読書部の日常〜ポンコツ系美少女な部長とただ駄弁るだけの不毛なる学園生活〜

ジェロニモ

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クラス異世界召喚物に備えて鞄に入れる物について(実践編)合宿五日目 ①

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 合宿五日目の朝、ポツポツと顔にひんやりとした感触がして目を覚ました。寝袋を這い出ると、肌の露出した部分に水の当たる感覚がした。それと同時に、砂浜に点々と黒いシミが出来ていく。そして、そのシミはやがて砂浜全てを染めた。

 ビシャビシャと容易く視認できるレベルの、雨が降り始めた。

「あーー。」

 寝起きでぼんやりした頭で、髪や服を濡らす雨が自然のシャワーのようでちょっと気持ちいいなーっと雨に打たれるがままに身を任せていた。が、雨の冷たさで徐々に意識がクリアになっていく。

「って荷物!」

 ようやくこれが一大事であると気づいた。僕の鞄は防水性なんかじゃない。つまり、替えの服も、スマホも充電器も濡れてしまうということだ。
 それはいけない。特にスマホはいけない。まだ半年しか使ってないんだぞふざけるな!

 隅田さんがバッと飛び起きたと思うとリュックからスマホの充電器や替え服なんかをビニール袋につめはじめた。引くほど迅速な対応である。

「ぶぇっ! なんか口に入ったんだけど!? 何事!?」

 部長もようやく異変に気づいたようだ。
 どうやらだらしなく開いた口の中に雨が入り込んだらしい。混乱した様子でペッペッ、と舌を出している。

「見たらわかるでしょう。雨です雨!見た感じ部長のバックも防水じゃないみたいですし、隅田さんみたいに濡れたら困るものはビニール袋かなんかの中に入れるかした方がいいですよ。」

「え、え。そそ、そんなもの持ってきてないわよぉ。ど、どうしたらいいの?」

 部長がオロオロと手を宙に彷徨わせて、僕に助けを乞うような目を向けてきた。唐突な異常事態にポンコツ度合いが悪化しているらしい。まるで使い物にならない。

 しかし僕もこのままじゃ困る。隅田さんはスマホをビニール袋にしまってしまったので喋らなくなってしまったし。どうしたものか……。

「そうだ木の下! あの大きくて葉もたくさん生い茂ってる木の下に荷物運びましょう。地面も濡れてないですし、少なくともここよりはマシですよ。」

「わ、わかったわ!」

 僕がいうや否や、リュックサックを背負った隅田さんがダッシュで風のように木の下へと入っていった。

 そして手のひらを上に向けて左右に動かすと、頭の上で手と手を合わせて丸をつくってOKのポーズをこちらに向けてきた。

 これは雨は大丈夫だということを確認してくれたということなんだろうか。
 僕も急いで木の下に入る。雨はたしかに大丈夫なようだ。
 時折水滴がぼたぼたと落ちてくるが、木の葉はうまい具合に僕らを守るバリアになってくれていた。

「後輩くーん。隅田ちゃーん。手伝ってちゃうだい。」

 今にも泣きそうな震えた声で部長が僕らを呼んだ。
 見ればボストンバックを両手で持ち上げた状態のままプルプルと体を振るわせていた。重すぎてこっちまで運べないらしい。

 完全に自業自得ではあるが、すぐさま隅田さんが部長の元へとビュンと駆け寄っていった。
 バックをヒョイと片手で持ち上げて、部長の手を引いて一緒に戻ってくる。

 相変わらずの超人クラスの筋力だった。
 どんなトレーニングをしてるんだろうか。きっと僕が三日と持たないトレーニングだろうから聴いても意味がなさそうだ。

「雨のことなんて全く考えてなかったわ……。こんなことなら1週間の天気予報でも見て来ればよかったわね。」

 部長が濡れた髪をタオルでガシガシと拭いて、ターバンのようにそのまま頭に巻いた。

「昨日までは晴天だったんですけどね……。」

まさにゲリラ豪雨というやつだ。

『やっぱりテントなんか持ってきた方が良かったかもです。』

 隅田さんがビニール袋からスマホを取り出して、ようやく会話できるようになった。

「せめてビニールシートでも持ってきておけば雨を防げたんでしょうけど……。砂浜に使えそうなものも打ち上げられてませんし。」

「何よ。厨二病時代に蓄えたサバイバル知識の中に小屋のつくり方とか無いわけ?」

「あるにはあるんですけど、なんか怠くて。この木の下ならあんまり濡れませんし別によくないですか?」

 部長は僕の言葉にわざとらしく大きなため息をついて肩をすくめた。
 そして僕の額をコンコンと拳でノックしてきた。

「もしもーし! 脳味噌入ってますかー? 私たちはサバイバルの経験を積むために合宿に来たのだから、そういうことを結局にチャレンジしていかなきゃ意味がないでしょうが。」

 ペチペチと額を叩かれる。言い方が限りなくムカつくが言っていることは一理ある。

「とりあえず木を集めましょう。小枝とかじゃなくて、大きめの木をたくさん。」

 つまりまた雨の中に出ていかなければいけないということ。

「いいわ。気温的には雨が気持ちいいくらいだし。服ももうびしょ濡れだしね。」

『了解です。』

 二人は特に不満はないらしい。僕は雨に濡れると手がふやけるので憂鬱な気分である
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