初恋

咲良

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春高予選①

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11月に入ると早速春高予選が始まる。1回戦は25―11、25―15とストレート勝ちだった、その流れに乗るように2回戦も25-14、25-12と勝ち進んだ。120校以上が集まる中で3回戦まで出場できるなんて岩居さんという主砲が抜けたうちの高校にしては上出来だと思った。
先輩たちはもっと上を目指そうとしてるが、如何せん1日に3試合は、はっきりいってキツイ。
うちの高校は部員が少ない事もありほとんど皆コートに出ている。練習でも基本の調味料がスターティングに来ることが多かったが3試合目もスターティングに呼ばれた。技術としては玉井の方があるだろうが10cmの身長差はやはりバレーと言う高さが有利になる球技では不利になるのだろう。
第3試合、これに勝てばベスト16となる。やはりスターティングのMBには佐藤さんと僕が選ばれた、対戦する高校は第1試合から3セットしていたからかなり疲れているはずだ。だが、3セットまで持ち込むだけあって、嫌な場所にスパイクを打ってくる。
リードブロックでコースを絞り後衛が取りやすいようにしたいが、相手もそれが判っててわざとコースをずらしてくる。後衛では飯田さんと変わることも多いが、夏合宿で正田さんからコントロール力を教わった玉井とサーブのタイミングで交代した。
玉井は相手の後衛セッターが前に動く時に出来る死角にうまくサーブを打ち込む、相手が死角を守ろうと前のめりになると今度はコートの奥に打ち込む。
ゆさぶりをかけ相手を翻弄する玉井はピンチサーバーとして、守備強化として幼馴染みだからとかじゃなく活躍したと思う。第1試合、第2試合とほぼ出場していた僕の代わりに第3試合ではほとんど僕が後衛に居ることはなかった。相手校も3セットマッチ2試合もしているからか25-8、25-13と第3試合まで勝てた。
たった10人しか居ない高校がベスト16だ……
僕たちのように部員の少ない高校としては数日後の日曜日に4回戦として対戦するだろう高校の試合を観たかったが、相手の方が先に決まっていて、トーナメント表の一番端シード権を持つ高校だった……。
日曜……試合する必要ないんじゃない?


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