗いてみることにした。
『お久し振りです。お元気ですか?
私は旦那様と日々楽しく暮らしております。
突然ですが、今度避暑地にいらっしゃいませんか?
執事人形の起動がおかしいので見て欲しいのです。ついでに避暑地のごちそうをたくさん召し上がってくださいませ』
「まあ……」
そういえば。あまり郊外には行きたくないけれど、避暑地だったらあんまり人がいないしなあ。ラモーナ様も気を遣って依頼という形で私を呼んでくださったのだろうし。
私は手紙で『お邪魔します』と書いて送り返す。
そうと決まったら、さすがに魔女という格好で行く訳にもいかず、私は慌ててワンピースを縫いはじめた。
避暑地に向かう家庭教師風を意識したワンピースであり、水色のものにした。
髪も普段の剛毛を頑張ってシャンプーとリンスをして夜会巻きにし、麦わら帽子の中に入れた。どれだけ向こうにいるのかわからないから、着替えの服もたくさん入れて、鞄を閉じた。
そして納品用の人形を急いでつくり、残りの納品日は間に合いそうな旨を確認してから、一旦店をしばらく休む貼り紙を書きはじめた。
私が貼り紙を書いている中、どたどたと足音が響いてきた。
「エスター、来たぞ」
「いらっしゃいませー」
私の貼り紙を見て、シリルさんはパチリと目を瞬かせた。
「なんだ、どこかに行くのか?」
「ラモーナ様に招待されたんですよ。避暑地に行くんです」
「……郊外だが、大丈夫なのか。エスターの心境的に」
「人形が壊れたようですので、メンテナンスに行かないと。たしかに私だってちょっぴり怖いですけどね。でも」
私はにこやかに笑う。
この人はどうしてこんなに私に優しいのかはわからないけれど、この人のおかげで、少しだけ自分のことを好きになれた。
赤い髪。魔力が多過ぎてちっとも染髪料で染まってくれない禍々しい色。それを何度も「綺麗だ」「ダリアのようだ」と言ってくれたのは、この人くらいだった。
郊外だと、もうちょっとだけ厳しいけれど。でも。
「だから大丈夫ですよ」
「……そうか。すまない。俺もバカンスが取れたらよかったが」
王都所属の騎士団は、基本的に長期休暇は取れない。
「知ってますよ。お気になさらず」
こうして、私は蒸気機関車に乗って、しばらくの旅行へと向かうことになったのだ。
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