27 / 34
クラス異世界召喚物に備えて鞄に入れる物について(実践編)合宿五日目 ①
しおりを挟む
合宿五日目の朝、ポツポツと顔にひんやりとした感触がして目を覚ました。寝袋を這い出ると、肌の露出した部分に水の当たる感覚がした。それと同時に、砂浜に点々と黒いシミが出来ていく。そして、そのシミはやがて砂浜全てを染めた。
ビシャビシャと容易く視認できるレベルの、雨が降り始めた。
「あーー。」
寝起きでぼんやりした頭で、髪や服を濡らす雨が自然のシャワーのようでちょっと気持ちいいなーっと雨に打たれるがままに身を任せていた。が、雨の冷たさで徐々に意識がクリアになっていく。
「って荷物!」
ようやくこれが一大事であると気づいた。僕の鞄は防水性なんかじゃない。つまり、替えの服も、スマホも充電器も濡れてしまうということだ。
それはいけない。特にスマホはいけない。まだ半年しか使ってないんだぞふざけるな!
隅田さんがバッと飛び起きたと思うとリュックからスマホの充電器や替え服なんかをビニール袋につめはじめた。引くほど迅速な対応である。
「ぶぇっ! なんか口に入ったんだけど!? 何事!?」
部長もようやく異変に気づいたようだ。
どうやらだらしなく開いた口の中に雨が入り込んだらしい。混乱した様子でペッペッ、と舌を出している。
「見たらわかるでしょう。雨です雨!見た感じ部長のバックも防水じゃないみたいですし、隅田さんみたいに濡れたら困るものはビニール袋かなんかの中に入れるかした方がいいですよ。」
「え、え。そそ、そんなもの持ってきてないわよぉ。ど、どうしたらいいの?」
部長がオロオロと手を宙に彷徨わせて、僕に助けを乞うような目を向けてきた。唐突な異常事態にポンコツ度合いが悪化しているらしい。まるで使い物にならない。
しかし僕もこのままじゃ困る。隅田さんはスマホをビニール袋にしまってしまったので喋らなくなってしまったし。どうしたものか……。
「そうだ木の下! あの大きくて葉もたくさん生い茂ってる木の下に荷物運びましょう。地面も濡れてないですし、少なくともここよりはマシですよ。」
「わ、わかったわ!」
僕がいうや否や、リュックサックを背負った隅田さんがダッシュで風のように木の下へと入っていった。
そして手のひらを上に向けて左右に動かすと、頭の上で手と手を合わせて丸をつくってOKのポーズをこちらに向けてきた。
これは雨は大丈夫だということを確認してくれたということなんだろうか。
僕も急いで木の下に入る。雨はたしかに大丈夫なようだ。
時折水滴がぼたぼたと落ちてくるが、木の葉はうまい具合に僕らを守るバリアになってくれていた。
「後輩くーん。隅田ちゃーん。手伝ってちゃうだい。」
今にも泣きそうな震えた声で部長が僕らを呼んだ。
見ればボストンバックを両手で持ち上げた状態のままプルプルと体を振るわせていた。重すぎてこっちまで運べないらしい。
完全に自業自得ではあるが、すぐさま隅田さんが部長の元へとビュンと駆け寄っていった。
バックをヒョイと片手で持ち上げて、部長の手を引いて一緒に戻ってくる。
相変わらずの超人クラスの筋力だった。
どんなトレーニングをしてるんだろうか。きっと僕が三日と持たないトレーニングだろうから聴いても意味がなさそうだ。
「雨のことなんて全く考えてなかったわ……。こんなことなら1週間の天気予報でも見て来ればよかったわね。」
部長が濡れた髪をタオルでガシガシと拭いて、ターバンのようにそのまま頭に巻いた。
「昨日までは晴天だったんですけどね……。」
まさにゲリラ豪雨というやつだ。
『やっぱりテントなんか持ってきた方が良かったかもです。』
隅田さんがビニール袋からスマホを取り出して、ようやく会話できるようになった。
「せめてビニールシートでも持ってきておけば雨を防げたんでしょうけど……。砂浜に使えそうなものも打ち上げられてませんし。」
「何よ。厨二病時代に蓄えたサバイバル知識の中に小屋のつくり方とか無いわけ?」
「あるにはあるんですけど、なんか怠くて。この木の下ならあんまり濡れませんし別によくないですか?」
部長は僕の言葉にわざとらしく大きなため息をついて肩をすくめた。
そして僕の額をコンコンと拳でノックしてきた。
「もしもーし! 脳味噌入ってますかー? 私たちはサバイバルの経験を積むために合宿に来たのだから、そういうことを結局にチャレンジしていかなきゃ意味がないでしょうが。」
ペチペチと額を叩かれる。言い方が限りなくムカつくが言っていることは一理ある。
「とりあえず木を集めましょう。小枝とかじゃなくて、大きめの木をたくさん。」
つまりまた雨の中に出ていかなければいけないということ。
「いいわ。気温的には雨が気持ちいいくらいだし。服ももうびしょ濡れだしね。」
『了解です。』
二人は特に不満はないらしい。僕は雨に濡れると手がふやけるので憂鬱な気分である
ビシャビシャと容易く視認できるレベルの、雨が降り始めた。
「あーー。」
寝起きでぼんやりした頭で、髪や服を濡らす雨が自然のシャワーのようでちょっと気持ちいいなーっと雨に打たれるがままに身を任せていた。が、雨の冷たさで徐々に意識がクリアになっていく。
「って荷物!」
ようやくこれが一大事であると気づいた。僕の鞄は防水性なんかじゃない。つまり、替えの服も、スマホも充電器も濡れてしまうということだ。
それはいけない。特にスマホはいけない。まだ半年しか使ってないんだぞふざけるな!
