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18 知らぬ間に叶っていたりする
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「こんばんは」
フクロウに声をかけられて、俺は不覚にもギョッとした。
夜、家で寝ている時間に扉をノックされて、開けたら誰もいないのに、挨拶が聞こえたのである。
よく見れば、入り口の庇から、逆さまに覗き込む丸い目があった。
「ザック様、どうしたのですミャ」
猫姿で眠っていたゾーイが目を覚まし、猫人になって顔を出した。全裸である。これにも、どきりとする。
相手はフクロウで、気にする必要はないのだが。
「ああ。それが例の子ですね」
どうやら初対面のようである。してみると、これは前回とは別の個体なのだ。
エルフ賢者のヒサエルディスと、師匠に会うため、俺はこのフクロウを介して連絡を取り合っていた。
連絡係はカラスでも猫でも務まるのに、彼らは毎回フクロウを使う。
このフクロウは、俺たちと意思疎通できるが、あくまでも普通のフクロウである。寿命が来れば死ぬ。
「場所が決まったんだろう。どこへ行けば良い?」
エルフ国は、外に対して閉ざされている。彼らに迎える意志がない限り、誰もそこへ入ることはできない。位置も入り口も不明なのである。
無理矢理にでも、侵入を試みることすら不可能だ。
俺と魔王を退治した仲間であるヒサエルディスは、エルフ国とは別の場所に住んでいる。彼女は姉弟子でもあり、俺を育てた親のようなものでもある。
ここもまた、どこにあるかわからず、入り口も毎回異なる場所を指定される。王のいるエルフ国とも隔てられているようだ。
「すぐそこです。今から行けます」
「待て。すぐ支度する」
俺の家の近くに入り口を設定できるなら、常にそうして欲しいものである。
その仕組みは、俺にも知らされていない。油断して手ぶらで行こうものなら、出国で一歩踏み出した途端、見知らぬ山の中に放り出されることだって、有り得る。
俺は急いで旅支度を整え、寝ぼけ眼のゾーイに服を着せた。念の為、手をつなぐ。
家を出ると、屋根にいたフクロウが飛び立つ。
裏手に回ったところで、空気がガラリと変わった。
俺の家は森の中にあり、鬱蒼とした木で囲まれている。
今、目の前に生える木はまばらで、隙間から盛大にこぼれ落ちる日の光が、辺りを明るく見せていた。いや、本当に明るい。
真夜中だったのが、いきなり真っ昼間となったのだ。
「やあ、おいでなすったね」
外に出した椅子に、女エルフが腰掛けていた。テーブルの上には、三段重ねの皿に盛られたケーキと、紅茶の用意が整っている。
「寝起きなんだが」
「寝覚めの一杯に、紅茶は如何?」
ヒサエルディスは、ふざけた調子で茶を勧めた。
俺たちは、それぞれ椅子に落ち着いた。
ゾーイがクリームたっぷりのケーキを、涎を垂らさんばかりに見つめる。寝起きから食欲が旺盛なことである。
「師匠は?」
俺は、椅子がもう一脚あることに気付いた。
「そろそろ起きる頃だ。先に食べていていいよ。呼んでくる」
姉弟子は気さくに言うと、席を立った。早速、ゾーイが皿に手を伸ばす。
俺は茶に口をつけた。香りと熱、流れ込む水分と茶の味は、たちまち俺を目覚めさせた。
ここへ来たのは、確かめたいことがあったからである。
ウェズリーと対峙した時、俺は新しい記憶の扉を開いたような感じを覚えた。
闇魔法についての知識は、もともと持っていた。魔王を倒すため、魔族と戦ううちに、蓄積したものだ。
しかし、あの時思い出した事柄は、それとは別個の知識だった。
もちろん、師匠の下で学んだことでも、使わなければ忘れる場合もある。単にそれを思い出したに過ぎないのだろう。
と、思いたかったのだが。
あの時の感覚が、どうにも気になって、師匠に尋ねることにしたのだった。
