絶対に見つかってはいけない! 〜異世界は怖い場所でした〜

白雪なこ

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初めての王都中心街

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 エリザの家族は、王都内ではあるが、やや端っこに近いところに住んでいる。11年前、エリザが6歳の時、9歳上の長兄が王都中央にあるレストランに就職するというので、家族総出で生活の場を整える手伝いをしに、王都中心街に来たことがある。

 兄が勤める予定のレストランから紹介された安い部屋にはベッドや机といった必需品となる家具は付いていたので、兄の支度は、毛布1枚と最低限の身の回り品と、清潔で真っ当な少年に見える服や靴を用意するだけで済んだが、実家にはそれに適した品が一つもなかった。だから、親は働きに出るとはいえ、まだ少年である長兄に付き添い、王都の中心街まで同行した。

 15歳の長兄の下には年子で14歳の長女、13歳の次男、12歳の次女と続いていたので、王都の中央の賑やかな雰囲気に慣れさせる良い機会だと、家族全員での行動になってしまったが。

 末っ子で6歳の3女エリザに関しては、教育や経験のための同行ではなく、家に一人残して留守番させるには幼すぎたので、おまけのように連れて来られただけだった。

 人口が多い王都では、自分の安全を見極めたり、なるべく信頼できる店で、良い品を見つけ、安く買うという、庶民が生活する上で非常に大事なスキルを磨く必要がある。

 そして、スキルをきっちり発揮するには、観光客のような浮かれた気分ではいけない。

 人の多さや、賑やかさにビックリしてしまうようなボンヤリ人間では、王都暮らしは難しいのだ。

 王都の中心街では特にそうだ。

 ボンヤリするな、気を抜くな、周囲に目を配れ!

 そんな親からの圧により、やや挙動不審だった兄2人を置き去りにして、姉2人が大活躍し、必要なものを少ない予算で無事手に入れることに成功した。ちょっとだけ余った予算で、ほんの少しだけ、買い食いができるぐらいに。

 両親とエリザを含む子供達の7名で食べられるものということで、姉に手を引かれたエリザも一生懸命、美味しそうで安い食べ物を探した。王都中心街には手頃な値段の飲食できる屋台が多く、キョロキョロしながら歩き回るのは楽しかった。ドキドキワクワクしていた。

 だけど、それは、甲高い少女の声が響き渡るまでのことだった。
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