義兄が溺愛してきます

ゆう

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腐女子

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赤坂雫(17)。
冴えない高校2年生。
…隠れ腐女子として生活しています。
陽キャが怖く、関わらないようにしてきました。
 
突然の推しからの告白。
お受けしてしまいました…。

「…俺、女性が苦手なんだ。克服して、忘れたい人がいるから、協力して貰えたらと思ったんだけど…」

忘れたい人。
直ぐに思い至りました。
桜木恋くんの事だって。

断れない雰囲気でつい了承してしまいましたが、思ったんです。
近くで二人を見るチャンスだって!
当て馬役として徹しよう!
そう心に誓いました。

直ぐにこの事は噂で広まりました。
懸念していること。
それは、学校の王子様位置にある桜木翔くんのことだから、女子達の嫉妬を受けてしまうのではと。

まだ実害は出ていないため、問題は無いです。
視線はすごーーく感じますが。

「一緒に帰ろうか。送るよ」

「はひ、はい!」
 
噛んでしまいました。

「…」

じぃと私を見つめます。
どうしたのでしょう…?
首を傾げていると。

「ごめんね。…似てるな、と思っただけ」

切なそうな表情です。
桜木恋くんのことを思い浮かべたんです、きっと。
そんな表情でしたから。

「…そうですか」

しか言えなかった。

「その敬語、なし」

「ええ!?」

敬語は私の癖とも言える。
タメなんて恐れ多いし、急に切り替えれない。
困る。

「彼女なんだし、敬語外して気軽に、ね?」

推しからのお願いなら…やっぱり断れない。

「わ、わかった」

気軽に、気軽に、気軽に…気軽にってなんでしょう?
人と接する時は常に緊張してしまうから。

「大丈夫?深呼吸して」

そうですよね。
緊張する時には深呼吸。
すう、はあ。

「少し、落ち着きました。ありがとうございます」

二人で歩き出す。
周りの視線は気になるけれど…。

「赤坂さんっていつも休み時間に本を読んでいるよね、好きなの?」

「はい…!聖典のようなもので、読んでいると幸せな気持ちになるんです」

ついテンションが上がってしまった。
休み時間に読んでいるのは、BL小説。
表紙は見えないようにしているからバレてない、はず。

「聖典?凄いね」

「あははは…」

聖典ではないのだが、私にとってはそれに等しい存在だ。
これ以上本の話題に突っ込まれるとボロが出そうなので話題を変える。

「どうして、私だったんですか?」

「?」

「偽のか、彼女を頼んだの、です」

「…それは、君なら俺の事を好きにならなさそうだと思ったから、かな。好意を向けてくれるのは有難いことだと思うんだけど、それが重荷になってしまうから」

「そうなんですか」

桜木翔くんは遠い目をしていた。
この容姿に性格。
過去に女性関係でトラブルでもあったのでしょうか?

深く聞かない方が絶対いい。

「わ、私には実感わかない。…人から好意を向けられたことなんて数える程しか、ないから」

少し、羨ましいなんて。

「嫌味に聞こえるかもだけど、多くの人に好かれるのは…いい事ばかりではないから、思うんだ。多くの人からの好意よりも、好きな人ただひとりの好意がいいなって。まあ、そううまくはいかないけど」

「…」

「今更だけど、赤坂さんは好きな人いる?」

「いいいない!」

「本当に?」

「うん!」

私の好きな人はこの3次元には存在しない。
いるとしても、2次元にだけ。

「なら、良かった。好きな人がいるのだったら迷惑になるし」

そんな話をしていると自分の家の前まで来た。

「ここが私の家だから…また明日」

「うん、また明日」

桜木翔くんは来た道を戻っていく。
あ、送ってくれたんだ、と今更になって気づく。

「お、送ってくれてありがとう!」

振り返って一言。

「どう致しまして」

3次元の推しの背中は夕日に照らされてとても綺麗だった。

明日、事件が起きるとも知らずに私は腐小説を書きまくり、夜更かしをしていた。


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