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ルージュの呪い 1
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これで砂浜が使えるようになったということで、俺達は村長から報酬をもらったが、そのとき村の長老の1人から面白い話を聞いた。
「この村から北へ1日程行ったところにある洞窟に、財宝が隠されているということじゃ」
「財宝?」
「そうじゃ、この地方は昔、海賊どもが巣食っておってな、その海賊の宝が、洞窟のどこかに隠されておるという」
「ふ~ん」と俺が何気なく相槌を打つと、
「詳しく聞きたいか?」と言って、手を差し出してくる。
「幾らだ?」と聞くと
「金貨1枚じゃ」と言うので、
「高い、銀貨2枚だな」と答えた。
「銀貨10枚でよしとしてやろう」と値下げしてきたとき
「おい、爺さん、また法螺話か。いい加減にしなよ。あんた達、真に受けるんじゃないぜ」とダッグエイドが老人の話を遮った。
「ちっ、もう少しで上手くいくところじゃったのに」と言って、その老人は離れて行った。
次の日、漁村を出発したが、馬車の中で俺は、
「なあ、昨日の話だけどな。このまま街に帰るか、それともその洞窟を探しに行くか、どうしたものかな?」と、皆に声を掛けた。
「面白そうじゃない。行ってみようよ」とクレライン。
「どうせ法螺話だよ。今回たっぷり稼いだから、私は暫く遊んで暮らしたいけど、あんたが行きたいなら付いて行くよ」とオーリア。
「海賊のお宝って、ホントにあるの?」とアルミ。
ダッグエイドによると、数十年前のこの一帯は海賊の縄張りで、いくつものグループに分かれた海賊達が勢力争いをしていたのは事実だという。だから、海賊のお宝の話は、どの洞窟にもあるが、地元の人間が洞窟を調べ尽くしたし、国からも調査隊が来て洞窟という洞窟を調べたから、洞窟のお宝の話はただの法螺話だという。
「あの爺さんのように、よそ者が来たら、法螺話をして金をせしめようする奴がいるから気を付けなよ」と忠告してくれた。
法螺話かどうかはともかく、洞窟探検は面白そうだと皆が賛成したので、俺達は街へ向かわず北に向かうことにした。
村から北に向かうちゃんとした道はないが、村人たちが踏み固めた道らしきものがあって、それを利用して北へ向かった。
馬車の揺れが半端ないが、数時間後には海に面して切り立った断崖が見えて来た。
「きっと、あの断崖の下の方に、海賊達の洞窟があるんだろうけど、あの断崖の下に行くには船がいるな」と俺が言うと、
「村まで戻って船を出してもらう?」とクレライン。
「いや、そこまでは考えていない」
「なら、どうするの?」とオーリア。
「どうするの?」とアルミがオーリアの真似をする。
「断崖の低いところで海岸に出て、海岸沿いに、歩いて行けるところまで行ってみる」
俺達は村人が踏み固めた道らしきものを逸れて海岸に向かい、馬車が進めなくなったところで、一旦馬車を降りた。
馬車に積んでいた金貨は幾つかの皮袋に分けて、俺とクレラインとオーリアの3人で分けて持つことにした。アルミが「自分も」とふくれたので、金貨を1枚だけ小さな皮袋に入れて、首に掛けてやると機嫌が直った。
ディアスを馬車から外し、アルミを乗せて、海岸に向かって森の中を進む。森は海に向かってなだらかな下り斜面になっていたが、そのまま海岸に出ることは出来ず、森は斬り落とされたような崖で行き止まりになっていた。
崖の上から下を覗き込むと、崖の高さは3メートル位あり、断崖に波がぶつかっているのが見える。真下にも左右を見ても、海岸沿いに歩けるような場所は見当たらなかった。
