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第5話
「それでルイス伯爵様、次は私をどこに連れて行ってくださるのですか?」
「そうだなぁ…。フォーラット湖はこの間行ったし、ケルン城は今度行く予定になっているし…。まだまだ行きたいところはあるんだけれど、なかなか悩むなぁ」
「伯爵様と一緒なら、私はどこでも楽しいですよ♪」
伯爵家の一室において、ルイスとスフィアは非常にいい雰囲気に包まれながらそう言葉を発していた。
オードリーとの婚約関係がありながら、浮気を通じて結ばれるに至った二人。
その関係は決して周囲から褒められるようなものではなく、むしろ大きな反感を買うだけなのだが、そんなことには当の本人たちは全く気付いてもいない様子…。
「それじゃあ次は王宮にでも一緒に…」
コンコンコン
「伯爵様、よろしいですか?」
嬉しそうにそう言葉を発していたルイスであったが、突然のノックにその言葉を遮られてしまう。
「その声はグレイか…。今僕は忙しいんだ。用事があるなら後にしてく…」
ガチャン
「失礼します」
「……」
伯爵の有無を言わさず部屋の中に押し入る尋ね人。
これまでそんなことは一度たりともなかったため、伯爵は分かりやすくその機嫌を悪くする。
「…いったい何のつもりだグレイ?僕の言葉が聞こえなくなったのか?」
「いえいえ、聞こえておりますよ。だからこそ今日は伯爵様にお話が合ってきたのです」
「…なんだ?つまらない話だったらこの場で即刻追放を命じるぞ?」
普段ならば、グレイが少々の無礼を働いたとしても伯爵はここまでの言葉を口にすることはない。
しかし今はその隣にスフィアがいるため、伯爵は自分の強さというものを少しでも大きく見せたかったのだろう。
「大丈夫ですよ伯爵様、今からお話しするのは伯爵様がこれまでに一度も聞いたことのないようなスケールの話ですから」
「ほう、それはなかなか楽しみだな。じゃあ早速聞かせてもらおうか」
伯爵の手招きを受けるがままに、グレイは自信が持ち込んだ話をそのまま口にしていく。
「伯爵様は以前、婚約関係にあったオードリー様との関係を一方的に切り捨てられましたね?そしてその後すぐにそちらにいらっしゃるスフィア様との関係を深められている」
「あぁ、そうだとも。スフィアの方が僕により相応しい存在だと確信したのだから、当然の事だろう?」
「当然の事でしょうか?このお屋敷の中にはそんな伯爵様の行動を疑問に感じている者が多くいるようですが?」
どこか挑発的ともとれるグレイの口ぶりを前にして、ややイライラが隠せない様子の伯爵。
すると今度はその隣にいたスフィアが一歩前に歩み出て、グレイに対してこう言葉を発した。
「ねえグレイ様、もしかしてあなたはオードリーお姉様に何か特別な気でもあるのですか?そうでもないとそこまでお姉様の事を擁護される理由がわからないのですけれど♪」
嫌味たらしいその口調は、オードリーに向けられていたのと全く同じもの。
グレイはそんな挑発は軽く受けながすと、スフィアに対してこう言葉を返す。
「スフィア様、お姉様が受け取るはずだった愛情を横取りすることに成功した今のご気分はいかがですか?もし少しでも後悔や申し訳ないという気持ちがあるのでしたら、私がその思いを受け取らせていただきたく思いますが」
「そんなものあるわけがないでしょう?全部お姉様に魅力がなかっただけの話なのだから、私が謝る理由なんてどこにもないもの。ねぇ、伯爵様?」
「あぁ、もちろん。グレイ、君はまさぁ僕らに謝れとでも言いに来たのか?それなら無駄だ、僕たちはオードリーの事など全く何とも思っていないのだからな」
「はぁ…。そうですか、それは残念です」
やれやれといった様子を浮かべながら、グレイはそれまでしまっていた一枚の紙を懐から取り出し、二人の前に向けて差し出した。
…そこにはほかでもない、二人にとって絶対に受け入れがたい言葉が書かれていた。
「お二人ともよくご覧ください。これは、今日をもって伯爵様の貴族としての立場をはく奪する旨の決定書です。作成者は王宮貴族会、現時刻をもって発効します」
「「っ!?!?!?!?!!?!?!?」」
…全く突然に出現したその書類を前に、リアクションというリアクションもできないでいる二人…。
大いに言葉に詰まっている様子だったが、まず最初に口を開いたのは伯爵の方だった。
「そ、そんなもの偽物に決まっている!!!大体どうやってお前がこんなものを手に入れられるというのだ!!!」
そしてそんな伯爵の勢いに押されるかのように、続けてスフィアも言葉を発する。
「そ、そうですよそうですよ!!きっとグレイ様は私たちがあまりに幸せな関係を築いているから、一方的に嫉妬されているのでしょう!?だからこんな幼稚なやり方で私たちの関係を壊そうとしてきているのでしょう!!あーあ、どこまでも子供みたいでなんだか見ているこっちが恥ずかしくなりますわぁ」
「グレイ、まさかお前がこんな低レベルなことをしてくるとは思ってもいなかったぞ…。これはもう、最初に言った通りオードリーとともにお前の事も追放する形で調整しなければならないな…。グレイ、オードリーの事をどう思おうとお前の自由だが、お前は従うべき相手を見誤ってしまったようだ」
