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解放編-22

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それからは順調な生活

DULCISもかなり好調

カフェが落ち着いたことでゆっくりと接客もできるようになったしね

たまにピアノを弾く時間もできて、居合わせたお客さんは「今日はいい日だわ!」と喜んでくれる
ジアンもほぼ毎日顔をだしにきている

カランカラン
「やっほ~」

ガロ!

「お疲れ様~テイクアウト?」

「そうそう、いつもの大盛でよろしく」

「はーい!」

パニスにたっぷりとお肉をはさんで、コフェアにはミルクを入れる
デザート用に食べるかな?とおまけにクッキーもいれちゃった

「ガロは忙しいの?」

「ちょっとな~代表の護衛があって、明日から人属んとこまでいってくるよ」

「人属!いいないいな!気になってたんだよね」

「ああー・・。行きたいならジアンにちゃんと了解もらってからにしろよ」

「はーい!」

「調子もよさそうでよかった。じゃぁ、またくるな!」
ガロっていつも忙しそう

隊長だしな
魔力もトップクラスだっけ?さすがだ


「マキアちゃん、引っ越しの準備はできているの?」
何か手伝うことがあれば手伝うわよ?とリッタさんが声をかけてくれた

「はい!あまり荷物はないので大丈夫です!」
ジアンも手伝ってくれるって言ったしね

そう・・・ついに明日引っ越し

こっから近いって言っていたけど、どこだろ

「今日は早めに上がっていいから、ゆっくりと休んでね」

「大丈夫です!早く上がれるならピアノ弾きます!」

「ふふふお任せするわ!」

カップケーキなんかの焼き菓子のテイクアウトがDULCISに流れたおかげで
カフェはいたって平和だ

たまにノックスに任せて、リッタさんと休憩に入ることもできるし
このくらいがちょうどいいよね





・・・
・・・

さて、今日は引っ越しだ!

荷物はほとんどないけどw
カバン三つくらいで済んだな

むしろジアンにもらった服の包みのほうが多いな

「マキアー起きてるかー」
朝9時。約束通りにちゃんと来るのね

ガチャリとドアを開ければお約束のムギューとされる

「ジアンおはよう!それされるたびにあたし小さくなりそうだからいい加減やめて」

「むり」

中にはいれないジアンに荷物を渡していく
「こんだけ?」

「ん?そうだよ。あ、そのつつみももっていってね」

「これ俺やったやつじゃない?全然あけてないじゃん!」

「・・・新居で開ける楽しみよ」

じろりとにらまれるが、別に興味ないんだよね服とかw

「あたし、少し掃除していくからまってて~」

「じゃぁ、これ運んでおわ」

ジアンに先に降りてもらって、最後の仕上げをする

ローアンにここに連れてきてもらった時を思い出す

これからどうなるんだろうって思っていたけど
恵まれた生活を送ってたな~

綺麗に床も拭いて、窓を閉めて、鍵も閉める

「あら、マキアちゃん、もう終わったの??」
階段を降りたところでリッタさんにあった

「あれ?リッタさん!はい!全部きれいにしてきました」

「相変わらずてきぱきしているわね、お手伝いに来たんだけど、遅かったわ~」

「え!お休みなのに~」

「マキアちゃんに住んでもらってうれしかったわ」

「こちらこそ・・・本当におせわになりした!とても助かりました」

カギお返ししますねと、部屋の鍵も渡す

「お店をやめるわけじゃないしね。新居もそこだしね」

・・・?

「そこ?」

「ほら、あそこでしょ?」


・・・


へ・・・??




「マキア~こっちだ!」
ジアン・・

新居そこ?






新居はカフェから50メートル先にある一軒家

まさか・・

コントかよ

「お前が近いほうがいいって言ったんじゃん」
そうだけど

通勤時間、徒歩1分が3分になったくらいか

「リッタさ~ん、新居ここでした~!」
遊びに来てくださいね~と声をだしてもカフェ前まで聞こえる

「はーい!ラブラブでね~」
なんて言われて・・恥ずかしいわ!!


