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翌日、この王都について以来、久しぶりに誰にも絡まれずに、「学園記念サロン」内にあるドレスショップやアクセサリーショップを覗いて楽しんでいたミスティーナのもとに、ついに待ち人がやってきた。
「待たせたな、ティーナ!」
「もう!遅いですわ、ルイスお兄様!」
ミスティーナを愛称で呼ぶのは、6つ上の22歳の次兄である。長男は8歳上で、領地で父の右腕となって働いている。他にも兄や弟、姉がいる。
「4ヶ月ぶりだな、私のティーナ。会いたかった!」
「わ、私もお会いしたかったですわ。ライ様………」
次にミスティーナに声をかけて来たのは、次兄と同い年の美青年である。銀髪紫眼の兄も美形ではあるが、自分とよく似た容姿にときめくことはない。黒髪碧眼のライの凛々しくも綺麗な顔を見た途端、ミスティーナの頰がほんのりと色付いた。
「私のティーナ、私が側にいるのだから、もう危険はない。その容姿偽装装置を外して、可愛い顔を見せておくれ。」
「はい。」
「うん、私のティーナは、本当に可愛いな。」
「ライ様も素敵ですわ。」
ミスティーナが顔の半分を覆っていた大きな眼鏡を外せば、鉛色の重そうな色合いだった髪と眼鏡の奥に見えていた茶色の眼が、ツヤツヤした銀髪と美しい紫眼へと変わった。
(うっわーー!スッゲー美少女じゃないか!!!ギャラリー一同談)
「積もる話は用事を済ませてからな!トノサダ国で貰ってきたライの身分証明書はさっき隣の役所に出してきた。あとは、ここで、お前達がサインした婚姻届を出すだけだ!ほら、届け用紙もらって、サインしてこい!」
2人で王都中央役所婚姻課出張ブースに向かえば、昨日もいた責任者の女性が、どうぞと婚姻届を出してくれた。
「では、私からサインをしよう。ライジン ワレ トノサダと。よし書けた。名前だけ書けば良いだなんて、随分簡単なのだな。」
「うふふ、そうですわね。簡単ですけれど、ここで届けを提出すると、記入間違いとか、自動で訂正してくれるそうですわよ。結婚希望者の血縁関係とか、婚姻の記録も確認できるそうですの。凄いですわよね。と言うか、この凄い装置、トノサダ国からの輸入品ですわよね。もしかして、シリ義姉様の発明品なのでは?」
「うーん、姉上からは聞いてないけど、多分そうだろうな。まあ、そんなことはどうでも良いから、ティーナ、早くサインしてくれ。」
「今、書きますわ。ミスティーナ ツワーモノーダと。ふふっ、書けましたわ!箱に入れますね!」
ミスティーナにとっては、昨日に続いての婚姻届けの提出の見届けではあるが、昨日は自分とは関係のない手続きだったので、よく見ていなかった。今日は、記念すべき、自分の婚姻の書類なので、しっかり見守ろうと、箱を見つめる。
箱の中に吸い込まれた婚姻届けは、一瞬白く輝いたあと、消えて見えなくなった。
「白く光ると受理、緑色に光ると問題ありで不受理です。今回は白く光りましたので、問題なく受理されました。この度はご結婚おめでとうございます!」
なるほど。昨日がどうだったかは、興味がないので、覚えていないギャラリーである。受理されていたので、今日と同じく光ったのだろうが。
昨日とは違い、婚姻課の責任者だけでなく、声が聞こえる範囲にいた「ギャラリー」全員が、拍手で祝福してくれた。何分にも辺境住まいである。婚姻証明書を改めて申し込みにくるのは大変なので、出張ブースで発行の予約を入れてもらい、後で王都中央役所の方に受け取りに行くことにした。
魔法での送信は、今回の婚姻届の様に近距離でしかできないのだ。書類や人間を遠方に送るのは、天才発明家と言われるトノサダ国の王女シリにも難しいことらしい。