「そうだなぁ…。フォーラット湖はこの間行ったし、ケルン城は今度行く予定になっているし…。まだまだ行きたいところはあるんだけれど、なかなか悩むなぁ」
「伯爵様と一緒なら、私はどこでも楽しいですよ♪」
伯爵家の一室において、ルイスとスフィアは非常にいい雰囲気に包まれながらそう言葉を発していた。
オードリーとの婚約関係がありながら、浮気を通じて結ばれるに至った二人。
その関係は決して周囲から褒められるようなものではなく、むしろ大きな反感を買うだけなのだが、そんなことには当の本人たちは全く気付いてもいない様子…。
「それじゃあ次は王宮にでも一緒に…」
コンコンコン
「伯爵様、よろしいですか?」
嬉しそうにそう言葉を発していたルイスであったが、突然のノックにその言葉を遮られてしまう。
「その声はグレイか…。今僕は忙しいんだ。用事があるなら後にしてく…」
ガチャン
「失礼します」
「……」
伯爵の有無を言わさず部屋の中に押し入る尋ね人。
これまでそんなことは一度たりともなかったため、伯爵は分かりやすくその機嫌を悪くする。
「…いったい何のつもりだグレイ?僕の言葉が聞こえなくなったのか?」
「いえいえ、聞こえておりますよ。だからこそ今日は伯爵様にお話が合ってきたのです」
「…なんだ?つまらない話だったらこの場で即刻追放を命じるぞ?」
普段ならば、グレイが少々の無礼を働いたとしても伯爵はここまでの言葉を口にすることはない。
しかし今はその隣にスフィアがいるため、伯爵は自分の強さというものを少しでも大きく見せたかったのだろう。
「大丈夫ですよ伯爵様、今からお話しするのは伯爵様がこれまでに一度も聞いたことのないようなスケールの話ですから」
「ほう、それはなかなか楽しみだな。じゃあ早速聞かせてもらおうか」
伯爵の手招きを受けるがままに、グレイは自信が持ち込んだ話をそのまま口にしていく。
「伯爵様は以前、婚約関係にあったオードリー様との関係を一方的に切り捨てられましたね?そしてその後すぐにそちらにいらっしゃるスフィア様との関係を深められている」
「あぁ、そうだとも。スフィアの方が僕により相応しい存在だと確信したのだから、当然の事だろう?」
「当然の事でしょうか?このお屋敷の中にはそんな伯爵様の行動を疑問に感じている者が多くいるようですが?」
どこか挑発的ともとれるグレイの口ぶりを前にして、ややイライラが隠せない様子の伯爵。
すると今度はその隣にいたスフィアが一歩前に歩み出て、グレイに対してこう言葉を発した。
「ねえグレイ様、もしかしてあなたはオードリーお姉様に何か特別な気でもあるのですか?そうでもないとそこまでお姉様の事を擁護される理由がわからないのですけれど♪」
嫌味たらしいその口調は、オードリーに向けられていたのと全く同じもの。
グレイはそんな挑発は軽く受けながすと、スフィアに対してこう言葉を返す。
「スフィア様、お姉様が受け取るはずだった愛情を横取りすることに成功した今のご気分はいかがですか?もし少しでも後悔や申し訳ないという気持ちがあるのでしたら、私がその思いを受け取らせていただきたく思いますが」
「そんなものあるわけがないでしょう?全部お姉様に魅力がなかっただけの話なのだから、私が謝る理由なんてどこにもないもの。ねぇ、伯爵様?」
「あぁ、もちろん。グレイ、君はまさぁ僕らに謝れとでも言いに来たのか?それなら無駄だ、僕たちはオードリーの事など全く何とも思っていないのだからな」
「はぁ…。そうですか、それは残念です」
やれやれといった様子を浮かべながら、グレイはそれまでしまっていた一枚の紙を懐から取り出し、二人の前に向けて差し出した。
…そこにはほかでもない、二人にとって絶対に受け入れがたい言葉が書かれていた。
「お二人ともよくご覧ください。これは、今日をもって伯爵様の貴族としての立場をはく奪する旨の決定書です。作成者は王宮貴族会、現時刻をもって発効します」
「「っ!?!?!?!?!!?!?!?」」
…全く突然に出現したその書類を前に、リアクションというリアクションもできないでいる二人…。
大いに言葉に詰まっている様子だったが、まず最初に口を開いたのは伯爵の方だった。
「そ、そんなもの偽物に決まっている!!!大体どうやってお前がこんなものを手に入れられるというのだ!!!」
そしてそんな伯爵の勢いに押されるかのように、続けてスフィアも言葉を発する。
「そ、そうですよそうですよ!!きっとグレイ様は私たちがあまりに幸せな関係を築いているから、一方的に嫉妬されているのでしょう!?だからこんな幼稚なやり方で私たちの関係を壊そうとしてきているのでしょう!!あーあ、どこまでも子供みたいでなんだか見ているこっちが恥ずかしくなりますわぁ」
「グレイ、まさかお前がこんな低レベルなことをしてくるとは思ってもいなかったぞ…。これはもう、最初に言った通りオードリーとともにお前の事も追放する形で調整しなければならないな…。グレイ、オードリーの事をどう思おうとお前の自由だが、お前は従うべき相手を見誤ってしまったようだ」
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