幼馴染を優先したいのならどうぞご自由に

睡蓮

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第3話

――フィーナ視点――

ルーグル侯爵様のもとに向かっている私は、心の中でこれから私にもたらされるであろう明るい未来を想像しないわけにはいかなかった。

「たぶん、私がお願いしたとおりの事がもうすでに怒っているはず…。侯爵様、ソティスの事を体よく追い出してくださったかしら…?」

そのお願いは、今から数日ほど前の事…。

――数日前――

「ねぇ侯爵様、私ちょっとだけ不安なんです…」
「不安?なにがだい?」

暖かい表情を浮かべながら、私の事を心配そうに見つめてくる侯爵様。
…私がこの言葉を繰り出すのは、今をおいて他にない。

「侯爵様は、本当に私の事を愛してくださっているのかどうか…」
「な、何を言っているんだフィーナ…。僕たちの愛は真実の愛からくるものだと、あんなにも確認しあったじゃないか」
「でも、私、気づいてしまったのです…」

それは、きっと言われることを侯爵様が激しく気にしていた事。
それを、あえて私は彼にぶつけた。

「侯爵様は、ソティスという婚約者がいるでしょう?そちらが本命で、私の事はただの暇つぶしにしか思っていないのではないかと…」
「そんなわけがないだろう。君にも何度も言ってきたけれど、僕にしてみればソティスの方がただの暇つぶしなんだ。そこに嘘偽りなんて何一つない」
「なら、私のお願いを聞いていただきたいのです」
「お願い?」

このお願いは、タイミングを間違えると全くの逆効果になってしまうもの。
だからこそここぞというときに繰り出さなないと意味がない。
…私の中の本能が、今をおいて他にないと言っているのだ。

「では、侯爵様、ソティスの事を婚約破棄していただけませんか?」
「婚約破棄…?」

私の言葉を聞いた侯爵様は、やや驚きの表情を浮かべてみせる。
それもそのはず、私がそんなことを言ってくるなんて思ってもいなかったでしょうから。

「大変な事なのは分かっています。貴族家にある者同士の婚約を、簡単にひっくり返せないという事くらい…。でも、それでも私は侯爵様の本当の婚約者になりたいのです…。気持ちだけでなく、はっきりと侯爵様に受け入れていただきたいのです…。でないと私、どうしても安心できなくて…」
「そうか…。君はそこまで…」

私の弱弱しい口調が効いてくれたのか、侯爵様はかなり真剣そうな表情を見せてくれる。
本当は全くシリアスでもなんでもない私だけれど、侯爵様がそこまで想ってくれているのなら気持ちはまったくやぶさかではない。

「まず、謝らなければね。君がそこまで不安な思いを抱いていたというのに、僕はその事に全く気付いてあげられなかった。その事は、深く反省しなければならない」
「侯爵様…」
「だからこそ、これは僕自身へのみそぎだ。君の言う通り、貴族家たるもの一度決定した婚約関係をひっくり返すことは、ご法度中のご法度だ。周囲が僕に向ける視線も、かなり厳しいものになるだろう。普通に考えれば、そんなことはしない。だが、それでも僕は君からの信頼を得るために、その道を行こうと思う」
「侯爵様…!!」
「安心してほしいフィーナ。僕は君の事を、かならず正真正銘本物の婚約者として受け入れる。だから、なにも心配に思う必要はない。君は君として、僕の事を支えていってほしい。ほかならぬ、僕のたった一人の婚約者として」

自分でもびっくりだった。
まさかここまでスムーズに話を進められるなんて。
やっぱり、タイミングというものは非常に大事なのだと実感させられた。

「ありがとうございます、侯爵様!!これで私たちは正真正銘、真実の愛で結ばれた関係だというわけですね!」
「ああ、その通りだとも!もう何も迷う必要はない!」

――――

その言葉を聞いた時、私は自分の勝利というものを確信した。
そしてあの時の侯爵様の雰囲気から考えて、婚約破棄はもう告げてしまっていることと思う。
それは、きっと侯爵様はこれから会う私との時間の時に、その事を伝えたくてシカがないはずだからだ。
もうどうにもならない思いを抱いて、我慢ができていないことと思う。

「さあ、聞かせてください侯爵様。私のために婚約者の存在さえも切り捨ててくださる、あなたの思いを♪」

こんなにも光り輝く純粋な思いなんて、私たち以外の誰も抱いていない事でしょうね。
だからこそみんな私たちにあこがれて、うらやんでくるのでしょうね。
でも、あいにくだけれど私たちの幸せをお裾分けすることはできないわ。
私たちは私たちの幸せをすべて自分のものにさせていただきますので♪

――――

その後、私は侯爵様の元を訪れ、互いの愛情を確認しあった。
その中で、私の予想通りに婚約破棄の話を聞くことができた。
侯爵様は苦笑いを浮かべながら、これから先が大変だなと言っていたけれど、うまくいくであろうことを私は確信している。
捨てられたソティスには、私たちに反撃してくるだけの力なんて全く残されていない事は明らかなのだから♪

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