転生聖女は攻略先を絞りたい 逆ハーレムから始まる異世界性活

在江

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初めては夢のようだった 2 *

 アナスとアクミニが、急な来客に慣れていたのは幸いだった。

 親切な商人が何人か、それぞれの往復に立ち寄るとかで、彼らのために用意してある空き家を開けてもらった。

 更に、アナスが家を出て、アクミニと一緒にわたしとパノレアを泊めてもらうことになった。

 当然ながら兄妹の家に、ベッドは二台しかない。
 床にわらを積んで上からシーツを被せ、簡易ベッドを作った。

 他にも倉庫として使う空き家があり、馬用の藁や芋などの食材も、そこから運び出した。
 使える建物は全部活用されていた。

 あの盗賊達が、兄妹と仲良く住んでいた痕跡も、こっそり根城ねじろに利用した様子もなかった。

 わたしはお礼も兼ねて、集落跡を囲む結界を張り直した。結界は、前回わたしが設置したままだった。
 兄妹の安全のため、少しは役立ったなら、嬉しいことだ。

 これらの作業と並行して、アクミニとわたしとパノレアで、七人分の食事を用意した。
 食材は、兄妹の備蓄を使わせてもらった。
 ここでわたし達の携帯食料を差し出したら、余計な気を遣わせる。

