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ある朝のふたり
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出勤前。洗濯物を、二人で干している。
顔に当たる太陽光が、いやに厳しい。肌が、じりじりと焼けそうだ。
「今日、すごくいい天気ですね。日差しが夏みたい」
「うん、あっついな」
俺のパンツのしわを丁寧に叩いて伸ばし、においを確かめながら加賀さんが言った。毎回こうするので、もはやツッコミは入れない。
「あ、グラサン買ったんだった。いよいよあれの出番だな」
「グラサン」
「うん、グラタンじゃないよ? グラタン温存してないよ?」
「いやわかりますよ、グラサンくらい」
加賀さんが「ははっ」と笑い声を弾ませた。
「倉知君がグラサンって言うと無理して悪ぶってるみたいだな。やべえ、可愛い。グラサンって言っただけで可愛いなんてそんなんある? 才能?」
加賀さんは俺ならなんでも可愛いのだ。多分、しゃっくり一つで可愛いと言うだろう。完全に麻痺しているのが可愛い。こっちだって、しゃっくりをする加賀さんが可愛い。
今から出勤だというのに、むしゃぶりつきたくなった。
むしゃぶりつこうか。まだ時間はある。急げば一回くらい、できる。
「こら」
無意識に加賀さんの尻を撫でていたらしい。怒られてしまった。
「残り干しといて」
「え、寂しい……。セクハラの罰ですか?」
「あと靴下だけだろ」
笑って俺の尻を存分に揉みしだいたあとで、加賀さんが中に戻る。ピンチハンガーに靴下を挟んでから部屋に入ると、加賀さんが寝室から出てくるところだった。サングラスのケースらしきものを持っている。
「そんなの、いつ買ったんですか?」
「この前モール行ったじゃん」
「モール、最近行ってないです」
誰かと行ったのか、と咄嗟にものすごく嫉妬した。別に誰と行こうが加賀さんの自由だ。歯を食いしばり、嫉妬を押し殺す。
「あ、そっか。一人で行ったんだった」
加賀さんが俺の顔を見て軽く吹き出した。
「そんな顔すんな。土曜、一人でめっちゃ暇でさ。そうだ、モール行こう、つってね。ただの散歩だよ」
嫉妬心を見透かされてしまった。咳ばらいをして、頭を掻く。
「なんか、高そうですね。ケースがもう高そう」
「いくらだっけ。えーと、二万二千円」
サングラスにぶら下がっている小さなタグを裏返して、加賀さんが値段を読み上げた。
「二万……、さすがです」
「何が?」
外したタグを俺に手渡して、加賀さんがサングラスを装着する。
「めっちゃ似合わない? 衝動買いしちゃった」
すぅ、と息を吸いこんだ。「素敵です」と胸を押さえる。スーツ姿にサングラスなんて、下手をするとチンピラにしか見えないのに、加賀さんはどちらかというと、そう。
「殺し屋みたいです」
加賀さんが真顔でスーツの内側に手を差し込んだ。銃を取り出すような仕草をして、指鉄砲の人差し指を俺に向けてくる。
「バーン」
「うっ、心臓に命中しました。俺はもうダメです」
「命中したのに喋れるんだ」
加賀さんが笑顔で腕時計を確認して、「遊んでる場合じゃねえ」と言った。
「今日送ってっていい?」
「えっ、いいんですか? 誕生日じゃないのに」
「そういや誕生日もうすぐだな」
「もうすぐかな?」
まだ六月なのに気が早い。気が早い加賀さんが可愛い。
「何欲しい?」
並んで靴を履きながら、加賀さんが訊いた。
「なんでもいいです。なんでも嬉しいです。サングラスでもいいです」
「お揃いの?」
やばい。慌てて首を横に振った。
「待って、ただ言ってみただけで、欲しくないです。そんな高いの絶対にいらないです。高くなくてもいらないです。だって俺、似合わないし」
