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人属編-4

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結婚式前夜


「ちょっとお待ちください、マキア様こちらも・・・」

ジアンのお屋敷から何人かメイドさんが来てくれて、フルコースでお手入れをされている

ここ数週間ずっとされてきたが、磨かれて塗りこまれてマッサージされて・・・
今日でそれも最後か~

結構大変だったし、これだけ我慢すれば・・・

「ああ!マキア様、まだ寝ないでください!!」

髪の毛にオイルを塗りこまれ、爪はネイルをされ、足はマッサージされ・・・

爆睡コースだろ


「マキア~がんばれ~w」
ジアンが面白そうに見ている

このやろ・・・

「・・・・ZZZ」


だめだ


ねんむいわ・・



「マキア」

う・・眠い

「起きられるか?いま下に親父たちきてる」

なぬっ!!??

ガバっと目が覚める

「マジ!?挨拶しないと!」

「さっき到着したらしい。明日の前にちょっと顔見に来ただけだから・・・」

「だめだめ!今行くよ!」

すぐに準備をして客間へ行く

うわ~初めてじゃん

ドキドキ

ノックしてはいる

ジアンと同じくらいの髭がたっぷりで白髪が混じったダンディと
上品な貴婦人って人が・・・

「あ・・はじ「んまぁ~~~~!!!!!マキアちゃんね!!!」」

うを

そんなんに見えないのにw
ぐいぐい系か

「あの!あ・・「かわいいわ~!成人したばかりなんですってね!」

「あ、はい「あたしね~女の子が欲しかったのよ~もうこんなごつい男の子じゃなくて」

「え、あ「一緒に買い物に行ったり、刺繡をしたり、お茶を飲んだり」

うっとりしている
とりあえずかぶせないでほしい

「おふくろ!」

ジアンがイライラしている

え!って顔で我に返る貴婦人

今だ!
「改めまして、マキアです。よろしくお願いいたします」

・・・ようやく言えたよ

「マキアひいてるだろ」

「い!いえ、そんなことはありません」
ちょっとびっくりしただけだ

「うるさいわね~ジアンはだまってて」
母上強いな

「ほら、こっちに座りましょう」

連れられたのはジアンの隣じゃなくて、義母の隣
なぜ

「マキア、お前こっちだから」
「いつも一緒なら今日くらいいいでしょ」

親子喧嘩している


ぼーっとしていたらイケオジと目が合った
「夜分申し訳ない。初めまして、私はシューマン・イーグル」
「そんな、長旅のところ寄っていただき感謝します」

「妻がすまないね。ずっと会いたかったもので、興奮しているようだ」

そういってもらえると嬉しい

「まぁ!あなたも会いたがってたじゃないの!
今日は失礼だからやめましょうって言ったのに・・・顔だけでもっていったのはどなた?」

父上のこと暴露してるよw

「そ、それは、式当日に会うよりはとな・・・」

かわいいな

上下関係がしっかりしている

「マキアちゃん、こんな息子だけどよろしくね」
何かあったらグーで殴ってちょうだいって言っているよ

「ああ!遅れてごめんなさい。私はミッシェル・イーグルよ」

「ジアンからお話は聞いていました。お疲れのところありがとうございます」

「何言っているの~一大事よ~結婚よ結婚!しかも番と!!」

目をキラキラさせている
大興奮だ

「婚約パーティには行けなくてすまなんだ」

ジアン父とジアン母と少し話して
あとは明日ということになった

「ああ~!もう楽しみすぎるわ!!」

収まる気配がない興奮

「はいはいわかったから、疲れたら明日に響くだろ」

「マキアちゃん、今日はすまなかったね。また今度ゆっくりと話そう」

「はい。今日はありがとうございました。明日会えるのを楽しみにしています」

送り出したときには、夜中になっていた



「お母さんの体調ってなおったの?」

「いろいろとやりとりはしていたんだが、落ち着いたかな」

そうか~よかったよかった
素敵な両親でよかった

ザ・お姑バトルとかなったらとかちょっとビビってたよ

「もう遅いから、寝ようぜ。悪かったな遅くまで」

「ん~全然!ほっとしたよ~間に合ってよかったね~」

明日だしね

ドキドキだ

緊張で寝られないかと思ったけど、今スグに寝れる


・・・・

・・・・

「おやすみ、マキア。明日な」

・・・・

「お休み~・・・ジアン・・・」











結婚式当日


「マキア、そろそろ起きて」

はっ!と目を開ければとなりにジアンがいた

「あ・・あれ?」
おはよう・・って言いながら周りを見渡す

「あと1時間後には来るぞ」
昨夜は寝落ちしたらしい

「ああ~・・・」
メイドさんたちがメイクやら着付けやらしに来てくれるらしい

「俺は先に行っているからな。あっちで会おう」

「はーい」

ギューッとされてジアンが先にベットを出ていく
きっといい男になって出てくるんだろうな


ベットをおりて顔を洗う

ああ~いい天気だ
まさに結婚式日和


数時間後には結婚しているのか~
実感がわかないな

あれよこれよとしている間にメイドさんたちがわらわら入ってきた

「マキア様おはようございます」

「マキア様、本日はおめでとうございます」

みんなニコニコだ

「それでは・・・始めましょうか」

