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ダメなんじゃないかと思った 1 *
「いやはや。聖女様にお越しいただけて、大変名誉に存じます。我が領地メソスにも、是非とも女神イナリア様の祝福を授かりたいものです」
わたし達はエリミアを出て、当初の宿泊予定地だったメソスに来た。
この世界はR18乙女ゲーム『未明の月 尽くしの巫女は煩悩に抗う』略して『みつつぼ』の逆ハーレムルート達成の時間軸である。
前世でプレイ中、メソスという地名は出てこなかった。
昨夜、わたしはアナスの初めてを貰い受けた。
彼が女神イナリアに願掛けしたのが、初体験だったらしいのだ。
わたしも性欲解消になって、双方ウィンウィンだ。
でも、聖女と致したことは、秘密にしてもらわなければ、困る。
わたしは、全部夢だった、とアナスに思い込ませる作戦に出た。
あくる朝、わたしと目が合うなり、顔を赤くしたり目配せをしたり、不審な態度だったのを、徹底的に知らぬ体で押し通した。
時には、敢えて態度がおかしい、と指摘したりもした。
最終的には、純朴なアナス青年に、初体験が夢の出来事だったと思わせることに成功した、と思う。
出立前に今一度、兄妹に良き伴侶を与えるよう女神に祈ったから、後の始末はそちらに任せることにする。
メソスの領主、ディゲニス=ベニゼロスは、代替わりしたばかりの若い伯爵だった。まだ独身である。
領主は血筋を残すことを重視する。
となると、生まれた子を神殿に捧げねばならない聖女は、お呼びでなさそうだ。
取り立てて美形というほどのこともなく、キリロスの毒牙にもかかるまい。
お見合い候補でないならば、貴族相手でも多少は気楽に過ごせそうだった。
子を産む義務がなければ、わたしとしては、一生独り身でも全然構わないのだけど。
尤も、女神イナリアが強制的にわたしを孕ませる可能性も、ないではない。
わたし達は、メソスに向かいつつ、要所要所で土地に祝福をもたらす祈りを捧げてきた。
魔王の配下に直接荒らされずとも、通り過ぎるだけで一気に力を失う土地もある。
周辺部と異なり、城郭に囲まれた中核部分は、魔物の被害をほとんど免れていた。
神殿に泊まることも可能だったけど、領主の招待に応じた形である。
「郊外は一通り回らせていただきました。土地の復興に、領主家の方々が尽力してくださったと、村の人達が感謝しておりました」
「領主として当然の責務です」
正確には彼本人ではなく、前領主やその部下が動いたのだけど、現当主はディゲニスだ。
逐一、それは父の功績です、などと訂正するのも煩わしいだろう。
「まずは、旅の垢を落としてお寛ぎください」
大浴場に案内された。実は、ゲイトニア出立以来、入浴していない。
この世界では、風呂もシャワーも贅沢品なのだ。
魔法である程度の汚れは落とせるものの、自分だけとはいかず、同行全員分も引き受ければ、結構な魔力を消費する。その上、どうせすぐ汚れる。
あと寝るばかりの時に、襲撃を受けたら、魔力不足で負けるかもしれない。
清潔感より命が大事。風呂に入らなくても、死なない。
魔王討伐の間も、野宿の時は水浴び程度で、それも水が豊富にある場所に限っていた。
だから今回の巡行でも、同じ考えでいたのだ。
エリミアには、以前と相変わらず風呂がなかった。平民には、毎日入浴する習慣がないのである。
聖女であるわたしが要求しなければ、お供も風呂を用意しろとは言い辛い。
騎士のマノロスはともかく、キリロスやパノレアは、こっそり自力で洗浄していたかもしれない。
そんな折りの、貴族風呂だった。
「うわあ。ゴージャスですね。この他に殿方用の浴場があるとは、さすがはご領主様です」
女体像が肩に担いだ壺から浴槽へ、滝のように湯が流れ落ちる。
湯気の立ちこめる浴場には、壁からも上半身裸の女体像が何体か突き出ていた。
パノレアは大きな浴槽へ頭から突っ込んだ。足を滑らせたのかもしれない。
その髪は、地毛の色に戻っている。
「貴族なら、この程度が普通じゃないの?」