「ちょっと着けてみて」
加賀さんが俺の顔面にサングラスを無理やり押し込んでくる。陰った視界の中で、加賀さんが腕を組み、神妙な顔つきで俺を見上げた。
「すげえな。ほんとに、からっきし、全然似合わないのがむしろ可愛い。写真撮らせて」
「ダメです、これ、ほら、お返ししますので。早く出ましょう」
「今年の誕プレ、グラサンに決定」
「やめて、一発ギャグのために二万二千円を使わないで。コスパが悪すぎます」
「はは、一発ギャグ」
できることなら、ずっとこうやってバカなことをしていたい。
でも、時間はどんどん過ぎていく。
止められたらどんなにいいか。エレベーターを二人で待つ間、いつもそう思う。
となりの加賀さんを見た。サングラスを頭の上にのっけている。無造作に持ち上げられた前髪。丸見えのおでこ。可愛さとカッコよさと色っぽさが共存している。切なくなった。なんなのだ、これは。サングラスの正しい使用法は、こうではないのかとさえ思う。
「それ、会社にもそうやって行くんですか?」
「ん? いやまさか。運転用だよ」
「なるほど」
エレベーターのドアが開くと、中にマンションの住人がいた。男性一人と女性が二人。おはようございますとあいさつを交わしたあと、女性の視線は加賀さんに固定されてしまう。エレベーターを降りるまで、彼女たちは加賀さんを見続けていた。いつものことすぎて慣れてしまった。
「気のせいかな。めっちゃ見られてなかった?」
車の中でサングラスをかけ直した加賀さんが、首をかしげた。面白い返しを思いついた。いつものことですよ、とは言わずに、シートベルトを締めながら声を潜めた。
「殺し屋だってバレたんですよ」
「はは、ウケる」
ウケた。膝の上でガッツポーズすると、加賀さんが俺の頬を無言で撫でて、エンジンをかけた。
「しゅっぱーつ」
シフトレバーを動かしながら加賀さんが言ったので、「しんこー」と続けた。
運転する加賀さんを観察するのが好きだ。カッコイイ。今日は特にカッコイイ。サングラスとは、なんと素晴らしいアイテムだろう。加賀さんの美しい顔面には邪魔でしかないと思っていた。そんなことはない。全然ない。
完璧だなあと見惚れていると、加賀さんが前方を見たままで「おーい」と言った。
「渡ってくれー」
前を見ると、信号機のない横断歩道の手前で人が待っていた。女子中学生の三人組だ。車を停止させているのに、キャアキャア騒いで渡らない。
こうなるのは理解できるが、加賀さんにはわからないらしい。
「遠慮してんのかな。あ、殺し屋だと思われてる?」
加賀さんが、サングラスを頭の上に押し上げた。
「ほら、怖くない」
魔性の微笑みがさく裂した。キラキラしたものが、加賀さんの全身から放出された瞬間を、確かに見た。
窓は全部閉まっているのに、女子たちの叫び声が鮮明に聞こえてくる。
加賀さんが手のひらを上に向けて、どうぞ渡ってくださいというジェスチャーをすると、彼女たちはやっと動き出した。いやー、ひゃー、紳士ーっという叫び声が、右から左へ移動していった。
「若いなー、元気だなー」
サングラスをかけ直して、加賀さんが手を振った。キャー、という絶叫。
車が動き出しても、加賀さんから目を離さない。目を、離せない。
「加賀さん」
「んー?」
「次の休み、モール行きましょう」
加賀さんが他人と関わる瞬間が、好きだ。
他人に見せる表情とか、柔らかい言動とか、全部が好きだ。
もちろん、二人だけの時間も好きだ。二人でいるときの、油断した加賀さんが大好きだ。
ただ、油断していない加賀さんも、もっと見たい。
「サングラス、欲しくなった? 誕生日まで待てない?」
俺がまったく欲しくないことをわかっていて、言っている。横顔はニヤニヤしている。
