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しおりを挟む学校に近づくにつれ、生徒が増えていく。
「よっ!亮」
「おはよう、亮くんっ」
「亮、おはー」
同学年の人は大抵、亮と挨拶を交わすのだ。
それだけ、人気ってことだろう。
亮と一緒に登校している僕にも挨拶してくれる人はいる。
そうでない人がいたら
「俺だけじゃなくて、祐にも挨拶しろー」
亮がこう言って強制的に挨拶する流れだ。
いいってと言うのだが、聞いてくれない。
亮は意外と頑固なところがある。
「一限は数学だっけ...」
「そうだなー、当てられても助けてあげられないけど」
亮が隣の席の時は、頻繁に助けられていた。
しかし、席替えというものがある為、それは短い期間だったな。
「亮が隣の席だったらなぁ」
ペア組む時とか、何かと便利。
知らない人だと人見知り発揮してしまうし。
「そう言うと思った。...俺から離れれなくなるよ?」
亮の目が細められる。
「別にいい。亮が嫌じゃなければ、だけど」
僕にとってはメリットだらけ。
亮にはないと思うし、付け足した。
「その言葉本当だな?」
「うん」
「自分で言ったんだからな。忘れんなよ」
まじな顔で言うものだから、言葉に詰まり、頷くしか出来なかった。
数学の授業は案の定というか、当てられて答えられなかった。
亮はスラスラと答えていたな。
昼休みは屋上で一人でパンを頬張っていた。
亮を独占するのは悪いなと思い、一年の時から一人で食べたいと言い出して実行している。
亮以外に友達と呼べる人がいない為、少し寂しいけどね。
授業を受けて休憩時間を過ごしてを繰り返すと
あっという間に放課後で、文化祭の準備だ。
僕はキッチンなので、家庭科室へと向かった。
亮含め接客は教室で採寸をしているはず。
女装メイドカフェのメニューってどんなのだろうかと考えながら一人歩いていると、家庭科室の扉から女子と男子の声が聞こえてきた。
「天野は亮に甘えすぎだよなー」
「そうそう!」
天野は僕の苗字。
陰で自分が言われることには慣れていて、まあ事実だし。
話が終わるまで、トイレにでも篭っていようかと離れようとした時。
「亮も物好きだよな。世話焼きすぎ、みたいな?」
「確かに~、あははっ」
「天野の話好きだし、付き合い悪いし!」
「ホモなのかなぁ」
「えー!それは絶対やだ」
僕のせいで、亮が悪くいわれているのを聞いて、何も思わないわけがない。
逃げるようにして、その場を離れた。
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