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第2話
突然に、私の運命は変わった。
それまで何気ない日常を過ごしていたというのに、それが一変した。
オレフィス第一王子様から、好意を向けられたあの日から。
「……」
それでも私は、示されたその関係を受け入れることにした。
だって、それほどまでに私の事を愛してくださっているという証拠だもの。
それに答えない方が、なんだかよくない事のような気がしてきたのだ。
私が思いを固めたあの日の事、オレフィス様は私に向けてこう言った。
『必ず君の事を幸せにして見せるとも。だから君はいつまでも僕の事を信じて、ただ黙ってついてきてほしい。決して後悔はさせないとも』
私はその言葉を信じることにした。
だって、他でもない第一王子様からの言葉だもの。
それを疑うことのほうがよっぽど不敬なのだから。
「…それが、今…」
そんな日々の事は、もうすっかり忘れられているのかもしれない。
なぜなら私の味方は、第一王子様を含めてここには誰もいないのだから。
「ねぇリアナ様、これは前にも言ったでしょう?第一王子様の婚約者になるくらいなんだからちゃんと理解しておいてもらわないと困るんだけれど?」
「ご、ごめんなさいお母様…」
「あなたはいいわよね。そうやって謝るだけでなんでも解決できるんだから。はぁ、こんな子のどこがいいっていうのかしらね。我が息子ながら全く理解できないわ…」
オレフィス様のお母様であるエミリ―様は、私の事がとにかく気に入らないらしい。
事あるごとに私の事を悪者にして、すべての罪を擦り付けようとしてくる。
私がそれに反論することは当然許されておらず、私にできる事はただただ黙って相手の言葉を受け入れる事のみだった。
そして最近になって、私の周りにおける私の扱いはさらに悪くなっていった…。
「オレフィス様から愛想を尽かされてしまったって話ですよ、彼女」
「まぁ。それって絶対リアナ様の方に問題があるに決まっているわ。だってオレフィス様、あんなにも心の広いお方なんですもの。そんなオレフィス様から愛情を冷まされるなんて…♪」
わざと私の耳に聞こえるように、周囲の人々がこそこそと私の陰口を言い始める。
…そのきっかけは全く分からないけれど、最近になって急に始まったような気がする。
その裏に誰かの存在があることはすぐにわかったけれど、それが誰であるのかまでは私にはわからなかった。
「リアナ様を選んだ事をオレフィス様は後悔しているに決まっているわ。だって、この王宮に来てからというもの自分勝手な振る舞いばかり見せているでしょう?まるでこの王宮の事を自分のものにしたかのような感じだわ」
「自分はただの第一王子様の婚約者だってことが理解できていないのかしらね?あくまで権限はオレフィス様にあって、みんなが従っているのはオレフィス様のほうなのに、自分がすべての権力を手に入れたみたいな気になっているんじゃなくって?」
ここに来て私の願いがかなえられたことなんて一度もない。
それはむしろ私が権力を濫用しているどころか、過去にないほどオレフィス様に縛られていると言ってもいいくらいなのに、周りの人には私が悪役令嬢のような振る舞いをしていると、そう見えているらしい。
「オレフィス様、もう新しい婚約者探しをされていてもおかしくないわね。だってここまで自分の思いを裏切られてしまったんですもの。当然よね」
「それならいっそのこと、オレフィス様の事を思って自分からいなくなるのがせめてものオレフィス様への恩返しなのではないかしら?だってここまで問題を大きくしてしまった張本人なのでしょう?せめて自分で決着をつけてほしいわねぇ」
向こうが本当にそう思っているのなら、私もそれでいいと思っていた。
けれど私の心の中にはどこか、まだオレフィス様の事を信用したいという思いがあった。
今私が陰口を言われているのは、私とオレフィス様の婚約関係に嫉妬した誰かがそう言わせているだけで、本当は全くそんな事を思われているわけじゃないと信じたかった。
…けれどある日の事、そんな私の切ない思いは一瞬のうちに打ち砕かれた。
他でもない、オレフィス様自身の話し声が部屋の外を歩いていた私の耳に届いてきたから…。
「どうだ、調子は。リアナを追い出す準備は順調に進んでいるか?」
「い、今のところは手筈通りに進んでいるかと思います…。リアナ様はいずれ自らの手で決断されることでしょう。どうするのがみんなのためになるのかを…」
「はぁ…。まさかここまで察しの悪い女だとは思っていなかったな…。あんな甘い言葉など、その場限りの嘘に決まっているじゃないか。それをいつまでもひきずって信用して、ここまで来てしまったんだろうな…。まったく、どこまでもおめでたい女だ…。僕の愛情はとうに枯れているというのに…」
私の事を最も愛していなかったのは他でもない、オレフィス様自身だったのだ。
…その言葉を聞いた途端、私はもう自分の心を固めた。
これ以上ここに残ることに、何の意味もないと…。
