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4.正解への導き

オリーブオイル大作戦

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 「手錠!!それとオリーブオイルあるだけ!」

 手錠とオリーブオイル3つ。
 指先でなんとか掴み、勢いよく引っ張り出した。

 そのままオリーブオイルをビンごとペーパーナイフで一刀両断!!

 …したかったが、さすがに切れなかった。

 「な…!やっぱり無理か!!」

 慌ててオリーブオイルのキャップ根本付近をペーパーナイフでこじ開ける。

 「よしっ!取れたっ!!」

 オリーブオイルを振り回し、中身をそのまま足元の草原にぶちまけていく。

 3本とも開封し、後ろに下がりながら前方の広範囲をオイルまみれにすることに成功した。

 「どうだ!自家製オイルトラップだ!!」

 神太は開けたビンとペーパーナイフを足元後方に投げ捨て、手錠を持ち直す。

 転けたところで手錠をかければ、影神太のペーパーナイフを無力化することができるハズ…!

 影神太はペーパーナイフを構えながら真っ直ぐ神太の方に直進してきた。

 作戦通り、影神太はオイルまみれの草むらに足を踏み入れた!!

 「転べっ!!」

 スリップしたっ…!!
 と思った瞬間、足裏からペーパーナイフが飛び出し地面に突き刺さり、体勢を立て直した。

 「な、なにぃいいいい!!」

 そのまま両足のペーパーナイフで地面をしっかり踏み締め、神太に飛びかかってきた。

 完全に…不意を突かれた!!

 影神太のペーパーナイフが勢いよく振り下ろされる!

 ガシュッ!!

 影神太は神太の頭上を飛び越えて頭から地面に滑りこんだ。

 「っ!!!……え!?」

 完全にやられたと思った…。

 慌てて振り返ると倒れた影神太の後方に青い影狼が立っていた。
 ペーパーナイフが振り下ろされる瞬間、後方から背中に噛みついて押し出したらしい。

 「青影狼…助かった!何度も悪いな!!」

 神太は急いで転がった影神太のそばに走りよると、片腕に手錠をかけることに成功した。

 「もう片方っ!」

 そのままもう一方の腕を膝と地面で挟み込むように固定し、手錠をかけようとした。

 ガチャッ

 「かかった!…!?」

 両手は封じた。

 だが、影神太は勢いよく反り返ることで、馬乗りにしていた神太に足のペーパーナイフで攻撃を仕掛けてきた。

 慌てて神太は距離を離そうとするが…間に合わない!!

 「ガァゥウ!!」

 青影狼が滑り込んできて、牙でペーパーナイフの軌道を僅かに反らした。

 ザスッ

 神太の背中から肩にかけて軽い衝撃が走る。

 「ぐっ!」

 神太は前方に弾き出され、そのまま影神太から距離を置いて振り返った。

 先ほど自分がいた位置で、青影狼がペーパーナイフで貫かれている姿が見えた。

 「あぁ…青影狼!!名前も付けてないのに…ごめん!」

 青影狼が突進で僅かに軌道を反らしてくれたおかげで、背中の傷は軽症のようだ。

 ようだ…というのは、切り傷のようでわずかに血が滴っているが、痛みが全くない。
 軽症すぎるのか?とも思ったが出血しているのに無痛なんてありえない。
 そしてわずかに視界が狭くなったように感じる。

 ここシャドウガーデンで傷を負うとこういうダメージの負い方になるのか…?
 検証は…したくはないな。

 とりあえず足も封じなければ危険だ。
 手錠は…在庫切れだ。こうなったら…

 「影カマキリ!大量に出てきてやつの足を封じてくれ!!」

 オイルまみれになった草むらの近くに放置したクーラーボックスから、続々と青影カマキリが現れた。

 青影カマキリはわらわらと影神太の元に近づき、一匹が立とうとしていた影神太の片足を切断した。

 しかし切断面は超スピードで再生した後、青影カマキリをペーパーナイフで貫いた。

 「こいつ…倒せないのか!?」

 分析が必要だ…。

 青影カマキリと影神太が戦闘しているところをじっと観察してみた。
 影神太の両手には手錠が装着されたままとなっており、移動、攻撃ともに足のみで行っているようだ。

 再生は可能だが手錠は抜け出せないのか…

 「カマキリ、腕は攻撃するな!!足とペーパーナイフを押さえつけるんだ!!」

 青影カマキリは言い付け通りわらわらと影神太の足元に張り付き、次第に影神太は動かなくなった。

 神太は恐る恐る近づいてよく見てみると、青影カマキリ達のカマが入れ違いに地面に突き刺さり、影神太の足からペーパーナイフにかけてを完全に固定していた。

 「よし、偉いぞ…そのままキープだ」

 と、無効化に成功したタイミングで、どこからか友真の声が聞こえてきた。

 友真「※太…神太!!聞こえ※※!?」

 神太「友真!ここにいる!お前は本物か!?」

 友真「※※状況を※※※※!!聞いてくれ!!」

 所々よく聞き取れない。

 影神太の位置とは違う方向から声がしているが、友真の姿は見えないままだ。

 神太「わかった!聞く!!だがよく聞こえないぞ!!」

 友真「息※止めろ」

 神太「息を!?」

 神太は一瞬戸惑ったが深く一呼吸した後、言われた通りに息を止めた。

 →13話につづく
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