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謎の植物発見
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「ねぇ、おばさん、その鉢植え、何?緑色だし、植物なのはわかるけど、部屋に飾る……には美しさや可愛さがない気がするし……ああ、でも見たことがない形だから、珍しい置物的に?いや、でもこのお店、八百屋よね?まさか、それは新種の野菜?」
王都の中央大通り沿いにある八百屋の店先で過剰な程に存在アピールをしている様に見える、不気味な鉢植え。それをスルーことは、彼女には無理だった。
休日恒例の買い出しにその八百屋を訪れていた若い女性……エリザは、腕に抱えていた買い物かごを足元に置くと、サッと衣服の隠しからカメラーナを取り出し、売り場に立っていた女将さんに話しかける。
「仕入れ市場では、一応野菜売り場に並んでいたから、野菜だと思うけどね~。エリザちゃん、仕事熱心だねぇ。今日はお休みの日なのだから、取材は明日にしたらどうだい?」
「そうなんだけどぉ。でも、他の会社より先に記事にしなくちゃだし!先ずはフォトーナを撮らせてね!」
目の前のおばさんから、了承の返事を聞く前にパシャパシャと何枚か撮影し、今度は手帳を手に取材を始める。
「で、何なの、これ!えーと、先ずは名前!」
「今んとこ、アロエアロって名前だよ」
エリザの仕事内容を知り、過去に何度もエリザから取材を受けた経験のある、八百屋の女将さんルーシーおばさんは、苦笑しながらも、質問に答えてくれる。
「今んとこ?それじゃ研究所関係?でも、ナがついてないよね?どこから来たの?普通に他国や辺境とか?」
「研究所が探してきたらしいよ。他国では焼いて食べてるんだってさ」
「あーなるほど。こっちの植物だからナがつかないけど、あっちの世界にあった植物と同じ可能性があるってことか!そのうちポイがつく可能性がある感じ?」
「そうそう!」
この国では、あの研究所関連の品への名付けルールが厳格で、呼びにくいとか覚えにくいとかの配慮などなく、規則通りに名付けられます。研究所が開発したものには「ーナ」がつけられ、研究所があるものに似ていると認めたものには、「ッポイ」がつくのです。変ですが、ルールです。法律です。
「見た目が似ているから輸入したと。でも、わざわざ探して入手するほどの野菜?もしかして焼いて食べるともの凄く美味しいとか?」
「それなら、こんな小さな八百屋に卸さず、すぐに大きな農園で栽培させるんじゃないかい?」
「まあ、そうか。えーじゃあ、何?美味しくないけど、珍しいから入手しただけ?」
「詳しくは知らないけど、研究所内と、この王都の街中で増やせるか試してみるんだってさ。食べるのと、他に何か使い道がないか調べたいから、売る相手は、定期的にレポートを提出できる人間にしてくれって言われてるけど、エリザちゃん、買うかい?」
「んー、食べてみたいけど、食べ方知らないし、自力で何とかするのは無理ぃ!使い道調べるとか、レポートとかもっと無理ぃ!私の専門は、知ってる人に話を聞くことなんだから!」
「まあ、レポートってやつを書ける人間も少ないし、調ベるなんて面倒臭いこと、研究者でなくちゃ難しいよねぇ」
「そうよ!第一、これ……本当に食べ物?緑色は植物だから普通だけど、このギザギザ?痛そうだし、固そうよ?」
「そうだよねぇ。私もレポートなんて書けないし、試しに食べてみることもできないから、よくわからないまま売るしかないんだよ」
「そっかー!あ、じゃあ、誰かに売れたら、世間話として、どうやって焼いて食べたのかとか美味しかったかどうか聞いておいてくれない?他の使い道とかは、研究所に提出する話だろうから、漏らすのはまずいけど、野菜として使った感想ぐらいなら大丈夫でしょ?」
「そうだねぇ。そんな話を気安くできそうな人が買ってくれたら聞いてみるよ」
「ありがとー、よろしくね!あ、のんびりしてる場合じゃなかったわ!おばさん、キャベツッポイとカブッポイと朝の実と、ポテーナくださいな!」
手帳を衣服の隠しに戻したエリザは、ここに来た、本来の目的を思い出した。
仕事が休みの今日は、朝早くに洗濯を済ませ、古着屋で服を買い、パン屋と肉屋を回って、最後に一番重い荷物となる野菜を買いに来たのだ。
帰宅後には1週間振りの掃除やら、繕い物やらの用事がある。そのあと、今日のこの取材を記事にまとめる時間を作らなねばならない。
「はいはい、毎度あり。折れてるキャローナも少しおまけしとくよ!」
「ありがとう、助かるわ!」
代金を支払うと、嬉しげに野菜を受け取り、足元に置いたカゴに入れる。
随分前に研究所の技術で軽量化されているとはいえ、荷物を積めればそれなりに重い背負い籠を背中から下ろすと、下部に折り曲げ収納されていたキャスターナを立ち上げた。