「よく来たね、ザック。魔王ちゃんも、元気そうだ」
ヒサエルディスが、師匠を連れて戻ってきた。彼もエルフである。俺に物心ついた時から、見た目は変わらない。
「ふわあああっ。久々に日の光を浴びたなあ。美味しそうな物がたくさんあるね」
挨拶もそこそこに、空いた椅子へ座って飲み食いを始めた。
師匠は研究に夢中になると、三徹でも四徹でも平気でしてしまう。きっと、この食事も数日ぶりなのだ。しばし無言のまま、四人で食事に専念する。
「最近は、何を研究しているのですか?」
食べるのが落ち着いたところで、尋ねてみた。以前、師匠が開発した発情魔法陣セットは、ヒサエルディスが人間界向けに売り出して大ヒットし、今では政略結婚の必須アイテムとなっている。
きっかけは、エルフ王室から依頼された、少子化対策だった。
二人はあれで大分儲けただろうに、ここの生活は変わらないように見える。尤もこの二人なら、利益を全額研究のために注ぎ込みそうだ。
「急ぎの仕事はないから、興味の赴くまま、適当にやっているよ。古代史を振り返ったり」
師匠が応じたところで、一つ思い出した。
「そういえば、アリストファムの魔術師用牢獄は、ヒッサが設置したんだよな? あれ、俺が出入りする方法ないの?」
元王宮魔術師コンクエスト卿を、監禁する部屋である。魔力の移動を絶対的に防ぐため、逃亡はおろか、魅了などの魔法をかけることもできないという、ある意味完全獄舎である。
代わりに、俺のような魔術師が彼を尋問したくとも、近寄れない不便がある。
「うーむ。うーむ」
ヒサエルディスは、俺を眺めて首を傾げる。腹を満たしたゾーイが、空になったカップに紅茶を注いで回った。
彼女も、その程度の気遣いはできるようになった。
「お前は、入りたければ入ることができると思うが、術式が損なわれてしまうと思う」
「例えれば、鉄格子を曲げて入れるということだな」
「そうだ。ちなみに箱の方はベイジルが設計したから、コンクエスト、だったっけ? 彼は、生きているうちに外へ出ることは出来ないよ。お前が無理矢理侵入しない限り」
「怖いことを言う。元妃も、同じレベルの牢屋へ入れれば良かったのに」
先日までの美容術騒ぎも、起きなかったかもしれない。元王妃の関与は確定できていないが、感触としては有罪である。
「生きた人間を入れる以上、物のやりとりを完全に断つことは出来ない。条件付きの制限は、必ず例外を生じさせる。あれは、魔法に限ったから成功した。コンクエストだって、ミラベルみたいな悪事を働きたいなら、今の境遇でも可能だよ」
ますます不穏な発言をする姉弟子であった。世俗から隔絶した生活を送っていても、情報収集は怠らないようだ。
「さて。食事も取れたことだし、私は魔王ちゃんの健康診断と封印チェックをしようか」
師匠が席を立った。各種ケーキを一個ずつ残したのは、片付け担当の妖精さんの分である。二人は契約を交わして彼らをこの空間に住まわせている。
ゾーイが尋ねるように、俺を見る。封印チェック、実態は師匠とのセックスである。真面目な話だ。
魔族の力が復活しないよう、元魔王には封印が施されている。魔族は相手の魔力を吸引して強くなる。
どこから? 口や、下の穴から、という訳だ。
彼女が嫌なら、別の方法を考えてもらうしかない。
「嫌か?」
「嫌ではないのですが、ザック様の許可が要る、と思ったのです」
恥ずかしそうに目線を逸らすゾーイに、俺の胸が何故か痛む。
師匠はエルフらしく美形で、弟子の物を壊すような扱いはしない。この世で彼女を預けるのに、最も安心する男である。
俺だって、封印のチェックはしている。気に入らなければ、謹んで辞退すれば良いだけの話だ。
ただ、俺だけのチェックだと、基準が甘くなるのを恐れて、機会があれば師匠に頼んでいるのである。
これは、独占欲だ。長年一緒にいるうちに、情が移って欲も深くなってしまった。