(やっぱり、昨日の自称姉の痴女風ネーチャンの方が平民で、縁切りで家を出され平民になったとか自称元婚約者に責められていたお嬢さんが、貴族だったな。しかも、辺境伯家だし。元伯爵令嬢呼ばわりも間違いじゃないか。ツワーモノーダ家は、公爵家だし!兄とか言う人とそっくりだから、平民が養女になったとかじゃないし!そもそも今日結婚したお相手はトノサダ家の方で、どう考えてもどこから見ても隣国の王族だし。王族と結婚できるんだから、あの銀髪の女の子は辺境伯の直系で間違いないな。と言うか、昨日のカップルは何者だったのかね~?誰か解説してくれないかなぁ。何故か仕事の長期休暇中にも関わらず、学園記念サロン屋内広場横オープンカフェで毎日お茶しているギルド長談)
「2人ともこれで夫婦だな。結婚おめでとう!」
「有難う、ルイスお兄様!」
「有難う!ルイス!これでティーナは俺のものだな!ティーナ、トノサダで用意したドレスと指輪はあるが、このブシデアの王都でも何着かドレスを買おう!オーダーメイドを頼む時間はないが、ブシデアの店はサイズ調整が早いのが有名だから、数日後の出発でも、間に合うだろう?その間にアクセサリーも買いに行けるし!ああ、荷物が増えることなら心配ない。父上が大王鷹に乗って迎えに来てくださるそうだ。明後日に到着される予定だ。一応、ブシデアの王族にも挨拶をしておくと仰られてな。だから、トノサダへは楽に向かえるぞ!馬車では数ヶ月だが、大王鷹であれば、直線距離を飛んでいけるから4日もあれば着くからな!」
「まぁ!大王鷹を!素敵ですわ!私憧れていましたの!そうですわね。この学園記念サロンにはセレクトショップが入っていて、王都で人気の各ドレスメーカーや宝石店の一押しの品をまとめてみることができたので、好みのデザインに仕上げてくれるドレス店や宝飾店は既に発見済みですわ。4日なら食べ物のお土産も買えますわねぇ。」
サラッと話されているが、大王鷹とは、トノサダの王族のみが所有する、馬車の5倍サイズの大きな大きな鷹のことである。この国の人間からすれば、夢のような高速移動ツールとも言えるが、トノサダにも十羽以下しかいないらしい貴重な鳥なので、軍事利用されていない。他国の人間には、トノサダ王が友好国を訪れるときに、数名の護衛と王本人が入ったカゴを足で掴んで運んでもらうことがあると言う話が知られているぐらいで、ほぼ幻の鳥だ。
(えーー!大王鷹!?スッゲー!絵でしか見たことがないぞ!本物見てみたい!!!ギャラリー一同談)
「待たせたな、ティーナ!」
「もう!遅いですわ、ルイスお兄様!」
ミスティーナを愛称で呼ぶのは、6つ上の22歳の次兄である。長男は8歳上で、領地で父の右腕となって働いている。他にも兄や弟、姉がいる。
「4ヶ月ぶりだな、私のティーナ。会いたかった!」
「わ、私もお会いしたかったですわ。ライ様………」
次にミスティーナに声をかけて来たのは、次兄と同い年の美青年である。銀髪紫眼の兄も美形ではあるが、自分とよく似た容姿にときめくことはない。黒髪碧眼のライの凛々しくも綺麗な顔を見た途端、ミスティーナの頰がほんのりと色付いた。
「私のティーナ、私が側にいるのだから、もう危険はない。その容姿偽装装置を外して、可愛い顔を見せておくれ。」
「はい。」
「うん、私のティーナは、本当に可愛いな。」
「ライ様も素敵ですわ。」
ミスティーナが顔の半分を覆っていた大きな眼鏡を外せば、鉛色の重そうな色合いだった髪と眼鏡の奥に見えていた茶色の眼が、ツヤツヤした銀髪と美しい紫眼へと変わった。
(うっわーー!スッゲー美少女じゃないか!!!ギャラリー一同談)
「積もる話は用事を済ませてからな!トノサダ国で貰ってきたライの身分証明書はさっき隣の役所に出してきた。あとは、ここで、お前達がサインした婚姻届を出すだけだ!ほら、届け用紙もらって、サインしてこい!」
2人で王都中央役所婚姻課出張ブースに向かえば、昨日もいた責任者の女性が、どうぞと婚姻届を出してくれた。
「では、私からサインをしよう。ライジン ワレ トノサダと。よし書けた。名前だけ書けば良いだなんて、随分簡単なのだな。」
「うふふ、そうですわね。簡単ですけれど、ここで届けを提出すると、記入間違いとか、自動で訂正してくれるそうですわよ。結婚希望者の血縁関係とか、婚姻の記録も確認できるそうですの。凄いですわよね。と言うか、この凄い装置、トノサダ国からの輸入品ですわよね。もしかして、シリ義姉様の発明品なのでは?」
