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解放編-20

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翌朝は、朝から大寝坊で
起きたらもうジアンが仕事をしていた

「もう少し寝ていてもいいんだぞ」

これは・・やばいな
だめだ・・ここにいたら、ぐーたらで、太って、退屈で死にそうになる

ささっと着替えて、ご飯を食べて
少し散歩して体力をつけて

本当なら夜にでも帰ろうかと思ったけど
夕方、少し早めに帰ろうと帰る準備を始める

「・・・俺もいこうかな」

「どこに?」

「・・・お前の家」

まてまて

「ジアンはお仕事あるんでしょ?」

「そこから仕事しにいけばいいし・・・」

「え!一緒に住む気?!」

「普通一緒にいるもんだろ」

「何言ってるの。あたしはカフェにいるし、休みの日にはこっちにも遊びに来るから」

なんだなんだ
だんだん耳が垂れてきてるw



目に見えて落ち込んでいる
そんな一生の別れのようなw

「ちょっと!ジアンしっかりして!働かない男は嫌いだからね」




「それで・・本当に帰られるのですか?」

執事さんやメイドさんたちまで悲しい顔をしているw

「はい、本当にお世話になりました。また改めてお礼に来ます」

「ずっとおられてもかまわないのに・・」

そーだそーだとジアンが叫んでる

「い・・いえ、やらないといけないことも多くて」

「左様でございますか・・・残念です」

「マキア様、またぜひいらしてくださいね。
今日もピアノを聞かせていただきありがとうございました」

メイドさんたちが並んで頭を下げている

そんな!お世話になったのこっちなのに~
てか、迷惑しかかけていないな

離れの部屋・・・破壊までしちゃったし

「皆さんありがとうございました」

ペコリと頭を下げ、ジアンのおうちの馬車に乗る

「あれ?ジアン?」

「送っていく」

がたがた揺れる馬車で無言なジアン

向かい合って面とみるとやっぱりイケメンだな
でも明らかに耳が垂れている
大丈夫かな~

確かになんて言うんだろうか

運命の出会いといえば早いんだけど

一瞬で恋におちて結婚しますってなったような状態なわけで
現代の日本にいた私としては、ありえないことなんだよね

一緒にいることが嫌なわけじゃないけど、恥ずかしい気持ちとかもある
まだ15歳なんです


「ジアン?」

「・・・」

「ジアン大丈夫?」

「・・・ああ」

・・・

・・・

「ちょっと!なんかしゃべってよ!」
腕を取られて引っ張られる

「うわっ!」

「なぁ、まじで帰んの?」

「ぐはっ!苦しい!ちょっと」

ギューッとされるのはいいけど、死ぬ!

「わりわり」

これは主人に置いて行かれる犬だな

「ジアン」
ちゃんと目を見て話そう

納得しないといつまでもついてきそうだ

というか、私も心が痛くておいていけないw

「あたし、ジアンのことが好きだよ」

「!!!っな!」

首まで真っ赤だ・・・

ピュアか
23歳

「・・・俺もだ」

「それは変わらないし、あたしはどこにもいかない」

「わかってる」

これって普通逆じゃない?

ヘタレかジアン

「はぁ~・・・俺は、王宮へいってお前の能力を報告してくる」

「うん、お願いね」

「あと!早めに一緒に住むからな。それは譲れない」

「・・うん。わかった。楽しみにしている」

「これをもってろ」

指輪を渡された
魔石がついている

これってガロが持っていたやつじゃない?

「通話ストーン?」

「そうだ、いつでも連絡がとれる」

使い方を教えてもらってポケットにしまう

「じゃぁ毎晩連絡できるね」

「魔力の変化がでたら、すぐにいつでもいいから連絡するんだ」

「うん!わかった」

カフェの前についたので、二階に荷物を運んでもらう
そういえばジアンがここの部屋に入るの初めてじゃない?

「ごめんね汚くて~倒れたまま出てきちゃったから」

お茶入れるからどうぞ~と案内するが入ってこない

「?どうしたの?」

「いや・・ここ・・やばい・・」

「え?」

なんだ
なんか視えるとかか?

「お前の匂い充満していて・・・」

腕で口元を抑えている

「ジアン・・・変態みたい」

「・・・このやろ」

まぁ確かに・・執務室すごかったもんね~

あの充満した匂いにいたら理性やられそうだったw

それと同じか

「俺がこれ以上進んでもいいなら入る」
なにそれ・・・

15歳に何する気

「まてまてまて、わかった。」
荷物を置いてジアンを見送りに行く

馬車を待たせていたし、そんなゆっくりもできなかったか

「ジアン、ありがとうね~。ちゃんと寝る前には連絡入れるから」

今日何度目かのギューッとされる

身長の差がすごい
ジアン185はあるだろうけども、あたし140くらいだよ?

親子みたいじゃん

「本当にあえてよかった」
よっぽどだったのね~

番なにそれおいしいの?みたいな感じにしか思ってなかったけど

獣人にはすごい大事なことなんだろうね
私もギューッとし返してあげる

「ちゃんと温まって寝るんだぞ」

「はーい!気を付けてね~」

ガラガラと遠ざかる馬車をみると悲しくなる

離れるってこういこと?すごい寂しくなる
ぽっかりと穴が開いたかのように

・・・行かないでほしいな

・・・

・・・


・・・なんて言わんがな!
ははは!!!

そんなメルヘンな女じゃないぜ!
さ~ようやく戻った!

まだ18時か~
明るいし出店もやっているし、ちょっと買い出し行ってくるか

5日も留守にしているとさすがにミルクとか危なさそう

部屋に戻ってバックをもって~
お買い物~
ふふふ~ん♪久しぶりでちょっとテンションあがるわ

パニスにミルクに、果物に
あとはジュースも欲しいな

あとは~
きょろきょろしていると魔石屋さんを発見

あれ、そういえば魔石に魔力入れる訓練するっていっていたよね?

リンクが買うって言っていたけど・・・買っておこうかな
まだお店やってるかな?

「こんにちは~」

「はいはい。いらっしゃい」

おばあちゃんがでてきた

「空の魔石が欲しいんですが」

「はいはい。こちらですよ」

おお。大小さまざまな魔石がある

形もいろいろ。このまま封入して加工するためかな

「じゃぁ、これ20個ほどお願いします」
適当にかごに入れてみた

「はいはい。5万ルビーになります」
多めに持ってきていてよかった


いや~自由だわ!
一人って楽!

ジアンには悪いんだけど一人の生活が染みついているから、誰かとずっと一緒ってなんかね

確かに会えないと寂しいし、もっと一緒にいたいなっては思うけども
こういう時間も貴重



一緒に住むとかいっていたし、あたしの独り身生活もあと少しだけだろうし
充実させておかないとね



ふふふ~♪
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