「実家には、こんな立派な浴場はありませんでした」
さらりと浴室の存在を認めた。彼女も貴族の出である。
「聖女様。お髪を洗いましょうね」
「自分で洗えるわ」
魔術師の格好ではあるが、パノレアは侍女だから世話も出来る、と主張した。
結果、広い浴場に二人きりとなった。少々緊張する。
案の定、髪を洗っている最中、背に巨大な肉塊が押し付けられた。のみならず、両脇から突き出た手が、わしっと乳房を掴む。
「ひゃっ。止めて」
「もう、聖女様ったら。着痩せするタイプですよね。清楚な服の下に、こんなエロいおっぱい隠しているなんて。凝りをほぐして差し上げますわ」
十指満遍なく使って揉み始める。わたしは泡だらけの髪に手を突っ込んだ状態で、身動きが取れない。
「パノレア。泡を流してちょうだい」
「はい。承知しました」
毅然として命じると、意外にも素直に手を引っ込めた。条件反射みたいだ。
「お礼に、背中を洗ってあげる」
無論、仕返しに尖塔巨乳を揉むためである。
「背中は、お互い流し合いましょう。このまま先に洗いますね」
わたしが髪の水を絞る間に、ゴシゴシ擦り始めた。泡を含んだ海綿が往復する度、ちょっ、ちょっと何かが背中に当たる。
尖った乳首に違いない。わたしの性愛対象は男だけど、この刺激はそそられるものがある。
「はい、交代。背中見せて」
警戒するパノレアに、まずは真っ当に背中を洗ってやる。
「はわわ。やっぱり人の手で洗ってもらうのは、気持ち良いです」
魔法で体を洗っていた人のセリフだ。別に、聖女様に合わせろと言うつもりはない。
でも、挨拶した時、領主に臭ったかな、と思うと少々恥ずかしい。
お付きの者より聖女が臭いなんて。
背中を洗い終えたわたしは、その恨みも込めて、泡だらけの手を前に回す。
「あんっ。くすぐったい」
うう~。尖塔巨乳の弾力が予想以上だ。
わたしの指がぬるぬる滑って、思うように揉みくだせない。こうなったら、乳首を弄ってやる。
「あはっ。前と後ろからくすぐらないで」
突き出した先端を狙うことに集中しすぎて、距離を忘れていた。
気付けば、わたしは自分の胸をパノレアの背中に押し付け、後ろから乳を揉む姿勢をとっていた。
「さっきの仕返しよ」
くるり。わたしの腕の中で、パノレアが反転した。
「まだ、お尻を洗っておられませんね~。聖女様はお尻も気持ち良いですね」
尻まで揉まれた。
「パノレアの、お尻も、すべすべよ」
わたしとの間に挟まる彼女のおっぱいが、ぶるんぶるんと弾み、思うように尻を揉めない。
手を伸ばそうと四苦八苦するうちに、じょり、と股が触れ合った。
はっ、と我に返った。
完全に二人きりで、気を緩めすぎた。
壺持ち石像の女も、呆れた視線を送ってくる。
「遊んでいる場合ではないわ。早く済ませよう」
パノレアもすぐに手を離し、わたし達は急いで体を洗った。
ベニゼロス伯爵は、もてなしにドレスまで準備してくれていた。
着てきた服は見当たらない。
見るからに高価な衣装で気が引けるけど、他に着る物はなく、パノレアに着せてもらった。
聖女の服と違って、貴族女性のドレスは、一人で着られない仕組みとなっている。
「思ったよりも、肌の露出が多いですね。普通の貴族令嬢であれば、許容範囲内なのですが」
パノレアは全部着せてから、つくづく眺めて宣った。
一応、聖女のイメージカラーである白と青と金で誂えてあるものの、いわゆるイブニングドレスだ。
わたしの乳が、上半分丸見えだった。
「私のドレスも、かなりの露出度なんですよね。部屋に戻って、羽織る物を探しましょう」
ご丁寧に、パノレアのドレスまで用意されていた。つまりは、彼女の服も引き上げられていたのである。
わたしも手伝って着終えたパノレアの胸は、はち切れんばかりに盛り上がっていた。
思わず、よいしょ、と掴んで取り出したくなる。
寝室へ持ち込んだ着替えまで消えていたらどうしよう、と心配したけど、杞憂だった。
わたしとパノレアは、それぞれ肩から掛ける布で胸元を覆った。
それでも彼女の豊満な乳は、存在を隠せなかった。
