勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

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第一章 追放と仲間探し

8話「古龍を討伐し、交渉を持ち掛ける」

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「ここに戻ってくるのも3ヶ月ぶりか……。まったく朝日が眩しいぜ」

 そう言いながら額に滲む汗を手の甲で拭うと、そのまま視線を後ろへと向けて先程まで俺が引っ張っていた木製の荷車へと向けた。……そこには俺がカークランドのギルドを3ヶ月ほど離れていた理由を物語る、とある生き物の首が堂々と鎮座しているのだ。

「今思えばだがギルドの職員さん達には相当な無理を通して貰ったからな……。これで古龍の討伐が出来ませんでしたで帰ってきたら流石に俺は人として終わりだったと思う。でも意外と余裕を持って討伐出来たから良かった。強さ的には……まあ今までの魔物とそんなに大差はなかったが」

 カークランドのギルドの前で独り言のように呟くと、ずばり荷車の上に乗せている物とは古龍を討伐した証とて持ち帰ってきた古龍の頭部である。

 本来ならば体全体を持ち帰り鱗やら何やらを売り捌いて金に変えたかったのだが生憎、古龍の体は巨体で全部を持ち帰ることは叶わずこうして頭部のみとなったのだ。
 
 ――そしてここからが一番肝心なのだが、どうして俺が古龍討伐という難易度SS級のクエストを受けたのかには理由があるのだ。

 実は俺がニアスにランクを上げた方が良いと言われたあと早速クエストが張り出されている提示版へと趣いたのだが、そこに張り出されていてた物で一番手っ取り早くランクが上げられるのがこれしかなかったのだ。

 無論だが冒険者の証を作り直してブロンズから始めている俺がそれを手にして受付へと持っていくと、ギルドの職員さん達に物凄い勢いで心配されて止められたのは言うまでもないだろう。

 しかもあの時の職員の何人かは俺の頭を心配したのか、慈愛の篭った瞳をしていたのを今でも鮮明に思い出せる。

 そして受付で職員と暫く話していると奥からギルド長なる老人が姿を現し古龍討伐というクエストは何十年も前から張り出されているものらしく『本当にクエストを受けようとする冒険者無謀者が居るとは……』という言葉を零していた。

 多分だが古龍討伐というクエストはこのギルドの看板的な存在であったのだろう。
 だが何としても冒険者ランクを一気に上げたい俺は、3時間にも及ぶ説得を行い無理を通して貰ったという訳だ。

 んでまあ肝心の古龍については某RPGゲームに出てくるような龍って感じで威圧感とか覇気とか色々と凄まじく何度も心臓が揺れる感覚を受けたが、それでも俺の鮮やかな二刀流捌きにより首を両断されると動かなくなった。やはり万物に通用するのは肉体言語のみである。

 ちなみに俺が3ヶ月も日数を要したのは移動だけで古龍事態は2分ぐらいで決着が付いていたのだ。なんといっても古龍が根城としている巣は街からかなり離れた所に有り、剰えエベレストよりも高い山へと登らされたからだ。

 ……正直に言おうではないか。古龍討伐よりも登山の方が何千倍もキツく辛かったと。
 ニート上がりの俺が手を出していいようなクエストではなかったと! 
 正直、魔物が向こうから勝手に現れてくれるほうが遥かにマシと言える。

「取り敢えず、この古龍の首をギルド長に見せて何処までランクを上げて貰えるかだな。さっそく交渉といくかっ!」

 荷車を外へと一旦置いておくとして一先ずは無事に古龍を討伐したことを報告しないといけなく、俺は数ヶ月ぶりにギルドの扉を開けて中へと足を踏み入れた。
 特に深い思い入れがある訳でもないのだが帰る場所があるというのは実に良い。


◆◆◆◆◆◆◆◆


 ギルドへと帰還した俺は矢継ぎ早にギルド長に古龍を討伐したことを報告すると、まるで死人が戻ってきたような顔をされたが無理やり彼を外へと連れ出すと、古龍の首を見せつけてクエスト達成を承認させることにした。

「どぅぇっ!? な、なんじゃこりゃぁぁぁーー!?」

 そしてギルド長は荷車に乗せられた古龍の首を目の当たりにすると、顎が外れそうな勢いで口を大きく開けて驚愕の声を漏らしていた。
 それはもう街全体に声が轟いているのではと思えるほどの声量である。

「み、耳が……耳がぁぁ……」

 そのせいで隣に立っていた俺は回避する術もなく声攻撃を鼓膜で受け止めると耳鳴りを発症して痛みを覚えるほどであった。

「ど、どうしましたギルド長……えええーーっ!?」

 彼の叫び声は当然ギルド内にも聞こえていたらしく中から一人の女性職員が姿を見せると、同じく古龍の首を見て驚きの声を上げるとその場に尻餅をつくように倒れ込んでいた。

「おお? なんだなんだ?」
「どうしたよ? ギルド長はまた奥さんにでも逃げられたのか?」

 またもや叫び声に釣られたのかギルドの中から二人の男性冒険者が姿を見せると、その二人は何と何時ぞやのドワーフ男とニアスであった。
 そして彼らも視線を荷車の上に置かれている物へと向けると、