ふふって顔をしながら腕まくりをしている
戦闘準備状態のメイドさんたち

気合十分だ

「は・・はい。今日はよろしくお願いします」

観念しよう

みんな私のためにしてくれるわけだしな

軽くお風呂に入れられて、香油を塗られる

メイクをされて、髪の毛をアップされ、用意された服に着替える

花嫁衣裳的な感じなのかな
何枚もの薄い上質な絹を重ねて作られたドレスをきせられる

ちゃんと私のサイズに合わせて作ってくれたオーダーメイドだ

「そっちもっていて」

「こっちつりあげて」

「ここ少し縫い上げて」
テキパキと動くメイドさんたちに任せていればあれよあれよとどんどん仕上がる

「さっ!マキア様できましたよ」

数十分の格闘のあとに鏡を見れば、まぁ見たことない子がw

こんなに変わる??ってくらい化けているよ

「うわ~すごい!別人みたい!」
さすがですね~ってメイドさんたちと話していれば

「ほとんど手を加えていませんよ」

「もとがいいので、何をしてもいいですね」
べた褒めだ


ここに来た頃は貧相でガリガリで
肌もガサガサで毛もボサボサで

結構ひどかったのにな
三年か~成長したな

肌色もよくなったし、毛も滑らかになった
「ありがとうございます。皆さんのおかげです」

へへへ

「さ、ジアン様がお待ちです。参りましょう」
馬車に乗って丘まで移動する

みんなきているかな


馬車を降り、一度ガゼボへ行く
あれ?ジアンかな??

匂いでわかる

「ジアン??」

「お?きたか?」

振り向くとめちゃくちゃイケメンがいる・・・

髪の毛をあげて、獣人属の正装をきている

きりりとした顔がドンピシャだよ

うわ~こんなイケメンと結婚していいんですか・・
もったいないわ

これは観賞用じゃない??

「マキア、すんごいきれい」
ブホっ!!!

やめてその破壊力のある顔で破壊力のある言葉は
顔が真っ赤になる

「あああああありがとう!!」

「なにどもってんだよw」

「そ!そうなんだけど・・ジアンも!めっちゃかっこいい!!」

かがまれ、同じ視線にしてくれるジアン

「ありがとな」
うわーやべー

顔をまともに見れないぞ!!

「さ、行こう。みんな待っている」

「・・うん!!」

手をつないで、一緒に鐘の前に行く
みんな拍手で出迎えてくれている

みんないる

リッタさんにローアンも、シェイクもリンクもガロも

ジアン父母もいる

みんないる
お世話になった人たちが

ああ~もう泣きたくなる



幸せすぎて・・・ドクン・・・




・・・ドクン


・・・ドクン


「・・・あれ」

「どうした?」

・・・ドクン!


・・・ドクン!!




「なん・・か・・変な・・・」

なんだなんだ




魔力が漏れている・・・?わけじゃないよね
なんだろうこの動悸

前にも感じたことがある
確か・・婚約パーティの時にもこの感じが・・・

「・・ハァ・・ハァ・・」
歩くのがしんどくなってきた

だめだ今日はみんなが来てくれている日なんだから

「大丈夫か?」
ジアンが心配そうにのぞき込んでくる

来客はあたしがうれしくて泣きそうになっていると思っているようだが




ちょっと、変だ
酔っているような感じと、この動悸・・・




息を整える



「・・・はぁ・・大丈夫・・行こう」
なんとかおさまってきた

なんだったんだろう

緊張かな

「顔が真っ青だぞ」

ジアンが一度中止にしようって言ってくるが、そんなわけにはいかない

「大丈夫大丈夫!ちょっと緊張しちゃって」

へらっとすればそんなわけじゃないのは俺にはわかるとにらまれた

「ジアン、本当に。大丈夫。無理なら言うから」

「・・・わかった」

なんとか鐘の前まで歩き、代表の前で宣誓をする

専用の紙にお互いの魔力を流し込み誓約書にサインをする


だんだんおさまってきたな
よかった~

なんだったんだろう

「最後に鎖の交換を行う」

鎖の交換

所有者の証

今は結婚しています
この人だけですって意味で、首にペアのネックレスをするのが習慣となっている

同じデザインだが、ジアンの魔力が込められたネックレスと
あたしの魔力が込められたネックレスをお互いにつけあう

前世で言う指輪の交換だな

「ここにいる皆が証人となり、ジアン・イーグルとマキア・イーグルを夫婦とする」
代表が証書を掲げて宣言してくれる

最後に鐘を一緒にならす



どこまでも響く透き通った鐘がなる



カラン・・・・


カラン・・・・




周りから拍手と歓声があがる

はぁ~~~
無事に終わった!!!

感想はそれしかないよw

こけないでよかった~もうドレス長すぎて・・

「マキア」

うん?って見上げればジアンに持ち上げられる

「あらためてこれからよろしくな」

「うん!!こちらこそ」
そのまま長い長いキスをされた


一緒に住んでいたけど、いまだかつてあたしたちはそういったことはなかったから
これが初めてだ

ジアンが結婚したらもう遠慮はしないって言っていたらわかっていたけど

またせてごめんね

これからもよろしくね


鐘が響く

まわりからヤジが飛ぶまでジアンはずっと抱きしめていてくれた

二人の鼓動が重なって
二人とも緊張していたんだなってわかって


へへへって笑ってしまった



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