前世ストーカー(自称俺推し)が俺を好きすぎて女を放棄したので、真面目に生きがいを探します

在江

文字の大きさ
32 / 68
第三章 暗黒大陸

5 夜中の執事

しおりを挟む
 道中は、話に集中して景色を見ていなかった。馬車から降りると、微かに潮の香りがして、海が近いと知った。

 既に日が落ち、辺りは暗い。意外にも周辺に家はなく、林の中、宿にしては立派な建物が煌々こうこうと照らされていた。

 「ようこそ、王宮からの使者の皆様。主人シルウェ=クルーガーに代わりまして、心より歓迎いたします」

 執事みたいな人が、出迎えに来た。宰相の別邸らしい。道理で立派な訳だ。

 各自に荷物持ちの使用人がついて部屋へ案内された後、簡単な食事を用意した、と食堂へ連れてこられた。
 細長いテーブルの上に、ご馳走が並んでいた。

 アヒルの丸焼き、人数分の焼き魚、果物、白いパン。ワインがある。赤ワインだ。そして、ナイフとフォークが取り皿の両側に並んでいる。並び順は、西洋料理のそれと同じである。

 ここのマナーは、前の世界と同じだろうか。空腹を満たすより先に、そちらが気になる。

 「ご馳走ちそうだね」

 王宮騎士のエサムが言うのだ。間違いなくご馳走だ。案内に従って席につき、使用人の給仕を受けながら食事をした。ちょっとした貴族気分である。

 マナーについては、マイアとクレアを参考にした。
 王宮では王妃で頭がいっぱいで、他の点について記憶が曖昧あいまいな部分がある。ここで漸く旅の仲間を見る余裕ができた。

 エサムは俺より少し若く見える。立派な髭と筋骨隆々な体格がドワーフっぽいが、腹は締まっているし、髪も髭も手入れされていて、感じの良い男だった。

 クレアは彼より更に若いようだ。濃い碧眼へきがんが印象的で、公使らしく、振る舞いに貴族的な品が感じられた。
 互いに親睦を深める好機だったが、使用人が多く内輪の話は躊躇ためらわれた。
 皆も同様だったようで、黙々と食べ終えた。

 部屋へ戻ると、入浴の用意がしてあった。一人一部屋で、部屋に浴槽まである。
 いびきの心配もなく、風呂に入れるのも嬉しい。

 問題は、何かするのに、いちいち使用人が必要なことである。

 今も、体拭き用のタオルと寝間着を抱えた小間使いと、体を洗うブラシを抱えた男に加えて、おそらく服を脱がす係が待機していた。

 「自分でできますから、下がっていいですよ」

 と言ってみたが、

 「いえ。終わりましたら、片付けなくてはなりません。それに、衣装を預からせていただければ、明朝出立までに洗濯をしてお返しいたします。どうぞお気になさらず」

 と返された。高級ホテルのランドリー並みのサービスだ。

 呼び鈴を見つけ、どうにか退散してもらったが、待つ人がいると思うとゆっくり入れない。
 浴槽が置いてあるだけで、部屋自体は絨毯敷じゅうたんじきの普通の寝室である。
 蛇口もない。浴槽の中だけで全てを済ますのは、確かに一人では大変だった。

 何とか入浴を終えると、さっぱりしたが、ぐったりもした。
 早々に寝床へ潜り込むことにした。このベッドがまた、ふかふかだった。


  目を覚ました時には、熟睡後のように、体が軽く感じられた。ただ、早く寝過ぎたのか、まだ夜明け前のようである。
 部屋に時計はない。そして、隣室から響くグリエルのいびき。このせいで早く目覚めたに違いない。

 グリエルの部屋へ続くドアが、目についた。
 ドアノブを握る。鍵もかかっておらず、すんなり開いた。途端に、いびきの轟音が襲ってきた。

 宰相邸の防音力に感心しつつ中へ入ると、同じような広さの同じ設えで、ふかふかのベッドの真ん中、放り出されたボウリングの球のように、グリエルが沈んでいた。黒ダルマ姿である。