 「アイナ姉ちゃんのお陰で、畑の作物も良く育つんだよ」

 アクミニは、一緒に料理をするのが楽しそうだ。

 「本当のお姉ちゃんになってくれたらいいのに。あっ、勇者のお兄ちゃんと一緒に住んでもいいんだよ」

 「アイナ様は聖女様で、勇者殿はアリクフロント伯爵だ。お前達のところには」

 「パノレア。火が消え掛かっている。中火に戻す。それから、この鍋に八割ほどまで水を入れて」

 パノレアは、料理が全く出来ないことが発覚した。

 そこで、わたしの指示に従って、魔法で水を出したり火加減を調整したりする役をになった。

 魔法で出した水は、実はあまり美味しくない。いわゆる純水なのではないかと思う。
 だから、最初のひとかめだけ運んで、水増しする形で使っている。

 「巫女‥‥聖女様。藁ベッドを妹の脇に作ったので、お連れの方とお休みください」

 アナスが顔を出した。

 「家主を追い出して、ごめんなさい」

 「いいえ。聖女様には、安心して眠ってもらいたいって、皆さんの気持ちです」

 そう言って得意げに胸を張る辺りは、まだ子供らしい感じがした。

 「それに、聖女様に食事を用意してもらえるなんて、最高の贈り物です」

 「恐れ多いのよ」

 「力仕事はキリロスとマノロスが手伝ったから、わたしが出来ることをしたまでよ。急に七人分の食事を一人で作ることになったら、完成まで何時間かかるかわからないもの」

 わたしはパノレアを黙らせた。


 久々の手料理は、お世辞半分でも、おおむね好評だった。
 野宿すると思えば、食器を使って温かい料理を食べられて、屋根の下で眠れるとは贅沢だった。

 「じゃあ、お兄ちゃんの部屋で寝るから、いつでも来てね」

 アクミニが隣室へ去り、わたしとパノレアが残された。

 「わたしは平民出身で、野宿にも慣れているの。だから、あなたがベッドを使いなさい」

 パノレアは貴族令嬢だ。平民の家に泊まるのも初めてのようだ。

 今朝まで平民が寝ていたベッドに身を横たえるのにも躊躇するのに、床へ直置きの藁ベッドには耐えられまい。

 「聖女様を床へ寝かせる訳には参りません。ブルー魔法師長からも、聖女様をお守りするよう頼まれております」

 パノレアは、エリミアへ来てから態度が硬い。BLを熱く語った人と同一人物とは思えない。
 素朴な村人の前で、威厳を保とうとしているようにも見えた。

 「わかった」

 彼女には、新しい藁に客用シーツを被せたベッドの方が快適かもしれない。
 考え直して、わたしがアクミニのベッドで寝ることに同意した。


 ところが。

 狭苦しくて、目が覚めたのである。

 真っ暗な中、力強い寝息が肌に吹き付けられる。

 闇に目が慣れるのを待っていると、隣の部屋からも寝息が聞こえてきた。
 あれは、アクミニの寝息だ。
 ということは、この暑苦しい存在の正体は。

 パノレアであった。寝ている。

 叩き起こそうとして、止めた。

 彼女はわたしに遠慮して、慣れない藁ベッドを選んだのである。
 寝たまま這い上がってくるなんて、よほど布団が恋しかったに違いない。

 そっと寝台を降りて、藁ベッドへ回り込んだ。
 シーツがぐちゃぐちゃに乱れ、早くも藁がはみ出ていた。

 やっぱり叩き起こしてやろうか。

 どうにか堪えたのは、アクミニを起こしたくない一心だった。


 目が冴えてしまって、外へ出た。

 夜空は晴れていた。月は細く、星のきらめきが際立つ。

 どこからか、いびきが聞こえてきた。足は、自然と神殿へ向かう。

 明かり取りのため、入り口の扉を開けたままで、中へ入った。

 信者のための椅子も、教えを説く台もない平らな床の行き着く先に、女神イナリアの像が立っていた。
 天井に頭が付くほど、大きな像である。この規模の神殿には珍しい。

 わたしは、女神の前にひざまずいた。

 「豊穣なる女神イナリアに、祈りを捧げ奉る」

 この結界の内にある土地に祝福を授けるよう、アナスとアクミニの兄妹が良き伴侶を得てエリミアが栄えるよう、女神に願った。

 特に反応はない。

 『みつつぼ』では、女神像から後光がさして、祈りが聞き届けられたとわかる。

  実際には、いつも女神像があるでもなし、まして返事などない。セックスによる祝福も、何となく察せられる程度である。

 既にこの土地には祝福がかかっていて、育つ作物は売り物レベルで美味しい。

 ほぼ廃墟の村にまで行商人が定期的に立ち寄るのは、野菜など商品の仕入れが目当てだろう。
 これ以上の効果を願うなら、より大掛かりな祈祷や供物が必要だ。

 夜中に思いつきで祈っても、効き目がないのは当然か。

 「聖女様?」

 開け放した戸口に、影が現れた。見覚えのあるシルエットである。

 「アナス。こんな夜中にどうしたの?」

 「いびきが‥‥寝付けなくて」

 アナスは、うまや付きの家に、御者とマノロスと共に寝ることになっていた。
 御者はゲイトニアで入れ替わっている。

 「マノロスが原因ね。だから、キリロスが一人で寝たいって言ったのか」

 平民と同室になりたくないのだ、と解釈して、あのような割り振りにしたのである。

 「ごめんなさい。食料や寝床もお世話になったのに」

 彼らの代わりに謝った。今からマノロスやキリロスを叩き起こしても、アナスが眠れる訳ではない。
 このままとどこおりなく出立して、彼にはゆっくり眠ってもらうのが最善だ。

 「いや。巫女‥‥聖女様とまた会えて、楽しい時間が過ごせて、俺も妹も感謝してます。それより、聖女様こそ、夜中にそんな格好で外に出て大丈夫?」

 どうも視線が定まらないと思ったら、わたしのせいだった。
 ベッドで寝るから夜着に着替えて、そのまま出歩いていた。

 神殿支給の高級品は、軽くて薄い。新婚初夜の新妻ほどではないにしろ、体の線がわかる程度には透ける。

 おまけに夜の暗い屋内で、わたしたちは普段以上に近い距離で話していた。

 「うっかりしちゃったわ。アナスも驚いたでしょう。真夜中に神殿の扉が開いて、暗い中にヒラヒラした物が動いていたら」

 前世だったら、幽霊と見間違うところである。『みつつぼ』に幽霊の概念はない。アンデッドか、それ以外の魔物が代わりに存在する。

 「うっ。とても、綺麗です、聖女様」

 焦って大袈裟な身振りをした手が当たった途端、彼は体をくの字に折り曲げた。打ちどころが悪かったらしい。

 「痛かった? 手当するわ。見せて」

 「それほど、でもない。大丈夫」

 「すぐ治すから」

 揉み合う形となって、バランスを崩し、二人で神殿の床へ倒れ込んだ。
 胸の間に、馴染みのある感触が。

 「ひっ。出ちゃう」

 わたしは慌ててアナスの服をずり下ろし、飛び出した立派な棒をくわえた。
 我ながら呆れるほどの速さだった。

 ドピュッ、と精液が口内に噴出した。危ないところだった。

 「ご、ごめん。おしっこ漏らしちゃった」

 アナスが涙目で謝る。

 「おしっこじゃないわ」

 わたしは、彼の精液を飲み下してから応じた。

 もしかしなくとも、彼は射精を知らないのか。結構、良い年齢なのに。
 少なくとも、十八にはなっている筈。

 「汚いのに。女神様の前で、こんな」

 頬にこぼれた涙が光る。わたしは振り向いた。
 女神イナリアの像から、後光が差していた。

 『汝の願いを叶えよう』

 声まで聞こえた。幻聴かも。

 「聖女様。もう、離して、大丈夫」

 アナスの声で、我に返った。彼の目覚めた息子は、わたしのてのひらで、早くも復活していた。

 離して、と言う割には腰を浮かし、ゆるゆると上下運動をしている。
 わたしが擦っているのではない。彼が擦っているのだ。
 パッと手を離すと、残念そうに腰を落とした。わたしたちの間に、屹立きつりつした棒が残った。

 「俺の初めてを、聖女様がもらってくれるって」

 「え」

 アナスの目が、うっとりとわたしの背後を見つめる。

 「お任せすれば大丈夫って、女神様が」

 再度振り向いた時には、後光が消えていた。

 そういえば、『みつつぼ』でも、最初に結ばれた時に一番高い効果の祝福が与えられた。
 女神イナリアは、童貞好きらしい。

 確かに、尿と精液の区別も定かでない男には、頼れない。

 わたしは、アナスの淫棒に、またがった。女神の恩寵により、受け入れる準備は整っていた。

 「あっ。凄い」

 アナスが目を見開き、下から突き上げ始めた。
 すぐに放出するかと思いきや、意外と粘る。

 土と草の匂いが、汗と混じって立ち上る。生命の営みを直に感じて、興奮が増す。

 「アナス。そんなに突いたら、腰が」

 初めてなのに、初めてだからか、一切の躊躇いもない直情的な激しい突きが、呼吸を乱す。

 「止められない。気持ち良くて」

 「はっ。あっ」

 重力で、ずん、ずん、と最奥まで刺さってくる。ピストンが段々早くなった。

 ビュルル、と子宮に精子の射出を感じた途端、アナスが意識を失った。
 わたしは彼の上から降りて、性器を清めた後、服を元の位置へ戻した。

 アナスには祝福が与えられた。多分、彼の農夫としての能力が上がったのだ。

 このまま放置しておけば、夢の中の出来事と思いこんでくれるかもしれない。
 というか、思い込んで欲しい。

 巫女とセックスしたら能力が上がる、などと言いふらされたら、身の危険に晒される。
 だから、秘術なのである。

 普通に口止めしても、思わずポロリしそうな素直さが、アナスにはあった。

 夢で押し切ろう。

 わたしは、足音を忍ばせて、神殿から立ち去った。

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