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「学園記念サロン」と呼ばれる公共施設に、今日も響く、少年の声。
今日もというからには、その光景は既に珍しいものではなく、施設で働く殆どの者達は、何事もないかのように過ごしている。
それは、少年の目の前にいる人物………絡まれている当人である女性旅行者らしき少女も同様で、目の前の少年が如何に大きな身振り手振りつきで、声を張り上げ様が、その少女の表情は「無」である。
どれだけしつこく絡まれても、特に反応もせず、その日の災難が通り過ぎるのをただただ待っている様に見える少女。
たまたまこの場に居合わせた者達や、この施設内で仕事をしているギャラリー達から、頻繁に憐憫の眼差しが向けられてはいるが、誰かが助けに入る様子はない。
ややボリュームのある赤茶の短い髪と深い緑色の目が特徴の小柄な少年の迫力のない、キャンキャンと吠えるような声にも、無理やり聞かされているその話の内容にも、「殿下が大変だ!即刻王宮に知らせねば!」や「少女が危険だ!」と思わせる要素がないのだから、ギャラリーとしては、自称王族の少年が暴力に訴えない限り、いや、少女が助けを求めてこない限り、見守る姿勢でいる。
喚く声が迷惑なことを除けば、周囲の者には害がなく、旅人少女本人にとっては、絡まれて面倒ではあるが、身の危険を感じるレベルではない。それがこの状況を長引かせている原因となっているが、王族の血に連なるものが巻き起こす騒ぎに慣れすぎているこの国の民にとっては、これもまた日常の一コマに過ぎないのだ。
本日の少年の発言内容に、少しばかり新情報…少女の親による縁切りや、少女が平民になった等の内容が加わったことに、ほんの少し興味を持ったとしても、連日密かに見守ることに徹しているギャラリー達の行動に、変化はなかった。
「お前の家は何故そんな大事なことを王家に報告していない!まあ、お前の親は、優しいアンリタンの両親でもあるからな!私に捨てられるお前のことを不憫に思ったのかもしれぬ。それは理解できる!だから、悪いのはお前だ!親のせいではなく、縁を切られる様なお前が全て悪いのだ!私を逃したくないのはわかるが、これは王家に仇なす行為だぞ!恥を知れ!」
大根役者とはこういう者のことを言う。
そんなお手本の様な態とらしさで、派手なジェスチャーを繰り出す少年の話は、いつも長い。今日もまだまだ終わりそうにないし、屋内広場の天井に響く、大きすぎる声が非常に煩い。
そして、よくあの女の子は我慢ができるなと感じた通りすがりのギャラリーは、気づく。
少年少女カップルの直ぐそばで喚かれ続ける少女の耳に装着された、「必要な音は聞こえるので、つけたままで日常生活を送れます!」という宣伝文句と共に、新発売されたばかりの「騒音解決耳栓(高音/叫び声対応用)」の存在に。静かに読書を楽しみたい人間のために開発されたもので、どんな大声でも穏やかに落ち着いたトーンで聞こえる様になるという、優れものだ。
周囲で働くギャラリーの耳にも、勿論それはある。
「騒音解決耳栓」、局地的に大流行である。ちなみに、発売は10日程前であり、その当日から、「学園記念サロン」の屋内広場前雑貨店の人気商品となっている。
耳栓と言っても、肌に馴染む半透明の素材のせいか、騒音のもとであるカップルは気づいていない。そんなこんなで、仕事中のギャラリーも、被害者少女も、現在は騒音問題には悩まされていない。ただ、この方達暑苦しいですわ。とか、今日も話が長いですわ。とは思ってはいるが。
今日もというからには、その光景は既に珍しいものではなく、施設で働く殆どの者達は、何事もないかのように過ごしている。
それは、少年の目の前にいる人物………絡まれている当人である女性旅行者らしき少女も同様で、目の前の少年が如何に大きな身振り手振りつきで、声を張り上げ様が、その少女の表情は「無」である。
どれだけしつこく絡まれても、特に反応もせず、その日の災難が通り過ぎるのをただただ待っている様に見える少女。
たまたまこの場に居合わせた者達や、この施設内で仕事をしているギャラリー達から、頻繁に憐憫の眼差しが向けられてはいるが、誰かが助けに入る様子はない。
ややボリュームのある赤茶の短い髪と深い緑色の目が特徴の小柄な少年の迫力のない、キャンキャンと吠えるような声にも、無理やり聞かされているその話の内容にも、「殿下が大変だ!即刻王宮に知らせねば!」や「少女が危険だ!」と思わせる要素がないのだから、ギャラリーとしては、自称王族の少年が暴力に訴えない限り、いや、少女が助けを求めてこない限り、見守る姿勢でいる。
喚く声が迷惑なことを除けば、周囲の者には害がなく、旅人少女本人にとっては、絡まれて面倒ではあるが、身の危険を感じるレベルではない。それがこの状況を長引かせている原因となっているが、王族の血に連なるものが巻き起こす騒ぎに慣れすぎているこの国の民にとっては、これもまた日常の一コマに過ぎないのだ。
本日の少年の発言内容に、少しばかり新情報…少女の親による縁切りや、少女が平民になった等の内容が加わったことに、ほんの少し興味を持ったとしても、連日密かに見守ることに徹しているギャラリー達の行動に、変化はなかった。
「お前の家は何故そんな大事なことを王家に報告していない!まあ、お前の親は、優しいアンリタンの両親でもあるからな!私に捨てられるお前のことを不憫に思ったのかもしれぬ。それは理解できる!だから、悪いのはお前だ!親のせいではなく、縁を切られる様なお前が全て悪いのだ!私を逃したくないのはわかるが、これは王家に仇なす行為だぞ!恥を知れ!」
大根役者とはこういう者のことを言う。
そんなお手本の様な態とらしさで、派手なジェスチャーを繰り出す少年の話は、いつも長い。今日もまだまだ終わりそうにないし、屋内広場の天井に響く、大きすぎる声が非常に煩い。
そして、よくあの女の子は我慢ができるなと感じた通りすがりのギャラリーは、気づく。
少年少女カップルの直ぐそばで喚かれ続ける少女の耳に装着された、「必要な音は聞こえるので、つけたままで日常生活を送れます!」という宣伝文句と共に、新発売されたばかりの「騒音解決耳栓(高音/叫び声対応用)」の存在に。静かに読書を楽しみたい人間のために開発されたもので、どんな大声でも穏やかに落ち着いたトーンで聞こえる様になるという、優れものだ。
周囲で働くギャラリーの耳にも、勿論それはある。
「騒音解決耳栓」、局地的に大流行である。ちなみに、発売は10日程前であり、その当日から、「学園記念サロン」の屋内広場前雑貨店の人気商品となっている。
耳栓と言っても、肌に馴染む半透明の素材のせいか、騒音のもとであるカップルは気づいていない。そんなこんなで、仕事中のギャラリーも、被害者少女も、現在は騒音問題には悩まされていない。ただ、この方達暑苦しいですわ。とか、今日も話が長いですわ。とは思ってはいるが。
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