 ベッドを覆うようにバリアをかける。
 ピタッといびきが消えた。俺は、素早く廊下側のドアの横へ移動した。

 グリエルのいびきが止まった途端、廊下に人の気配を感じたのだ。

 俺がへばりつく壁のすぐ横、ドアの向こうに、誰かがいる。
 貴族の屋敷で襲撃されるとは、予想していなかった。入ってきたら攻撃、と心の内で唱えながら気配を探る。
 一向にドアは開かない。

 不意に、気配がドアから離れた。そのまま、俺の部屋の方へ遠ざかっていく。
 ドアを開けて確かめるべきか。
 見つかる危険を冒しても、敵は知るべき。

 俺はできる限り静かに解錠し、用心しながらドアを少し開けてみた。

 執事の後ろ姿が見えた。動きから、直前まで鍵穴から俺の部屋を覗いていたように感じた。
 俺はそっとドアを閉め、鍵をかけた。そこで、俺とグリエルの間のドアが開け放しだったことに気がついた。バリアが消えた。

 『何かありましたか』

 グリエルが一つしかない目を見開いて、俺を見ていた。さながら起き上がり小法師こぼしだ。

 『俺の部屋を覗かれた。あと、この部屋も』

 俺は、いびきを止めようと部屋に入ったところから説明した。喋る必要がないから、話は早い。グリエルは、少しだけ沈思した。

 『もしかしたら、クラール王から、本当にトリスとグリリがBL的関係なのか探るよう、宰相に指示があったのかもしれません。あるいは、宰相の一存で確認を取りたかったかも。これで、コネクティングルームに案内された訳も分かりました。そもそも、旅の一行の一晩だけの世話に、わざわざ執事を送り込むものなのか、疑念を持っていました』

 『そうしたら、更に誤解されたっていう』

 『落ち込むことはありません。今は、誤解されていた方が安全です。無事戻れた時、王宮に入りやすくなりますから。で、私はもう一眠りしたいのですが、バリアを張ってもらった方が、いいのでしょうか』

 『いびき対策に、な』

 再びベッドに防音措置を施し、自室に戻ってから思い出した。

 執事は、グリエルの部屋の向こうから近付いて来ていた。
 グリエルの部屋の先は、行き止まりである。廊下を挟んで反対側には、マイアとクレアが泊まっていた。

 部屋の並びからすると、執事はクレアの部屋の方から来た事になる。俺たちの関係を探るためなら、そこまで奥に行く必要はない。

 夜中に屋敷を巡回していて、グリエルのいびきが急に止まったから、驚いて覗いただけではなかろうか。
 グリエルの部屋を覗いたら、俺との境のドアが開いているのは見えただろう。すると当然、俺の部屋も覗く。ただそれだけのことだったのではなかろうか。

 そう考えて安心したせいもあり、ふかふかのベッドのせいもあり、俺は速やかに眠りに落ちた。


 朝食時、食堂へ行くと、クレアが一番乗りだった。
 彼女は、熱心に壁を見上げている。

 昨夜は暗くて気づかなかったが、壁の上の方に、肖像画がいくつもかかっていた。
 代々の主人を描いたのだろう、最新の絵はシルウェ=クルーガーだった。濃い碧眼が印象的で、纏う衣装も瞳の色を活かしている。

 「おはようございます」
 「あっ、おはようございます」

 よほど集中して鑑賞していたのか、驚かせてしまったようだ。振り向いたクレアは、頬を赤くしていた。濃い碧眼が潤んで煌めく様に、既視感を覚えた。

 「あの」
 「おはよう」
 「おはようございます」

 エサムとグリリが続けて入ってきた。何となく、クレアだけに話しかける雰囲気ではなくなった。

 朝食は、パンにチーズにジャムにスープ、と定番のメニューだったが、素材も味付けも上等だった。

 今朝はたっぷり睡眠をとった後で、美味おいしい、とか美味うまいとか、当たり障りのない言葉ではあったが、互いに多少の言葉を交わすことができた。

 褒めたからという訳ではなかろうが、出立時には、食べ物を詰めた袋が、人数分用意されていた。

 驚いたのは、宰相の別邸の裏手が入江で、プライベートビーチになっており、その先に俺たちの乗る帆船が停泊していたことだった。

 てっきり港へ行くものだと思っていた。
 浜から帆船までは、ボートで送ってもらった。穏やかな風に、潮の香りが心地よい。

 二本あるマストの高い方には、妙に大きな鳥に似た飾りが付いている。
 俺たちがボートから乗船すると、が甲板へ飛び降りてきた。
 上半身が女性で、下半身が鳥の生き物である。腕はなく、代わりに翼の先に鉤爪かぎづめが付いていた。

