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解放編-15

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カフェの閉店後

リンクと約束したマカロンを作るために材料を買って帰る

そういえば・・・
DULCISは焼き菓子専門だけど、「お買い上げの方にハーブせっけんをプレゼント!」とかできないかな?

そういうノベルティみたいなものがあればもっと売れそうだな

ちょっとジアンに聞いてみようかな


それにしてもなんか今日肌寒いな~

もうすぐ夏になるって時期なのに
朝夕はまだ冷え込む


なんか体がだるい
先にお風呂はいろ

お湯を沸かしている間に買ってきた食材を冷蔵庫へいれる

「あれ・・なんか熱っぽい?」

風邪なんて前世もほとんど引いたこともないし、こっちの世界に来てからもない

疲れることはあっても、癒の魔力のおかげで回復も早かった

「う~ん・・・やばいかな・・?」

とりあえず水分をとってベットに横になった







「・・・ん!・・キアちゃん!?」

あれ・・なんだ

ねちゃった?

はっ!!!今何時!?

「・・やば!!!」

9過ぎてる!開店しているじゃん!
起き上がろうとしたら足がもつれた

ガチャン

ベットの隣に置いていた水差しが倒れてしまった

「マキアちゃん!?大丈夫!?」

どんどんどんと戸をたたく音が聞こえる
よろよろと立ち上がり、ドアを開ける

「すみません・・寝坊してしまって!!今着替えてすぐに行きますね!」
リッタさんが泣きそうな顔で立っている

「あれ?リンクもいる??」

ああ、約束したマカロンとりにきたのね
やばい・・・つくってないや

「ごめん、リンクまだマカロンつくってない・・・」
へらって笑ってとりあえずごまかした

リンクが額に手をあててくる

「なにいってんだよ。お前すげー熱じゃん!いつから!?」

え・・熱・・?

そうだ・・・風邪ひいたと思って昨日は早く寝たんだよね?
あれ、お風呂入ったっけ?

「・・・昨日の夜?」

「下まで魔力すごいぞ!」

え・・?

ああ~だめだ

ぼーっとして考えられない

魔力・・・?
どうやってコントロールするんだっけ


「・・・マキアちゃん!?・・・・!!」

リッタさんの声が遠い






そのあとは意識がきれた






「・・・あれ?」

「お、気づいたか?気分は??」

「ジアン・・・?」

「そそ、大丈夫か?お前熱で倒れたんだよ」

熱か・・確かに・・結構しんどかった
今も頭がふらふらする

そういえば・・

「ここ・・」

「俺んちの離れ」

「離れ?」

「そ、お前魔力の解放始まるぜ」

「え・・・?まじ!?」

びっくりする私に笑っている

「マジマジwすごい魔力漏れている。ガロより多いかもな」

え~それはちょっと・・

「リッタのカフェ破壊すると困るから、こっちに連れてきたんだ」

ひえ~困る困る!
私の衣食住すべてがあるのに!

「ありがと~」

「リンクが気づいて運んでれたんだ」

「ああ~リンクにマカロン作るの忘れてた・・・」

「いやいや、そんなん言ってる場合じゃないだろw」

そうなんだけどもね
約束したし

「さっき魔力を抑える腕輪をしたから。あとはこの薬飲んで。
熱が下がれば魔力のコントロールもしやすいから暴走もしにくくなる」

「はーい」

うが・・・にげーよ・・・

「ここはシールドしているから、多少暴走しても壊れないから気にするな」

「もう解放されてる?」

「ああ、少しずつな。多分今夜にかけてマックスだな。
また熱が上がると思うから、今のうちに水分や食事もしておけよ」

ええ・・・まじか・・・結構つらかったのに

「ジアンあけてー!」
扉の奥からリンクの声がする

「マキアの服とか買ってきた~」

「ああ、ありがとう。マキア、目が覚めてるよ」
リンクと目が合う

「ああ!!ほんとだ!」

「リンク、ありがとう~」

「マジでビビったよ~朝一番でカフェいったら、まだ来ていないってリッタさんがオロオロているし」

ああ~そうだ、お店のこともどうしよう

「で、寝坊じゃない?って話していたら、上からすげー魔力漏れ漏れで」

そんなに?

「ちょっとこれやばいってなって、ジアンに連絡して、すぐにお前のとこいって」

で、現在に至るみたい

「ご、ご迷惑をおかけしてしまい・・・」

「じゃぁ~マカロンと、まだ誰も食べたことないのなんか作ってね」

「うん。戻ったらすぐに作るよ~」

「無事に何もなければな」
ひぇ・・ジアンが怖いこと言っている

「大丈夫でしょ~」
リンクがけらけら笑っている




その日夜からまた熱が上がってきた

息が苦しい

汗がすごい

声がでない

頭が爆発しそうだ

「マキア!落ち着け!しっかりと魔力をコントロールするんだ」

「お腹に力入れて!魔力抑え込むイメージの練習しただろ・・・!」

あれ・・ガロの声もする・・?

だめだぼやけている

何も見えない

何も聞こえない

早くこの不快なまとわりついているものを追い払いたい一心で体に力が入ってしまう



!!!!!!!



「・・・・!!」

何だろう今の

体に力を入れると魔力が一気に抜けていく
体が楽になる


まただ・・・
少しするとまた魔力がまとわりついてくる


もっと・・・もっと出したい

こんなのいらないのに

全部!

全部!

全部出し切りたい!!!



!!!!!!!



「・・・!!」

「・・・!!」

うっすら目を開けると空が見える

お星さまがきれい

手を伸ばせば届きそう


・・・ああ、また熱くなってきた

体が燃えるようだ

次から次へと出てくるこの魔力

体の周りを漂うに、ゆらゆらと動いている

すごく不快

イライラする


もう・・なんなの!
全部消えてしまえ!!



!!!!!!!



「・・・だ!マキア!!」

・・・誰か呼んだ?

声の方をみると下にジアンがいる

??

下??

あれ・・・なんで私浮いているんだ

「・・・ア!おりてこい!!」

え、降りるってどうやって?

「・・・じあん・・?みて・・・とべた~」

にへらと笑えばすごい顔をして見上げている

・・・あれ、待て

私の力は風の力じゃないはず
なんで飛んでんの





また意識が切れた






「・・ア!!マキア!」
ジアンの呼ぶ声で目が覚める

「・・・??ジアン?」

あれ?なんだっけ?

私何していたんだっけ

「マキア!大丈夫か!?」
ん?ガロの声がする?

「こちらも付けてあげてください」
シェイクの声もする

「早く~もたないよ・・・」
リンクの声もする

イケメン衆勢ぞろいだ

ジアンが腕に何か付けた瞬間フッと体が楽になった

「あれ?どうしたのみんな。おはよう?」




はぁ~~~~~っ

みんな一斉にため息をついている




どういうこと




なんで壁全部吹き飛んでんの
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