「「えっ……。え”え”え”え”ーーーーっ!?」」

 という何とも汚い叫び声と共に目を見張りながら手に持っていたジョッキを地面に落としていた。
 
「取り敢えず中で色々と話がしたいんだが大丈夫か? ギルド長よ」
「あ、ああそうじゃな。一旦中に入ろうではないか……報酬の話もあるからのう」

 驚愕の表情を浮かべたままその場に停止していた彼は俺に声を掛けられて意識を戻すと、冷汗なのか単純に汗なのか分からないがポケットからハンカチを取り出して額を拭いていた。

 あとは俺の巧みな話術で上手いことギルド長を丸め込んでランクを一気に上げさせるだけである。……寧ろ本番はこれからという所だろう。実力は示したのだから残りは圧倒的に運要素だけだ。

 ――それから俺はギルド長の後に付いて歩いていくと一つの個室へと招かれて、そこは彼専用の部屋なのか骨董品らしき美術品が数多く飾られているのが印象的であった。

「まあ適当に座ってくれじゃ。古龍の首に関しては職員が丁重にギルド所有の倉庫に運び込むから安心してくれ」
「ああはい。それはどうも、お手数おかけします」

 そんな数々の物に視線を惹かれながらも俺は言われた通りに椅子に腰を下ろすと、ギルド長はお茶を入れたティーカップを机の上へと置いて対面側の椅子に腰を落ち着かせていた。
 
 ……しかしティーカップとお茶という組み合わせは、モニカの一件を連想させるので本当に勘弁してほしい。つい最近まで完璧に忘れていたというのに。

「ん、どうした飲まないのか? カークランドで一番高い茶葉を使用しておるぞ?」
「あ、ああ今は喉が乾いていないからな。それよりも頼みがあるんだが聞いてくれないか?」

 ギルド長がお茶を飲むように促してくるが確実にトラウマが蘇るので、今回は申し訳ないが拒ませて頂くと早速ことの本題に入ろとする。
 ここからは俺の話術と持ち合わせの運を駆使して戦う事となるだろう。

「頼みじゃと?」

 お茶を飲むことを拒んだ事で彼は若干不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。

「そうだ。実は俺は、ある目的の為に早急に冒険者ランクを上げる必要があるんだ。それもシルバーやゴールドではなくダイヤモンド級にだ!」

 だがそんなギルド長に臆することなく仲間を集めるという目的を達成させるためにもランクを一気に最高位まで上げて貰うことを直談判した。

 一々呑気にブロンズからシルバー、ゴールドなんて事はやっていられないのだ。
 普通に面倒だし、時間もそれなりに掛かるからな。

 けれど正直、この緊張感を孕んだ空気感は想定外だ。まさかお茶が出されるとは。
 仮に心を一個無くして飲んでいればもう少し軽い雰囲気となっていただろうが、本当にティーカップとお茶という組み合わせは俺を殺しにきていると思わざる得ない。

「……うーむ、それはちっとばかし難しいのう。確かお主はランクがブロンズじゃろ? そこからいきなり、ダイヤモンド級にまで上げるというのは前例がないからのう……」

 やはりというべきか彼は難しい表情を浮かべながら自身の顎鬚を触り、前例がないだのと言って頼み事を断ろうとしている様子であった。
 こういう時に人の感情が手に取るように分かるのは何故なんだろうか。

 人とは何とも不完全な生物だと俺は思うが、

「そこを何とか頼む! 俺にはダイヤモンド級のランクが、どうしても必要なんだ!」

 今はそんなことを考えている余裕はなく頭を下げて必死に頼み込んだ。

「う、うーむ。こればかりはのう……」

 しかし依然としてギルド長の顔が緩むことはなく、なんなら眉間の皺が増えていくばかりである。

 だがそこで俺はとある禁断の言葉を……いや切り札を発動することにした。あまり話し合いに時間を掛けてもしょうがなく、寧ろ時間が延びるとこちらが不利になるのは明白だからだ。

「……でしたら古龍の首をギルド長、貴方に無償で譲ると言ったら?」
「なんじゃと? 詳しい話を聞こうではないか」

 それを聞いて彼は瞬時に表情を引き締め直して視線を合わせてくると、どうやら骨董品の数々を収集することを趣味としているのか俺の話に簡単に乗ってきた。

 やはりこの部屋を見たときから感じ取っていた俺の感性に間違いはなかったと言える。
 さぁ、ここからが本当の直談判という名の戦いの幕開けだ。
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