万が一のためにも、師匠に預けた方が良い。それに師匠がここでゾーイに席を外させるのは、ヒサエルディスと俺に対する気遣いであることも、理解できた。
「許可する。遠慮なく、気付いた事、心配な事を尋ねなさい。師匠、よろしくお願いします」
「では、魔王ちゃん。行こうか」
師匠とゾーイは館へ消えた。
扉が閉まるのを確認したヒサエルディスが、俺を見た。
「お前に封印された記憶があるかどうか、と言う質問だったな?」
「正確には、何故一部の記憶を封印したのか。この間、偶然にも、闇魔法に関する封印が解けた」
俺は、王宮でアキから依頼された件に始まり、ウェズリーとの戦いを経て、ゾーイが巻き込まれそうになったことまで一通り説明した。
「胸のサイズぐらい、お前の力で変えられるだろうに」
姉弟子は、どうでも良い感想を述べる。
「あれでも、少しずつ成長させたんだ。下の毛を生やしたり、胸囲も大きくしている。ただ、あの顔と体つきでは、バランスが悪いと思って、そこで止めた」
そうなのだ。出会った当初、洗濯板のような胸だったゾーイは、現在手のひらに収まる程度の膨らみを持っている。
彼女が自然に成長することはない。俺がやったのだ。
魔力を注ぎ込むことになるので、少しずつ様子を見ながらの作業だった。人体実験には違いない。
失敗の落胆もあるが、情に絆されて魔力を注ぎ込みすぎないよう、本人には特に告げず、勝手にやったのである。
俺の趣味の問題ではなく、彼女の希望を汲んでのことだ。念の為。
もし、俺が形を変えられることを知ったら、絶対に巨乳を求めたに違いない。でなくとも、そんな簡単に出来ることと思われても困る。
苦労の甲斐あって、程よい大きさのおっぱいを手に入れたゾーイだが、あまりに自然で微妙な変化のため、本人もサイズが変わったことに気付いていないようだ。
別に、気付かないなら、それで良い。俺が揉みやすくなったのだし。いや、だから、俺の趣味の問題ではなく。
「魔力を注ぎ込まれたら、分かりそうなものだが。まあいい。問題があれば、師匠が気付くだろう」
ヒサエルディスが、表情を改めた。
「この先、長くなる。中に入って話そう」
俺たちも席を立った。
フクロウに声をかけられて、俺は不覚にもギョッとした。
夜、家で寝ている時間に扉をノックされて、開けたら誰もいないのに、挨拶が聞こえたのである。
よく見れば、入り口の庇から、逆さまに覗き込む丸い目があった。
「ザック様、どうしたのですミャ」
猫姿で眠っていたゾーイが目を覚まし、猫人になって顔を出した。全裸である。これにも、どきりとする。
相手はフクロウで、気にする必要はないのだが。
「ああ。それが例の子ですね」
どうやら初対面のようである。してみると、これは前回とは別の個体なのだ。
エルフ賢者のヒサエルディスと、師匠に会うため、俺はこのフクロウを介して連絡を取り合っていた。
連絡係はカラスでも猫でも務まるのに、彼らは毎回フクロウを使う。
このフクロウは、俺たちと意思疎通できるが、あくまでも普通のフクロウである。寿命が来れば死ぬ。
「場所が決まったんだろう。どこへ行けば良い?」
エルフ国は、外に対して閉ざされている。彼らに迎える意志がない限り、誰もそこへ入ることはできない。位置も入り口も不明なのである。
無理矢理にでも、侵入を試みることすら不可能だ。
俺と魔王を退治した仲間であるヒサエルディスは、エルフ国とは別の場所に住んでいる。彼女は姉弟子でもあり、俺を育てた親のようなものでもある。
ここもまた、どこにあるかわからず、入り口も毎回異なる場所を指定される。王のいるエルフ国とも隔てられているようだ。
「すぐそこです。今から行けます」
「待て。すぐ支度する」
俺の家の近くに入り口を設定できるなら、常にそうして欲しいものである。
その仕組みは、俺にも知らされていない。油断して手ぶらで行こうものなら、出国で一歩踏み出した途端、見知らぬ山の中に放り出されることだって、有り得る。
