上 下
46 / 137

解放編-4

しおりを挟む
カギはリッタさんから預かっていた

お店に戻って、骨董屋さんがピアノを届けてくれるのを待つ

店の窓際の奥をピアノ置き場として使っていいと言ってもらった

「早く来ないかな~」
ドキドキ!

「うれしそうですね」
シェイクにコフェアを出して、二人で待つ

「はい!」

買ってきた楽譜を眺めながら、指を動かす
ああ~そうそう!こういう感じね

でも、やっぱり前の世界で聞いた曲はどれもない
文明がちがければそりゃそうだよね

まぁ思い出しながら知っている曲を楽譜に起こすのもいいかな



なんてニコニコして考えていたら大きな荷台がはいってきた

「きた!!!」
お店を出たらピアノをおろしているところだった

おじいちゃんが従業員さんらしき人に指示している

「おまたせ、お嬢ちゃん。どこに運ぶんじゃ??」
ふぅ~~と腰に手を当てている

ピアノ重たいものね

「こっちです!お店の中にお願いします!」


指定した場所へ置いてもらった

「うわ~!うれしい!!」
弾かなくてもインテリアとしての効果もかなりある

きちんと綺麗にして持ってきてくれたので、ピアノ独特の輝きがでている

セットの椅子がなかったが、高さを調節できる椅子をつけてくれた

「今度、わしにも聞かせておくれ」

「はいもちろんです!」

そうだ
おじいちゃん少しでも回復するように・・・「これ、もらってください」
カップケーキを渡した

「おや、いい匂いだね。ありがとう。いただくよ」
ありがとうございました!と再度頭を下げて見送る



よし!次は修理だ!

シェイクにピアノの構造を簡単に説明して開いてみた

「なるほど。そのハンマーの部分が壊れていますね」
「ああ、こっちもですね」

いろいろとカチャカチャとやってくれている

手が長く、指が細く、まさにシェイクが弾いたら絵になるだろうな

「マキアちゃん、ちょっと部品が足りませんね」

「やっぱり、そうですよね」

ただずれていたりするだけならまだ直しようがあると思うけども
きっとピアノの劣化と移動時の振動で破損があるのだろう

「似たような材質でちょっと作りますので、少し時間をいただいてもいいですか?」

「もちろんです!無理しないでくださいね。
お仕事もあるし、ピアノなんて後回しで構いません!」

すぐ直るとは思っていなかったけど、弾けなかったのはちょっと残念

「今の状態でも音がでますが・・・・何か弾けますか?」

??
音が出ない鍵盤は確認したからわかるけど

それを使わないで弾ける曲は・・・何かあったかな

う~ん・・・

「花の歌・・・」

イスに座って姿勢を正す
この瞬間が好きだ
緊張感もでて、自分だけの時間になる



~~~♪最初はスローテンポで
指が動く

~~~♪なめらかに
この子の指は短いけどちゃんと弾けるね

~~~♪途中から少し激しく、軽やかに
確かランゲの曲だったかな。好きな曲はよく練習していたから

~~~♪春の花が舞い踊るように
なかなか忘れないものだ


「あ」

やっぱり音がww
出ない場所を通ってしまう
仕方がない


~~~♪最後は優しく




「すごいです!!」
シェイクは拍手をして目を見開いている

あまり感情の表現が激しくないシェイクだけど、すごい感動してくれている

「へへ・・・ありがとうございます」

照れるな
実はそんなにうまくないんだけどね
誰も弾かないここでは、私はスターのようだ

「こんな素敵な音はきいたこがないです!素晴らしいですね!」

「いえ、音が飛んじゃって・・こんな拙いのに、喜んでもらってよかったです」

でも好きな曲なら永遠と弾いていられるタイプだからな私

この世界にピアノがあってよかった~

仕事をして生活をして、たまの休みに買い物に行ってもたのしいけども
趣味とか欲しかったし
こういうのもリラックスできていいよね

「これは早めになおして、みんなにも聞かせてあげたいですね」

わ~うれしい!
なおしてもらったらみんなに聞いてもらおう!

「マキアちゃん気づいていなかったと思いますが・・・弾いている最中に魔力が漏れていましたね」

え・・・マジで

やばい
最近は意識しないでもちゃんと体にしまえていたんだけどな

弾くと開放感がすごいからかな~あちゃ~

「音に乗ってとどく魔力は、とても居心地のいいものでしたよ」
気持ちがとても落ち着くといってくれるのはうれしいけど・・・

魔力が漏れたらだめだよね?
でも居心地がいいならいいのかな?

今度ガロにきいてみようかな

「来てくれた客さんが、おいしいお茶を飲んで、
さらにピアノを聞いたら、ストレスもなくなりますね」

たしかに~!!
それはそれでいいよね!

大々的に宣伝はできないけど、少しでも心身ともに回復してくれたらうれしい限り

「それでは、私は早速部品を探して作成いたします」

え!もう!?

「いや、あの、今日はいろいろと付き合ってもらったし!
急がないのでゆっくりでいいからね!」

シェイクはフフフと笑いながら「はい。大丈夫です。無理はしませんから」といって帰る準備を始める

「シェイク!今日はありがとう!いっぱい付き合ってもらって」

「いえいえ、お役に立てたのなら何よりです。また近々部品をもって来ますね」

軽やかに帰っていった

直してくれるのはうれしいけど、忙しい中申し訳ないな



ふふふ・・・でも楽しみだ☆
しおりを挟む

処理中です...