さらに北側に目を向けると、断崖はどんどん高くなっていき、40~50メートル位の落差になっていく。そして、やはり、海岸沿いに歩けるような場所は見当たらない。
「これはダメだな。船がないと、崖には近づけない。一旦、馬車まで戻るか」
俺達は、海岸の洞窟を諦めて馬車まで戻ってディアスを繋ぎ直していると、
「崖の上まで行ってみたい」とアルミが言い出した。
崖の上から海を眺めるのもいいかもしれない思い、アルミの願いを叶えるために、崖の上に向かった。
崖の上からの眺めは絶景だった。この崖は、半島のように、少し海に突き出しているようで、北、東、南の3方向に大海原が広がっている。
西を見ると、森林が衝立のように視界を遮っているが、その遥か向こうに、幾つもの山の連なりが見えている。
西南の方向にトライエルバッハの街があるはずだが、ここからは見えない。
「このまま帰っても、ここまで来た甲斐がない。少し周りを探索してみるか」
「そうだね。急いで帰る必要もないし、夜は馬車で眠ればいいから、少しこの辺りを探ってみてもいいね」とクレライン。
「この辺りにも海賊の洞窟があるかもしれないしね」とオーリア。
「お宝が見つかるといいね」アルミは無邪気に目を輝かせる。
「少し早いが、昼飯を食って、それから少し探索しよう」と俺が提案する。
漁村で手に入れ干し魚と、いつもの干し肉鍋の食事を済ませると、俺はアレックスを召喚した。
アレックスを始めて見たアルミが恐がったので、アレックスには余っている布で頭巾をつくり、被らせた。
森の探索で洞窟は見つからなかった。ただ、魔物は多く、クラックベアと言う熊を大きくした魔物に何回か出くわした。意外だったのは、ディアスが後ろ足でクラックベアを蹴り殺したことだ。
クラックベアからも新しいスキルは得られなかった。
異変があったのは、その夜のことだ。いつもの通り、女達は幌のある馬車の中、俺は焚火の番をしながら馬車の左側、右側はアレックスが仁王立ちという布陣で野営をしていた。
焚火をじっと見ていると、焚火がだんだん遠ざかり始めた。
『しまった。寝てしまったか』と俺は、自分の頬を手で叩いて意識をはっきりさせた。しかし、その後も、焚火を見詰めていると、また、焚火が遠ざかり始める。また、慌てて頭を振って、意識をはっきりさせ、再び、焚火を見詰めていると、また、焚火が遠ざかり始める。
『これは、精神攻撃だ』
俺は立ち上がって「皆、起きろ。攻撃を受けているぞ」
俺の叫びでクレラインが馬車から飛び降りて来た。
「敵は何処?」と、剣を抜き放って周囲を警戒している。野営のときに夜襲があった時は、クレラインとオーリアのどちらかが馬車の中に残ってアルミを護ることになっている。今は、オーリアが馬車の中で警戒しているんだろう。
「精神攻撃のようだ。この焚火を見ていたら、焚火が遠ざかる」と俺が説明すると、クレラインが怪訝そうに、
「寝呆けていたんじゃないの」と、剣を鞘に納めながら聞いてきた。
「違う、何回か試した。クレラインも一緒に、焚火を見詰めてくれ」
2人で焚火を見詰めていると、クレラインが緊張して剣に手をかけた。
「本当だ。火が遠ざかった」
「精神攻撃だって?」俺達の話が聞こえていたオーリアが馬車から降りてきた。
「オーリアも、焚火を見詰めてくれないか」
オーリアも黙って焚火を見詰めて、すぐに緊張して腰の短剣を抜いて周囲を見回した。
「確かに、精神攻撃だね。これは闇魔法じゃないの?」と口にする。
「アルミは大丈夫か?」と俺が聞くと
「ちょっと、待ってと」とクレラインが馬車の中を覗き込む。
「大丈夫、眠っているわ」
「相手は、どこだ?」俺は気配察知で周囲を探るが、周囲には何の反応もない。
最近開発した音魔法によるソナー探知もやってみたが、動くものは感知できない。俺たちが焚火の前で警戒していると、