やはり彼女の普段着る服には、隠蔽魔法がかかっているに違いない。
食卓に着くと、やはり入浴でさっぱりとしたキリロスとマノロスが、一瞬固まるのが見えた。
彼らは自前の服のままだった。
「ドレスまで用意いただき、ありがとうございました」
「とても良くお似合いです。お二方の麗しいお姿を眼前にして、ますます女神イナリア様への信仰が深まりました」
料理は、王宮以来のフルコースだった。
当然美味しいのだけど、前世も今世も平民だったわたしには、エリミアで囲んだ素朴な食卓の思い出が、やたらキラキラして浮かぶのだった。
あの食材には、全て祝福がかかっていた。
それに、伯爵の目線がパノレアの突出物に触れる回数が多いことも、気に掛かった。
灯台のサーチライトみたいに、左右から通過するかと思えば、彼女を会話に誘い、傾聴する間の目のやり場にする。
本人はさりげないつもりでも、あまりに頻繁で、気付かずにいられない。
あれだけの巨乳なら、無理もなかった。
同性のわたしも、つい眺めてしまうのだから。
既婚者のマノロスさえも、うっかり視界に入れること数度に及んだ。
完全に無視を決め込んだキリロスが、聖人に見えた。
同時に、両刀使いかも、との微かな希望も潰えた。
わたしの無聊を慰めるのは、パノレアの巨乳しかないのだろうか。
食事を終えて部屋へ戻ると、メイドが出てくるところへ出会した。
慌てて顔を伏せながら、早足で去る様子に、ふと既視感を覚えた。
「臨時雇いでしょうかね」
「どこかで見かけたかな?」
「いいえ。下級の使用人なのに、客人の目に触れるとは、仕事に不慣れと感じたまでです」
そういうものなのか?
貴族の常識は、神殿とはまた違うようだ。ますます結婚する気が失せた。
セイヤ王と結婚したら、細かいことを気にせずに済むかもしれないけど、王妃に殺される。
「今夜は部屋が別々ですね。お寂しいなら、こちらへ移りますよ」
油断していた。ドレスを脱がせたパノレアの手が、またもわたしの胸を揉んだのだ。
「ひょえっ。一人の方が、安心して寝られるわ」
「残念~。いつでも、いらしてください」
背中を、彼女の尖った胸が圧迫する。
もう、仕返しするには、疲れ過ぎた。
わたし達はエリミアを出て、当初の宿泊予定地だったメソスに来た。
この世界はR18乙女ゲーム『未明の月 尽くしの巫女は煩悩に抗う』略して『みつつぼ』の逆ハーレムルート達成の時間軸である。
前世でプレイ中、メソスという地名は出てこなかった。
昨夜、わたしはアナスの初めてを貰い受けた。
彼が女神イナリアに願掛けしたのが、初体験だったらしいのだ。
わたしも性欲解消になって、双方ウィンウィンだ。
でも、聖女と致したことは、秘密にしてもらわなければ、困る。
わたしは、全部夢だった、とアナスに思い込ませる作戦に出た。
あくる朝、わたしと目が合うなり、顔を赤くしたり目配せをしたり、不審な態度だったのを、徹底的に知らぬ体で押し通した。
時には、敢えて態度がおかしい、と指摘したりもした。
最終的には、純朴なアナス青年に、初体験が夢の出来事だったと思わせることに成功した、と思う。
出立前に今一度、兄妹に良き伴侶を与えるよう女神に祈ったから、後の始末はそちらに任せることにする。
メソスの領主、ディゲニス=ベニゼロスは、代替わりしたばかりの若い伯爵だった。まだ独身である。
領主は血筋を残すことを重視する。
となると、生まれた子を神殿に捧げねばならない聖女は、お呼びでなさそうだ。
取り立てて美形というほどのこともなく、キリロスの毒牙にもかかるまい。
お見合い候補でないならば、貴族相手でも多少は気楽に過ごせそうだった。
子を産む義務がなければ、わたしとしては、一生独り身でも全然構わないのだけど。
尤も、女神イナリアが強制的にわたしを孕ませる可能性も、ないではない。
わたし達は、メソスに向かいつつ、要所要所で土地に祝福をもたらす祈りを捧げてきた。
魔王の配下に直接荒らされずとも、通り過ぎるだけで一気に力を失う土地もある。
周辺部と異なり、城郭に囲まれた中核部分は、魔物の被害をほとんど免れていた。