俺は急いで旅支度を整え、寝ぼけ眼のゾーイに服を着せた。念の為、手をつなぐ。
家を出ると、屋根にいたフクロウが飛び立つ。
裏手に回ったところで、空気がガラリと変わった。
俺の家は森の中にあり、鬱蒼とした木で囲まれている。
今、目の前に生える木はまばらで、隙間から盛大にこぼれ落ちる日の光が、辺りを明るく見せていた。いや、本当に明るい。
真夜中だったのが、いきなり真っ昼間となったのだ。
「やあ、おいでなすったね」
外に出した椅子に、女エルフが腰掛けていた。テーブルの上には、三段重ねの皿に盛られたケーキと、紅茶の用意が整っている。
「寝起きなんだが」
「寝覚めの一杯に、紅茶は如何?」
ヒサエルディスは、ふざけた調子で茶を勧めた。
俺たちは、それぞれ椅子に落ち着いた。
ゾーイがクリームたっぷりのケーキを、涎を垂らさんばかりに見つめる。寝起きから食欲が旺盛なことである。
「師匠は?」
俺は、椅子がもう一脚あることに気付いた。
「そろそろ起きる頃だ。先に食べていていいよ。呼んでくる」
姉弟子は気さくに言うと、席を立った。早速、ゾーイが皿に手を伸ばす。
俺は茶に口をつけた。香りと熱、流れ込む水分と茶の味は、たちまち俺を目覚めさせた。
ここへ来たのは、確かめたいことがあったからである。
ウェズリーと対峙した時、俺は新しい記憶の扉を開いたような感じを覚えた。
闇魔法についての知識は、もともと持っていた。魔王を倒すため、魔族と戦ううちに、蓄積したものだ。
しかし、あの時思い出した事柄は、それとは別個の知識だった。
もちろん、師匠の下で学んだことでも、使わなければ忘れる場合もある。単にそれを思い出したに過ぎないのだろう。
と、思いたかったのだが。
あの時の感覚が、どうにも気になって、師匠に尋ねることにしたのだった。
「よく来たね、ザック。魔王ちゃんも、元気そうだ」
ヒサエルディスが、師匠を連れて戻ってきた。彼もエルフである。俺に物心ついた時から、見た目は変わらない。
「ふわあああっ。久々に日の光を浴びたなあ。美味しそうな物がたくさんあるね」
挨拶もそこそこに、空いた椅子へ座って飲み食いを始めた。
師匠は研究に夢中になると、三徹でも四徹でも平気でしてしまう。きっと、この食事も数日ぶりなのだ。しばし無言のまま、四人で食事に専念する。
「最近は、何を研究しているのですか?」
食べるのが落ち着いたところで、尋ねてみた。以前、師匠が開発した発情魔法陣セットは、ヒサエルディスが人間界向けに売り出して大ヒットし、今では政略結婚の必須アイテムとなっている。
きっかけは、エルフ王室から依頼された、少子化対策だった。
二人はあれで大分儲けただろうに、ここの生活は変わらないように見える。尤もこの二人なら、利益を全額研究のために注ぎ込みそうだ。
「急ぎの仕事はないから、興味の赴くまま、適当にやっているよ。古代史を振り返ったり」
師匠が応じたところで、一つ思い出した。
「そういえば、アリストファムの魔術師用牢獄は、ヒッサが設置したんだよな? あれ、俺が出入りする方法ないの?」
元王宮魔術師コンクエスト卿を、監禁する部屋である。魔力の移動を絶対的に防ぐため、逃亡はおろか、魅了などの魔法をかけることもできないという、ある意味完全獄舎である。
代わりに、俺のような魔術師が彼を尋問したくとも、近寄れない不便がある。
「うーむ。うーむ」
ヒサエルディスは、俺を眺めて首を傾げる。腹を満たしたゾーイが、空になったカップに紅茶を注いで回った。
彼女も、その程度の気遣いはできるようになった。
「お前は、入りたければ入ることができると思うが、術式が損なわれてしまうと思う」
「例えれば、鉄格子を曲げて入れるということだな」
「そうだ。ちなみに箱の方はベイジルが設計したから、コンクエスト、だったっけ? 彼は、生きているうちに外へ出ることは出来ないよ。お前が無理矢理侵入しない限り」
「怖いことを言う。元妃も、同じレベルの牢屋へ入れれば良かったのに」
先日までの美容術騒ぎも、起きなかったかもしれない。元王妃の関与は確定できていないが、感触としては有罪である。
「生きた人間を入れる以上、物のやりとりを完全に断つことは出来ない。条件付きの制限は、必ず例外を生じさせる。あれは、魔法に限ったから成功した。コンクエストだって、ミラベルみたいな悪事を働きたいなら、今の境遇でも可能だよ」
ますます不穏な発言をする姉弟子であった。世俗から隔絶した生活を送っていても、情報収集は怠らないようだ。
「さて。食事も取れたことだし、私は魔王ちゃんの健康診断と封印チェックをしようか」
師匠が席を立った。各種ケーキを一個ずつ残したのは、片付け担当の妖精さんの分である。二人は契約を交わして彼らをこの空間に住まわせている。
ゾーイが尋ねるように、俺を見る。封印チェック、実態は師匠とのセックスである。真面目な話だ。
魔族の力が復活しないよう、元魔王には封印が施されている。魔族は相手の魔力を吸引して強くなる。
どこから? 口や、下の穴から、という訳だ。
彼女が嫌なら、別の方法を考えてもらうしかない。
「嫌か?」
「嫌ではないのですが、ザック様の許可が要る、と思ったのです」
恥ずかしそうに目線を逸らすゾーイに、俺の胸が何故か痛む。
師匠はエルフらしく美形で、弟子の物を壊すような扱いはしない。この世で彼女を預けるのに、最も安心する男である。
俺だって、封印のチェックはしている。気に入らなければ、謹んで辞退すれば良いだけの話だ。
ただ、俺だけのチェックだと、基準が甘くなるのを恐れて、機会があれば師匠に頼んでいるのである。
これは、独占欲だ。長年一緒にいるうちに、情が移って欲も深くなってしまった。
万が一のためにも、師匠に預けた方が良い。それに師匠がここでゾーイに席を外させるのは、ヒサエルディスと俺に対する気遣いであることも、理解できた。
「許可する。遠慮なく、気付いた事、心配な事を尋ねなさい。師匠、よろしくお願いします」
「では、魔王ちゃん。行こうか」
師匠とゾーイは館へ消えた。
扉が閉まるのを確認したヒサエルディスが、俺を見た。
「お前に封印された記憶があるかどうか、と言う質問だったな?」
「正確には、何故一部の記憶を封印したのか。この間、偶然にも、闇魔法に関する封印が解けた」
俺は、王宮でアキから依頼された件に始まり、ウェズリーとの戦いを経て、ゾーイが巻き込まれそうになったことまで一通り説明した。
「胸のサイズぐらい、お前の力で変えられるだろうに」
姉弟子は、どうでも良い感想を述べる。
「あれでも、少しずつ成長させたんだ。下の毛を生やしたり、胸囲も大きくしている。ただ、あの顔と体つきでは、バランスが悪いと思って、そこで止めた」
そうなのだ。出会った当初、洗濯板のような胸だったゾーイは、現在手のひらに収まる程度の膨らみを持っている。
彼女が自然に成長することはない。俺がやったのだ。
魔力を注ぎ込むことになるので、少しずつ様子を見ながらの作業だった。人体実験には違いない。
失敗の落胆もあるが、情に絆されて魔力を注ぎ込みすぎないよう、本人には特に告げず、勝手にやったのである。
俺の趣味の問題ではなく、彼女の希望を汲んでのことだ。念の為。
もし、俺が形を変えられることを知ったら、絶対に巨乳を求めたに違いない。でなくとも、そんな簡単に出来ることと思われても困る。
苦労の甲斐あって、程よい大きさのおっぱいを手に入れたゾーイだが、あまりに自然で微妙な変化のため、本人もサイズが変わったことに気付いていないようだ。
別に、気付かないなら、それで良い。俺が揉みやすくなったのだし。いや、だから、俺の趣味の問題ではなく。
「魔力を注ぎ込まれたら、分かりそうなものだが。まあいい。問題があれば、師匠が気付くだろう」
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