それまで何気ない日常を過ごしていたというのに、それが一変した。
オレフィス第一王子様から、好意を向けられたあの日から。
「……」
それでも私は、示されたその関係を受け入れることにした。
だって、それほどまでに私の事を愛してくださっているという証拠だもの。
それに答えない方が、なんだかよくない事のような気がしてきたのだ。
私が思いを固めたあの日の事、オレフィス様は私に向けてこう言った。
『必ず君の事を幸せにして見せるとも。だから君はいつまでも僕の事を信じて、ただ黙ってついてきてほしい。決して後悔はさせないとも』
私はその言葉を信じることにした。
だって、他でもない第一王子様からの言葉だもの。
それを疑うことのほうがよっぽど不敬なのだから。
「…それが、今…」
そんな日々の事は、もうすっかり忘れられているのかもしれない。
なぜなら私の味方は、第一王子様を含めてここには誰もいないのだから。
「ねぇリアナ様、これは前にも言ったでしょう?第一王子様の婚約者になるくらいなんだからちゃんと理解しておいてもらわないと困るんだけれど?」
「ご、ごめんなさいお母様…」
「あなたはいいわよね。そうやって謝るだけでなんでも解決できるんだから。はぁ、こんな子のどこがいいっていうのかしらね。我が息子ながら全く理解できないわ…」
オレフィス様のお母様であるエミリ―様は、私の事がとにかく気に入らないらしい。
事あるごとに私の事を悪者にして、すべての罪を擦り付けようとしてくる。
私がそれに反論することは当然許されておらず、私にできる事はただただ黙って相手の言葉を受け入れる事のみだった。
そして最近になって、私の周りにおける私の扱いはさらに悪くなっていった…。
「オレフィス様から愛想を尽かされてしまったって話ですよ、彼女」
「まぁ。それって絶対リアナ様の方に問題があるに決まっているわ。だってオレフィス様、あんなにも心の広いお方なんですもの。そんなオレフィス様から愛情を冷まされるなんて…♪」
わざと私の耳に聞こえるように、周囲の人々がこそこそと私の陰口を言い始める。
…そのきっかけは全く分からないけれど、最近になって急に始まったような気がする。
その裏に誰かの存在があることはすぐにわかったけれど、それが誰であるのかまでは私にはわからなかった。
「リアナ様を選んだ事をオレフィス様は後悔しているに決まっているわ。だって、この王宮に来てからというもの自分勝手な振る舞いばかり見せているでしょう?まるでこの王宮の事を自分のものにしたかのような感じだわ」
「自分はただの第一王子様の婚約者だってことが理解できていないのかしらね?あくまで権限はオレフィス様にあって、みんなが従っているのはオレフィス様のほうなのに、自分がすべての権力を手に入れたみたいな気になっているんじゃなくって?」
ここに来て私の願いがかなえられたことなんて一度もない。
それはむしろ私が権力を濫用しているどころか、過去にないほどオレフィス様に縛られていると言ってもいいくらいなのに、周りの人には私が悪役令嬢のような振る舞いをしていると、そう見えているらしい。
「オレフィス様、もう新しい婚約者探しをされていてもおかしくないわね。だってここまで自分の思いを裏切られてしまったんですもの。当然よね」
「それならいっそのこと、オレフィス様の事を思って自分からいなくなるのがせめてものオレフィス様への恩返しなのではないかしら?だってここまで問題を大きくしてしまった張本人なのでしょう?せめて自分で決着をつけてほしいわねぇ」
向こうが本当にそう思っているのなら、私もそれでいいと思っていた。
けれど私の心の中にはどこか、まだオレフィス様の事を信用したいという思いがあった。
今私が陰口を言われているのは、私とオレフィス様の婚約関係に嫉妬した誰かがそう言わせているだけで、本当は全くそんな事を思われているわけじゃないと信じたかった。
…けれどある日の事、そんな私の切ない思いは一瞬のうちに打ち砕かれた。
他でもない、オレフィス様自身の話し声が部屋の外を歩いていた私の耳に届いてきたから…。
「どうだ、調子は。リアナを追い出す準備は順調に進んでいるか?」
「い、今のところは手筈通りに進んでいるかと思います…。リアナ様はいずれ自らの手で決断されることでしょう。どうするのがみんなのためになるのかを…」
「はぁ…。まさかここまで察しの悪い女だとは思っていなかったな…。あんな甘い言葉など、その場限りの嘘に決まっているじゃないか。それをいつまでもひきずって信用して、ここまで来てしまったんだろうな…。まったく、どこまでもおめでたい女だ…。僕の愛情はとうに枯れているというのに…」
私の事を最も愛していなかったのは他でもない、オレフィス様自身だったのだ。
…その言葉を聞いた途端、私はもう自分の心を固めた。
これ以上ここに残ることに、何の意味もないと…。
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