「加賀さん、好きです」
愉快そうに笑う加賀さんは、いつもの俺の、加賀さんだ。
〈おわり〉
顔に当たる太陽光が、いやに厳しい。肌が、じりじりと焼けそうだ。
「今日、すごくいい天気ですね。日差しが夏みたい」
「うん、あっついな」
俺のパンツのしわを丁寧に叩いて伸ばし、においを確かめながら加賀さんが言った。毎回こうするので、もはやツッコミは入れない。
「あ、グラサン買ったんだった。いよいよあれの出番だな」
「グラサン」
「うん、グラタンじゃないよ? グラタン温存してないよ?」
「いやわかりますよ、グラサンくらい」
加賀さんが「ははっ」と笑い声を弾ませた。
「倉知君がグラサンって言うと無理して悪ぶってるみたいだな。やべえ、可愛い。グラサンって言っただけで可愛いなんてそんなんある? 才能?」
加賀さんは俺ならなんでも可愛いのだ。多分、しゃっくり一つで可愛いと言うだろう。完全に麻痺しているのが可愛い。こっちだって、しゃっくりをする加賀さんが可愛い。
今から出勤だというのに、むしゃぶりつきたくなった。
むしゃぶりつこうか。まだ時間はある。急げば一回くらい、できる。
「こら」
無意識に加賀さんの尻を撫でていたらしい。怒られてしまった。
「残り干しといて」
「え、寂しい……。セクハラの罰ですか?」
「あと靴下だけだろ」
笑って俺の尻を存分に揉みしだいたあとで、加賀さんが中に戻る。ピンチハンガーに靴下を挟んでから部屋に入ると、加賀さんが寝室から出てくるところだった。サングラスのケースらしきものを持っている。
「そんなの、いつ買ったんですか?」
「この前モール行ったじゃん」
「モール、最近行ってないです」
誰かと行ったのか、と咄嗟にものすごく嫉妬した。別に誰と行こうが加賀さんの自由だ。歯を食いしばり、嫉妬を押し殺す。
「あ、そっか。一人で行ったんだった」
加賀さんが俺の顔を見て軽く吹き出した。
「そんな顔すんな。土曜、一人でめっちゃ暇でさ。そうだ、モール行こう、つってね。ただの散歩だよ」
嫉妬心を見透かされてしまった。咳ばらいをして、頭を掻く。
「なんか、高そうですね。ケースがもう高そう」
「いくらだっけ。えーと、二万二千円」
サングラスにぶら下がっている小さなタグを裏返して、加賀さんが値段を読み上げた。
「二万……、さすがです」
「何が?」
外したタグを俺に手渡して、加賀さんがサングラスを装着する。
「めっちゃ似合わない? 衝動買いしちゃった」
すぅ、と息を吸いこんだ。「素敵です」と胸を押さえる。スーツ姿にサングラスなんて、下手をするとチンピラにしか見えないのに、加賀さんはどちらかというと、そう。
「殺し屋みたいです」
加賀さんが真顔でスーツの内側に手を差し込んだ。銃を取り出すような仕草をして、指鉄砲の人差し指を俺に向けてくる。
「バーン」
「うっ、心臓に命中しました。俺はもうダメです」
「命中したのに喋れるんだ」
加賀さんが笑顔で腕時計を確認して、「遊んでる場合じゃねえ」と言った。
「今日送ってっていい?」
「えっ、いいんですか? 誕生日じゃないのに」
「そういや誕生日もうすぐだな」
「もうすぐかな?」
まだ六月なのに気が早い。気が早い加賀さんが可愛い。
「何欲しい?」
並んで靴を履きながら、加賀さんが訊いた。
「なんでもいいです。なんでも嬉しいです。サングラスでもいいです」
「お揃いの?」
やばい。慌てて首を横に振った。
「待って、ただ言ってみただけで、欲しくないです。そんな高いの絶対にいらないです。高くなくてもいらないです。だって俺、似合わないし」
「ちょっと着けてみて」
加賀さんが俺の顔面にサングラスを無理やり押し込んでくる。陰った視界の中で、加賀さんが腕を組み、神妙な顔つきで俺を見上げた。