「うーん、姉上からは聞いてないけど、多分そうだろうな。まあ、そんなことはどうでも良いから、ティーナ、早くサインしてくれ。」
「今、書きますわ。ミスティーナ ツワーモノーダと。ふふっ、書けましたわ!箱に入れますね!」
ミスティーナにとっては、昨日に続いての婚姻届けの提出の見届けではあるが、昨日は自分とは関係のない手続きだったので、よく見ていなかった。今日は、記念すべき、自分の婚姻の書類なので、しっかり見守ろうと、箱を見つめる。
箱の中に吸い込まれた婚姻届けは、一瞬白く輝いたあと、消えて見えなくなった。
「白く光ると受理、緑色に光ると問題ありで不受理です。今回は白く光りましたので、問題なく受理されました。この度はご結婚おめでとうございます!」
なるほど。昨日がどうだったかは、興味がないので、覚えていないギャラリーである。受理されていたので、今日と同じく光ったのだろうが。
昨日とは違い、婚姻課の責任者だけでなく、声が聞こえる範囲にいた「ギャラリー」全員が、拍手で祝福してくれた。何分にも辺境住まいである。婚姻証明書を改めて申し込みにくるのは大変なので、出張ブースで発行の予約を入れてもらい、後で王都中央役所の方に受け取りに行くことにした。
魔法での送信は、今回の婚姻届の様に近距離でしかできないのだ。書類や人間を遠方に送るのは、天才発明家と言われるトノサダ国の王女シリにも難しいことらしい。
(やっぱり、昨日の自称姉の痴女風ネーチャンの方が平民で、縁切りで家を出され平民になったとか自称元婚約者に責められていたお嬢さんが、貴族だったな。しかも、辺境伯家だし。元伯爵令嬢呼ばわりも間違いじゃないか。ツワーモノーダ家は、公爵家だし!兄とか言う人とそっくりだから、平民が養女になったとかじゃないし!そもそも今日結婚したお相手はトノサダ家の方で、どう考えてもどこから見ても隣国の王族だし。王族と結婚できるんだから、あの銀髪の女の子は辺境伯の直系で間違いないな。と言うか、昨日のカップルは何者だったのかね~?誰か解説してくれないかなぁ。何故か仕事の長期休暇中にも関わらず、学園記念サロン屋内広場横オープンカフェで毎日お茶しているギルド長談)
「2人ともこれで夫婦だな。結婚おめでとう!」
「有難う、ルイスお兄様!」
「有難う!ルイス!これでティーナは俺のものだな!ティーナ、トノサダで用意したドレスと指輪はあるが、このブシデアの王都でも何着かドレスを買おう!オーダーメイドを頼む時間はないが、ブシデアの店はサイズ調整が早いのが有名だから、数日後の出発でも、間に合うだろう?その間にアクセサリーも買いに行けるし!ああ、荷物が増えることなら心配ない。父上が大王鷹に乗って迎えに来てくださるそうだ。明後日に到着される予定だ。一応、ブシデアの王族にも挨拶をしておくと仰られてな。だから、トノサダへは楽に向かえるぞ!馬車では数ヶ月だが、大王鷹であれば、直線距離を飛んでいけるから4日もあれば着くからな!」
「まぁ!大王鷹を!素敵ですわ!私憧れていましたの!そうですわね。この学園記念サロンにはセレクトショップが入っていて、王都で人気の各ドレスメーカーや宝石店の一押しの品をまとめてみることができたので、好みのデザインに仕上げてくれるドレス店や宝飾店は既に発見済みですわ。4日なら食べ物のお土産も買えますわねぇ。」
サラッと話されているが、大王鷹とは、トノサダの王族のみが所有する、馬車の5倍サイズの大きな大きな鷹のことである。この国の人間からすれば、夢のような高速移動ツールとも言えるが、トノサダにも十羽以下しかいないらしい貴重な鳥なので、軍事利用されていない。他国の人間には、トノサダ王が友好国を訪れるときに、数名の護衛と王本人が入ったカゴを足で掴んで運んでもらうことがあると言う話が知られているぐらいで、ほぼ幻の鳥だ。
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