神殿に泊まることも可能だったけど、領主の招待に応じた形である。
「郊外は一通り回らせていただきました。土地の復興に、領主家の方々が尽力してくださったと、村の人達が感謝しておりました」
「領主として当然の責務です」
正確には彼本人ではなく、前領主やその部下が動いたのだけど、現当主はディゲニスだ。
逐一、それは父の功績です、などと訂正するのも煩わしいだろう。
「まずは、旅の垢を落としてお寛ぎください」
大浴場に案内された。実は、ゲイトニア出立以来、入浴していない。
この世界では、風呂もシャワーも贅沢品なのだ。
魔法である程度の汚れは落とせるものの、自分だけとはいかず、同行全員分も引き受ければ、結構な魔力を消費する。その上、どうせすぐ汚れる。
あと寝るばかりの時に、襲撃を受けたら、魔力不足で負けるかもしれない。
清潔感より命が大事。風呂に入らなくても、死なない。
魔王討伐の間も、野宿の時は水浴び程度で、それも水が豊富にある場所に限っていた。
だから今回の巡行でも、同じ考えでいたのだ。
エリミアには、以前と相変わらず風呂がなかった。平民には、毎日入浴する習慣がないのである。
聖女であるわたしが要求しなければ、お供も風呂を用意しろとは言い辛い。
騎士のマノロスはともかく、キリロスやパノレアは、こっそり自力で洗浄していたかもしれない。
そんな折りの、貴族風呂だった。
「うわあ。ゴージャスですね。この他に殿方用の浴場があるとは、さすがはご領主様です」
女体像が肩に担いだ壺から浴槽へ、滝のように湯が流れ落ちる。
湯気の立ちこめる浴場には、壁からも上半身裸の女体像が何体か突き出ていた。
パノレアは大きな浴槽へ頭から突っ込んだ。足を滑らせたのかもしれない。
その髪は、地毛の色に戻っている。
「貴族なら、この程度が普通じゃないの?」
「実家には、こんな立派な浴場はありませんでした」
さらりと浴室の存在を認めた。彼女も貴族の出である。
「聖女様。お髪を洗いましょうね」
「自分で洗えるわ」
魔術師の格好ではあるが、パノレアは侍女だから世話も出来る、と主張した。
結果、広い浴場に二人きりとなった。少々緊張する。
案の定、髪を洗っている最中、背に巨大な肉塊が押し付けられた。のみならず、両脇から突き出た手が、わしっと乳房を掴む。
「ひゃっ。止めて」
「もう、聖女様ったら。着痩せするタイプですよね。清楚な服の下に、こんなエロいおっぱい隠しているなんて。凝りをほぐして差し上げますわ」
十指満遍なく使って揉み始める。わたしは泡だらけの髪に手を突っ込んだ状態で、身動きが取れない。
「パノレア。泡を流してちょうだい」
「はい。承知しました」
毅然として命じると、意外にも素直に手を引っ込めた。条件反射みたいだ。
「お礼に、背中を洗ってあげる」
無論、仕返しに尖塔巨乳を揉むためである。
「背中は、お互い流し合いましょう。このまま先に洗いますね」
わたしが髪の水を絞る間に、ゴシゴシ擦り始めた。泡を含んだ海綿が往復する度、ちょっ、ちょっと何かが背中に当たる。
尖った乳首に違いない。わたしの性愛対象は男だけど、この刺激はそそられるものがある。
「はい、交代。背中見せて」
警戒するパノレアに、まずは真っ当に背中を洗ってやる。
「はわわ。やっぱり人の手で洗ってもらうのは、気持ち良いです」
魔法で体を洗っていた人のセリフだ。別に、聖女様に合わせろと言うつもりはない。
でも、挨拶した時、領主に臭ったかな、と思うと少々恥ずかしい。
お付きの者より聖女が臭いなんて。
背中を洗い終えたわたしは、その恨みも込めて、泡だらけの手を前に回す。
「あんっ。くすぐったい」
うう~。尖塔巨乳の弾力が予想以上だ。
わたしの指がぬるぬる滑って、思うように揉みくだせない。こうなったら、乳首を弄ってやる。
「あはっ。前と後ろからくすぐらないで」
突き出した先端を狙うことに集中しすぎて、距離を忘れていた。
気付けば、わたしは自分の胸をパノレアの背中に押し付け、後ろから乳を揉む姿勢をとっていた。
