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第2話
――ラドン視点――
「仕方ない、これは仕方のない事なんだ。僕は自分が真に愛する人の存在に、気づいてしまったのだから…」
消えていったフィーレアの背中を見つめつつ、僕は小さな声でそう言葉をつぶやいた。
その言葉は当然フィーレアに聞こえるような大きなのものではなかったため、僕が自分自身に対して言った言葉という事になる。
「僕は…セレスを幸せにすることしか考えられないのだ…。だからこそ、この婚約破棄は正義に基づくものであると確信している…!」
後から真実を知った者たちからは、僕の事を浮気者だとか、裏切り者だとか、いろいろな言葉をかけられるかもしれない。
しかし、そんなものは全くの見当違いであるという事を、僕ははっきりと分からせなければならない。
誰だってセレスとの愛情関係を体で感じてしまったなら、その思いを断ち切ることなどできないのだから…。
――――
「伯爵様、本当にフィーレアの事を婚約破棄してくださったのですね!」
次の日、僕は早速フィーレアに婚約破棄の事を告げることとした。
彼女は心の底から嬉しそうな表情を浮かべてくれ、僕の決断を全身で喜んでくれている様子だった。
「そうだとも、僕の中ではすでに君しか見えていないんだ…!セレス、だから君も約束してほしい。この僕の事を、一番にしてくれると」
「当然です伯爵様!私のためにすでにあった婚約関係を破棄してくださったという事は、それほどに私の事を愛してくださっているという事ですものね?それを受け止めない理由がありませんもの!」
セレスはそう言葉を発しつつ、僕の腕にそっと自身の手を添えてくれる。
肌が触れ合っている面積事態は非常に小さいものではあるものの、僕はの小さな面積からは考えられないほどの温かみを心に感じ、その心地よさに溶けそうな思いを感じていた。
「セレス…。これで、僕たちの真実の愛は確かなものとなった…!決して誰にも文句を言わせたりはしない!僕は絶対に君の事を幸せにして見せるとも!僕はもう、君さえいてくれれば他に何もいりはしないのだから!」
自信をもってそう言葉を発する僕ではあったものの、一つだけ心残りもあった。
それは、フィーレアの事をここに残すことができなかった点だ。
本当なら、セレスとの関係を進めていく中でフィーレアとの関係も維持し、なおかつ彼女との関係は主人と使用人という関係になることが理想だった。
そうなれば、僕はある種合法的に浮気を行うことができるからだ。
…そこまで計画を立ててはいたものの、結局それを実現させることはできなかった。
もっとフィーレアに対して甘えを許すような言葉のかけ方をしていればよかったのかもしれないが、そこまで願うのは過ぎたものかもしれないな。
「伯爵様、それでは私はもう立派な、伯爵夫人を名乗ってもいいという事ですか?伯爵様の隣に並び立つことを、正式に認められたと言ってもいいのですか?」
「ああ、当然だとも。僕はずっとそのために行動をしてきたんだ!セレス、君は今日から立派な僕の婚約者、未来の伯爵夫人だとも!」
「まあ!!」
僕がそう言葉をかけた時、セレスは再び心の底から嬉しそうな表情を浮かべてみせてくれる。
そこにどんな思いがともなっているのかは本人にしかわからないが、それでも僕には自信をもって言えるほど、その思いの正体を理解することができていた。
それは、僕と彼女が真実の愛で結ばれているからこそであり、互いの愛情が生半可なものではないことを示す確固たる証拠だった。
「こんな思いは、フィーレアとの間では感じられなかったものだ…。それに気づかせてくれたのは、セレス、君だとも」
「私も…。伯爵様に出会ってにいなければ、ここまで心をときめかさられることはなかったと思います…。本当に、幸せでいっぱいです…」
たとえ始まりが浮気関係からであろとも、そこに真実の愛が伴っているのならすべて許される。
その過程で婚約破棄を行おうとも、自分以外の者の信念を曲げてまで新しい婚約を受け入れたとしても、だ。
「ねぇ伯爵様、それじゃあ早速かなえていただきたい夢があるのです」
「ああ、何でも言ってみるといい。君からの頼みであるなら、僕はどんな困難をも乗り越えられる気がしているよ」
「それじゃあ…。私、伯爵様と一緒に過ごすお城が欲しいのです…!せっかく婚約関係になることができたのですから、そのお祝い、ともいうような…」
「お城か…」
その言葉を聞き、僕は早速頭の中でどのお城が候補となりうるかを考えていく。
この時点でセレスの願いをかなえる事はすでに決まっているのだが、彼女の中ではそれが少し不安に映ったようで…。
「そ、そうですよね…。こんな過ぎた願い、かなえるわけにはいきませんよね…。私一人のためにお城を動かすなんて、いくらなんでも無茶苦茶ですものね…」
どこか残念そうな表情を浮かべるセレス。
おっと、僕としたことが…彼女にこんな顔をさせるなど、真実の愛で結ばれた婚約者としては失格じゃないか…。
「心配いらない、セレス。僕にすべて任せてくれ」
