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第八日 そして言葉が残った。

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 せかいにはうつくしいことばがみちていた。
 にほんじんはそとのせかいとことばをかわし、すぎることもたらざることもなく、こころをかよわせた。

 このせかいではにほんはせかいのいちいんとしてそのやくわりをはたし、せかいはぜんにしてひとつであった。

「きょうこう」も、「せんそう」も、「ききん」もなかった。

 かみはみて、「よし」とされた。
 だいはちにちである。

 その美しい言葉を操る人がいた。「五七五」に心を映し、世界の美を人々に伝えた。
 松尾芭蕉である。

 第八日目、世界は彼に制覇された。

 神は見て、沈黙した――。

(完)
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