「さっきの仕返しよ」
くるり。わたしの腕の中で、パノレアが反転した。
「まだ、お尻を洗っておられませんね~。聖女様はお尻も気持ち良いですね」
尻まで揉まれた。
「パノレアの、お尻も、すべすべよ」
わたしとの間に挟まる彼女のおっぱいが、ぶるんぶるんと弾み、思うように尻を揉めない。
手を伸ばそうと四苦八苦するうちに、じょり、と股が触れ合った。
はっ、と我に返った。
完全に二人きりで、気を緩めすぎた。
壺持ち石像の女も、呆れた視線を送ってくる。
「遊んでいる場合ではないわ。早く済ませよう」
パノレアもすぐに手を離し、わたし達は急いで体を洗った。
ベニゼロス伯爵は、もてなしにドレスまで準備してくれていた。
着てきた服は見当たらない。
見るからに高価な衣装で気が引けるけど、他に着る物はなく、パノレアに着せてもらった。
聖女の服と違って、貴族女性のドレスは、一人で着られない仕組みとなっている。
「思ったよりも、肌の露出が多いですね。普通の貴族令嬢であれば、許容範囲内なのですが」
パノレアは全部着せてから、つくづく眺めて宣った。
一応、聖女のイメージカラーである白と青と金で誂えてあるものの、いわゆるイブニングドレスだ。
わたしの乳が、上半分丸見えだった。
「私のドレスも、かなりの露出度なんですよね。部屋に戻って、羽織る物を探しましょう」
ご丁寧に、パノレアのドレスまで用意されていた。つまりは、彼女の服も引き上げられていたのである。
わたしも手伝って着終えたパノレアの胸は、はち切れんばかりに盛り上がっていた。
思わず、よいしょ、と掴んで取り出したくなる。
寝室へ持ち込んだ着替えまで消えていたらどうしよう、と心配したけど、杞憂だった。
わたしとパノレアは、それぞれ肩から掛ける布で胸元を覆った。
それでも彼女の豊満な乳は、存在を隠せなかった。
やはり彼女の普段着る服には、隠蔽魔法がかかっているに違いない。
食卓に着くと、やはり入浴でさっぱりとしたキリロスとマノロスが、一瞬固まるのが見えた。
彼らは自前の服のままだった。
「ドレスまで用意いただき、ありがとうございました」
「とても良くお似合いです。お二方の麗しいお姿を眼前にして、ますます女神イナリア様への信仰が深まりました」
料理は、王宮以来のフルコースだった。
当然美味しいのだけど、前世も今世も平民だったわたしには、エリミアで囲んだ素朴な食卓の思い出が、やたらキラキラして浮かぶのだった。
あの食材には、全て祝福がかかっていた。
それに、伯爵の目線がパノレアの突出物に触れる回数が多いことも、気に掛かった。
灯台のサーチライトみたいに、左右から通過するかと思えば、彼女を会話に誘い、傾聴する間の目のやり場にする。
本人はさりげないつもりでも、あまりに頻繁で、気付かずにいられない。
あれだけの巨乳なら、無理もなかった。
同性のわたしも、つい眺めてしまうのだから。
既婚者のマノロスさえも、うっかり視界に入れること数度に及んだ。
完全に無視を決め込んだキリロスが、聖人に見えた。
同時に、両刀使いかも、との微かな希望も潰えた。
わたしの無聊を慰めるのは、パノレアの巨乳しかないのだろうか。
食事を終えて部屋へ戻ると、メイドが出てくるところへ出会した。
慌てて顔を伏せながら、早足で去る様子に、ふと既視感を覚えた。
「臨時雇いでしょうかね」
「どこかで見かけたかな?」
「いいえ。下級の使用人なのに、客人の目に触れるとは、仕事に不慣れと感じたまでです」
そういうものなのか?
貴族の常識は、神殿とはまた違うようだ。ますます結婚する気が失せた。
セイヤ王と結婚したら、細かいことを気にせずに済むかもしれないけど、王妃に殺される。
「今夜は部屋が別々ですね。お寂しいなら、こちらへ移りますよ」
油断していた。ドレスを脱がせたパノレアの手が、またもわたしの胸を揉んだのだ。
「ひょえっ。一人の方が、安心して寝られるわ」
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