焚火が、いつのまにか2つに分かれた。
「焚火が分かれたぞ」俺達3人は剣を抜き、背中合わせになって周囲を警戒する。最近時間があるときに、三位一体の訓練をしているので、自然とそのフォーメーションをとった。
「この村から北へ1日程行ったところにある洞窟に、財宝が隠されているということじゃ」
「財宝?」
「そうじゃ、この地方は昔、海賊どもが巣食っておってな、その海賊の宝が、洞窟のどこかに隠されておるという」
「ふ~ん」と俺が何気なく相槌を打つと、
「詳しく聞きたいか?」と言って、手を差し出してくる。
「幾らだ?」と聞くと
「金貨1枚じゃ」と言うので、
「高い、銀貨2枚だな」と答えた。
「銀貨10枚でよしとしてやろう」と値下げしてきたとき
「おい、爺さん、また法螺話か。いい加減にしなよ。あんた達、真に受けるんじゃないぜ」とダッグエイドが老人の話を遮った。
「ちっ、もう少しで上手くいくところじゃったのに」と言って、その老人は離れて行った。
次の日、漁村を出発したが、馬車の中で俺は、
「なあ、昨日の話だけどな。このまま街に帰るか、それともその洞窟を探しに行くか、どうしたものかな?」と、皆に声を掛けた。
「面白そうじゃない。行ってみようよ」とクレライン。
「どうせ法螺話だよ。今回たっぷり稼いだから、私は暫く遊んで暮らしたいけど、あんたが行きたいなら付いて行くよ」とオーリア。
「海賊のお宝って、ホントにあるの?」とアルミ。
ダッグエイドによると、数十年前のこの一帯は海賊の縄張りで、いくつものグループに分かれた海賊達が勢力争いをしていたのは事実だという。だから、海賊のお宝の話は、どの洞窟にもあるが、地元の人間が洞窟を調べ尽くしたし、国からも調査隊が来て洞窟という洞窟を調べたから、洞窟のお宝の話はただの法螺話だという。
「あの爺さんのように、よそ者が来たら、法螺話をして金をせしめようする奴がいるから気を付けなよ」と忠告してくれた。
法螺話かどうかはともかく、洞窟探検は面白そうだと皆が賛成したので、俺達は街へ向かわず北に向かうことにした。
村から北に向かうちゃんとした道はないが、村人たちが踏み固めた道らしきものがあって、それを利用して北へ向かった。
馬車の揺れが半端ないが、数時間後には海に面して切り立った断崖が見えて来た。
「きっと、あの断崖の下の方に、海賊達の洞窟があるんだろうけど、あの断崖の下に行くには船がいるな」と俺が言うと、
「村まで戻って船を出してもらう?」とクレライン。
「いや、そこまでは考えていない」
「なら、どうするの?」とオーリア。
「どうするの?」とアルミがオーリアの真似をする。
「断崖の低いところで海岸に出て、海岸沿いに、歩いて行けるところまで行ってみる」
俺達は村人が踏み固めた道らしきものを逸れて海岸に向かい、馬車が進めなくなったところで、一旦馬車を降りた。
馬車に積んでいた金貨は幾つかの皮袋に分けて、俺とクレラインとオーリアの3人で分けて持つことにした。アルミが「自分も」とふくれたので、金貨を1枚だけ小さな皮袋に入れて、首に掛けてやると機嫌が直った。
ディアスを馬車から外し、アルミを乗せて、海岸に向かって森の中を進む。森は海に向かってなだらかな下り斜面になっていたが、そのまま海岸に出ることは出来ず、森は斬り落とされたような崖で行き止まりになっていた。
崖の上から下を覗き込むと、崖の高さは3メートル位あり、断崖に波がぶつかっているのが見える。真下にも左右を見ても、海岸沿いに歩けるような場所は見当たらなかった。
さらに北側に目を向けると、断崖はどんどん高くなっていき、40~50メートル位の落差になっていく。そして、やはり、海岸沿いに歩けるような場所は見当たらない。
「これはダメだな。船がないと、崖には近づけない。一旦、馬車まで戻るか」