上部の持ち手を引き出し、野菜を入れた籠を荷物の一番上に載せて固定する。あとはそれをゴロゴロと押し歩けば、背負い籠が、重い荷物でも楽に運べるキャリーカートーナに変身だ。
「じゃあ、また来週買いにくるわね~!」
「はいよ、待ってるよ」
王都の中央大通り沿いにある八百屋の店先で過剰な程に存在アピールをしている様に見える、不気味な鉢植え。それをスルーことは、彼女には無理だった。
休日恒例の買い出しにその八百屋を訪れていた若い女性……エリザは、腕に抱えていた買い物かごを足元に置くと、サッと衣服の隠しからカメラーナを取り出し、売り場に立っていた女将さんに話しかける。
「仕入れ市場では、一応野菜売り場に並んでいたから、野菜だと思うけどね~。エリザちゃん、仕事熱心だねぇ。今日はお休みの日なのだから、取材は明日にしたらどうだい?」
「そうなんだけどぉ。でも、他の会社より先に記事にしなくちゃだし!先ずはフォトーナを撮らせてね!」
目の前のおばさんから、了承の返事を聞く前にパシャパシャと何枚か撮影し、今度は手帳を手に取材を始める。
「で、何なの、これ!えーと、先ずは名前!」
「今んとこ、アロエアロって名前だよ」
エリザの仕事内容を知り、過去に何度もエリザから取材を受けた経験のある、八百屋の女将さんルーシーおばさんは、苦笑しながらも、質問に答えてくれる。
「今んとこ?それじゃ研究所関係?でも、ナがついてないよね?どこから来たの?普通に他国や辺境とか?」
「研究所が探してきたらしいよ。他国では焼いて食べてるんだってさ」
「あーなるほど。こっちの植物だからナがつかないけど、あっちの世界にあった植物と同じ可能性があるってことか!そのうちポイがつく可能性がある感じ?」
「そうそう!」
この国では、あの研究所関連の品への名付けルールが厳格で、呼びにくいとか覚えにくいとかの配慮などなく、規則通りに名付けられます。研究所が開発したものには「ーナ」がつけられ、研究所があるものに似ていると認めたものには、「ッポイ」がつくのです。変ですが、ルールです。法律です。
「見た目が似ているから輸入したと。でも、わざわざ探して入手するほどの野菜?もしかして焼いて食べるともの凄く美味しいとか?」
「それなら、こんな小さな八百屋に卸さず、すぐに大きな農園で栽培させるんじゃないかい?」
「まあ、そうか。えーじゃあ、何?美味しくないけど、珍しいから入手しただけ?」
「詳しくは知らないけど、研究所内と、この王都の街中で増やせるか試してみるんだってさ。食べるのと、他に何か使い道がないか調べたいから、売る相手は、定期的にレポートを提出できる人間にしてくれって言われてるけど、エリザちゃん、買うかい?」
「んー、食べてみたいけど、食べ方知らないし、自力で何とかするのは無理ぃ!使い道調べるとか、レポートとかもっと無理ぃ!私の専門は、知ってる人に話を聞くことなんだから!」
「まあ、レポートってやつを書ける人間も少ないし、調ベるなんて面倒臭いこと、研究者でなくちゃ難しいよねぇ」
「そうよ!第一、これ……本当に食べ物?緑色は植物だから普通だけど、このギザギザ?痛そうだし、固そうよ?」
「そうだよねぇ。私もレポートなんて書けないし、試しに食べてみることもできないから、よくわからないまま売るしかないんだよ」
「そっかー!あ、じゃあ、誰かに売れたら、世間話として、どうやって焼いて食べたのかとか美味しかったかどうか聞いておいてくれない?他の使い道とかは、研究所に提出する話だろうから、漏らすのはまずいけど、野菜として使った感想ぐらいなら大丈夫でしょ?」
「そうだねぇ。そんな話を気安くできそうな人が買ってくれたら聞いてみるよ」
「ありがとー、よろしくね!あ、のんびりしてる場合じゃなかったわ!おばさん、キャベツッポイとカブッポイと朝の実と、ポテーナくださいな!」
手帳を衣服の隠しに戻したエリザは、ここに来た、本来の目的を思い出した。
仕事が休みの今日は、朝早くに洗濯を済ませ、古着屋で服を買い、パン屋と肉屋を回って、最後に一番重い荷物となる野菜を買いに来たのだ。
帰宅後には1週間振りの掃除やら、繕い物やらの用事がある。そのあと、今日のこの取材を記事にまとめる時間を作らなねばならない。
「はいはい、毎度あり。折れてるキャローナも少しおまけしとくよ!」
「ありがとう、助かるわ!」
代金を支払うと、嬉しげに野菜を受け取り、足元に置いたカゴに入れる。
随分前に研究所の技術で軽量化されているとはいえ、荷物を積めればそれなりに重い背負い籠を背中から下ろすと、下部に折り曲げ収納されていたキャスターナを立ち上げた。
上部の持ち手を引き出し、野菜を入れた籠を荷物の一番上に載せて固定する。あとはそれをゴロゴロと押し歩けば、背負い籠が、重い荷物でも楽に運べるキャリーカートーナに変身だ。
「じゃあ、また来週買いにくるわね~!」
「はいよ、待ってるよ」
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