隅田さんがバッと飛び起きたと思うとリュックからスマホの充電器や替え服なんかをビニール袋につめはじめた。引くほど迅速な対応である。
「ぶぇっ! なんか口に入ったんだけど!? 何事!?」
部長もようやく異変に気づいたようだ。
どうやらだらしなく開いた口の中に雨が入り込んだらしい。混乱した様子でペッペッ、と舌を出している。
「見たらわかるでしょう。雨です雨!見た感じ部長のバックも防水じゃないみたいですし、隅田さんみたいに濡れたら困るものはビニール袋かなんかの中に入れるかした方がいいですよ。」
「え、え。そそ、そんなもの持ってきてないわよぉ。ど、どうしたらいいの?」
部長がオロオロと手を宙に彷徨わせて、僕に助けを乞うような目を向けてきた。唐突な異常事態にポンコツ度合いが悪化しているらしい。まるで使い物にならない。
しかし僕もこのままじゃ困る。隅田さんはスマホをビニール袋にしまってしまったので喋らなくなってしまったし。どうしたものか……。
「そうだ木の下! あの大きくて葉もたくさん生い茂ってる木の下に荷物運びましょう。地面も濡れてないですし、少なくともここよりはマシですよ。」
「わ、わかったわ!」
僕がいうや否や、リュックサックを背負った隅田さんがダッシュで風のように木の下へと入っていった。
そして手のひらを上に向けて左右に動かすと、頭の上で手と手を合わせて丸をつくってOKのポーズをこちらに向けてきた。
これは雨は大丈夫だということを確認してくれたということなんだろうか。
僕も急いで木の下に入る。雨はたしかに大丈夫なようだ。
時折水滴がぼたぼたと落ちてくるが、木の葉はうまい具合に僕らを守るバリアになってくれていた。
「後輩くーん。隅田ちゃーん。手伝ってちゃうだい。」
今にも泣きそうな震えた声で部長が僕らを呼んだ。
見ればボストンバックを両手で持ち上げた状態のままプルプルと体を振るわせていた。重すぎてこっちまで運べないらしい。
完全に自業自得ではあるが、すぐさま隅田さんが部長の元へとビュンと駆け寄っていった。
バックをヒョイと片手で持ち上げて、部長の手を引いて一緒に戻ってくる。
相変わらずの超人クラスの筋力だった。
どんなトレーニングをしてるんだろうか。きっと僕が三日と持たないトレーニングだろうから聴いても意味がなさそうだ。
「雨のことなんて全く考えてなかったわ……。こんなことなら1週間の天気予報でも見て来ればよかったわね。」
部長が濡れた髪をタオルでガシガシと拭いて、ターバンのようにそのまま頭に巻いた。
「昨日までは晴天だったんですけどね……。」
まさにゲリラ豪雨というやつだ。
『やっぱりテントなんか持ってきた方が良かったかもです。』
隅田さんがビニール袋からスマホを取り出して、ようやく会話できるようになった。
「せめてビニールシートでも持ってきておけば雨を防げたんでしょうけど……。砂浜に使えそうなものも打ち上げられてませんし。」
「何よ。厨二病時代に蓄えたサバイバル知識の中に小屋のつくり方とか無いわけ?」
「あるにはあるんですけど、なんか怠くて。この木の下ならあんまり濡れませんし別によくないですか?」
部長は僕の言葉にわざとらしく大きなため息をついて肩をすくめた。
そして僕の額をコンコンと拳でノックしてきた。
「もしもーし! 脳味噌入ってますかー? 私たちはサバイバルの経験を積むために合宿に来たのだから、そういうことを結局にチャレンジしていかなきゃ意味がないでしょうが。」
ペチペチと額を叩かれる。言い方が限りなくムカつくが言っていることは一理ある。
「とりあえず木を集めましょう。小枝とかじゃなくて、大きめの木をたくさん。」
つまりまた雨の中に出ていかなければいけないということ。
「いいわ。気温的には雨が気持ちいいくらいだし。服ももうびしょ濡れだしね。」
『了解です。』
二人は特に不満はないらしい。僕は雨に濡れると手がふやけるので憂鬱な気分である
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる