転生聖女は攻略先を絞りたい 逆ハーレムから始まる異世界性活

在江

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我慢が大変だった 1 *

 「聖女アイナの御業に期待する。後見となる始神殿ししんでんには、十分な協力の証を届けさせる」

 昨夜の痴態ちたいが嘘のように、セイヤは生真面目な表情で玉座にあった。
 三人の攻略キャラから解放されて落ち着いたところで、わたしはこの世界での記憶も大分思い出してきた。

 逆ハーレムエンドでも、王子だったセイヤが国王に即位すると知ってはいたものの、王妃が元悪役令嬢とは聞いていない。

 R18乙女ゲーム『未明の月 尽くしの巫女は煩悩に抗う』略して『みつつぼ』の逆ハールートは、攻略キャラを全部陥落させて、めでたしめでたし、なのだ。

 巫女が魔王討伐の功労により、聖女の称号を賜ったのも、エンド後の話である。

 確かにヒロインは、ゲーム終了時点で誰とも結婚していない。悪役令嬢は元々セイヤの婚約者だった。収まるべく収まったとも言える。

 セイヤの隣から見下ろす視線は、夫を寝取った泥棒猫に向ける冷たさであった。
 防音魔法をかけていたし、レッドやブルーも同席していた。ブルーなんて、事後の掃除までしていたけど、妻にはわかるものなのだ。

 知らなかった、とは言えないよね。
 前世の記憶を取り戻したわたしは、脇からダラダラと流れる汗も気にしつつ、王妃の視線に耐えた。

 一つ言い訳をさせて貰えば、国王は側妃を持つことができる上、後継者を得るための性行為は公務扱いとなる。
 セイヤと王妃の間に、まだ子はない。

 聖女が産んだ子については、また別の決まりがあるのだけど、とりあえず昨夜の次第が公になっても、この世界では不倫にはならない。

 それでも、前世の倫理観ではアウトだけど。

 「良き便りを待つ」

 国王夫妻が玉座から立ち上がり、部屋を出るまで待って、わたしは顔を上げた。
 魔王とその配下によって荒らされた国土を回復するため、聖女となったわたしが、あちこち巡行することになったのだった。

 「行きましょう」

 薄紫色の長髪から、大神官が顔を覗かせた。始神殿の長である。攻略キャラでもなく、やや年嵩としかさではあるものの、整った顔立ちの人物だ。
 乙女ゲームの登場人物は、顔面偏差値が高い。

 迎えの馬車に、二人で乗り込むと、始神殿に向かってゆっくりと動き出した。

 「国王陛下には、ご満足いただけましたか」

 「はい。騎士団長と魔術師長とも、交流いたしました」

 「それは、お勤めご苦労様でした」

 そうなのだ。わたしが三人と交わったのは、仕事ということになっている。記憶を取り戻す前のわたしが、ノリノリで四人プレイに挑んだことがバレても、王妃は文句をつけられない。

 巫女は、自らの意思で触れた相手に女神の祝福を与える。その効果はまちまちで、ゲーム的に言えば、HPやMPの回復、攻撃力や防御力の上昇、スキルの付与など、その場に応じた効能が得られる。

 触れる度合いによって、効力も拡大し、セックスは最大効果を得る方法として、秘術と定まっていた。
 基本的に対象者は、独身者である。国王のセイヤが結婚後も秘術を受けられるのは、側妃制度があるからだ。

 ブルーは独身で、レッドには婚約者がいたけど、ゲームエンドの際に婚約を破棄していた。
 『みつつぼ』では、対象のキャラ一人を攻略すれば、魔王との決戦に十分な戦力が得られた。逆ハーレム達成なら、余裕だったろう。

 平和となった今では、秘術を駆使する必要はない、筈。
 魔王討伐時の習慣が、惰性で続いている面もある。

 もちろん、記憶を取り戻す前のわたしが望んだ、という前提のもとに。
 巫女の意思を無視して犯しても、祝福は得られない。

 「アイナ様のお陰で、王都の民も皆、平和に暮らしております」

 車窓からの景色を眺めていると、大神官が声をかけてきた。
 ひしめく背の高い建物と、その前を行き交う人々は、前世の都会に似て、平和の景色と言われれば、なるほどと思わせた。