「仕方ない、これは仕方のない事なんだ。僕は自分が真に愛する人の存在に、気づいてしまったのだから…」
消えていったフィーレアの背中を見つめつつ、僕は小さな声でそう言葉をつぶやいた。
その言葉は当然フィーレアに聞こえるような大きなのものではなかったため、僕が自分自身に対して言った言葉という事になる。
「僕は…セレスを幸せにすることしか考えられないのだ…。だからこそ、この婚約破棄は正義に基づくものであると確信している…!」
後から真実を知った者たちからは、僕の事を浮気者だとか、裏切り者だとか、いろいろな言葉をかけられるかもしれない。
しかし、そんなものは全くの見当違いであるという事を、僕ははっきりと分からせなければならない。
誰だってセレスとの愛情関係を体で感じてしまったなら、その思いを断ち切ることなどできないのだから…。
――――
「伯爵様、本当にフィーレアの事を婚約破棄してくださったのですね!」
次の日、僕は早速フィーレアに婚約破棄の事を告げることとした。
彼女は心の底から嬉しそうな表情を浮かべてくれ、僕の決断を全身で喜んでくれている様子だった。
「そうだとも、僕の中ではすでに君しか見えていないんだ…!セレス、だから君も約束してほしい。この僕の事を、一番にしてくれると」
「当然です伯爵様!私のためにすでにあった婚約関係を破棄してくださったという事は、それほどに私の事を愛してくださっているという事ですものね?それを受け止めない理由がありませんもの!」
セレスはそう言葉を発しつつ、僕の腕にそっと自身の手を添えてくれる。
肌が触れ合っている面積事態は非常に小さいものではあるものの、僕はの小さな面積からは考えられないほどの温かみを心に感じ、その心地よさに溶けそうな思いを感じていた。
「セレス…。これで、僕たちの真実の愛は確かなものとなった…!決して誰にも文句を言わせたりはしない!僕は絶対に君の事を幸せにして見せるとも!僕はもう、君さえいてくれれば他に何もいりはしないのだから!」
自信をもってそう言葉を発する僕ではあったものの、一つだけ心残りもあった。
それは、フィーレアの事をここに残すことができなかった点だ。
本当なら、セレスとの関係を進めていく中でフィーレアとの関係も維持し、なおかつ彼女との関係は主人と使用人という関係になることが理想だった。
そうなれば、僕はある種合法的に浮気を行うことができるからだ。
…そこまで計画を立ててはいたものの、結局それを実現させることはできなかった。
もっとフィーレアに対して甘えを許すような言葉のかけ方をしていればよかったのかもしれないが、そこまで願うのは過ぎたものかもしれないな。
「伯爵様、それでは私はもう立派な、伯爵夫人を名乗ってもいいという事ですか?伯爵様の隣に並び立つことを、正式に認められたと言ってもいいのですか?」
「ああ、当然だとも。僕はずっとそのために行動をしてきたんだ!セレス、君は今日から立派な僕の婚約者、未来の伯爵夫人だとも!」
「まあ!!」
僕がそう言葉をかけた時、セレスは再び心の底から嬉しそうな表情を浮かべてみせてくれる。
そこにどんな思いがともなっているのかは本人にしかわからないが、それでも僕には自信をもって言えるほど、その思いの正体を理解することができていた。
それは、僕と彼女が真実の愛で結ばれているからこそであり、互いの愛情が生半可なものではないことを示す確固たる証拠だった。
「こんな思いは、フィーレアとの間では感じられなかったものだ…。それに気づかせてくれたのは、セレス、君だとも」
「私も…。伯爵様に出会ってにいなければ、ここまで心をときめかさられることはなかったと思います…。本当に、幸せでいっぱいです…」
たとえ始まりが浮気関係からであろとも、そこに真実の愛が伴っているのならすべて許される。
その過程で婚約破棄を行おうとも、自分以外の者の信念を曲げてまで新しい婚約を受け入れたとしても、だ。
「ねぇ伯爵様、それじゃあ早速かなえていただきたい夢があるのです」
「ああ、何でも言ってみるといい。君からの頼みであるなら、僕はどんな困難をも乗り越えられる気がしているよ」
「それじゃあ…。私、伯爵様と一緒に過ごすお城が欲しいのです…!せっかく婚約関係になることができたのですから、そのお祝い、ともいうような…」
「お城か…」
その言葉を聞き、僕は早速頭の中でどのお城が候補となりうるかを考えていく。
この時点でセレスの願いをかなえる事はすでに決まっているのだが、彼女の中ではそれが少し不安に映ったようで…。
「そ、そうですよね…。こんな過ぎた願い、かなえるわけにはいきませんよね…。私一人のためにお城を動かすなんて、いくらなんでも無茶苦茶ですものね…」
どこか残念そうな表情を浮かべるセレス。
おっと、僕としたことが…彼女にこんな顔をさせるなど、真実の愛で結ばれた婚約者としては失格じゃないか…。
「心配いらない、セレス。僕にすべて任せてくれ」
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