「すご!こんな広いの?」

庭付き一軒家は手入れされていて、すぐに住めるようになっている

「昔祖父母が使っていたところなんだ。管理はしていたんだが、久しぶりにきたな」

「ジアン、あっちのお屋敷どうするの?」

「ああ、もうすぐおやじたちも帰ってくるし大丈夫。
仕事はこっちでもできるし、近いから何とでもなるしな」

「お前といるのが優先」と砂吐くことをさらっといっている

「ああ!!!!ピアノだ!!!」

部屋を見て回っていたら、一階の庭に面した部屋にピアノがあった

「そうそう手配した」

「すご!!ありがとう~」

「メイドとか執事とか入っても大丈夫か?」

「え?!別に私たちだけでもいいんじゃない?ジアンが大変?」

「俺も別に世話とかいらないんだけど、なんか来たいってやつら多くて」

「やつら?」

「ほら、お前の面倒見てたメイドとか」

「え~本当?」

「2日一回くらい来させてもいい?」

「うんうん!全然大丈夫。迷惑じゃないならお願いします」
じゃぁ連絡しとくって言って荷物をほどきはじめる

「ここが俺たちの部屋な」

「え!まさか一緒なの!?」

「・・・・・」

「・・・冗談だよ!ベット広いね~」

汗汗

やべー地雷だらけだよ

少しおとなしくしないとな

まぁピアノの部屋もあるし、お風呂とかも大きくなったし

窓も大きくて部屋に光が差し込んで
温かくて気持ちがいいおうち

なによりカフェに近いのはなにより

「お前荷物少ないな・・もう終わりかよ」

「ジアンが多いんだよ」

「一応領主なんで」



あらかた片づけてから一緒に買い物に出かける

「そういえばこうやってでかけたことなかったな」

「そうだね~シェイクとは来たことあるよ」

「え?」

「え?」

・・・・


なにその俺が初めてじゃないんかってオーラ

「一応あたしここに1年以上住んでるだけど」

「・・・そうだよな」
なんか暗い雰囲気になってきたぞ

「ジ・・ジアン!あたし新しい石鹸の材料が欲しいな~」
話題を変えねば・・・

「あっちだよ!早くいこ!」

薬草をたくさん売っているいつものお店へ向かう

「あれ?ジアンじゃん」
ヤッホーとリンクが手を振っている

「マキアもいる!この間はごちそうさま!めっちゃおいしかった~」
思い出しのか、またテンションが上がってきているリンクがかわいい

「なになに?今日何かあるの?」

「今日は引っ越しなんだ。じいちゃんたち使ってた家あるじゃん。あそこ」

「ああ!懐かしい!小さいころよく遊んだよね」

「みんな小さいころから仲良かったんだね~」
うらやましい

そういう友達がいるといいよね

「そそ!シェイクやガロとも一緒によく遊んだよ~。で?何買いに来たの?」

「マキアのハーブせっけんの材料を買いに来たんだ」

「あぁ!それさ、ちょっと考えていたんだけど・・」

「??なになに??」

「成分的にも問題ないし、癒の力がなくてもハーブの効果って大きいじゃん」

「そうだね」

「で、売ってみない?それ」

「え?!ハーブせっけんを?売れるの?これ。趣味で作ったようなものだよ」

「せっけんに焦点を当てるってなかなか今までなくて、これ結構いけると思うんだよね」

「まてまて、リンク。ちょっとその話は企画書として詳しく書いてもってこい」

ジアンがあたしとリンクの間を遮って話をストップさせた

確かに長くなりそうだし、やるにしてもじっくりと話聞かないとだしね

「おっけー!考えてはいたから、あとちょっとつめてみるよ」
じゃぁ、新居パーティするとき呼んでね~と手を振って帰っていった


ハーブせっけんの販売か~

確かに考えてみればいいアイディアだよね
リラックス効果に、獣人属の毛並みもよくなるし