 ただわたしには、ほぼ始神殿と王宮の往復ばかりの記憶しかない。せっかく魔王の脅威が去ったのに、華やかな王都の街歩きを楽しむ暇もなく巡行に出されるのは、残念だった。

 「私的な場では、敬語を止めてください。猊下げいかはわたしの師なのですから」

 始神殿は各地に建つイナリア神殿の総本山であり、貴族出の大神官はその頂点である。
 本来、平民出身のわたしが、気安く言葉を交わせる相手ではない。
 その上、彼はわたしに巫女の秘術を教えた師匠でもあった。

 「アイナこそ、魔王討伐の帰還以来、随分と他人行儀だ。せめて師匠と呼びなさい」

 「はい、師匠」

 大神官が微笑み、手を伸ばしてわたしの頭を撫でた。ポカポカと気持ちの良い波が、全身を包む。
 巫女にしても聖女にしても、自らを回復することはできない。回復するのは、神官の役目であった。その方法は同じく祈りと接触である。

 「良い子だ。英雄三人を相手のお勤めは、消耗しただろう。神殿へ着くまでに、少し回復しておこう」

 そのまま抱き寄せられ、口付けされた。
 途端に、体が弛緩しかんする。条件反射である。

 巫女の秘術を教わった、すなわち初体験の相手が、大神官なのだ。

 『みつつぼ』では容量の関係かシナリオの関係か、大神官とのくだりが丸々省略されていたが、今世のわたしの心身には、しっかり刻み込まれていた。

 「はっ。はっ。師匠」

 深く舌を絡ませ、たっぷりとしたよだれと共に、師匠の力がわたしの中へ染み入ってくる。
 背中へ回された手からも気が放たれて、わたしの下半身を温めた。

 「イリアルと呼んでも良いよ。よほど疲れたのだね。腰が求めている」

 指摘されるまでもなく、あそこがうずくのを感じていた。羞恥でますます子宮が熱くなる。

 「そろそろ神殿に到着する。まずは、食事を済ませよう。少し辛抱なさい」

 師匠は、サッと身を離し、わたしの口元を拭った。唇に触れた指先から、快感と力を感じ、しゃぶりつきたくなる。
 わざわざ疼かせておいて、お預けを喰らわすなんて、殺生せっしょうな。
 わたしは、汁のしたたりを気にしつつ、内股で馬車から降りたのだった。


 食事の前に、入浴をさせられた。
 プラチナブロンドの髪に、緑色の瞳。
 改めて、『みつつぼ』の主人公に転生したのだ、と自認する。

 ところで、神殿において、巫女の世話は神官の役目である。神官は原則、子種の袋を除去されている。

 神官も祈りによる回復の力を持っているけど、対象に触れる必要はほぼない。
 その昔、祈りを聞き届けた女神の恩恵で回復させる、と教わった。

 巫女の場合、わたしの意思がそのまま女神を代理する形となる。巫女と神官の力も別種として考えられる。
 いずれにせよ、魔法とは根本的な仕組みが違う。

 前世の記憶が戻る前のわたしは、世話係の神官たちとも致していた。
 魔王討伐へ出かける前から、道中に至るまで、思い出すのが恥ずかしいほど、取っ替え引っ替え手を出していた。

 となると、わたしと神官がセックスした場合、巫女から神官、神官から巫女、と双方へ力が流れることになる。
 結果、どうなったか。わたしの記憶は曖昧である。

 一般の神官は、巫女の秘術がどのようなものかを知らない。神殿内部においても、秘術の中身を知るのは大神官のみだ。
 でも、わたしと寝た神官が、何か特殊な力を感じ取ってもおかしくない。
 彼らから関係を迫られたら、どうしよう。

 内心ドキドキしながら湯浴みをしたけど、見覚えのある神官とは顔を合わせなかった。
 ドキドキと言えば、去勢済みとはいえ、挿入可能なモノを持つ男たちに、裸で世話をしてもらうのも、緊張した。

 「聖女様、頭を上げてください」

 「聖女様、そろそろ浴槽から出てください。のぼせます」

 老いも若きも、芋でも洗うように、機械的に素早くわたしを洗い上げた。キビキビしすぎて、少々手荒に感じるほどだった。
 もしや、わたしが彼らの顔を忘れてしまったことで、軽く恨まれたのかもしれない。

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