 クレアが素早く前へ出た。

 「レクルキス国公使のクレアです。この度は、ご協力に感謝します」

 挨拶しつつ、懐から宝石の連なる腕輪のような物を取り出し、差し出す。

 「恐れながら、お付けしてもよろしいでしょうか」
 「許す。私は鳥人族のペンゲアである」

 腕輪ではなく首輪だった。チョーカーと呼ぶべきだろう。
 上着が軍服風で若干の違和感はあるが、宝石の煌めきは、誇らしげなペンゲアに、ふさわしかった。

 改めて俺たちから簡単に挨拶程度の自己紹介を受けた後、彼女は上空へ飛び去った。
 他にも、同じような鳥影が空を舞っていた。

 続いて船長と副船長が現れた。

 「ウンダ号船長のヤースムです。彼は副船長のジャック」

 船長は四十代に見えたが、軍を除隊したばかりのようなきびきびとした動きで、敬礼も板についていた。副船長の方は、魔法学院のウルサクに似て熊っぽかった。

 挨拶の後、帆が張られ、船はゆっくりと動き出した。帆にはらむ風は思いの外強く、入江の内と外の違いを強く感じさせた。

 「おや、見送りの方々ですよ」

 俺たちと一緒に甲板に残った船長が、入り江の奥を指した。少々距離があるものの、執事と使用人たちと見てとれた。
 クレアが躊躇ってから、片手を上げた。

 それから船長が、一通り船内を案内してくれた。途中で操舵士そうだし司厨士しちゅうし、甲板員も紹介された。
 寝室は二人一部屋だが、食堂もシャワー室も備えている。航海は、順調なら五日で着く見込みという。

 寝室の割り振りで、少し揉めた。クレアとマイアの相部屋はすぐ決まったが、残り三人で誰が個室になるか、正確には俺とエサムのどちらがグリリと同室になるかが、問題になった。グリリは最初から勝負を降りた。

 「じゃあ、石剣葉っぱで勝負だ」

 エサムが言う。もしかしてと思いつつ聞いてみると、じゃんけんのことだった。
 ただし、手が四つある。グーとチョキとパーのほかに井戸という片手で丸を作る形があり、井戸はグーとチョキより強くてパーより弱いという。
 そしてチョキの時に伸ばす指は二本でなく、一本である。ややこしい。

 井戸とパーを出せば勝てるのではないか。そう考えてパーを出したら、チョキを出されて負けた。これでグリリと同室である。そのグリリの姿が、見当たらない。

 エサムと甲板を探すと、船尾のへりから上半身が落ちかかっている。二人がかりで引き戻す。

 「船酔いだな」

 エサムが、手でグリリの顔をぱたぱたあおぎながら言う。気休めである。
 グリリは、水揚げマグロみたいに甲板に転がっている。手足にある船酔いのツボでも押してやろうか。

 「鎧脱がしたら楽になりますよね」
 「戦士が鎧を脱いだらダメだ」

 予想と違わぬ返答がきた。こんなフル装備を着ていたら、俺でも船酔いする。

 「皆さん、船長室をお借りしたので、集まりましょう」

 マイアが呼びに来た。マグロになったグリリを見て、手を伸ばす。光がグリリを包んだかと思うと、やおら起き上がった。

 「ありがとうございます、教授」

 回復魔法だ。俺も使えばよかった。船酔いにも効くとは思わなかった。マイアは何でもない、という風に手を振った。

 「大丈夫なら、行きましょう」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...