「すげえな。ほんとに、からっきし、全然似合わないのがむしろ可愛い。写真撮らせて」
「ダメです、これ、ほら、お返ししますので。早く出ましょう」
「今年の誕プレ、グラサンに決定」
「やめて、一発ギャグのために二万二千円を使わないで。コスパが悪すぎます」
「はは、一発ギャグ」
できることなら、ずっとこうやってバカなことをしていたい。
でも、時間はどんどん過ぎていく。
止められたらどんなにいいか。エレベーターを二人で待つ間、いつもそう思う。
となりの加賀さんを見た。サングラスを頭の上にのっけている。無造作に持ち上げられた前髪。丸見えのおでこ。可愛さとカッコよさと色っぽさが共存している。切なくなった。なんなのだ、これは。サングラスの正しい使用法は、こうではないのかとさえ思う。
「それ、会社にもそうやって行くんですか?」
「ん? いやまさか。運転用だよ」
「なるほど」
エレベーターのドアが開くと、中にマンションの住人がいた。男性一人と女性が二人。おはようございますとあいさつを交わしたあと、女性の視線は加賀さんに固定されてしまう。エレベーターを降りるまで、彼女たちは加賀さんを見続けていた。いつものことすぎて慣れてしまった。
「気のせいかな。めっちゃ見られてなかった?」
車の中でサングラスをかけ直した加賀さんが、首をかしげた。面白い返しを思いついた。いつものことですよ、とは言わずに、シートベルトを締めながら声を潜めた。
「殺し屋だってバレたんですよ」
「はは、ウケる」
ウケた。膝の上でガッツポーズすると、加賀さんが俺の頬を無言で撫でて、エンジンをかけた。
「しゅっぱーつ」
シフトレバーを動かしながら加賀さんが言ったので、「しんこー」と続けた。
運転する加賀さんを観察するのが好きだ。カッコイイ。今日は特にカッコイイ。サングラスとは、なんと素晴らしいアイテムだろう。加賀さんの美しい顔面には邪魔でしかないと思っていた。そんなことはない。全然ない。
完璧だなあと見惚れていると、加賀さんが前方を見たままで「おーい」と言った。
「渡ってくれー」
前を見ると、信号機のない横断歩道の手前で人が待っていた。女子中学生の三人組だ。車を停止させているのに、キャアキャア騒いで渡らない。
こうなるのは理解できるが、加賀さんにはわからないらしい。
「遠慮してんのかな。あ、殺し屋だと思われてる?」
加賀さんが、サングラスを頭の上に押し上げた。
「ほら、怖くない」
魔性の微笑みがさく裂した。キラキラしたものが、加賀さんの全身から放出された瞬間を、確かに見た。
窓は全部閉まっているのに、女子たちの叫び声が鮮明に聞こえてくる。
加賀さんが手のひらを上に向けて、どうぞ渡ってくださいというジェスチャーをすると、彼女たちはやっと動き出した。いやー、ひゃー、紳士ーっという叫び声が、右から左へ移動していった。
「若いなー、元気だなー」
サングラスをかけ直して、加賀さんが手を振った。キャー、という絶叫。
車が動き出しても、加賀さんから目を離さない。目を、離せない。
「加賀さん」
「んー?」
「次の休み、モール行きましょう」
加賀さんが他人と関わる瞬間が、好きだ。
他人に見せる表情とか、柔らかい言動とか、全部が好きだ。
もちろん、二人だけの時間も好きだ。二人でいるときの、油断した加賀さんが大好きだ。
ただ、油断していない加賀さんも、もっと見たい。
「サングラス、欲しくなった? 誕生日まで待てない?」
俺がまったく欲しくないことをわかっていて、言っている。横顔はニヤニヤしている。
「加賀さん、好きです」
愉快そうに笑う加賀さんは、いつもの俺の、加賀さんだ。
〈おわり〉
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