幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。

白雪なこ

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前編

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 ワタクシには、乳姉妹で、幼馴染で、親友である大事な大事な友がいるの。

 生涯続く友情か?当たり前。私と彼女の友情は、伝説の金属、輝けるオレイカルコス製のリボンで固く結ばれている筈よ。当然でしょ?

 赤い糸?何よそれ?糸?ワタクシを馬鹿にしているのかしら?指よりうんと細いじゃない。束にすれば?ちょっと何言ってるのかわからない……

 専任の乳母の子供?確かにもう1人乳兄弟がいるわね。会ったこともないけれど。

 乳母……ねぇ。

 国によっては、乳母が実親より近しい存在になって、成人しても影響を与える例とかあるのよ。激務の王族だから育児をしないのはともかく、親子の触れ合いぐらいはあるじゃない?でも、兄弟姉妹の数が多いと放置気味になって、乳母を心の支えにして依存気味に成長したり。

 例えば王妃と複数の側妃がいて、派閥の違いがあったりすると、乳母同士も敵対していたりで、兄弟姉妹の仲が険悪になったり?乳母による洗脳教育で、成長して王位につく時には、実親と兄弟姉妹を排除して、乳母の言うことしか聞かないとか?

 でもそれは、乳幼児教育担当者が乳母を兼任した場合で、普通は乳児期が終われば、お役御免よ。

 下位貴族や裕福な平民は、住み込みの子守り兼家庭教師を雇うこともあるそうだけど、それも幼児期までね。働けない高齢女性を幼児期の子守りにする場合は、ばあやと呼ばれるそうだけど、文字を書けるかどうかな人が多くて、家の中での地位は低いわ。

 物語で出てくる敏腕じいやとばあや?あれは、先代や先先代の時代から家を切り盛りしてくれている執事長とか家政婦長とかで、子守りなんてしていないわよ。でも、親や自分が幼い頃から見守って助けてくれているから、親族並みに信頼できる、じいとばあやね。

 乳幼児教育担当者も、期間限定ね。本格的な教育を受ける様になれば、必要ないから。支え?信頼できる侍女や侍従がいれば良いでしょう?互いに争う気がなければ身内も信頼できるでしょうし。

 だから、私の専任の乳母も、乳児期だけの乳母よ。私自身は名前すら知らないし。お役目後の乳母にも、乳兄弟と言える存在にも、会ったことも今後会うこともないわ。

 何が言いたいのかわからないですって?
 まあ!駄目ね、あなた!
 そんなことでは、私の側近になどなれなくてよ?

 もう!
 仕方がないから、教えて差し上げるわ。

 大事な話だから、よ~く聞いて?

 私が認めている乳姉妹は、幼馴染で、親友であるアリアン・ランバンただ1人ってことよ!

 理解できたかしら?

 ほんの数日の代理乳母でも、乳姉妹には変わらないでしょ?
 誰にも文句は言わせないわよ!

 それでね?ワタクシ、今、その親友のことで、物凄く怒っているの。

 そう、アイツよ、アイツ!
 アレン・スチュードとか言う、クソ野郎よ!
 
 クソクソクソ!
 あの野郎ぉ、許せねぇぇえええええ!

 王女が汚い言葉を使ったら不味い?大丈夫よ!
 私の今の教育担当者は、側付きなんてしていないから。帝王学の教師なんていう高度専門教育家が、部屋の隅に控えてたりするわけないでしょ!

 だから、言ってやる!

 アレン・スチュードの、クソ野郎クソ野郎クソ野郎クソ野郎クソ野郎!
 私の大事なアリアンに何してくれてるの?
 ランバン伯爵家が許しても、ワタクシは許さない!
 次期女王を舐めんなよ!

 慰謝料?賠償金?労働刑の後、死ぬまで生涯労役の漕役そうえき刑?甘いわね。漕役そうえき刑なんて、そもそもが無期限の労役の場から脱走した囚人を逃げられない環境で、キツイ労働の船の漕ぎ手にしたところから始まっているから、元々は罰でなく、単に辛くて給料の安い仕事ってことでしょ?働き手不足を無給の囚人で補っただけじゃない。

 鉱山労働は、過酷だし、元々鉱山自体を牢屋として使ってた時代もあったぐらい、隔離には良いかもしれないけれど、囚人比率が高い鉱山は、暴動が起きやすいの。それに、危険だけど稼げる仕事だから、志願してくる働き手も多いから、無給というメリットはあっても、やる気もなく、問題を起こしやすい囚人は歓迎されないのよ。

 労働刑を決めるのも楽じゃないのよ。

 鞭打ち?3回ぐらいで、皮が破れて、血だらけになるそうよ。10回や20回で罰が終わるような罪人なら、死にかけでも外に放り出して終われるでしょうけどね。
 100回ぐらいしないと罰にならない凶悪犯なら、最初から死刑にした方が早いわね。

 国の刑法は、横暴であってはならず。合理的でなければならない。

 処罰を求める者が、自分で、報復や仇討ちなどをしないように、国が、しっかり罰する必要がある。帝王学で学ぶ信賞必罰でも、褒めることと罰することは、人心掌握術の基本よ。

 王や女王は、国の法を守る必要がある。

 現国王陛下も、王妃陛下も、次期女王であるワタクシも、法を守り、法を守らせる立場よね。だから、法は守るわよ。

 でもね、それで罰は終わるのかしら?
 本当に?

 アリアンの出した報告だけで、あの愚かな男の罪は全てかしら?
 本当に?

 もっと聞いておかなければならない話があるんじゃないかしら?
 今まで何故か聞こえてこなかったような話が。

 ね?あるでしょう?
 あるわよね?

 不自然なままに放置は良くないわよ。

 今回のことで言えば、被害者アリアン・ランバンが、判断能力を失っていたが故に堰き止めていた、本来はおおやけになっていた筈の情報が、世の中に流れ出すことは自然なことよね。

 だって、今のアリアンは、堰き止めたりしていないのだもの。
 このワタクシが、まだ彼女以外から、話を聞いていないのよ?
 次期女王としては、全ての話を聞いておくべきでしょう?

 ワタクシは、聞きたいの。
 聞こえたかしら?

 じゃあ、動くべきよね?



 見ていなさい。

 情報という名の水が、天上から溢れ落ちてきて、
 王国という海へと奔流し、永遠に堰堤の中には戻らないさまを。

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