お年頃の女子なら食いつきそう

いろいろとパターンを考えていたら「おい」ってジアンに声をかけられた

「とりあえず、お前は自分の生活のことだけ考えてろ」

「う・・・そうだね。なんかあったら教えてね!」

「あまり忙しくなるな。俺との時間が減る」

「それが本音かw」
ジアンの好きな匂いはどれ??と好みを聞きながらハーブを購入


一緒にいろいろと回ると本当にデートみたいだ

こんな時間前世でもなかったしな、ちょっとうれしいし照れる
恋とか何もない状態でいきなり結婚って感じだけど

それはそれでいいのかな??

順序ってものが・・・獣人には関係ないか

まぁDVしない、浮気しない、ギャンブルしない、酒癖悪くないってだけで優良物件よw

ジアンなら顔よし、性格よし、領主で仕事もしているし、番だから浮気ないしこれはかななりいい相手だw

「あ、この間すぐに王宮へいってお前のこと報告してきたんだけど」

「え!もう行ったの!?」

やることがなんでも早いぞ

「一応まだ未成年だから、保護者として俺が魔力の様子見ることになった。それまでは公にしなくていいって」

「魔力登録みたいなものは?」

「あれは成人してからだな。あと二年後」

「癒の魔力って貴重なんでしょ?体にたまったままだと苦しいし、何かに使えるなら使ってもらったほうがいいんだけど」

「ああ、それも一応いろいろと考えていて・・・ちょっと待ってて」

「はーい。お任せする~」
あれこれ大変だなあたしのことで

「ジアン、この間ガロ来たんだよ」

「ああ、あいつ今人属地区へ行っている」

「忙しいんだね~」

「ちょっと人属との取引が難航していてな。直接代表が向かうことになったんだ。その護衛」

「じゃぁ、ガロ戻ってきたらみんな呼んで引っ越しパーティする?」

「お、いいな。みんな呼ぼうぜ。てか、婚約パーティな」
ええ~!そういうの別にやらなくても・・・

「やるからな」
って顔をしてたのがばれたw


「なんか夜に食べるの買って帰ろうぜ」
ジアンって多分家に帰ればシェフが作って待っていたんだろう

「ジアン、あたし作るよ」

「え」

「えって何?今までも作ってたし、二人分は別に平気
っていっても、そんなシェフが作るようなものじゃないけどね」

なんか衝撃を受けている顔をしている

「え、いや買って帰ってももちろんいいよ?」

「いやいやいや、作ろう!俺も手伝うから!」
なんだ、作っていいのか?

「ジアン仕事あるでしょ、そっち優先してね」

「大丈夫だ。お前優先だ」
はいはい


新しいおうちは意外に使い勝手が良くていい

冷蔵庫や食糧庫もたくさんはいるし

オーブンも大きい!これならケーキも焼けそうだね

全部手入れが行き届いていて本当に大事に使っていたんだろうなってわかる

「シチューとかでいい?」

「俺は?何する?」

「じゃぁ、皮向いて~」
まだ身長が足りないから台を使って鍋を見る

ついでにお風呂も沸かしておこう

今日からついに共同生活か~

婚約状態だし、これが俗に言う同棲というやつでしょうか

お互いの生活リズムがどうかを確認しないとね

ご飯も一緒に食べて、お風呂に入った後は髪の毛を乾かしてもらって

「俺、少し仕事あるから、先に寝てて」

「はーい」
疲れた~番とはいえ気を遣うしね

パンツ一枚で動けないわな

ジアンは大変だな~
定時出勤退勤の私と違ってエンドレスで仕事があるんだろうな



それにしてもデカイベットだわ
前は本当にあたし一人分だったしね・・・


ああ~極楽だ~

このマットレスぜったいいいやつだわ

贅沢~
大きなベットにはいってぐっすりだ





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