俺達は、海岸の洞窟を諦めて馬車まで戻ってディアスを繋ぎ直していると、
「崖の上まで行ってみたい」とアルミが言い出した。
崖の上から海を眺めるのもいいかもしれない思い、アルミの願いを叶えるために、崖の上に向かった。
崖の上からの眺めは絶景だった。この崖は、半島のように、少し海に突き出しているようで、北、東、南の3方向に大海原が広がっている。
西を見ると、森林が衝立のように視界を遮っているが、その遥か向こうに、幾つもの山の連なりが見えている。
西南の方向にトライエルバッハの街があるはずだが、ここからは見えない。
「このまま帰っても、ここまで来た甲斐がない。少し周りを探索してみるか」
「そうだね。急いで帰る必要もないし、夜は馬車で眠ればいいから、少しこの辺りを探ってみてもいいね」とクレライン。
「この辺りにも海賊の洞窟があるかもしれないしね」とオーリア。
「お宝が見つかるといいね」アルミは無邪気に目を輝かせる。
「少し早いが、昼飯を食って、それから少し探索しよう」と俺が提案する。
漁村で手に入れ干し魚と、いつもの干し肉鍋の食事を済ませると、俺はアレックスを召喚した。
アレックスを始めて見たアルミが恐がったので、アレックスには余っている布で頭巾をつくり、被らせた。
森の探索で洞窟は見つからなかった。ただ、魔物は多く、クラックベアと言う熊を大きくした魔物に何回か出くわした。意外だったのは、ディアスが後ろ足でクラックベアを蹴り殺したことだ。
クラックベアからも新しいスキルは得られなかった。
異変があったのは、その夜のことだ。いつもの通り、女達は幌のある馬車の中、俺は焚火の番をしながら馬車の左側、右側はアレックスが仁王立ちという布陣で野営をしていた。
焚火をじっと見ていると、焚火がだんだん遠ざかり始めた。
『しまった。寝てしまったか』と俺は、自分の頬を手で叩いて意識をはっきりさせた。しかし、その後も、焚火を見詰めていると、また、焚火が遠ざかり始める。また、慌てて頭を振って、意識をはっきりさせ、再び、焚火を見詰めていると、また、焚火が遠ざかり始める。
『これは、精神攻撃だ』
俺は立ち上がって「皆、起きろ。攻撃を受けているぞ」
俺の叫びでクレラインが馬車から飛び降りて来た。
「敵は何処?」と、剣を抜き放って周囲を警戒している。野営のときに夜襲があった時は、クレラインとオーリアのどちらかが馬車の中に残ってアルミを護ることになっている。今は、オーリアが馬車の中で警戒しているんだろう。
「精神攻撃のようだ。この焚火を見ていたら、焚火が遠ざかる」と俺が説明すると、クレラインが怪訝そうに、
「寝呆けていたんじゃないの」と、剣を鞘に納めながら聞いてきた。
「違う、何回か試した。クレラインも一緒に、焚火を見詰めてくれ」
2人で焚火を見詰めていると、クレラインが緊張して剣に手をかけた。
「本当だ。火が遠ざかった」
「精神攻撃だって?」俺達の話が聞こえていたオーリアが馬車から降りてきた。
「オーリアも、焚火を見詰めてくれないか」
オーリアも黙って焚火を見詰めて、すぐに緊張して腰の短剣を抜いて周囲を見回した。
「確かに、精神攻撃だね。これは闇魔法じゃないの?」と口にする。
「アルミは大丈夫か?」と俺が聞くと
「ちょっと、待ってと」とクレラインが馬車の中を覗き込む。
「大丈夫、眠っているわ」
「相手は、どこだ?」俺は気配察知で周囲を探るが、周囲には何の反応もない。
最近開発した音魔法によるソナー探知もやってみたが、動くものは感知できない。俺たちが焚火の前で警戒していると、
焚火が、いつのまにか2つに分かれた。
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